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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
動く世界、なんだこれ?

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第83話 第二次ロマリア紛争

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


再び、ロマリアの強硬派による戦争が始まろうとしていた。

そこへ、ディオスと、ディオス達がアリストス共和帝国から技術提供された超魔導兵器エルギアのシステムによって作れた、ジン・ゴーレムが出撃する。そして…

 ディオスは、エルフの王国ノーディウスのロマリアに面している平原にいた。

 ディオスの背後には、アーリシア統合軍が、戦艦飛空艇や、魔導操車の陣形を作って陣取っている。

 今回の、統合軍の任務は…ロマリアから来る軍団の応戦だ。

 ロマリアの軍隊を国境外へ追い出せば、勝利…ノーディウス王国の防衛戦な訳だ。


 ディオスはロマリア側を見つめて

「はぁ…早く終わって帰りたい」

 そう、思う理由は、ゼリティアの出産だ。もう九ヶ月後半で、もうすぐ十ヶ月になる。

 出産日が近いのだ。

 そんな大事な時だ。傍にいてやりたい。いいや! 絶対に傍にいたい。

 なのに…ロマリアが、再び軍を向けるという情報を得て、アーリシア統合軍は、アーリシアの国の防衛の為に出動した。


 その背中に、レディアンがヴァンスボルトと共に近付き

「戦いが待ち遠しいか?」

と、レディアンが尋ねる。


「はぁ…。いいえ、ロマリアが諦めて部隊の展開を止めて帰ってくれる事を念じています」

と、ディオスは呆れ気味に答える。


 レディアンが隣に並んで

「確か…ゼリティアの出産が近いのだったなぁ…」


「ええ…夫として、ゼリティアの傍にいたです」

 ディオスは泣き言のように呟く。


「ふ…そうか…まあ…。私もそうなる事を願っているが…」

と、レディアンは複雑な顔をする。


 ロマリアで出兵の為に動いているのは、ロマリア強硬派だ。

 前に、フランドイルでの失態を挽回する為に、動くのは自明の理だ。


 一週間前のロマリア、その皇帝城の皇帝の座を前に強硬派の、当主がライドルへ饒舌に語っている。

「必ずや、ロマリアの威光をお見せ出来ると、約束しましょう」

 

自信ありげに語る強硬派の当主を前にライドルは、冷静な視線で

「では…もし…失敗した場合は…どうする?」


 フッと強硬派当主は笑い

「そんな事にはなりません。必ず成功します。もし、失敗になった場合は…わたくしが責任を取りますので…」


 ライドルの眉間が動く。

 よくもまあ…責任を取るなど…軽口を叩ける…。

 内心で呆れつつも

「よかろう…。その豪語に免じて、汝の進める通りにしよう。だが…失敗した時は…分かっているな」


 強硬派当主は、嘲笑いのような顔で

「ええ…そんな事には成りませんがね…」

 


 強硬派の当主が、皇帝の座から去ると、一人の仕官がライドルに近付き耳打ちする。

「皇帝陛下…お調べした通り、やはり…」

 仕官の話に、ライドルは嫌な顔をして

「そうか…やはり…裏で…」



 ロマリア側の戦線、そこでは大量の魔導操車が運ばれている。

 魔導操車を運ぶ飛空艇の操縦室に、仮面の男がいる。アズナブルだ。

 その両脇に、ララーナとレイドもいる。


 レイドが

「これで、混乱が起こせるのでしょうか?」


 アズナブルは仮面の奥にある目を細め

「いいや、ムリだろう。おそらく、フランドイルで最近完成した。ジン・ゴーレムという存在に制圧されるだろう」


 ララーナが

「なぜ、そのような無駄を?」


「それが目的だ」


 レイドとララーナは『はぁ?』と告げる。


 アズナブルは、大地に下ろされる魔導操車達を見つめ

「これ程の、大部隊が捕虜として捕まった場合は…強硬派は必ず、なり振り構わなくなり、そして…あの兵器のスイッチを押す。それが狙いだ」


 レイドが視線を細め

「なるほど…。それによってフランドイルが崩壊して、ロマリアはフランドイルへ侵攻せざる得ない。そうなれば、アーリシアとロマリアとの大戦争が勃発…。素晴らしい筋書きですね」


