星光 第32話 信じた先
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ティリオによって導かれたグランナは…そこで…
グランナは上昇加速力に呑まれていた。
光速を超えるような上昇圧に体が引き裂かれそうになり、意識が消えそうになる。
超高次元の上昇する力に呑まれたグランナは…意識が途絶するかしないかの寸前の所で声が聞こえた。
「汝は、どうして…力を求める」
その声にグランナが
「最初は、格好いいとか、ヒーローになりたいって子供じみた程度だったさ。でも、でも」
グランナの脳裏に、自分を信じてシュルメルム宇宙工業学園へ付いてきてくれた者達の顔が幾つも見える。
グランナと関わり、グランナが助けを願って繋がった者達だ。
「オレは、甘いのかもしれない。でも…でも…」
そう、誰かが嬉しそうだと、自分も嬉しかった。
誰かが救われると、自分も救われた。
自分の為なのかもしれない。
でも、でも…
”お前の持っているその優しさは最も大切なモノだという事を分かって欲しい”
父親の言葉がよぎる。
オレは、この優しさを…捨てたくない。無くしてはいけない。
それが、グランナの誇りだった。
際限なく上昇する超高次元の向こうに、微笑む女神がいた。
誉れの彼女は、グランナに
「汝の誇りに幸いがあらん事を」
◇◇◇◇◇
シャナリアが巨大な獣天使となったディオートンで暴走する現場、ゼウスリオンからオメガデウス・ゼノディオスとなったティリオ。
ティリオが超越存在の力で満ちている操縦席、隣のグランナへ
「グランナ!」
超越存在の力に包まれたグランナは、光になっていた。
ティリオの最悪な予想が…
「ダメだったか…」
と、超越存在の力の発動を止めようとしたが、光からグランナの手が伸びて
「大丈夫だ」
光、超高次元から帰還したグランナがいた。
ティリオが
「グランナ…」
グランナが微笑み
「やるぞ!」
と、告げた瞬間、グランナのホームにあるグランナのマキナ・ガイオの目が灯り、ホームから飛び出す。
同時に、グランナが空間移動してガイオの操縦席に座る。
ゼノディオスとグランナのガイオが並ぶと、鎧武者のようなグランナのマキナ・ガイオが変化する。
黄金の光を放ってオメガデウスのように光の翼を持つ機神に変化する。
ブルーメタルに輝く機神となったガイオ、オメガデウス・ガイオロスに神化した。
「行くぞ! ティリオ!」
と、グランナはオメガデウス・ガイオロスを翔る。
「ああ!」
と、ティリオはオメガデウス・ゼノディオスを駆る。
白銀と青銀の光が、数百メートルの巨大な獣天使となったディオートンの周囲を駆け巡り、その放つ力を相殺する。
そして、二機のオメガデウスが巨大な獣天使となったディオートンのコアへ向かって疾走する。
巨大な躯体を貫き、コアであるシャナリアをその手に握るオメガデウスの二機。
グランナとティリオは、お互いの超越存在の力を織り交ぜて、シャナリアのディオートンの力を別の力に変換して、その別の力にしたソレをシャナリアへ返還する。
シャナリアに付加された力は、ディオートンではなく、ネオデウスの力に変えられて、そのリミッターをティリオは施した。
シャナリアのディオートンの力が消えると同時に、出現した巨大な獣天使となったディオートンも消滅し、ティリオはオメガデウス・ゼノディオスの両手にシャナリアを乗せて着地する。
「何とか…なった」
その隣にオメガデウス・ガイオロスも着地して
「あのクソヤロウの思い通りにならなくて、スカッとしたぜ」
ティリオがグランナに
「ごめんね。こんな事に」
グランナがハァ?という顔で
「むしろ、礼をいうのはオレの方だ。ありがとうな。信じてくれて…」
◇◇◇◇◇
聖ゾロアスは、シャナリアとのリンクが切れた事に天井を見上げて
「そうか…そういう選択を取るか…」
そこへ幾つもの装甲腕とキャタピラーの足を備えるデウスマギウスと融合してローブをまとう男、アルファティヴァが来て
「ゾロアスよ。どうだね? アナタの加護を一身に受ける愛し子くんは?」
聖ゾロアスは嬉しそうに王座の肘掛けに肘を乗せて、その手に顎を乗せて
「ああ…おいしく育っているよ。本当に素晴らしい」
アルファティヴァは、全身を覆うローブの向こうに見える口元に笑みを浮かべ
「そうですか…アレは…仕掛けを担当している人物は?」
聖ゾロアスが額を数回小突いて
「ああ…スラッシャーか。まあ、上手く仕掛けてくれているよ。評価には値するが…少々、面白みに欠ける」
アルファティヴァが溜息交じりに
「聖ゾロアス、アナタを超える策士は、存在しない。求めすぎるのは…」
聖ゾロアスがハッとして
「ああ…私は、彼に求めていたのか…はははははははは!」
と、笑い
「ああ…これでまた一つ、人を理解できたよ」
アルファティヴァがお辞儀して
「それは僥倖、ああ…一莵が相談したい事があるそうだ」
聖ゾロアスが
「分かった。まあ、どうせ、使い捨てのコマを捨てられない…と嘆いているのだろう。問題ない」
◇◇◇◇◇
シャナリアの再臨した事件の後、多くの超越存在、宇宙王達の艦隊がシュルメルム宇宙工業学園へ入り、様々な調査が行われた。
シュルメルム宇宙工業学園が学生や職員以外で、騒がしい日々が続く。
ティリオがジュリアとナリルとアリルの四人と食事を取っていると、そこへ千華と紫苑が来て
「よう」と千華が呼びかけ
「やってくれましたね。アンタは…」
紫苑が
「ビックリですよ。消滅しかなかったのに、彼女…」
シャナリアの事だ。
シャナリアは、様々な検査を受けて通常の生活に移行している。
だけど、彼女はシャナリアであって、過去のシャナリアではない。
どうするか? このまま保護か? と話がなっている時に、シャナリアの母親が彼女を引き取りたいとして、監視付きではあるが…そういうシャナリアの母親に引き取らさせた。
そして、マルスも彼女を亡くなった彼女の妹のような感じとして、繋がりが続いている。
ティリオが
「ぼくの力だけじゃあ…ムリだった」
千華が
「その結果、一人の超越存在の覚醒ですか…」
グランナの事だ。
ティリオは難しい顔で
「グランナ…どう…?」
グランナは今、超越存在、宇宙王達の庇護下にいる。
今後、どうするか? グランナとティリオの父親、聖帝ディオスがいる宇宙王達との話し合いや面談が行われていた。
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次回、グランナの道