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星光 第28話 グランナの父親

次話を読んでいただきありがとうございます。


グランナの思い、そしてグランナの父親は、父親として息子に思いを紡ぐ。

 

 帰り道、グランナはティリオ達の後ろを歩いていた。

 グランナの態度が明らかにおかしい。

 何処となく申し訳なさそうだ。


 ティリオが後ろを振り向き

「キミの誤解だってのは、分かっているから…」


 グランナが顔を隠して

「それ以上、言わないでくれ。恥ずかしい」

 グランナは、マルスがティリオをお門違いの断罪に来たのだろうと勘違いしてしまった。

 マルスは、ティリオに感謝を伝えに来ただけで。

 そして、自分の助けられなかった思いを…。


 ティリオがシュルメルム宇宙工業学園の六角形の天空を見上げて

「ぼくは…彼女を助けられなかったのは、事実だ。だから…」


 グランナが

「お前がそれを気にする必要ないぜ。あの時だって、デュエロタクトじゃあなくて合同の訓練だったんだ。機体(マキナ)のチェックだってしなくて良かったし、それに…そうなったのもお前が原因じゃあない。渡したヤロウだ。だから…」


 ティリオがグランナに微笑み

「ありがとう。気をつかってくれて…」


 グランナが頭を掻いて

「とにかくだ。もし、何か言われる事があったらオレに相談しろ」


 ティリオは微笑みながら

「キミに相談すると、さっきみたいに勘違いが増長しそうで…」


 グランナが渋い顔で

「その辺りは、今度はチャンと考えるからよ」


 ティリオが

「でも、かばってくれてありがとう。グランナ…」

と、穏やかに告げる。


 グランナも微笑み

「おう」



 ◇◇◇◇◇


 その夜、グランナのホームで、グランナは父親と通信していた。

 通信室の立体映像同士で話すグランナと父親。


 父親が

「どうだ? そっちの生活は?」


 グランナが

「ボチボチかな、父さん」


 父親は微笑み

「そうか。何かあったら連絡はしろよ」


 グランナが

「オレだってそんなガキじゃあ無い。早々、問題なんて起こさないよ」


 父親がグランナを見つめて

「なぁ…グランナ…。お前は…超越存在にならなくていい」


「え?」とグランナが驚きの顔をする。


 父親が少し悲しげな顔で

「オレは、お前に色々と押し付けてしまった。オレ達の時空エネルギー問題も、本来はオレ達の代でチャンと話し合いをするべき事なんだ。お前が…それを背負う必要は無い。いや、それを背負わせてしまった。ダメな父親だ」


 グランナが戸惑い気味に

「そんな事はないよ。父さん。セレソウム時空の超越存在、宇宙王から超越存在のエネルギーを提供して貰う事は、オレ達の問題でもある。だから…」


 父親が

「グランナ。お前は少し不器用だが…優しい所がある。お前は辛い目にあっている子達を見捨てては置けない。面倒見の良さと優しさがある。オレにはない…人徳というヤツだ。だから、お前がシュルメルム宇宙工業学園へ行くとなったら…多くの者達が付いてきた。その全員が、お前の思いを理解して…共に歩んでくれている」

と、父親は優しい顔で

「それは凄い事なんだぞ。だから…お前が…いや、お前達が超越存在を手にできなくても、ここで皆で一緒にがんばった事は、大きな財産であり勉強だった。それだけでも大収穫じゃあないか…」


 グランナが父親を見つめて

「父さん…」


 父親が

「グランナ、ハッキリ言う。超越存在を得られなくても構わん。もし、超越存在の力を得られる代償にお前のその優しさを失うのは、ダメだ。お前の持っているその優しさは最も大切なモノだという事を分かって欲しい」


 グランナと父親の会話が終わる。


 グランナは、父親との会話を思い返して

「父さん。それでもオレは…目指すよ。だって、それで救える人達がいるから」



 ◇◇◇◇◇


 シュルメルム宇宙工業学園の幾つもある宇宙ポートの一つ。

 その一つ、最小の動力で維持されている場所。特に来る荷物や人員も時空戦艦も宇宙戦艦もないので休止状態なのに…。

 動力が入り出して活動状態へ移行する。

 無人で誰もいない宇宙ポートの一つ。

 そこの物陰に隠れる二人、カレイドの紫苑と千華だ。

 紫苑と千華は両手に、エネルギーで形状が変化する特殊なグリップ武器を握り、形状を銃へ変える。


 紫苑が千華に

「本当に来るのでしょうか?」


 千華が

「来るよ。絶対に…」


 紫苑が

「スラッシャーが仕掛けたシステムを解析して、使われるポートは全部、修正したり監視下に入っていますよ。ここは…」


 千華が

「スラッシャーのヤツが使うポートには、特徴があった。スラッシャーのヤツは頭がキレる。仕掛けを見つけられて、使えるポートが押さえられると想定して先手を考えるなら…予備のルートは必ず残す」


 紫苑が

「その特徴から…ここが?」


 千華が頷き

「ええ…」


 紫苑が複雑な顔で

「私達が来た所為で、ポートの動力が開始しましたけど…」


 千華が

「ポートは、何かしらの生態反応があれば、動力が入るようになっているから…隠れていれば…問題、ん?」


 ポートのゲートは開いていていない。

 だが、その鋼鉄のゲートの前に空間湾曲のゲートが出現する。


 紫苑が腕にある端末を見て

「そんな…空間転移のエネルギーが検知されていないのに…」


 千華が鋭い顔で「来るよ」と…


 空間湾曲のゲートから一隻の時空戦艦タイプの貨物船が現れる。

 その時空貨物戦艦はポートに接岸する事なく、桟橋を艦から延ばして、何かを下ろし…それと共に人影が下りる。


 千華が素早く全身を隠すステルスのフィールド装置で包み、その人影の背後に急接近する。

「よう…元気だった?」

 千華が銃口を向ける大きな背中。


 大きな背中の主は

「ありゃ…見つかっちゃった」

と、イタズラに笑うスラッシャーだ。


 紫苑がスラッシャーの時空貨物戦艦から下りた荷物を確認すると

「ええ…これは…」

 円筒ケースには、液体に包まれる人の姿があった。

 その人の姿とは

「彼女…死んだ…はず…え? クローン」


 その円筒の液体に浮かぶのはシャナリア・エリストだった。


 スラッシャーが笑みながら

「クローンじゃあねぇ。死者の書から蘇った本人さ」


 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります。

次回、死者蘇生

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