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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
動く世界、なんだこれ?

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第82話 エルギア技術の活用

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


アリストス共和帝国、アインデウス皇帝からの勲章と、それに伴っての報酬として超魔導兵器エルギアの技術を手に入れたディオス。それを使ってとある計画を発動させる。

 

 ディオスの勲刀式から立食パーティーとなった飛行場。

 ディオスは、アインデウスと話していた。


 アインデウスがグラスを片手に

「時に、グレンテル…。赤ん坊がいるそうだな…」


 ディオスもグラスを片手に

「はい。もう…七ヶ月くらいになる長男と長女…そして…」

 ディオスは、左隣にいる身重のゼリティアを見て

「もう…一人…産まれます」


 アインデウスは微笑み

「そうか…。賑やかになるなぁ…」


「ええ…まあ」とディオス頷く。


「二歳くらいになるとなぁ…。小憎たらしくらいにかわいくなるぞ」

と、アインデウスが嬉しそうだ。


 アインデウスの三人の妻達には、子供がいる。白姫に黒姫と赤姫の三人に四人づつ。

 アインデウスは空を見上げ、自分の子供を思いながら

「言葉を喋るにようになると…。本当に甘え上手になる。前に、どうしても用事で城を抜けなければならない時に、一緒に行きたいと、せがまれてなぁ…。私の事が大好きで、離れたくないと…」


 そばにいる白姫が

「アインデウス様は、甘やかし過ぎです。本当に困りますわ」

と、ちょっと愚痴っぽく告げて、それに同じく傍にいる黒姫、赤姫を頷いた。


「そうですか…」

と、ディオスはそれを自分の身に置き換える。

 二歳くらいになった、ティリオとリリーシャが、パパと一緒にいると、泣いて縋っている姿を想像しただけで、

 へへへへへへ

 ヨダレが垂れそうな笑みを浮かべる。


 それにゼリティアは「はぁ…」と溜息を漏らした。


 アインデウスが

「ところで、他に欲しい褒美はないか?」

と、聞いてくる。


「んんん…」とディオスが唸った次に「エルギアの事を知りたいですね」


「どうしてだ?」

と、アインデウスが見つめる。


「好奇心です。賢者の石だけで出来ているゴーレムなんて、面白そうですからね」


「成る程…」とアインデウスは顎に手を置いて

「まあ…動力炉に関しては教えられんが…。動かしている機体構造については、教えられるぞ。よかろう…手配しよう」


「ありがとうございます」

 ディオスはお辞儀する。


 そうして、話していると、何処かでケンカをしている声が聞こえた。


「いやです! 絶対に帰りません!」


「そんなワガママをいうな! アウグ!」


 なんだ?とディオス達は、声のする方へ行くと、そこでは、何とフランドイル王国の王子、ヴェルオルムとアウグストスが、言い争っているのがあった。


「アウグ! いい加減に、迷惑を掛けるな!」


「ヴェル兄様こそ! 構わないでください!」


 そこへ、父親のフランドイル王ヴィルヘルムが来て

「アウグ…頼む。帰ろう」


「嫌です! 私は、絶対に兄上のようになるのです!」


 アインデウスがそれを見て

「何じゃ…親子げんか…。犬も食わんとは、この事だな」


 ディオスは額を抱える。

「全く…」

 面倒クサい事になっている。

 そう、思っていると…アウグストスがディオスを見つけ、ディオスの元へ駆けだしてその背中に隠れる。

 うぁ…巻き込まれた…。

 ディオスは渋い顔をする。


 ヴィルヘルムとヴェルオルムが来て

「ディオス…頼む。説得してくれ」

 ヴィルヘルムが見つめる。


 ディオスは、ヴィルヘルムに耳打ちする。

「こうなっては、意固地になるので…当分、気持ちが落ち着くまでお預かりします」


「はぁ…」とヴィルヘルムは溜息を漏らし「すまん」とお願いした。


「アウグ…」とヴィルヘルムが「ディオスに迷惑を掛けるな…」


 何とか、その場を収めたディオスに、アインデウスが

「汝も大変だな…」


 ディオスは、それに皮肉な笑みをする。





 数日後、ディオスはゼリティアの城邸に来た。

 アウグストスに、何か色々と魔法を教えれば気が済むだろうと、色々と魔法を教えたり、アウグストスの持ち属性を生かした魔法を構築して伝授していると…。

「アウグストス王子…。そういえば…強いジン(精霊神獣)をお持ちなのでしょう?」


「はい…持っています」


「……それって今、発動出来ますか?」


「ええ…可能ですが…。そうすると…それから放たれる力の余波で周囲が…」


「ああ…では、広い所にいけば見せて貰えると…」


「はい…」

 


