星光 第25話 再開されるデュエロタクト
次話を読んでいただきありがとうございます。
事件後、一ヶ月が経過してデュエロタクトが再開される。
そこで対戦するのは、グランナとファクドの上位者の戦いだった。
それは久しぶりのデュエロタクトだった。
シュルメルム宇宙工業学園で大きな事件があってから一ヶ月後。
デュエロタクトが再開されて…
「おら! 歯ごたえが無いぞ!」
と、声を張ってマキナで戦うのはグランナだった。
グランナのマキナ・ガイオは、ティリオの改修を受けた。
鎧武者の外見は変わらないが、その背面に大きな翼と両手足に新たな鎧の装甲が加わっている。
ティリオは、ジュリアとナリルとアリルの妻達と共にグランナが戦うデュエロタクトを見ていた。
グランナが戦う相手は、なんとファクドだ。
ファクドのマキナは金色に輝き、背中にゴールドジェネシス特有の円環を装備している。
そして、ファクドのマキナの最大特徴は、その大多数の腕だ。
まるで千手観音のように多くの腕が肩から背中まで続いている。
ファクドがグランナの新たなマキナに
「なるほど…だいぶ、面白い戦いになりそうだ」
と、笑む。
グランナがガイオを構えさせ
「お前の高見の見物のような澄ました顔が、何時もムカつくんだよ」
と、声にした次に改修した新装備ミリオンズ・テスタメントを発動させる。
グランナのガイオの背中にある装甲の翼が輝き、エネルギーを放つとそれが形を形成して武器になる。
グランナのガイオが握った武器は、光で構築された銃剣だった。
その光の銃剣は、ガイオの腕にある鎧装甲とラインを繋げる。
「いくぞ!」
と、グランナはガイオを走らせる。
ファクドが自分のマキナ、サスハラジャを動かす。
ファクドのマキナ・サスハラジャがその数多にある手に光の渦を握ると、それを素早い速度の拳撃で放つ。
それをグランナのガイオは、銃剣で攻撃する。
銃剣から発射される光の弾丸が光の渦に当たると、光の渦は消えるが…。
「その程度では、この攻撃は消えないぞ」
と、ファクドが攻撃を続ける。
グランナが笑み
「分かっているぜ」
と、光の銃剣を消して今度は、巨大なハンマーを構築してガイオが握る。
数多の攻撃に対して、面がデカいハンマーで応戦したのだ。
だが、ファクドの攻撃がそれで終わる事はなく
「では、これなら」
と、サスハラジャの背負う円環から漆黒と閃光の渦が出現し、周囲の重力と引力を暴走させる。
だが…
「甘いぜ」とグランナが新たな武器をガイオに握らせる。
それは、大きな槍であり、先に引っかける鎖が付いている。
それをサスハラジャに絡ませる。
そして
「でああああああああ!」
グランナはガイオの背中にある装甲の翼から光のフレアを放って、ファクドのサスハラジャに迫る。
「それも」
と、ファクドが向かってくるガイオに正手の雨をお見舞いする。
槍と共にガイオが粉砕される…と思われたが。
それは、光のエネルギーで構築された残像だった。
「な…」
ファクドは、まんまとグランナの策略にはまってしまう。
グランナがいるガイオは
「ここだ」
と、サスハラジャの頭上から光の速度で墜落する。
その両手には光のエネルギーのナイフが握られて、サスハラジャの数本の腕を切り裂いた。
「もういっちょ!」
と、グランナはガイオを動かす。
サスハラジャと近接になったガイオ。
ナイフを持ち連続斬撃をガイオが繰り出すが。
ファクドが鋭い殺気を放ち、サスハラジャの背中から本体と同じ太さの腕が伸びて、斬りつけるガイオへぶつける。
「うぉぉぉぉぉ!」
グランナは耐える。
それ程までに凄まじい衝撃が襲いかかる。
そして、再びグランナはガイオと、ファクドのマキナ・サスハラジャの距離が空いた。
グランナが
「へへへ…やっと本気になってきたか?」
ファクドが額を掻き上げて
「全く、嫌なんだよ。こういう感情って…」
ファクドは殺気が嫌いだった。
グランナが
「ようやく…同じ舞台に立てたって事だ」
ファクドが呆れ気味に
「ホント、今度は…オレ達の機体の改修を頼もうかねぇ…」
◇◇◇◇◇
その戦いの一部始終をデュエロタクトのラウンジで見ているティリオ達。
ティリオ達四人が座る横のソファーにエアリナが座っていて
「ああ…なんで、アイツまで強くしたのよ…」
と、ブツブツ言っている。
ティリオは、ふ…と笑む。
ガイオの改修は成功だ。
グランナの操縦技量は、とても優れている。
それを生かすには…数多を動かすより、数多の武器を瞬時に与えて使って貰う方がいい。
ガイオの装備する新装備ミリオンズ・テスタメントは、エネルギー構築で万の武器を瞬時に創造する。
それをガイオの腕に装着されたアタッチメント装甲でエネルギーが拡散するのを防いで形状を維持させる。
これによってガイオの操縦する機能は損なわずに、グランナの操縦技量は生かされて、戦いやすくなる。
グランナは、ティリオからの提案を受けた時に、目を輝かせて
「直ぐにやってくれ!」
と、嬉しそうだった。
その結果は、上々な現状が見せている。
ルビシャルとレリスも見ていて、ソファーに座るルビシャルが隣に座るレリスに
「どうする? アタシ達も改修を頼む?」
レリスが
「ぼくは、必要ない」
と、淡々と答える。
ルビシャルが
「アタシは…迷うなぁ…」
ティリオ達の隣にいるエアリナが
「クソ、クソ、私が一番に君臨できると思ったのに」
それにアリルが
「簡単に一番になっても面白くないでしょう。だって、競技でしょう」
エアリナが恨めしそうにティリオを見つめ、その視線にティリオが気づき
「何? その顔…」
エアリナが
「やっぱり、アンタをアタシの嫁にするから、覚悟して置きなさいよ」
ティリオは呆れ気味に
「いや、これ以上、嫁を取る気は無いよ」
エアリナが
「アンタが嫁になるから、問題ないわ」
ティリオは戸惑い気味に
「どういう理屈だよ…」
このような感じでデュエロタクトも始まり、シュルメルム宇宙工業学園の日々が戻って来た。
紆余曲折はあったが…ティリオの学園生活は順調ではある。
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次回、ファクドの頼み