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第777話 疑惑と続き

次話を読んでいただきありがとうございます。

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次話を出すがんばりになります


 ディオス達は、アースガイヤへ帰還した。

 そして、ルビードラゴンだけは…一人、とある事で残る事にした。

 それは、一莵の父親の遺体が運ばれてる宇宙戦艦にルビードラゴンは来た。


 一莵の父親は、アースガイヤから外宇宙へ密航。

 その後、事故で死亡した。

 死因は、宇宙船からの飛び降りだ。

 調査報告書では、密航する宇宙船内で見つかった一莵の父親は、高高度にいた宇宙船から飛び降りた。

 おそらく、脱出する為だろう。

 アースガイヤでは、魔法の力で軽い浮遊が出来るので、地面へ軟着陸できるが、外宇宙はアースガイヤではない。

 アースガイヤに満ちている魔力、神格真法(アインデウス)が存在しない故に、魔法の発動は、体内に残された魔力のごく僅かである。

 その程度では、浮遊の力を作り出せる事なぞ、ムリだ。

 故に、地面に叩きつけられて死亡した。

 遺体の引き取り手は、一莵だった。


 一莵と父親は、接触禁止命令が出ている。

 その理由は、一莵の父親は一莵や姉、妻に暴力を振るう犯罪者だった。

 暴行罪にて一莵の父親は逮捕され、その後に収容施設で矯正教育とメンタル診療、そして社会復帰の訓練と、懲役を受けていた。

 収容から解放されたのが去年で、その後、犯罪者保護プランに参加するのが、釈放された罪人の通常であるが…一莵の父親は、行方をくらませた。

 その時に、何と…一莵の母親と姉が暮らしている家に現れて、一莵の母親と姉を襲ったが、それを通報した地域住民によって警察隊が来て、逮捕される前に一莵の父親は逃亡した。

 一莵の父親は、一切の反省もしていないかった。

 犯罪者の再犯には、罪が重罪と同じく重くなり、一生、収容から解放される事はない。

 社会は、社会に適合できない少数の為に存在するではなく。

 社会に適合出来る九割の者達の為にある。


 まあ、そもそも、犯罪者の傾向は、極度の劣等感や認知の歪んだ価値観の結果によって起こる。

 普通の人が、普通にツラい経験や、苦い思いをするも、それが自分の間違った価値観によって間違った認識に変換された結果の行動が犯罪の大半だ。

 犯罪者に特別な存在は、いない。

 犯罪者は、普通の人から現れる。

 これは、現実の事実である。

 アースガイヤでは、地球時代の頃とは違って、社会的な見地が進歩しているので、犯罪者は少ない傾向にはあるが…。

 それでも、犯罪者は現れる。

 全てに置いて、完璧な事は存在しない。


 アースガイヤにLBGTのような人達は、存在しないが、種族的な多様性は高い。

 そこがアースガイヤの欠点なのかもしれない。

 同じ種同士でも、考え方、性質的に違うという地球人類にとっては当たり前が、アースガイヤには存在しない。

 だが、その分、弱者救済や絆や繋がりへの強い思いがあるのは良い事だが…。

 それがある故に、一莵の父親のようなクズがごく稀に生じる。


 だからこそ、一莵の父親は、アースガイヤから出て行った。

 頭の悪いクズが思う事は一つ。

 オレは凄いんだ。

 オレは偉いんだ。

 オレは可能性があるんだ。

 そんな、子供じみた万能感の妄想から犯罪者になったのに。

 そして、アースガイヤから出て

 オレは外でビックになってやる!

と、頭の悪い暴走をして外宇宙へ密航した。

 その結果がこれだ。


 一莵の父親は、普通の人から生じるクズ中のクズだった。

 そんなクズが死んだ。

 自業自得、因果応報。


 だが、ルビードラゴンだけは違った見方をしていた。

 一莵は、父親の遺体を確認した後、アースガイヤへ帰還した。

 遺体は、宇宙のゴミとしてブラックホールへの廃棄処分される事に一莵はサインした。

 ブラックホールへのゴミ処分は、宇宙文明では当たり前だ。

内部の超重力によって量子サイズまで分解されつつ、その周辺にあるブラックホールのエネルギー施設のエネルギーになる。

 正に有益な廃棄方法である。

 まあ、普通は遺体なんて捨てられる事はないが…。

 アースガイヤにも持ち込みたくとして、生ゴミとしてブラックホールのエネルギー活用に使われる事になった。


 その捨てられる前にルビードラゴンが来て、一莵の父親の遺体をサードアイで観測する。

 なぜ、そんな事をするのか?