 魔導車達に揺られ、ディオスは、数名の護衛を連れて王都の傍にある大きな平原へアウグストスを連れて来た。


 アウグストスは、広い平原に立って両手を空に向ける。


 ディオスがその背に

「何か、使う場合には、ソフィア陛下のように、この地帯を治める精霊の力を借りたり、何か、アイテムや物を、必要としますか?」


 アウグストスは首を横に振り

「特に、そのような誓約はありませんが…。幼少の時にその証が現れた時は、フランドイル各地の四方を治める精霊達と契約をします」


「そのようにする理由は?」


「んん…なんと言いましょうか…。まあ、権限を許可されるといった方が無難かと…」


「ほぅ…」とディオスは興味深そうな顔をする。


「では、行きます!」

 アウグストスがジンを発動させる。

 アウグストスの体から空へ光が昇った瞬間、そこの雲がぽっかりと空き、衝撃波が周囲を走る。

 その空いた雲の部分から飴色の物体が降臨する。


 ディオスは、それをマジマジと見つめる。

 ジン…精霊神獣というのだから、もっと生き物的で、想像上の麒麟とかそういう感じを想定していたのに…現れた物体は、飴色に輝く金属的で、その形状は龍を思わせるタツノオトシゴのような、鎧状の物体だった。

 その全長は七メータ程だ。

 その精霊神獣とされる物体が、アウグストスの頭上に来る。


「これが…ジン…」


「はい、フランドイル王家に伝わる。強大な力を持つジンです」

 アウグストスが頷く。


「兄上やお父上のようなジンは、姿が見えず、小型のような感じですが…」

 ディオスの指摘にアウグストスは


「父上と兄上の、ジンは相手の思考を読むだけで、周囲に影響を与える程の大きな力はありませんから…大きさ的にも兄上の身長程度の大きさです。それを、魔法で見つからないように隠して使っていますが…」


「ほぅ…では、このジンは様々な事が出来るのですね」


 アウグストスは渋い顔をして

「その…まあ…見ていてください」

 アウグストスが、何も無い空を指さすと、出現したジンから光が飛んで、その空の雲で爆ぜた。大きさ的に数十メートルの火球だ。


「おおお…相当な火力ですなぁ…」

 ディオスは感心する。


 アウグストスが、嫌な顔をして

「古い、一万年前の時代なら、色々と使えた術式が多くあったそうですが…。今は失われて、このような攻撃に特化した術式しか存在しません。時代と共に、国を守るにその様式を変化させたのです。基本、攻撃の力の属性は火属性と地属性の雷、風と水属性は防護に使われます」