「そうだ…」

と、アズナブルは楽しげに口角を上げた。



 その夜、ディオスはテントの中でイスに座って本を呼んでいると…テントの壁にコツンと何かが当たった音がした。

 ディオスは意識をそこへ集中させると、人の気配を感じた。

「誰か、そこにいるのか?」


 コツンとそこの壁が叩かれ

「オレだ…」

 ヴィスヴォッチの声だ。


「ヴィスヴォッチ…どうして…?」


「これを見てくれ…」

 テントと地面の壁の隙間から折られた紙が入る。

「では…」


 ヴィスヴォッチがそこから去り、ディオスは、紙を手にして開くと…

「はぁ…マジか…」

 ディオスの驚愕する写真が挟まっていた。



 ロマリア、進攻の当日、ロマリアの兵士達一人一人の前に魔導操車が並べられる。

 何と、二万もの兵員全員に魔導操車が一台づつ与えられた。

 それは、戦車を一人一人に使わすという事だ。

 ロマリアの兵士達は戸惑う。普通なら、魔導操車一台につき、数名の重装備、魔導騎士が数名、軽装の魔導鎧の兵士が十名と、一隊で運用するのが通常だ。

 二万もの魔導操車という物量だ。


 だが、アーリシアにはグランスヴァイン級魔法運用者達がいる。その動きは?

 二万もの、魔導操車達の前に、それを防ぐ防壁シールドを展開する戦艦飛空艇が前進するのだ。

 これ程までに、大きな物量を前に、フランドイルは…終わるとロマリアの兵士達は確信する。

 そして、ロマリアの兵士達は、魔導操車に乗り込む。

 

 大進攻するロマリアの兵士達の姿を天の目「衛星」で見つめる強硬派当主は、勝利の美酒に酔っていた。

 そして、これが失敗してもこれが…と、とある兵器のスイッチを押す端末を握っていた。


 

