星光 第22話 エアリナの相談
次話を読んでいただきありがとうございます。
再び学園へ通い出したティリオ。
何時もの学園生活があり、エアリナが相談をする
それは…
ティリオは一週間ぶりに学園の学び舎に来た。
スラッシャーからの通信がシュルメルム宇宙工業学園の全域に響いていた。
色々と…。
そう覚悟して来たが…何も無かった。
普通のように学園内移動のリニアに乗って、他の生徒も一緒に乗り、何もなく学園の校舎に来て
「ぼーとするな!」
と、エアリナが言い放ち。
そこへジュリアとナリルとアリルが来て、ナリルが
「ティリオは、考え事をしていたのよ」
エアリナが
「そんじゃあ、学校へ行きますか」
それは、何時も通りの風景だった。
なんか拍子抜けするティリオだが、自分が受けるマキナの整備や開発の講義や実習を受ける。
そこでも…何も無かった。
多少、ディオートンの事で止まっている授業や移動禁止区域はあるが、それでも何時も授業だ。
ティリオは、何時ものようにマキナの整備や生産技術に関する講義を受けていく。
その途中でシトリーと出会い
「こんにちは」
ティリオが
「ああ…こんにちは」
次の授業はシトリーと共に人工筋肉型のマキナの講義だった。
ティリオが
「なんか…拍子抜けしている」
シトリーが
「色々と事情があって一週間くらい休む生徒はザラにいるわよ」
ティリオが微妙な顔で
「いや、そういう事じゃあなくて…」
シトリーは悲しげな顔で
「誰も信じてないわよ。そんな都合がいい事なんて…」
それでティリオは察してしまう。
スラッシャーとの会話は、全員が聞いていたが…誰も信じていない。その理由は…
「彼女が…シャナリアさんが…」
シトリーが首を横に振り
「貴方が原因じゃない。悪いのは彼女を騙した人よ」
ティリオがそれでも
「それでも…ぼくは…助けたかった」
シトリーが
「この宇宙については…知っている?」
ティリオが頷き
「ああ…ディオートンやディスカードを作り出す存在が生まれた場所だ」
シトリーがティリオを見つめて
「それによって、多くの命が消えたわ。自分の事を完全な神、人が求め病まない神と言って、多くの命を…だから、貴方が原因じゃない」
ティリオは頷き
「分かったよ。ありがとう。でも…」
と、その先を言いそうになったが呑み込んだ。
◇◇◇◇◇
マキナの技術授業を終えて、ティリオはジュリアとナリルとアリルの三人にシトリーと一緒に昼食を取るそこへ
「アタシも一緒で良いでしょう」
とエアリナが来た。
六人という大人数で昼食を取るティリオ達。
シトリーが
「ねぇ、エアリナ…ティリオくんにエアリナのマキナの改修を手伝って貰ったら?」
エアリナがティリオを見つめて
「ティリオ、それって問題にはならないの?」
ティリオが食事をしながら
「問題にはならない。サポートマネージャーとしての役割として、安全で健全なマキナ運営と、マキナのメカニックも担当している。だから…いいよ」
エアリナが得意げな顔で
「じゃあ、アンタに私のマキナの改修をさせてあげるわ」
ティリオが眉間をしかめ
「じゃあ、やめる」
エアリナがティリオを指さして
「なんでよ! 了承したでしょう!」
ティリオが
「その偉そうな態度が気に入らない」
エアリナがプーと頬を膨らませるが笑顔に変えて
「ごめんごめん、ちょっとからかっただけよ。お願い。見て欲しい」
ティリオも笑顔にして
「分かっているよ。で…問題は?」
シトリーが
「実は…エアリナのマキナが壊れた理由ってマキナがエアリナの力に耐えられなかったからなの」
ティリオが
「もしかして、グランナのような…」
そう、グランナには僅かだが超越存在としての力が受け継がれている。
エアリナもそれと似たような…。
エアリナが右手をティリオ達四人に向けると、ティリオにジュリアとナリルとアリルの四人の端末が勝手に起動する。
ジュリアとナリルとアリルの三人は驚いていたが…ティリオだけはエアリナを見つめて
「ネオデウスか…」
ティリオの超越存在の知覚には、エアリナの手から広がる見えない電子回路模様、ネオデウスの力が見えていた。
エアリナは頷き
「ええ…私の父さん、ヴィルガメスはネオデウスを持っているのは知っているわよね」
ティリオ達は頷く。
エアリナが
「私も父さんからネオデウスを遺伝しているの。だけど…父さんほど強大ではないわ」
ティリオが暫し考え
「つまり…エアリナは、マルチタスクが得意なんだね」
エアリナが困惑を見せつつ頷き
「ええ…そんなに簡単に分かられると…何か…」
シトリーが
「これが原因で、エアリナのマキナが耐えられなくて壊れたの」
ティリオが
「なるほど、エアリナの戦い方は、多くの武器を同時に扱うマルチタスク戦術なんだ」
エアリナが頷き
「そう、アタシが同時に扱えるマキナの武装は…五十にもなるわ」
ジュリアが
「そんなに…扱いきれるの?」
エアリナが
「私の戦い方は、多くの武器をドローンのように飛ばして、遠距離からの精密射撃で相手を倒すの。相手との戦いは全部、ドローンが行っているわ」
ティリオが
「だから、操縦が…普通くらいだったのか…」
アリルが
「そういえば、初めてゼウスリオンに乗った時も直ぐに思考制御になれたわよね。それって」
エアリナが
「アタシも似たようなシステムを組み込んでいるから」
ティリオが渋い顔をして
「なるほど、エアリナのマルチタスク演算力が高いがゆえに、それにマキナが追いついて行かなくて…オーバーフローしたって事か」
ティリオは、前にデュエロタクトのランキングを見た事がある。
ランキング上位、一位は今の所…グランナで、二位は同列にレリス、ファクド、ルビシャル、その下の三位にエアリナがいた。
ティリオがエアリナにゼウスリオンを貸した時には、それ程の操縦センスを持っているように思えなかったが…そういう事実があったという事に納得した。
シトリーが
「お願い、貴方の知恵を貸してくれないかしら?」
ティリオが頷き
「分かった。後で…そっちのホームへ行ってみるよ」
こうして、エアリナのマキナの改修を手伝う事になった。
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次回、エアリナのマキナ改修