 ディオスは右手を顎に置き、考える。

 戦術的な力か…。

 確かに、王権を誇示するには適しているが…いざ、紛争や戦争、争いになると戦略的な方が使えるかなぁ…。

 いや…待てよ…。


「アウグストス王子、ちょっとジンを調べても宜しいでしょうか?」


「ええ…どうぞ」

と、ディオスはアウグストスから許可を得て、ジンに近付き触れる。


 数センチ浮かぶ巨大なジンに触れると、その質感は生暖かい金属だが…触れた瞬間、膨大な量の魔力が伝達されるのを感じた。

 これは…とディオスは、色々と探査魔法を使ってジンという七メータのタツノオトシゴ金属体を調べる。

「フム。ふむふむ。ふむーーーー」


「でぃ、ディオス様?」

と、アウグストスは隈無く調べるディオスに、微妙な顔をする。

「一応、王権の権威を知らしめる神聖なモノなので…」


「ああ…失礼、夢中になってしまって」

 ディオスは謝る。


 ディオスは、再びジンを見つめ

 似ている。

 この概念…ゼ○ギアスにあった。ア○マの器とか、そんな感じに近いような感じがする。

 という事は…。  

 ディオスの中で思考が回る。

 そして、結論が来た。

「アウグストス王子…。もしかしたら…貴方のお望みが叶うかもしれませんぞ」


 アウグストス王子は顔を明るくさせ

「本当ですか! では、早速、自分をグランスヴァイン級魔法運用者に!」


「いえいえ、そういう方法ではなくて、このジンを使って叶うかもしれません」


「ええ…?」

 アウグストスは戸惑った。




 直ぐに、ディオスはゼリティアの城邸に戻り、ゼリティアに閃いた事を話す。


 ゼリティアは、驚いて瞳を見開き

「ディオス…本当に出来るのか?」


「出来る!」とディオスは断言して「アリストス共和帝国の超魔導兵器エルギアから頂いた技術を使えば、それで可能だ」


 それを聞いてゼリティアが訝しい顔をして

「夫殿…もしかして、前回のアリストスの南であった時に…エルギアのデータを…」


 ディオスは苦しい顔をして背ける。

 そう、マリウスを助ける時に、エルギアに接続してちょっと、ちょろまかしていた。


 パチンとディオスの両頬を叩いてゼリティアは掴んで

「夫殿…正直に、申されよ」

 柔やか顔の裏に怒りを隠すゼリティア。


 ディオスは、う…と唸った次に

「すいません。どうしても、助ける時に…ちょっとだけ、いただいていました」


 ゼリティアは痛い顔をして

「つまり…アインデウスに、エルギアの技術を欲しいと頼んだのは…。その…持っているエルギアの技術が盗まれたモノでないとする。言質の為なのじゃな…」


「はい…だって、総賢者の石で出来ているゴーレムですよ。好奇心が…」


「はぁ…もうよい」

と、ゼリティアは諦め

「ディオスがやろうとしていると事を知ったら、データを提供するアリストス共和帝国がウルサいぞ。どうするのじゃ?」


「共同研究という事にして、落ち所を…」


 ゼリティアは額を抱え

「ああ…そういう落ちにするしかないなぁ…」


 こうして、ディオスの提案で、とある事が始まった。




 まずは、エルギアの技術提供で、アリストスから三名の技術者が来た。

 人族の男性一人、魔族の女性二人、その応対はディオスの屋敷の広間で行われた。

 エルギアの技術者達は、ちょっと偉そうだった。

 これをお前が理解出来るか?という態度だ。


 ディオスが説明を受けて、エルギアの構築素材、その設計図を見ながら

「ほぅ…これは、始めから神格炉を乗せて運用前提のゴーレムだったんですね」

と、ディオスが核心を突いた。


 技術者達の顔が鋭くなる。

 エルギアのメイン動力炉のデータはない。

 機体の構造や素材しか乗せていないのに、一番の肝を見抜かれたのだ。


 鋭い空気に包まれる一団。


 そこへ、ヨチヨチ歩きが出来るようになったティリオとリリーシャが来た。

「あ…ダメですよ。ティリオちゃん。リリーシャちゃん」

と、ココナが追いかけてくる。


「ああ…」とディオスは戸惑っていると、リリーシャが技術者の男性の元へ来る。


 戸惑う男性にリリーシャは手を伸ばす。


 ココナが来て

「抱っこして欲しいようです」


 男性はディオスを見ると、ディオスは申し訳なさそうに

「その…すいません。お願いします」


「ああ…」と男性はリリーシャを抱っこすると、リリーシャは喜ぶ。


