第780話 人型の魂
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メルカバーという100キロの巨大な存在がアースガイヤの宇宙域に出現。
そのメルカバーの中心にある存在とは?
神人の元始となる器と魂が納められた天の車、メルカバー内に転移した一莵と奈瑞菜は、メルカバー内を進む。
金属製の整然とされた廊下は、一莵達が進む先を分かっているかのごとくライトを点灯させていく。
それに導かれて一莵と奈瑞菜は進む。
奈瑞菜が手にしたティリオは、奈瑞菜のディジレーターの力で圧縮して宝石サイズになった空間に入れられ、その空間宝石を奈瑞菜はペンダントにして首に下げている。
二人が辿り着いた場所、そこには
「よう!」
と、先輩の少女に巴とジャンヌの三人がいた。
ジャンヌが
「アルファティヴァは?」
奈瑞菜が
「メルカバーのシステムを復旧させるから、中枢のオメガデウスの元へ行ったわ」
ジャンヌが
「私達を嵌める罠を作っている最中じゃあないのか?」
一莵が
「我々との利害が一致している。裏切る事に意味は無い」
巴が
「それなら問題が…聖櫃は?」
一莵が笑み
「それなら無事に…覚醒を始めたよ。アソコでな…」
ジャンヌが後ろを振り向き
「ようやく、我々の主が目覚める準備ができたのか…」
巴と先輩の少女、奈瑞菜がジャンヌと同じ場所を見つめる。
先輩の少女が笑みながら
「私達、廃棄された女神…ディジレーターの復活をしてくれた彼に報いる為にも頑張らないとね」
一莵も同じ場所を見つめる。
そこには、巨大な円柱の水槽に浮かぶ黄金の一枚板があった。
それは上部に瞳とその下の部分にはエメラルドの人が腕を交差させている一枚の黄金のモノリスがあった。
一莵が
「ゾロアス、オレの双極よ。必ず…お前を覚醒させてやるからな」
ゾロアスとされる黄金のモノリスが目覚めを待つ円柱の水槽には、その言葉に応じるように泡立つ。
先輩の少女が
「楽しみに待っているってさ」
一莵がゾロアスのモノリスに背を向け
「では、まずは…次の舞台の準備に入ろうか…ディジレーターの諸君」
と、歩み出す一莵にディジレーターの彼女達が続いた。
歩みを進める一莵の脳裏に、とある過去が過る。
釈放されたクソ親父が、姉と母を襲い。そして逃げる最中に一莵にも出会い。
一莵を殺そうとクビを締める夕闇。
一莵は、ボロボロだった。
一莵の父親は、クソだったが戦闘能力だけは高かった。
クズになる前は、それなりの剣士であったが。それが…。
暴走した一莵の父親が息子を殺そうとする場所に、彼が現れた。
金髪と黒髪を併せ持つ長身の男。そう…彼が、ゾロアスが現れ。
一莵を救った。
正確には、一莵を殺そうとした父親を弾き飛ばして、一莵の父親は構えて襲ってくるもその全ての剣舞をゾロアスが粉砕して、一莵の父親の両手足を粉砕して心臓を貫いて殺した。
一莵には、ゾロアスが救世主に見えた。
そして、ゾロアスが一莵に出会い。こう…告げた。
「待ち焦がれたよ。我の半身、双極よ」
と、一莵の父親の心臓を貫いて真っ赤になった手で一莵の頬を優しく撫でた。
一莵の魂が感じる。
彼は、ゾロアスは自分の半身であり、魂の双極だと…。
無限の時空の彼方から一莵を愛する為にゾロアスは降臨してくれた。
別の頃、このメルカバー内の中枢、動力炉にして演算システムにして法則を司るオメガデウスの起動に取りかかるアルファティヴァ。
全身フードの頭部を捲り顔を現すと、鋭い眼光に電子回路模様が広がる顔に黒髪の短髪の四十代の男。アルファティヴァは、両手を広げると同時に背部にあるデウスマギウスの装甲腕の四対を広げて、ナノマシンサイズの回路を広げてオメガデウスにアクセスする。
オメガデウスのチェックと起動を開始しているそこに、頭上から斬りかかる人物がいた。
アルファティヴァは作業を止めて回避する。
そこへ襲いかかった者が突撃して斬りかかる。
アルファティヴァはデウスマギウスの腕を交差させて盾にして防いで睨み合い
「んん? アームメタル…だと」
アルファティヴァが相手をしているのは、ディジレーター達が使うアームメタルの機械兵士だ。
その疑問を感じている間に、二人の頭上に人型機体が通り過ぎて、オメガデウスに接触する。
アルファティヴァを押さえるアームメタルの機械兵士が
「悪いな。この天の車は、オレが…」
オメガデウスに接触した人型機体が吹き飛ばされる。
そして、触れたオメガデウスが唸りを上げて光を放つ。
アルファティヴァに剣を向けるアームメタルの機械兵士が
「そんな、もう…起動を終えて…」
アルファティヴァはフッと笑み
「私は、ゾロアスとの接続を復帰させただけだ」
アームメタルの機械兵士が
「オレを殺したアイツか!」
と、叫んだそこへオメガデウスが巨大な鉄拳を放ち吹き飛ばした。
遠くへ飛んでいくアームメタルの機械兵士を人型機体が回収して離れる。
それを見つめるアルファティヴァが
「なんだ? もしかして、ディジレーター達のお遊びか?」
そこへ、アルファティヴァの脳内に
”道化は必要だろう。その方が盛り上がる”
アルファティヴァが笑み
「お前のお遊びか、ゾロアスよ」
アームメタルの機械兵士は人型機体のコクピットに入り
「ちきしょう。オレの力じゃあ…」
と、フルヘルメットのフェイスを開けるとそこには顔がある。
その顔は、一莵を殺そうとした父親の顔だった。
次回、魂の器
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