星光 第2話 ネオデウス学園へ入学、トラブル
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ティリオは、シュルメルム宇宙工業学園の理事長の娘エアリナのトラブルに巻き込まれたが
理事長ヴィルガメスのお陰で一段落するも、またしてもエアリナがトラブルに
シュルメルム宇宙工業学園の理事長室で
「すまなかった」
と、ティリオより年上の男性が親子程の年の差があるティリオに謝っていた。
ティリオは手を差し向け
「いいですよ。気にしていませんから…」
ティリオに謝罪したシュルメルム宇宙工業学園の理事長のヴィルガメスが溜息交じりで
「全く、あの娘は…」
ティリオが保護したクリスタルな髪の乙女エアリナは、ヴィルガメスの娘だ。
その娘の暴走にティリオは巻き込まれた。
ヴィルガメスが
「すまない。君は穏やかな学園生活を過ごしたいと…それを…こんな形で壊してしまって…」
ティリオは微妙な笑みで
「大丈夫ですよ。まだ、大事にはなっていませんから! 問題ありません」
ヴィルガメスは項垂れて
「今後とも気をつける。約束する」
◇◇◇◇◇
ティリオは理事長のヴィルガメスの謝罪の後、ジュリアとナリルとアリルの三人と一緒にシュルメルム宇宙工業学園の広大な内部を進む。
百キロ級の巨大な工学の学園。空を飛ぶ様々な人型機体をティリオは見上げて
「まあ、最初は色々とあったけど…問題ないか…」
ジュリアが
「そうよ。大事にもなっていないみたいだから…」
ナリルとアリルがティリオの両腕に抱き付き、ナリルが
「だから、学園内を散策してみましょう」
アリルが
「そうそう、まずは楽しまないと…」
ジュリアがティリオの背中を押して
「そうよ。見る場所はたくさんあるんだから」
ティリオが頷き
「そうだな。まずは…色々て楽しまないと…」
◇◇◇◇◇
四人はシュルメルム宇宙工業学園内を歩む。
広い通路ばかりで、その多くは学園内で使われる人型機体、マキナ専用に整備されている。
無論、人が通る事も想定されているが、大きなサイズに合わせて人のサイズを調節した方が楽な設計にされている。
ティリオ達は、とある待ち合わせの場所に来る。
そこは、人型機体マキナが並ぶ広場だ。
ティリオ達四人へ「こんにちは」と呼びかける少女が来た。
青い髪がクリスタルのように黒と青を交差させて色を変える少女にティリオが
「初めまして、貴女が…」
青と黒のクリスタルな髪の乙女が
「私が、アナタ達の学園案内を務めます。シトリー・ジャスミンです」
ティリオが
「初めまして、ティリオ・ヴォルドル・グレンテルです」
ティリオの横に並ぶジュリアが
「こんにちは、ジュリア・ヴォルドル・グレンテルです」
ジュリアの左右にいるナリルとアリルが
「こんにちは、アリル・オルディナイト・グレンテルです」
ナリルが
「初めまして、ナリル・ユーチューリ・グレンテルです」
シトリーが
「ええ…セカンドネーム以外、グレンテル? ご兄妹ですか?」
ティリオが
「いいえ、違います。夫婦です」
シトリーの目が点になり
「え? ご結婚なされている…と」
ティリオは頷き「はい。そうです」とよどみなく返事をする。
シトリーは暫し困惑するも
「まあ、ともかく…学園内の案内をしますね」
シトリーは、ティリオ達を連れて行こうとしたら…
「あああ! アンタ達!」
と、指さす人物がいた。エアリナだ。
ティリオは、うぁ…と面倒くさい顔でエアリナから視線を逸らすが、エアリナが近づき
「アンタの所為で学園から出られなかったから、責任を取りなさいよ!」
と、ティリオに詰め寄る。
だが、ティリオの方が頭半分も高いので、ティリオは顔を高く背けたまま無視をする。
それにエアリナが苛立ち、ティリオの襟首を掴んで引っ張り顔を向けさせようとしたが…ティリオの方が圧倒的に力が強く、引っ張るつもりが自分を引っ張り上げてしまい足が浮く。
エアリナは苛立ち手を離してティリオを指さしながら
「聞いているの! 責任を」
と、言葉の続きを始めようとした矢先に地響きが起こる。
この全長が十八メートルの人型機体、マキナ達が並ぶ広大な訓練大地に、とあるマキナが乱入する。
ショベル重機のようなマキナとは違う、鎧武者のようなマキナ。
黒と白の意匠を持つ武者風のマキナがショベル重機の頭部を剣で貫き押して、重機のマキナが並ぶ広場に向かってくる。
それに生徒が逃げ、コーチ達が退避の指示と逃れていた。
ティリオは、ジュリアとナリルとアリルにアイコンタクトしてシトリーの保護を任せて、ティリオはエアリナをお姫様抱っこして退避する。
ティリオ達がいた広場に鎧武者のマキナが、重機マキナを倒して仁王立ちする。
ティリオは鎧武者のマキナに憶えがある。
アレは…桜花の時空にあるクガイと…
そう分析していると、エアリナが
「アンタ! 気軽にお姫様だっこするな!」
と、ティリオから離れる。
「ああ…すまない」とティリオはエアリナを解放する。
そして、鎧武者のマキナの胸部の装甲が開き操縦者が出てくる。
「よう…エアリナ」
と、呼ぶ長身の少年。
エアリナが長身の少年を見上げ
「なに? グランナ…」
グランナと呼ばれた長身の少年は、マキナから降りて
「コイツ」と倒したマキナを指さすと、胸部の操縦席から助け出される生徒がいた。
「お前の許婚になりたいって立候補して来たら、潰して置いたぜ」
エアリナが苛立ち気味に
「そんなの意味ないのに…」
グランナが胸を張り
「お前の許嫁はオレが相応しい。そうだろう? オレは」
「勘違いしないで」とエアリナが止めて
「いくら、デュエロタクトしたって私は、誰の許婚にもならない」
グランナが
「オレは、絶対にエアリナの婚約者になる。ネオデウスを継承するヴィルガメス理事長の娘であるエアリナは、次のネオデウス継承者だ。オレは絶対にネオデウスを手に入れる為に、お前と結婚する」
エアリナがグランナへ顔を向け
「絶対にイヤ!」
グランナが
「なら、オレとデュエロタクトしろ。オレが勝ったらお前を花嫁にする」
エアリナが苛立ち気味に
「私がマキナを上手く操縦できないって知っているクセに!」
グランナが
「じゃあ、誰か補佐を付けても構わないぞ! それでもオレが勝つ」
エアリナが
「アンタと戦って勝ったっても私には、何の得もない!」
グランナが
「お前がやりたい事を、オレが手伝ってやる。母親の救出をしたいんだろう。その全面バックアップをしてやる。オレは知っているぜ。お前が学園から逃げた理由、母親を助けたい。でも父親が止めている。オレの家の力を使えば…できるぞ」
エアリナが苛立ち手を握り締めて震えていると、隣にいる傍観者のティリオを見て
「手伝って!」
「え?」とティリオは困惑する。
エアリナが
「責任を取って貰うから、私に協力して!」
ティリオはグランナを見ると、グランナが鋭い顔をしている。
「いや…それは…」
エアリナがティリオの手を取り
「お願い、助けて…」
と、切実な声を…。
ティリオはエアリナを見つめると、エアリナは悲しげで涙を浮かべて訴えている。
助けて欲しい…と。
ティリオは項垂れて
「今回だけ…」
こうして、訳も分からずにティリオは巻き込まれるのであった。
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次回、ネオデウス学園への入学、デュエロタクト