「おおお…嬉しいか?」と男性は抱っこするリリーシャに優しく呼び掛ける。


 リリーシャは「きゃきゃきゃ!」と嬉しがる。


 ティリオは女性達の方へ行き、抱っこをねだる。


 女性達は喜んでティリオを抱っこすると、ティリオは楽しそうに「きゃうきゃう」と笑う。


 リリーシャとティリオの登場によって、鋭い空気は消えて和やかになり、その後、互いに技術提携という形がスムーズに纏まった。


 赤ちゃんの力ってすげー

と、ディオスは思った。



 そして、エルギアの技術を使った。精霊神獣ジンの特殊ゴーレム兵装の開発が始まった。

 基礎理論はディオスと、アーリシアのエルダー級魔導士達とで組んで、それを元に、エルギアの構築素材で製造する。

 賢者の石が材料の魔導演算素材をアーリシア各地で生産。

 エルギアの構造は、骨格という主柱があって、それに装甲が組み合わさるタイプである。

 駆動式骨格構造というヤツだ。

 その骨格構造自身に演算や、様々な効果を与えている機能素材のとして賢者の石が使われているのだ。

 


 一ヶ月後、そのジン専用特殊ゴーレム兵装が完成した。

 その実験をフランドイル王国の北極方面に面している海岸で行う。

 実験装置が並ぶそこで、アウグストスがジンを発動させる。

 ジンが出現して、それを円筒の大きな装置がキャッチする。

 その円筒の中で、ジンのメイクアップが始まる。

 無数の機械ハンドが、様々な装置をジンに接続、そこへ腕部、脚部、翼、頭部、胸部と次々と装備を接続して、あっという間に、ジンは鋭角なフォルムを持つ鎧の翼を持つゴーレムへ変貌した。

 そう、膨大な力を持つジンをエネルギー機関にした戦術装甲兵器を作り上げた。


 アウグストスが驚きで、ジンのゴーレム。ジン・ゴーレムを見上げる。


 その隣にディオスが来て

「さあ、乗ってテストをしましょう」


 複座式のジン・ゴーレムに乗って、空を飛翔するアウグストスとディオス。

 縦横無尽に空を走り、その運動性能をテスト。

 そして、的として空に浮かぶ無数の気球を全てロックオン、魔法砲撃を放つジン・ゴーレム。その命中精度は抜群で誤差コンマ台だった。


 テストを終えて、試験場の海岸に到着すると、そこには、父親のヴィルヘルム陛下と兄のヴェルオルムがいた。

 ジン・ゴーレムは、二人の前に着地、操縦席からアウグストスとディオスが出てきた。


 アウグストスが父親のヴィルヘルムの前に来て

「父上…その、お願いです。共に国の一大事には戦わせてください」


 ヴィルヘルムは腕を組み大きく胸をから息を出して

「はぁ…全く、あのようなとんでもない性能を見せられると、使うしかあるまいて…。良いのか? 大変な事だぞ」


「構いません」とアウグストスが放つ。


 ヴィルヘルムは、カクッと項垂れる肯きをした。


 ヴェルオルムが来て

「アウグ…。一緒にやるぞ」


「はい、兄上!」

 アウグストスは兄と共に微笑み合う。


 ディオスはそれを柔やかに見つめる隣にヴィルヘルムが来て

「全く、お前は…とんでもない事をする」


 ディオスは肩を竦め

「まあ…。望みも叶って、色々出来て一挙両得ですよ」


「ほぅ…アインシュから聞いたぞ…。凄い応用技術も開発したのだろう」


「ええ…後程、発表という事で…」


「そうか…」とヴィルヘルムが重苦しい顔をして

「ロマリアだが…。どうも…また、強硬派が動いているようだ。ノーディウスにも圧力を掛けるそうだ」


「ふぅ…」とディオスは溜息を吐き「つまり…アーリシア全体の…」


「ああ…アーリシア統合軍の出番かもしれん」


「成る程…自分も出張る事があるでしょうね。丁度良い、ジン・ゴーレムの実戦テストも出来ますし…」


 ヴィルヘルムは嫌な顔をして

「ロマリアとの交易も上手く行き始めたというに…」


「世の常でしょう。そういう事が気に入らない連中は、必ず内部にはいる」

 そう…ロマリアは九億の人口を誇る国。その一割でも大きな数には違いない。

 そこに付け入る連中の顔がディオスの中で過ぎった。

 エニグマの連中…動いているのかなぁ…。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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