 フランドイル側、アルジャンナ緩衝地帯以外の、ロマリアの大軍隊が近付く平原で、フランドイルの部隊が展開していた。


 そこにはアウグストスがいた。

 アウグストスは不安な顔をしていると、その肩に兄のヴェルオルムが手を置いて

「大丈夫だ。何とかなる。お前のアレは、その力があるのだろう」

 自分達の後ろにあるジン・ゴーレムを見上げる。


「はい」とアウグストスは頷いた。


 その部隊の本陣のテントには、ヴィルヘルムもいた。

 ヴィルヘルムは静かに目を瞑り、ただ…静かに待っていると、グラディウスが入って来て

「陛下。ロマリアが動きました」


「その数は?」

 ヴィルヘルムが問う。


「二万の魔導操車。そして、その前には防壁特化機能を持つ戦艦飛空艇の艦隊が」

 グラディウスが報告すると、ヴィルヘルムは立ち上がり、アウグストスとヴェルオルムがいるジン・ゴーレムの元へ行く。

「アウグ。ヴェル…」


 スタートアップするジン・ゴーレムの前にいる二人に呼び掛ける。

「父上」

「お父様」

 ヴェルオルムとアウグストスがヴィルヘルムの前に来る。


 ヴィルヘルムは二人の肩に手を置き

「大変な任務だ。気をつけるんだぞ。そして…頼んだぞ…」


『はい!』と二人は返事をして、ジン・ゴーレムに乗り込む。


 ジン・ゴーレムは二人を乗せて立ち上がり、翼状の推進機構を唸らせ、あっという間に空の彼方へ消えた。


 二人を乗せたジン・ゴーレムを見つめるヴィルヘルムに、グラディウスが

「陛下…テントの御所へ」


「いいや、ここで二人の活躍を見守る」

 腕を組んで息子達の戦場を見つめる。



 ディオス達、ノーディウス側では、三十艦もの大艦隊が迫っている。

「圧巻だなぁ」

と、陣営の前でディオスは呟く。


 その侵攻する戦艦飛空艇達の前面には、防壁魔導機構が装備されているのが見えた。


 その背に「行くぞ、ディオス」とレディアンが呼び掛ける。


「はい」とディオスは続く。


 ディオス達の陣営から出たのは、三隻だけの戦艦飛空艇だ。

 十倍近い戦力差があるも、ディオス達の乗る戦艦飛空艇には、ノーディウスと統合軍のグランスヴァイン級魔法運用者達が乗っている。


 ディオス合わせて二十一名の大規模破壊魔法の使い手だけでの応戦、だが…迫るロマリアも対策はしてある。

 その為の防壁魔導機構だ。

 だが、ディオス達の目的は戦艦飛空艇の撃墜ではない。


 ディオス達、三隻の戦艦飛空艇が最終ラインの前に静止する。

 ロマリアの戦艦飛空艇の艦隊が最終ラインを越えるまで待つ。


 ディオス達の戦艦飛空艇から、ロマリアの戦艦飛空艇艦隊に向かって警告は発せられる。

「こちらは、アーリシア統合軍とノーディウス王国軍の連合艦隊である。貴艦達は、条約に定められた中間領域を侵犯している。このまま、最終防衛ラインを越えた場合は、対処をする。繰り返す」

 その呼びかけを続けるも、ロマリアの艦隊は向かって来る。



 フランドイル側の戦場、ロマリアの大部隊が侵攻する。

 そこへ向かうのは、ジン・ゴーレム一機だけだ。

 ロマリアの軍団が、最終防衛ラインを越えた。


 ジン・ゴーレムは通信で呼び掛ける。

「貴君達は、我らの国境を越えた。国境条約、第十四項によって、我は応戦する。繰り返す、我らは応戦する」

 そう、呼び掛けた次に、二万もの魔導操車達が、ジン・ゴーレムに向かって砲身を伸ばし、魔導砲撃を開始した。


 豪雨の如き魔導砲撃を、ジン・ゴーレムの二十メータ近い巨体は、軽やかな羽毛の如く避けて、その早さ、動きは幾多の残像を生み出す。


 とんでもない、機動力を誇るジン・ゴーレムの性能に、軍団は誘導魔導砲撃に切り替え、ジン・ゴーレムを攻撃する。


 縦横無尽に迫る魔導砲弾を、ジン・ゴーレムは全くの意に返さず。

 軽やかにしなやかに避ける。

 それは愚鈍なゴーレムの動きではない。まるで中に人が入っているかのように、生物的で、柔らかい。


 ジン・ゴーレムは雨霰の魔導砲撃を交わしながら、天高く空へ昇る。正に踊り飛翔する天使の如く、遙か上空に到達。


 二万の魔導操車の軍勢と、その前衛を防護する戦艦飛空艇達を見下ろして、ジン・ゴーレムは動く。


 コクピットでは。

「兄上!」とアウグストスが声を張り

「ああ…アウグ。行くぞ!」とヴェルオルムも声を出す。


 ジン・ゴーレムの鋼鉄鎧の天使の機体から光の粒子が噴出する。

 そして、ジン・ゴーレムの各部分が開いて、更に光の粒子の放出を上げる。


 まさに、その光景は神秘的だ。


 鎧の天使が光り輝いているのだ。


 光に包まれる天使の如き、ジン・ゴーレムが右手を軍勢に向ける。


 操縦するアウグストスとヴェルオルムが、軍勢に向かって神の威光の如き攻撃を放つ。

”ゼウス・ヴァルハル”

 ジン・ゴーレムから万雷が降り注ぎ、ロマリアの魔導操車と戦艦飛空艇に墜落する。


 轟音と振動に包まれる魔導操車と、戦艦飛空艇は、ガクンと力を落とす。

 

