星光 第11話 協力者
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神もどき、ディスカードが学園に出現した事で、ティリオの周りが慌ただしくなる。
ディスカードが発生した訓練区域の大地には、調査団のマキナ達が来て、破壊されたディスカードの残骸を回収したり、区域の汚染を調査していた。
その中に千華と紫苑の二人もいた。
シュルメルム宇宙工業学園とは違う学生服の二人。
千華と紫苑は、調査団の宇宙戦艦内の窓からディスカードが破壊されたクレータの現場を見下ろして千華が
「やっぱ…大人しく学生をさせてくれないか…」
紫苑も隣にいて
「ですね…」
千華が紫苑に
「ここの管理システムには、ヤツのスラッシャーの痕跡は…」
紫苑が難しい顔で
「綺麗に消去されて復元するに…」
千華が呆れた顔で
「でしょうね。スラッシャーは、そういうのが得意だから。なんせ幾つもの仮面を持っているからね」
◇◇◇◇◇
ティリオは自分のホームで、グランナを前にしていた。
ティリオとグランナだけの客間で、グランナがティリオに
「今回の事、仲間を助けていただき感謝する」
と、グランナがティリオに頭を下げる。
ティリオは渋い顔で
「原因は、しっかりと調査する。だから二人の」
グランナが顔を上げて
「ああ…是非とも協力させる」
ティリオは溜息を吐き
「とにかく、コアにされた方が無事で良かったよ」
グランナが
「元を辿れば、オレが…お前…いや、ティリオ殿を手にしようと焦った事が原因だ。今回の事、本当に…再度、申し訳ない。そして、ラドを助けて頂き感謝する」
グランナが謝罪と感謝を言い終えて、ティリオのホームを後にして、ティリオは一人で客間のソファーで考えていると、そこへアリルが来て
「ティリオ。考えたってどうしようもないわよ。今回の事は…」
ティリオが額を抱えたまま
「それでも…スラッシャーのヤツは、必ず介入してくるだろう。やはり…」
アリルがティリオの隣に座ってティリオの頬をなでて
「ティリオが原因じゃあないわ。相手が…スラッシャーが悪い。これから対策を練る時間はあるわよ」
ティリオが深い溜息をして
「そうだな…」
そこへジュリアが来て
「ティリオ、ファクドさんが来ているけど…通す?」
ティリオが頷き
「ああ…」
グランナと入れ替えでファクドが来て、ティリオとの対面のソファーで
「いやぁ…今回の件、凄かったね。生でディスカードを見たし、驚く事ばかりだよ」
ティリオが
「そんな事を言いたいが為に来た訳じゃあないだろう」
ファクドが笑み
「その通り。先にグランナの仲間で、被害にあった女子生徒から話を聞いたら…とある部品を提供されたそうだ」
と、ファクドが右手を動かすと空間に立体画面でデータが現れる。
ファクドのゴールドジェネシスの能力である空間操作で、データを開示させる。
「この特別なコンデンサーをね…」
ティリオは、その立体画面を凝視する。
見た目は、問題ないエネルギーを貯蓄する装置、コンデンサーだが…
「これにディスカードの仕掛けが…」
ファクドが肩をすくめて
「おそらくね。でも、機体ごと消滅して…解析もできない」
ティリオが渋い顔で
「言いたい事は…?」
ファクドが笑みで
「ぼく達は、学生でしかない。君のようにプロじゃあない。もし…今後、このような事が…」
ティリオが手を出して先を止めて
「確かに、自分なら部品の検査をして確実に判別できる」
ファクドが笑みのまま
「その通りさ。これだけ言えば、察して貰えると助かる。今後とも、彼らのような犠牲者を出さない為にも、君のようなプロの力が必要だ。何より、今まで…ここが狙われなかった事が奇跡に近かった。なにせ、この学園は超越存在への切符が授けられるステーションでもあるんだから」
ティリオが鋭い顔で
「ただ、父親と学園に入れるに推薦してくれた方達への連絡がある。その後で…」
ファクドは頷き
「そんな相談がなくても、ぼく達は君達を歓迎するよ」
ティリオは、ファクド達がマキナの競技戦闘をしているランキング・ファクドに入るしかない状況が出来上がっていた。
そうしなければ、スラッシャーが介入して…。
◇◇◇◇◇
ティリオはホームの通信室で母国のアースガイヤへ連絡を入れる。
通信の立体画面に出てくれたのは、銀髪エルフの母親ソフィアだった。
「ティリオ、元気?」
と、笑顔で応えてくれる母の一人であるソフィア。
ティリオが
「クリシュナ母さんや、クレティア母さんに、ゼリティア母さんは?」
ソフィアが
「クリシュナとクレティアは、弟達の訓練でリーレシア王国に行っていて、ゼリティアは王様の仕事でね」
ティリオが気まずそうな顔で
「そう…少し、相談したい事があってね」
ソフィアが笑みで
「大筋は聞いている。入学早々…便りが無い事は良い事だって意味が分かるわ。ティリオの口からちゃんと聞きたいわ」
ティリオは溜息交じりで
「実は…」
と、全てを話した。
入学してから、速攻でエアリナの親子げんかに巻き込まれ、更に学生同士がするマキナの決闘に巻き込まれ、そして…スラッシャーの事件と…。
それを聞いた母親のソフィアが
「そう…そこまで…」
ティリオが項垂れて
「普通に過ごすつもりだったのに…」
ティリオの思い描いていた筈の学園生活が全部、立ち消えてしまった。
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次回、立ち位置