星光 第46話 父と遭遇
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父ディオスと偶然?にも会えたティリオは…
ティリオ達が行方不明になる同時刻
「さああ! やるぞ!」
と、ティリオの父ディオスは、惑星アースガイヤにある軌道エレベーター型コロニー・ミリオンの実験場で、超越存在の力である超龍のエネルギーの実験をしようとしていた。
その傍には、ナトゥムラもいて
「なぁ…ディオス…いい加減に辞めないか? お前…何時も時空エネルギーに関する実験をしようとすると…何処かの時空の惑星に飛ぶんだぞ」
ディオスが両手を広げて
「今は、大丈夫! アインデウス様に頼んでアースガイヤへ縛り付ける百万人分の加護を装備しているから!」
ナトゥムラは微妙な顔だ。
前回は一万人の加護? 呪い? どっちでもいいが…それでさえディオスの時空転移事故を抑える事は出来ず、今度はその百倍の百万人の縛り付ける呪い? いや、加護で前に同じ実験をした結果、飛ぶ事はなかった。
なので、ディオスは大丈夫と思っているが…。
ディオスの両隣には、同じく研究に参加する若手達もいる。その一人が
「あの…大丈夫ですよね。ディオス様」
「大丈夫!」
と、ディオスは自信満々で答える。
周囲の不安を余所に、ディオスは実験を始める。
ドッラークレスの結晶から時空エネルギーを抽出する作業が開始され、装置が起動して時空エネルギーを貯蓄する装置へ。
「ほら! 大丈夫じゃあないか!」
と、ディオスは嬉しそうだった。
だが…警報が鳴り響く
実験場が大慌てになり、研究者の若手の一人が
「ディオス様!!! ここから」
と、退避を促すが、ディオスとその直ぐ隣に並ぶナトゥムラの二人は、チベット砂漠キツネのような目をして諦めた。
警報は抽出した時空エネルギーが暴走して、漏れ出し…定番のディオスとナトゥムラの時空転移を起こしてしまった。
「ああああああ! またかよ!!!!!」
と、若手は叫びを上げた頃には、ディオスとナトゥムラは何処かへ時空転移した。
それは、ティリオ達が行方不明になった時刻と同じ時だった。
ちなみに、百万人の加護を発動させていたアインデウスは、額を抱えてしまう。
ディオスが時空転移事故を起こしたのを百万人分の加護が粉砕された事で気付いた。
「ダメか…」
◇◇◇◇◇
そして、時空転移事故を起こしたディオスとナトゥムラが来た場所が、何と偶然か…ティリオ達が漂着した惑星の無人都市だった。
ディオスがその街中で
「今回は! 何時もと違ってチャンとした時空文明にいるので、事故ではない!」
と、言い張る。
ナトゥムラは呆れて額を抱えて
「とにかく、周囲を調べるぞ」
ディオスが頷きつつ
「しかし、この都市のレベルから考えるに相当の…アースガイヤと同じ技術レベルだな。超空間ネットワークの信号はあるが…メイン・システムに繋がらない」
ナトゥムラが看板の言語を見て、同期している端末を使って調べ
「え? シュルメルム時空の言語?」
ディオスは急いで、接続できる端末に走り、デウスマギウス・アミダライオウを取り出して接続、そして…
「な…ここは、例の…シュルメルム宇宙工業学園のヴィルガメス理事長が探していた銀河、アリアナ銀河だぞ!」
ナトゥムラが
「どういう事だ?」
ディオスが装備しているデウスマギウス・アミダライオウにティリオの反応を探知して
「え? ティリオがこっちに近づいて!」
その後、ティリオ達とディスガードの戦闘中にて…
◇◇◇◇◇
ティリオは父ディオスとナトゥムラをデュランダルへ迎えた。
父ディオスの解析のお陰で、このアリアナ銀河で生きている超空間ネットワークにアクセスして、外部との連絡を取る事が出来た。
宇宙戦艦デュランダルの通信室で、ディオスがまず、アースガイヤへ連絡を入れる。
互いの立体映像が出会う通信室で、ディオスが軌道エレベーター型コロニー・ミリオンへアクセスして
「早めに連絡が取れて良かった!」
と、ソフィアが現れた。
ディオスが
「やあ、ソフィア…」
ソフィアが
「ディオス、大変よ。ティリオ達が行方不明になっているの。直ぐに迎えを寄越すから早く」