 魔導操車に乗るロマリアの兵士は

「何が起こった?」

 魔導操車が、突然にオーバーフローを起こして強制停止した。


「何だ? 動かないぞ!」


「どういう事だ? システムダウンだとーーー」


 そう、ジン・ゴーレムの膨大なエネルギーを降り注ぐ攻撃によって、魔導操車と戦艦飛空艇が過剰エネルギーのダメージによって、強制停止したのだ。

 魔導操車は、操縦者を守る為に、操縦者を強制排出、戦艦飛空艇は、墜落を防ぐ為の安全機構によって、ジワリジワリと軟着陸した。


 脱出するロマリアの兵士達の元へ、フランドイルの兵士達が駆け付け、一人一人を捕虜とする。

「大人しく我々に従え、身の安全は保障する」

 フランドイルの兵士の呼び掛けに、ロマリアの兵士達は従うしかなく、両手を挙げて投降する。



 遙か上空にいるジン・ゴーレムのアウグストスとヴェルオルムの二人に通信で

「こちらは、地上部隊。作戦は成功です。お見事でした両王子様」

 二人は両手を叩き合わせて喜んだ。



 ディオス達の方は…、巨大な十字架がロマリアの戦艦飛空艇達を捕縛していた。

 そう、ヴァシロウスを拘束したグランドクロス・ホロウ・アクターを使って、戦艦飛空艇の艦隊を押さえた。


 ロマリアの戦艦飛空艇へ、無抵抗な状態で、掴まり乗員も捕虜としてノーディウスへ運ばれた。

 こっちも無事に作戦を終えて、ディオスは戦艦飛空艇の甲板からフランドイルの方を見つめる。

「さて…後は…盗人のように横槍を入れる連中の退治だけだなぁ」



 ロマリアの首都モルドス近郊の作戦本部として強硬派の屋敷では、全ての作戦が失敗して、大量の捕虜を出してしまった事に、強硬派当主とその同志連中は驚き、呆然とすると、強硬派当主は持っている端末を操作して。

「これも、ロマリアの為だ! 囚われた兵士諸共…」

 そのスイッチを押した。


 フランドイルの戦場、遙か千キロ後方では、あの遺跡戦艦の時にディオスと対峙した蠍型戦艦ゴーレムが六機も並んでいた。


 そう、これがヴィスヴォッチがディオスに寄越した写真の正体である。


 エニグマの用意した荷電粒子砲を放つ、蠍型戦艦ゴーレム達は、その毒の尾、荷電粒子砲の先をフランドイルに向けた。

 そして、荷電粒子砲をフランドイルに向けて発射した。

 空を走る六つの光線。


 その高エネルギー光線を、ジン・ゴーレムが察知していた。

「行きます! 兄上!」

とアウグストスが叫び。

「よし! やれ!」

 ヴェルオルムの掛け声と共に、遙か上空にいるジン・ゴーレムは、両手を広げ、手の平から紫電を発生収束させ、エルギアと同じ紫電の光線を向かって来る荷電粒子砲に向けて放った。


 遙か天空より迫る六つの荷電粒子砲と、ジン・ゴーレムの紫電の光線が接触した瞬間、巨大な光球を形成した。その規模、殲滅魔法級バルド・フレアと同等だった。


 十数キロ近い六つ火球が空に出来た後、ジン・ゴーレムは、それを発射した場所を特定、一瞬で超音速に突入した速さで、発射した蠍型戦艦ゴーレム達のいる場所に到着すると、紫電の光線の一蹴で、蠍型戦艦ゴーレム達を破壊した。


 そして、素早くフランドイルへ帰還した。



 全てが水泡と化した強硬派当主は、青ざめていると…魔導通信機を持っていた部下が

「…皇帝陛下が…直ぐに来るようにと…」


「マズイ!」

と、強硬派当主は逃げようとしたが…その屋敷をロマリアの兵士達が包囲していた。


 ロマリアの兵士達は、強硬派当主を連行する。

「さあ…皇帝陛下がお待ちです」



 強硬派当主は、ライドルがいる皇帝の座に連れて行かれる。


 そこには、別の右派、保守派、穏健派の三つの一団がいた。その三つの一団は、強硬派当主に冷たい視線を向けている。


 強硬派当主は、ライドルのいる皇帝の座の下に連れてこられ

「皇帝陛下…」

と、呼ぶ。


 ライドルは、静かに皇帝の座に座って分厚い資料を見ていると、立ち上がり、高座の皇帝の座から降りてきて、思いっきり強硬派当主に持っていた資料をぶち当てる。

「おい、分かっておるなぁ…」

 ライドルの眉間が怒りで寄って、端がつり上がっている。


 強硬派当主に投げつけたのは、掴まった兵士達、捕虜のリストだ。


「皇帝陛下…その…」


「責任は取ると、お前は言ったな!」

 ライドルの声が怒りで鋭くなる。


「こ、これには訳が…」


 ライドルは強硬派当主の襟を掴み引っ張り上げ

「キサマのやった事は全て知っている。よくもまあ…ワシの大事な民である兵士達を使い捨てにしようとしたなぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ライドルは、手を離し皇帝の座に戻り座ると、額を抱える。