 ルビードラゴンは、一莵の事を怪しんでいた。

 ティリオの友人として一莵はいるが。

 ルビードラゴンの何かが一莵に怪しさを残していた。

 

 ルビードラゴンが一莵の父親が入った棺のケースを観測すると…

「んん…」

と、唸る。


 ルビードラゴンは気付いていた。

 これは、一莵の父親を元にした高度な複製である事を。


 一莵の父親の複製遺体が、一莵の父親の遺体としてブラックホールに落とされて消えた後、ルビードラゴンは一莵の天の川銀河連合内での活動を探る。


 天の川銀河連合内では、一莵は…報告書にあった通り、父親の遺体確認の為に天の川銀河連合の職員と一緒に施設へ来ていた。


 それも画像にチャンと残っている。

 一莵と一緒に行動した職員の女性。

 彼女も天の川銀河連合での戸籍がある。


 だが、ルビードラゴンの疑念は晴れない。

 ルビードラゴンは、一莵と一緒に来た天の川銀河連合の女性職員の戸籍をヴィクターインダストリアル社にいるライアーとキャロルにお願いして手に入れて、その戸籍がある宇宙コロニーへ向かったが…。

 そこは二十年前に廃棄された宇宙コロニーだった。

 天の川銀河連合の人類の寿命の平均は二百年だ。

 見かけは二十歳でも、年齢的は四十以上なんて当然なのだ。


 ルビードラゴンは、その女性を産んだ母親。

 宇宙文明では、母子家庭が普通で大半だ。子供は母親が望む遺伝子情報からの提供で妊娠するか、誰かの遺伝子提供によって出産する。

 無論、母親は天の川銀河連合の住人なので、二百年の長寿だ。

 生きている筈…なのに。

 ルビードラゴンは、戸籍の部分、母親の部分には…五十歳で死亡とある。

 疑問だった。

 宇宙文明になれば、発達した技術によって事故や病気の問題は解決され、戦争さえもない。いや、戦争は機械同士の戦い合いだけで、人同士の殺し合いはない。

 戦争での殺害も殺人罪として処罰される。

 無人兵器群の戦場がそれだ。


 ルビードラゴンは、このコロニーの関係者がいるコロニーへ、スフィアという惑星環境を完全再現した半球の宇宙都市施設へ向かう。

 コロニーは工業的な側面があるので、巨大な宇宙船のような外観だが。

 スフィアは生活するのが主軸ゆえに、半球の水晶のような外観だ。


 そのスフィアにルビードラゴンは、来てコロニー関係者の女性に話を聞いた。

「ええ…そんな人…いたかしら?」

 彼女は、四十代くらいの外見だが、年齢的は八十歳を超えている。

 コロニーが閉鎖された当時までコロニーで仕事をしていた。

 彼女は、コロニーで人員を管理する仕事をしていた。

 その当時に残っていたリストを使って調べてくれたが…

「やっぱりいないわ」


 ルビードラゴンが

「そうですか。ありがとうございます」

と、お礼を告げて去る。


 その後、この職員が所属する施設のデータベースでは存在があるも、その職場にいる人員管理者に尋ねても、一莵といた職員の事を知らなかった。


 ルビードラゴンの疑念が大きくなる。


 存在しているとされる、存在しない人間。

 だが、天の川銀河連合の高度なセンサーや、人類以上の知性の集合体である人工知性、DIは存在していると判断している。

 そして、一莵の足取りも正しいとしている。

 ルビードラゴンは、一莵とその職員が辿った足取りを巡る。


 一莵の父親の遺体が安置されたとされる病院の安置所。

 そこで、ルビードラゴンは額のサードアイを開き、空間に残された情報、アカシックレコードのアーカイブを観測する。

 それは、ディオスが人や存在の構造を判別する時に使うサードアイの使い方と同じで、ルビードラゴンは、その空間に残っている情報を分析できる。


 ルビードラゴンが鋭い顔をする。

 いくら、空間の情報を検索しても一莵の姿がない。それ所か…。

 一莵の父親の遺体はある。

