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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
母の星

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星光 第47話 アリアナ銀河の事件

次話を読んでいただきありがとうございます。


エアリナの口から語らえるアリアナ銀河の真実、それにディオスとティリオは…


 ティリオ達がアリアナ銀河に来た今から八年前。

 エアリナが九歳の時に、その事件は起こった。

 アリアナ銀河の中央惑星、アリアドネ。

 その惑星アリアドネを中心、アリアナ銀河全域の惑星を繋いで構築された超巨大なシステム。

 それは…高次元のエネルギーを回収して、シュルメルム時空全域をカバーする。

 時空全域を賄う壮大な計画だった。

 だが、その計画が事故で終わる事になった。

 システムの暴走が起こり、ディスガードが発生。

 アリアナ銀河は、ディスガードを発生させてシュルメルム時空を破壊する未曾有の危機を生み出してしまった。

 それに対してシュルメルム時空は、時空殲滅爆弾を使って、このアリアナ銀河を次元の果てに消し飛ばした。

 それによってアリアナ銀河は、次元サイズまで縮小して消失し、その所在を探る為に超越存在の力が必要だった。

 故に、シュルメルム宇宙工業学園のヴィルガメス理事長は超越存在の育成に力を入れている。


 それは表向きの話。

 裏側は…。


 宇宙戦艦デュランダルの分析室で、ディオスと息子ティリオを前にエアリナが話をする。

 アリアナ銀河で何が起こっていたか…。


 エアリナは厳しい顔で

「アリアナ銀河の表向きの理由とは、別に…とある実験が遂行されていた。そのプロジェクト名は、ゾロアス・リヴァイブ(再蘇生)


 それを聞いてディオスが眉間にしわを寄せて、隣の息子ティリオの顔を見ると、ティリオの顔が鬼の形相になっていた。


 それを見たエアリナが

「ごめん。ティリオ」


 ティリオがハッとして顔を振り、穏やかに戻して

「こっちこそ、ごめん。話を続けてくれ」


「うん」とエアリナが頷き話を続ける。


 ゾロアス・リヴァイブ計画。

 その名の通り、かつて…エアリナの祖先の故郷である銀河を半壊させた最悪な存在、ゾロアスの復活計画だ。

 

 エアリナがとある立体映像の写真を取り出す。

「この人が…そのゾロアス・リヴァイブ計画の基礎理論を組んだ人よ」


 集合写真の立体映像には、幼いエアリナと父ヴィルガメス、母エリドナ、その他の多くの研究者や協力者、そして、エアリナ達の隣にいる男性をエアリナが指さし

「名前は、アルファ・ディーヴァ。彼がゾロアス・リヴァイブ計画の理論を構築、その理論から、ゾロアス・エミュレーターや、スカイギア(天の車)、オメガデウス、ゾディファール(高次元接続機)を作ったわ」


 ティリオとディオスは、アルファ・ディーヴァという男の顔に見覚えがあった。

 ティリオと聖ゾロアスの事件の際に、デウスマギウスと融合していたアルファティヴァの顔だ。


 ティリオとディオスは、視線を交わしてアイコンタクトする。

 間違いない、アルファ・ディーヴァとアルファティヴァは同一人物だ。


 エアリナが真剣な顔で

「当初の表向きの計画は、ゾディファールを使った時空全域エネルギー伝達プロジェクトだったけど、その裏では、ゾロアスの復活を画策していたわ。その組織が…ゾディファル教団だった」


 ティリオが

「ゾディファル教団って何だ? 聞いた事がない」


 エアリナが溜息交じりで

「かつて、この時空の惑星アース発祥の人類種が、かつてのアース時代にあったように、男女が共に結び合い、命を繋げる世界を構築するという理想を成し遂げようとした人達の集団なの。初めて名乗った時の呼び名は…ナチュラル派だったかしら…」


 ディオスの肩が震えた。

 その呼び名、かつて…アヌンナキ、アルダ・メルキオールの時に遭遇した百キロの巨大施設メルカバーにあった組織の派閥名だ。

 アラタ資料…A資料とされるネオデウスに関するデータが記されたモノにも、そのナチュラル派がいた。


 エアリナが話を続ける。

「そのゾディファル教団が、裏でアリアナ銀河に入り込み…ゾロアスの復活に必要な資材を構築していったわ」


 ティリオが

「それを防ぐ事は…出来なかったのか」


 エアリナが頷き

「母さんも、そのゾディファル教団の出身だったし。けっこう…その思想に憧れる女性も多かったから」


 ディオスが

「かつての男女が共にあった時代って。そんなに良かったのか? まあ…」

 自分がその理想とされる時代に生きていた世界から、この超未来世界に転移して来たので、良かったとは思えないのを知っている。

 むしろ、この進んだ時空文明世界の方が遙かに幸せであって、幸福な人は多いような気がする、と出そうな言葉を濁しつつ

「まあ、昔の資料から読み解くに、過去が良かったとは思えない」


 エアリナが

「私達の…シュルメルム時空の男女比って知っている?」


 ティリオが

「男性が1で女性が9。でも、それは時空文明級になった世界なら普通な事であって、問題はないはずだ。もっと比率が離れているファクド達、ゴールドジェネシスの1対100に比べれば…」


 エアリナが

「確かに、ティリオやディオスお父様の言う通りよ」


 ティリオとディオスの頭に?が浮かぶ。ディオスをエアリナは、ディオスお父様と呼んだ。

 瞬間的にディオスは息子ティリオの顔を見る。

 え? いつ…この娘と結婚した?

 

 ティリオが激しく小刻みに頭を震わせる

 パパ、してないよ!


 ディオスは気まずい顔をするも、話に集中しようとなり流す。

「まあ…幸せの定義は、人それぞれだ。その…だ。それを願う人達がいて、それを叶える為に、過去に失敗した計画を再び…なんて」


 エアリナが頷き

「そう。私達の神様…再び、ゾロアスを作り出して…私達の理想となる世界を…」


 ティリオが嫌そうな顔で

「そして…失敗して…」


 エアリナが

「失敗したゾロアス・リヴァイブによる破壊を防ぐ為に、母さんが…惑星アリアドネ中枢へ戻って、このアリアナ銀河を次元サイズまで縮小して消失させた。それが事件の真相よ」


 ディオスが

「そこまで、真相を知っているという事は…ヴィルガメス理事長と和解したんだな」


 エアリナが頷き

「父さんが母さんを助けようとしているのを知って…それで」


 ディオスが「なるほど」と告げて腕組みをする。


 エアリナがティリオを見つめて

「だから、お願い。このチャンスを…逃したくないの…ティリオ」

と、涙目で訴える。


 ティリオは頷き

「問題ない。最初からエアリナには、エアリナのお母さんを助けるのに協力するつもりだよ。それに…ゾロアスに関係するなら、ぼくが適任だしね。父さん」

と、ディオスを見る。

 

 ディオスは少し忌々しい顔で

「そうだ。ティリオが適任だ。明日には…セイントセイバー部隊と宇宙国家戦艦セイントセイバーも到着する」

 

 ティリオがエアリナに微笑み

「人員も資材も到着する。だから、大丈夫さ」


 エアリナが涙が零れて

「ありがとう…」



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、ゾディファル教団

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