 強硬派当主は、青ざめて俯いていると、保守、右派、穏健派達が強硬派当主を囲み。

「皇帝陛下…。如何致しましょう」


「其奴が言った通り、責任を取らせよ」


「はい…」

 各派の者達は、強硬派当主を引っ張っていた。責任を取らせる為に…。


 ライドルはこれからの事を考える。

 捕虜の解放の為に、解放の保釈金をフランドイルとノーディウスに払う事となる。その額は…恐らく…金貨数億枚『数兆円』に達するのは目に見えている。

 そんな莫大は金額を用意出来るのだろうか…。悩んでいると…。


 仕官が一人来て

「皇帝陛下…フランドイル王より、ロマリアとアーリシア十二国で会談をしないかと…」


 ライドルは顔を上げる。

「ああ…分かった。場所は?」


「ロマリアの…。こちらが前々から言っていたリーレシア王国近隣の都市遺跡群で…と」


「分かった。用意すると伝えてくれ」


「はい」




 その夜、フランドイルの捕虜を保護している地域では…、フランドイル王国軍と、掴まったロマリア帝国軍の兵士が、互いに酒盛りをしていた。

 捕虜という扱いだが…その様相は、互いにキャンプをし合う平和な光景だ。


 そこにヴィルヘルムが部下達を伴って来る。

「楽しそうだなぁ…」


 フランドイルの兵士は急いで立ち上がり「陛下」と敬礼する。

 ロマリアの兵士も立ち上がり、頭を下げる。


「よい、楽にせよ」とヴィルヘルムは来てロマリアの兵士の隣に座ると、酒盛りしていた酒瓶を持ち

「ほれ、グラスを…」


 ロマリアの兵士は恐縮して、ヴィルヘルムから御相伴される。

「まあ…お前達の気持ちも分からんでもない。大変だったな」

と、ヴィルヘルムはロマリアの兵士を労う。


 ヴィルヘルムとロマリアの兵士との、宴が始まった。


 そこへ、ジン・ゴーレムの様子を見に来たディオスも来て。

「なにやら、楽しげな声がしますなぁ…」


 ロマリアの兵士と、自国の兵士と共にヴィルヘルムが宴会をしているそこに入り、平和的な宴会が催される。


 ロマリアの兵士とディオスと、二人に挟まれて肩を組むヴィルヘルムの様子が、様子を見に来ていた記者に写され、それがアーリシアとロマリアの新聞の紙面を飾った。


 次の新聞では、ノーディウスとアーリシア統合軍の兵士と共に、ロマリアの兵士が、仲良く生活するする様子の写真が載る記事が出回った。



 それから、三日後、アーリシア十二国王達と、ロマリアの皇帝が、ロマリアにある都市遺跡群で会談して話し合う。

 捕虜の扱いについては…、こちらで保護していた雑費だけの請求、金貨六万枚(六億円)という金額で捕虜の返還を合意、直ぐに、ロマリアから迎えの飛空艇が来て、ロマリアの兵士達を回収した。


 この請求金額を言い出したのは、当事者であるフランドイル王とノーディウス王だった。


「すまん」とライドルは告げ。


 ヴィルヘルムは「これからは、このような行き違いがないように、お互いに努力しましょう」と締めくくった。



 着実に、緊張関係だったロマリアとフランドイルとの関係に変化が起こり始めた。



 ディオスの屋敷では、クレティアとクリシュナが、広間で新聞を見ていた。

 見出しは、ロマリアとフランドイルの緊張関係の解消が進む。

 見出しの写真には、ロマリアの皇帝を中心に十二国王達が集まる、ロマリアと十二国王達の集合写真があった。その少し離れた脇にディオスがポツンと立っていた。

「ふふ…ダーリンたら」

と、クレティアは堅そうな顔をしているディオスを見て微笑む。

「もっと笑えばいいのに…」

と、クリシュナはつぶやいた。


 そして…

「ただいま!」

 ディオスが帰って来た


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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