 そして、その傍にいたのは…一莵ではない、別の存在達。

 それが一莵と職員に偽装していた。


 ルビードラゴンは、今度は一莵が来たとされる宇宙港の軌道エレベーターの地上部へ来た。

 ここでも、一莵は職員と共に車両に乗って移動した…とあるが。

 空間に残された情報は違っていた。


 一莵と職員は、別の人物、偽装した先輩の少女と共に移動していた。

 その情報の痕跡をルビードラゴンが追跡すると、街中の角で一莵と職員、偽装した先輩の少女と共に空間転移していた。

 そこからの追跡は不可能だった。


 ルビードラゴンは、調査した町の喫茶店で休む。

 テーブルに置かれたコーラのカップを見つめて悩む。

 この事をディオスには、報告した方が良いのは分かるが…。

 ティリオが…。

 友人を失う可能性が濃厚だ。


 ルビードラゴンは、コーラのカップにあるストローに口を付けて飲んでいると

「相変わらず、その飲み物が好きなんだなぁ…」

と、目の前に天の川銀河連合の住民の服装を着たエピオンが現れた。


 ルビードラゴンは、チューチューとコーラを飲んで

「何の用だ?」


 エピオンが対面に座り

「挨拶はしないのか?」


 ルビードラゴンがフッと笑み

「この町で調査していたオレの後ろを隠れて追跡していたクセに…」


 エピオンが

「バレていたなら、声を掛けろ」

と、告げつつ手を上げて喫茶ドローンに

「ココアを…」


 喫茶ドローンは、ココアの注文を受けて、エピオンに運ぶ。


 ルビードラゴンがココアを飲むエピオンに

「相変わらず、それが好きなんだなぁ…」


 エピオンが笑み

「甘い物が好きなのは、親子だからだろうが…」


 ルビードラゴンがチューとコーラのストローに口を付けて

「で、何の用だ? 目的があったから来たんだろう」


 エピオンが渋い顔でココアのカップに口をつけて

「お前が住んでいるアースガイヤに…」

と、話をする。


 ルビードラゴンが頭を抱えて

「そんな。バカな…」


 エピオンが

「聖帝ディオスは、そういう運命を引き寄せるという事だ」


 ルビードラゴンが

「何時、起こる?」


 エピオンが

「ヘオスポロスの観測と計算では、最大で一ヶ月、最短で明日にでも…」


 ルビードラゴンが

「何のために、その聖櫃がアースガイヤに堕ちてくるんだ?」


 エピオンが

「偶然か、それとも…何者かの思惑か…どちらとも言えないが。とにかく大きな事態になる。もし、力が必要ならヘオスポロスは協力する…とだけ聖帝ディオスに伝えて置け」


 ルビードラゴンが溜息を吐き

「あと…一つ、聞いて良いか?」


 エピオンが頷き

「なんだ?」


 ルビードラゴンが

「オレ達が日の本星系区で戦った女達、アレはなんだ?」


 エピオンが渋い顔で視線を逸らせ

「殲滅された女神であり、廃棄された女神、ディジレーター達だ」


 ルビードラゴンが

「アヌンナキ、アルダ・メルキオールのデウスエクス(人神)と同じか?」


 エピオンが首を横に振り

「いいや。人が根源ではない。神が根源にある。神を…神格を人に墜としたヤツがいるのさ」


 ルビードラゴンが驚きの顔で

「そんなバケモノがいるのか?」


 エピオンが鋭い視線で

「無限の無限の果てから、ソイツは現れた。まさに、有りと有らゆる、有り得ない可能性が集積した結果…現れたのさ。それを可能にするバケモノがな」


 聖ゾロアスへ続く。


エピオンから告げられた聖櫃の存在、それをルビードラゴンはディオス達に持ち帰る。

そして、始まる新たな事態。

次回より新章、聖ゾロアス編が開幕。

次回、廃棄された女神帝国、DISORDER



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