と、言っているそばから、ティリオが顔を見せる。
「ああ…やあ、ソフィアママ」
ソフィアは、え?という顔をした次に目を細めて感づいて
「ねぇ…ディオス…アンタ、普段から遠くにいるティリオをサードアイで見ていて、ティリオが事件に巻き込まれたから、ワザとティリオの元へ向かうように時空転移したでしょう!」
ディオスが
「違う! 本当に事故なんだって! 事故って時空転移した場所にティリオがいたんだ! ティリオが行方不明になったなんて…知らなかったし、それに…そんな頻度良くティリオを見ている訳じゃあない」
隣にいるティリオが
「父さん、見ていたの! ぼくを!」
ディオスが戸惑い気味に
「いや、偶にだ! 本当に偶にだ!」
ティリオがもの凄く疑う目で父ディオスを見る。
父ディオスの親バカはティリオも理解している。
ソフィアが
「本当に? 本当に事故なの? 事故で何時もの時空転移をしました。そこに行方不明になった息子もいました。そんなの…作為的にしか見えないわよ」
ディオスが激しく否定して
「本当だ! 知らなかった! まさかティリオがいるなんて…こっちも驚きなんだよ」
ソフィアが溜息を漏らし
「まあ、そういう事にして置いて上げるわ」
ディオスが
「ソフィア! 信じてくれ、本当に偶然なんだ!」
ソフィアが
「まあ、いいわ。で? 現状はどうなっているの?」
ディオスが説明をしてくれた。
◇◇◇◇◇
エアリナは、ディオスが繋げてくれたアリアナ銀河の超空間ネットワークにアクセスして、活動している施設や、生きている都市システムをチェックする。
アリアナ銀河に現存する施設達の内、七割は生きている。
残りの三割、中枢に当たる部分、そう…エアリナの母エリドナがいる中央星系に関しては…チェックができなかった。
「母さん」とエアリナが、アクセス端末の画面をなぞる。
今すぐにでも、中央星系に向かいたいが…ディスガードがいる。
現に近くの都市部へ向かった際に遭遇した。
自分一人で暴走して動いた所で墜とされるだけ。
歯がゆい思いが募るも、頼るのは彼しかない。
ティリオだけが…。
◇◇◇◇◇
ディオスとティリオは、様々な方面への連絡を終えると、外部からのデータを合わせてこのアリアナ銀河がどうなっているのか?を調べ始めた。
宇宙戦艦デュランダルの中枢演算システム室へ向かい、アリアナ銀河の施設達のシステムにアクセスして、外部から来たデータも合わせて、アリアナ銀河の状態を見る。
ディオスとティリオがアリアナ銀河の大まかな全体像の立体映像を前に
「どういう事だ?」
と、ディオスが額を抱える。
ティリオも
「なんで、こんな事に?」
アリアナ銀河は、ディオスとティリオのお陰で一定の信号を放ち、それをディオス達と繋がる時空達の超空間ネットワーク達が拾っている。
その信号を受信した時空達の位置によって、このアリアナ銀河がランダム周期で様々な時空に転移しているらしいが、その位置にはアリアナ銀河が無く、信号だけが残されると不可思議な現象を起こしている。
ティリオが
「まるで、幽霊が時空を渡っているみたい」
ディオスが
「だが、自分達は確かに、ここに存在する。影のような存在だけが移動する。まるで量子だな」
ティリオが外部データを繋ぎ合わせて
「見て、父さん。これ…」
ディオスが
「周期はランダムだが…時空的な移動位置は繋がっているか…」
ティリオが分析したデータには、アリアナ銀河が時空的に一定の同位座標の時空間位置を周回している事が示されている。
ディオスが
「なぜ、こんな状態に?」
ティリオと父ディオスの父子が悩んでいると
「ねぇ…ティリオ」
と、エアリナが部屋に入ってくる。
エアリナがティリオに近づき
「私と一緒に、中央惑星へ行ってくれない?」
ティリオが
「構わない。だが…エアリナに聞きたい事がある」
エアリナが
「なに?」
父ディオスが
「ここで起こった事件に関してもっと詳しく…教えてくれないか?」
エアリナが目を閉じた後に頷き
「分かったわ。八年前、私が八歳の時に起こった…ここでの事件について…」
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次回、アリアナ銀河の事件