星光 第3話 デュエロタクト
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エアリナのデュエロタクトに巻き込まれたティリオは、渋々と自分達のマキナ
機神ゼウスリオンの設定をして
ティリオは、自分達の魔導戦艦に戻って格納されている機神ゼウスリオンのコクピットの調節をしていた。
エアリナを助けた時は、単座だったが…コクピットの形態を変形させて、ティリオの席を先頭に後ろにジュリア、アリル、ナリルの三人が乗る三席をドッキングさせる。
その方法は非常に単純で、ゼウスリオンの背面に増設用のバックパックを増やした程度だ。
ゼウスリオンのコクピットで、増設した席の設定をしているティリオに、ジュリアが顔を見せて
「ねぇ…どうして、手を貸そうとするの?」
その問いかけにティリオは、作業を続けながら
「助けを本当に求めていたからね」
ジュリアは呆れつつ
「私はワガママだと思うな」
ティリオが最後の設定をしながら
「彼女の…エアリナさんの母親の事に関しては、本当だし…それに…」
ジュリアが
「私達の目的、忘れていないよね」
ティリオは頷き「ああ…」と設定を終えて立ち
「忘れていないさ。その為に…ここに来たんだから」
◇◇◇◇◇
エアリナは、ティリオ達の魔導戦艦の部屋でパイロットスーツに着替えていた。
その手伝いをアリルやナリルがしている。
エアリナはパイロットスーツの全身を見渡す。
「これ…変なパイロットスーツね?」
エアリナが纏っているパイロットスーツは、洋風の甲冑のようだ。
女性用のスカートがあるパイロットスーツ。
それはエアリナが知っている全身を包む装甲のような類いではない。
アリルが
「だいたいの体への衝撃や、宇宙といった極限的な環境へ放り出されても瞬時に防壁を展開して生存できるから…」
エアリナが
「本当に? なんか…骨董品の甲冑みたいな感じなんだけど…」
ナリルが
「これが私達の時空では普通なの。それに…その宇宙用装備でないと、これから動かすゼウスリオンは操縦できないから…」
アリルが
「私達みたいに訓練されていないとね…」
エアリナが首を傾げて
「どういう事?」
エアリナの背中をナリルが押して
「とにかく、ティリオが待っているんだから」
エアリナをゼウスリオンの格納庫へ連れて行った。
◇◇◇◇◇
格納庫では、ゼウスリオンが直立していてコクピットの入口にティリオが立っている。
連れて来られたエアリナは、アリルとナリルが手を繋いで浮遊の魔方陣で飛んで、コクピットへ入れる。
ゼウスリオンのコクピットにティリオとエアリナが入り、エアリナの前の席にティリオが乗り、その後ろの席にエアリナが乗る。
エアリナが操縦桿を握り
「どうやって操縦するの?」
ティリオが起動作業をしながら
「思考制御だ。こう動いて欲しいと思うだけで動いてくれる。諸々のサポートはこっちでやる」
エアリナが
「アンタも戦ってくれるんじゃないの?」
ティリオが
「これは君の試合だ。オレは機体を…ゼウスリオンを貸してサポートするだけだ」
エアリナが苛立ち
「分かったわよ。勝てば良いのよ。勝てば」
ティリオとエアリナを乗せたゼウスリオンが格納庫から出ると、その上にマキナ運搬カーゴ来て、それにゼウスリオンが乗って運ばれる。
◇◇◇◇◇
ティリオとエアリナのゼウスリオンが移動中、学園内にあるデュエロタクト専用に用意されたラウンジのドームに、デュエロタクトを統括する人物達が並んでいた。
銀髪の長身の男子学生ファクドが
「全く、グランナも大人げない」
その隣に並ぶ青髪の優男な学生レリスが
「どうするんだ? エアリナにマキナを貸した学生は、今日…編入して来たんだろう」
ファクドが後ろの席にいる同類に
「身元は分かっているか?」
赤毛でイタズラな猫目の女子生徒ルビシャルが
「ええ…とね。調べようと生徒名簿にアクセスしても、出ないのよ」
レリスが
「来たばかりで、登録が済んでいないのか?」
ルビシャルが
「それがね。身元を調べようとすると…権限のガードが掛かって調べられないのよ」
ルビシャルの元へファクドが来て
「どういう事だ?」
ルビシャルが「これ」と調べている立体画面をファクドに渡す。
ファクドが
「え? 理事長レベルの権限でないと開示できない?」
レリスが
「一応は、ここの生徒であるのは間違いないんだろう」
ルビシャルが頷き
「うん、そうだけど…」
ファクドが
「理事長レベルの権限でないと身元が開示されないなんて…何者なんだ?」
◇◇◇◇◇
別の頃、シュルメルム宇宙工業学園の外周にある宇宙港に一隻の千メートル級の時空戦艦が着岸する。それは…機神型時空戦艦要塞エルディオンであった。
その主は、ティリオの父親、聖帝ディオスであった。
ディオスが共を連れて渡ると
「ようこそ!」
理事長のヴィルガメスが出迎える。
ディオスがヴィルガメスと握手して
「どうも、この度は息子ティリオの事で…感謝いたします」
ヴィルガメスはディオスを連れて
「さあ、話はこちらで」
ディオスが
「ティリオは?」
ヴィルガメスが
「今は、学園内の案内をしているので…それが終わったら…」
「そうですか」とディオスは無事にティリオが入学できたと思っていた。
ティリオが問題に巻き込まれているなど、一欠片も思っていない。
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次回、デュエロタクトの戦い