星光 第21話 会話のテーブル
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シャナリアの事で引きこもるティリオを励まそうと来た彼ら。
そして、告げられるシャナリアの母が残した言葉にティリオは…
ティリオのホームにある広い部屋で、ジャラジャラとした音が響く。
ティリオは、疑問を感じて四人で囲むテーブルに座っていた。
目の前にあるテーブルは、立体映像の麻雀が並ぶ。
手元には、映像の麻雀牌をタッチする端末が設置されている。
ティリオの麻雀卓には、グランナ、ファクド、エアリナの三人がいる。
ルビシャルとレリスは離れていて、ルビシャルが
「半チャンだっけ? 最下位と三位が交代ね!」
ファクドが
「ああ…分かっている」
ティリオが対戦する三人に
「ねぇ…なんで…ウチで麻雀なんてやるの?」
と、告げた頃に、ジュリアとナリルとアリルがお菓子や飲み物を持ってくると、ルビシャルが
「あ、ちょうど、三人が来たし。アタシ達はアタシ達で別でやるよ」
グランナが
「好きにしろ」
レリスが
「じゃあ、どちらかの卓で最下位が交代か…」
ティリオが
「あの質問を…」
エアリナが
「デュエロタクトが再開されないから、その暇つぶしよ」
「ええ…」とティリオは困惑して
「自分の所で…やる必要があるの?」
ファクドが
「いいじゃないか。キミは今…長期休暇の最中なんだし」
グランナが
「オレ達のホームには、多くの同郷の仲間がいて、スペースがないんだよ。ティリオの所なら人も少ないのは分かっていて、スペースが余っているのも知っている。だから…」
ティリオが
「だからって、そんな…」
エアリナが
「みんな、アンタに気を遣っているのよ。アンタ…授業にも出ないし、それにあの事件で…仕方ないってみんなは納得しているから、アンタを責めるつもりはないのに…アンタが」
ファクドが
「それ以上は言い過ぎだ。まあ、色々とあって楽しみに来ているってだけは分かって」
ティリオは黙るも、始まった麻雀卓に…。
ティリオ達の麻雀は
「おい! それズルいぞ!」
とグランナが吠える。
エアリナが
「それを出すアンタが悪い!」
エアリナがグランナから勝ちを取る。ロンというヤツだ。
グランナがティリオとファクドに
「お前等! 真剣に勝負しろよ! さっきから下りているだろうが」
ファクドが笑み
「ごめん。配牌が悪すぎてね…」
ティリオも
「こっちも同じだ」
グランナが悔しげな顔で
「それでも勝負を諦めるなよ…」
ファクドが笑みながら
「そうやって、熱くなるから勝負事に負けるんだよ。冷静に見極めないと…でも、そこがグランナの良いところでもある」
隣の卓のルビシャルが
「おお! 盛り上がっているねぇ…それに比べて、こっちは…」
ルビシャルの卓で対戦するジュリアとナリルとアリル、ジュリアが
「うん。仕方ないでしょう。そういう配牌なんだから」
四人とも一進一退で、代わり映えしない静かな麻雀だ。
再度、ティリオ達の卓で牌が配られると、ティリオは項垂れる。
これ…どうすれば…。
配られた牌の組み合わせに頭を抱えた。
すっかり、麻雀を楽しむようになった。
アースガイヤでも同じゲームは存在していて、存在は知っていたが…やるのは初めてだった。
ファクドは、ティリオが考え込んでいる姿に少しだけ安心する。
気晴らしになってくれている。
エアリナが
「ティリオ、アンタ…最初は文句を言っていたけど。今じゃあ夢中ね」
ティリオがハッとして笑み
「そうだね。気付いたら…」
エアリナが
「アタシは、黙っているのが苦手だから言うけど、彼女の母親、アンタに謝りたいって言っていたわ」
ティリオの顔が固くなる。
彼女の母親とは…シャナリア・エリストの母親の事だ。
グランナとファクドが「エアリナ!」と声を荒げる。
何て事を言うんだ!という二人の無言の圧をエアリナが受けるも
エアリナが二人を睨み返してティリオに
「これは伝えないとダメよ。アンタが引きこもっているから、彼女の母親がアンタに謝りたいって来ていたのに…」
ティリオが俯き
「自分が…弱いから…」
エアリナが
「関係ない。あの事件は、アンタのせいじゃない! スラッシャーってヤツが原因よ。アンタは…巻き込まれただけよ。だから、彼女の母親が謝っていたわ。巻き込んでしまって申し訳ないって」
ティリオが苦しそうな顔をするが、エアリナが
「そして、アンタに感謝していた。アンタが彼女を…ディオートンに取り込まれたら…永遠に肉体さえも帰って来ない。でも、遺体だけでも…帰ってきた。言っていたわ。アンタのお陰で娘を取り戻して…最後の送り迎えが出来たって!」
全体の空気が重くなり、ティリオが涙しながら
「そんな、だって…ぼくは、助けられなかったのに…」
次を待っているレリスが
「いいや、キミは…助けた。彼女を…母親の元へ戻してくれた。キミにしかできなかった。それは絶対だ」
エアリナが
「だから、メソメソしないで欲しい。悲しまなくていいって…訳じゃあないけど。アンタには前を向いて欲しい」
ティリオは涙を拭いて
「…うん」
それだけを聞いてエアリナが
「じゃあ、続きをやるわよ!」
ファクドとグランナは呆れた顔をして、グランナが
「全く、どっちが問題児なんだか…」
ファクドが
「グランナは問題児じゃあないよ。この爆走お姫様が問題児だね」
エアリナが
「はぁぁぁぁぁ! ふざけんじゃないわよ! アタシは最優秀よ!」
ルビシャルが呆れた苦笑いをして
「はいはい。そうですね。じゃじゃ馬お姫様…」
重くなった空気が茶番によって和らいだ。
そして…次の日、ティリオは制服に着替えて学園へ勉強に向かうのであった。
悲しい気持ちは残ったままだが、それでも前には進める。
ティリオは、前に歩み出した。
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次回、エアリナの相談