第779話 聖櫃と天の車
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ディオスが対峙する者、一莵とディジレーターの奈瑞菜。
ディオスが
「一莵くん、話を聞いて」
と、続けようとするが、奈瑞菜が怪しく笑み首を傾げた瞬間、奈瑞菜の背中から蜘蛛の巣のような光が広がりマンションの室内の空間を歪める。
ディオスは装備するデウスマギウス・アミダライオウを走らせる。
そこへ一莵が右腕を伸ばすと、その右腕が巨大な砲身の装甲へ変貌する。
その砲口がデウスマギウス・アミダライオウの腹部に直撃すると、一莵は引き金を引いた。
轟音と衝撃波が一莵の部屋を粉砕する。
その合間に奈瑞菜はティリオを抱えて瞬間移動した。
ディオスは外に吹き飛ばされ、空中で体勢を直す。
そこへ一莵が飛びかかる。
一莵の砲身となった右腕が五連も備わるガトリングへ変貌して、五連ガトリングから凶暴な弾丸が連射される。
ディオスは、デウスマギウス・アミダライオウを飛翔させてそれから逃れるが、一莵が同じく空を飛び追撃する。
ディオスを乗せるデウスマギウス・アミダライオウは、直角の動きをして一莵に接近して、四対ある装甲腕の巨大な手からエネルギー波紋の攻撃を放つ。
強烈な面の攻撃を浴びる一莵だが、それでも変貌した右腕の五連ガトリングをディオスにぶち当てる。
それをディオスはデウスマギウス・アミダライオウの腕でガードして
「一莵くん。どうして…こんな事をするんだ?」
デウスマギウス・アミダライオウと五連ガトリングがぶつかる場。
一莵がせめぎ合うディオスを前に
「ディオスさん。何時から気付いていました?」
ディオスが苦い顔で
「さっき始めて」
一莵が鋭い顔をデウスマギウス・アミダライオウの胸部の格納部にいるディオスに近づき
「ウソだ! 気付いていたんでしょう? オレが怪しいって始めから」
ディオスが「違う、本当に!」とデウスマギウス・アミダライオウで一莵をはねのける。
一莵が下がり空中へ停まり
「でなければ…こんなに早くに来ないでしょう…」
と、告げる背後には夕闇の空が広がっていた。
ディオスはそれを見上げると、通信が入り
「ディオス様」
と、イヴァンの立体画面が出て
「アインデウス様より直ぐにご連絡を…と」
ディオスが
「すまん。取り込み中だ」
イヴァンが
「それと…数分前、ミリオンに収容した例の物体が突如、空間転移しまして」
一莵が背にする夕闇の空にミリオンに回収されていたヘイムダムガッツオーが転移して出現した。
ディオスは鋭い顔で
「イヴァン、見つかったぞ…」
通信でイヴァンが
「ですね」
一莵が右手を挙げる。
何かしようとするのをディオスが止めようとするも、一莵の両隣にティリオを抱えた奈瑞菜と、先輩の少女が来て
先輩の少女が
「ティリオくんのお父さん。息子さんは生きているよ」
ディオスは動きを止めるしかなかった。
もし、何かあればティリオに…という脅しだ。
一莵が伸ばした右手から一条の光が伸びてヘイムダムガッツオーへ届く。
光を受けたヘイムダムガッツオーが変貌する。
細かく分解されて、巨大な魔方陣のような幾何学の物体へ変貌する。
十キロサイズから三十キロサイズの幾何学魔方陣になったヘイムダムガッツオーが淡く光を放つ。
夕闇の空に七色の歪みを形成する。
巨大幾何学魔方陣になったヘイムダムガッツオーが形成した七色の歪みから、とある物体が降臨する。
それは中央に555と刻まれた結晶の棺、聖櫃だった。
それは…桜花の時に使われた…ソレだった。
何処かに行方知れずになった存在が、目の前に現れる。
ディオスが降臨する聖櫃を凝視していると…
「悪いね。君の出番は…まだまだ後だ」
と、背後に声がしてディオスは急いで振り向くが全身に強い衝撃と紫電が走り、デウスマギウス・アミダライオウが操縦不能になり墜落する。
落ちるデウスマギウス・アミダライオウからディオスが飛び出そうとする上、デウスマギウス・アミダライオウを不能にした人物が睥睨する。
全身をローブに包み背後から四対のデウスマギウスの装甲腕を伸ばす人物は、ローブから右手を伸ばして
「流石、救済の権化…この程度ではダメージにもならんか」
と、右手に夜の闇さえも呑み込む闇が集中する。
それは無限の質量を生み出す超重力の一点だ。
それをディオスに投擲した。
「どぁああああああ」
ディオスは無限の質量の攻撃によってデウスマギウス・アミダライオウと共に地面に落とされる。
それに対処しようとディオスは、様々な魔法を展開するもその力は全て無限の質量の攻撃に飲まれてディオスは、地面に衝突する寸前に
「ティリオーーーーーーーーー」
と、息子の名を叫んで落ちた。
ディオスを墜とした人物は、聖櫃を隣にする一莵に近づき、一莵が
「アルファティヴァ」
と、人物の名を告げる。
アルファティヴァである人物は、一莵に頭を下げ
「早く参りましょう。この程度、直ぐに彼は…聖帝は片付ける」
一莵は頷き聖櫃に触れて
「エロヒムよ。我らを神の戦輪へ導き給え」
アースガイヤの宇宙域に空間転移する存在、白銀に輝く全長百キロの機械の大地、天の車、メルカバーが出現した。
一莵達はティリオを連れて、そのメルカバーへ空間転移した。
そして、変貌したヘイムダムガッツオーは、上昇してアースガイヤの高高度で静止して七色の歪みを広げる。
ディオスは道路に埋まるも、放たれた無限の質量の攻撃を神格鎧、ゴットディオンアーマーのマハカーラーで粉砕して、埋まった地面から登り上がる。
空を見上げるとそこには、夜の闇と共にオーロラのごとく広がる七色の歪みがあった。
呆然とするディオスへ一緒に落ちたデウスマギウス・アミダライオウが復旧してディオスの隣に跪くと、大きな立体画面が現れる。
そこにはアインデウスの姿があり
「ディオス、とんでもない事が…」
ディオスが画面のアインデウスを凝視して
「こっちもとんでもない事になりましたよ」
と、告げる声色には怒りが籠もっていた。
そして拳を固く握り締め
「クソ、なぜ、こんな事に…」
アースガイヤと海の月の間に出現した天の車、メルカバーに一つの光が落ちる。
それは、アインデウス達に事を知らせた黒き人型機体だ。
その黒き人型機体に搭乗する黒きフルヘルメットの人物。
「待っていろ、一莵…」
と、黒きフルヘルメットの人物はメルカバーのゲートを解除して中へ侵入した。
次々と流れていく事態、それにディオス達は?
次回、人形の魂