星光 第19話 隠した武器
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合同のマキナ訓練の最中、シャナリアの手助けをする筈だったのに、ティリオが…
どうして、私には…
ティリオが大きな合同のマキナ訓練を開催していた。
グランナ達とレリス達のそれぞれのマキナ達を交えた大きな訓練は、シュルメルム宇宙工業学園にとっても初めての事であり、それが上手く行っていた。
ティリオのマキナ・ゼウスリオンと、グランナのマキナ・ガイオと、レリスのマキナ・ラプターの三つ巴の戦闘訓練は、多くのマキナを動かす生徒にとって勉強になった。
ティリオのゼウスリオンは、遠距離、中距離、近距離を熟すオールラウンダー。
グランナのガイオは、遠距離から近距離に詰めるパワータイプ。
レリスのラプターは、可変式の戦闘機のような高速性能を生かして戦う。
それは、見ているマキナの生徒にとって、様々なタイプに合わせてどう動くか?の参考になる。
それは、無論…戦い合う三人、ティリオとグランナにレリスも承知だ。
そんな高度な戦いは、ジュリアの通信から
「ねぇ。ちょっと…休憩しない?」
と、ティリオへの通信から終わった。
ジュリアとナリルとアリルの三人は、各々の生徒達の訓練につき合っていた。
ティリオがゼウスリオンを止めて
「少し、休憩しないか?」
グランナもガイオを止めて
「そうだな」
レリスも可変を人型にして
「そうだね。少し水分補給をしよう」
◇◇◇◇◇
ティリオ達や他の生徒達が各々の休憩をしている。
ティリオはコクピットのドアを開いて外を見ながら水分のパックを呑んでいると、目の前に一機のマキナが近づく。
ティリオのコクピットに
「どうも」
と、シャナリアの顔が出た。
「ああ…どうも」とティリオは返事をする。
シャナリアを乗せたマキナがティリオのゼウスリオンの前に立ち止まり、コクピットのドアを開く。
シャナリアがティリオの手を伸ばして
「マキナの戦術AIに関して見て欲しい所があるの…こっちに来て見て貰えない?」
シャナリアは、コクピットの開いた扉の橋に乗ってティリオに向けて左手を伸ばす。
ティリオも自分のゼウスリオンのコクピットから出て、シャナリアのマキナの元へ行こうとしたが…
「あの…どうして右手を背中に隠しているの?」
シャナリアは、コクピットの橋に乗って左手をティリオのコクピットへ向けている。
そして、右手は背中に…腰に隠している。
シャナリアは、右手を出して
「お願い、大人しく…こっちに来て…」
と、レーザーガンを向けた。
ティリオが驚きの顔で
「え? なんで…」
シャナリアは悲しげな顔で
「お願い、こっちへ来て。そうでないと…私…」
ティリオがシャナリアの顔を見つめる。
見た事がある顔だった。
追い詰められて、張り詰めて…
「ねぇ…何があったの? 話だけでも聞かせて」
と、ティリオが言葉を紡ぐ。
シャナリアが
「私には時間がないの…もう、これしか方法がないの…」
ティリオが狙われているのをグランナとレリスが発見する。
二人はコクピットを開けて休憩していた。
グランナがレリスに目配せをすると、レリスが頷いた。
直ぐにグランナがガイオに入り、ガイオの右手に握る槍を投擲する。
豪速でティリオのゼウスリオンとシャナリアのマキナの間に入る。
シャナリアの射線上が塞がれる。
そこへレリスのラプターが飛行形態で突進してシャナリアのマキナを突き飛ばす。
シャナリアは突進された衝撃で中に戻り、ティリオが
「二人とも! 待ってくれぇぇぇぇ」
と、ゼウスリオンのコクピットの扉を掴んで叫んだ。
シャナリアを乗せたマキナは、グランナとレリスのマキナ達に押さえられていた。
グランナのガイオがシャナリアのマキナの頭部を押さえて上に乗り、レリスのマキナは人型になってシャナリアのマキナの両手にあった武装を引きちぎって外す。
グランナが
「お前! 何やってんだ!」
レリスが
「シャナリア・エリストだったか…どういうつもりだ?」
マキナのコクピットに倒れるシャナリアは、起き上がって
「やっぱりダメだった…」
と、涙して操縦席に行き、とあるシステムを起動させる。
「ごめんね。みんな…お母さん…」
と、呟き気を失う。
グランナが抵抗しないマキナに
「さっきの衝撃で…」
レリスがコクピットから生体反応を探り
「大丈夫、気絶して…え?」
シャナリアのマキナが光を放つ。
「な!」とグランナはガイオを押さえるマキナから外し、レリスが警戒でマキナを下がらせる。
レリスが
「内部から高エネルギー反応が…」
グランナが驚き
「どういう事だ?」
ティリオが光を放つマキナを見て
「まさか…このエネルギー波動…ディスカード? いや…それより進化したディオートンか!」
シャナリアを乗せたマキナは、閃光を放って百メートルを超える光の巨人になり、無数の光の翼を生やすと急送に巨大化した体を縮小させて、半分以下の二十メートルサイズになる。
先程までの可変型マキナだったシャナリアのマキナは、継ぎ目がない生体のような体と、頭部に角を生やす独特の肉食獣のような兜に、背中に光の翼を無数に生やす異形に変貌した。
グランナが困惑し
「なんだ…これは…」
その隣にエアリナのマキナが来て
「早く逃げるわよ」
レリスのマキナも来て
「参ったな…まさか…ディスカードか…」
エアリナがコクピットから厳しい顔をして
「ディスカードがマシに見えるヤツよ」
シャナリアのマキナは、シャナリアをコアとしてディオートンに変貌して、その視線をグランナとエアリナ、レリスに向ける。
グランナが
「マズい! こっちに狙いを定めたぞ」
と、ガイオの防壁を展開した瞬間だった。
ディオートンが光速の特攻し、グランナとエアリナにレリスのマキナを吹き飛ばした。
オアアアアアアああ!
と、ディオートンは雄叫びを放ち、衝撃波を轟かせた。
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次回、悲しき戦い