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第775話 疑惑の閉幕

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 牧山が驚きで青年を見つめる。

 

 青年が

「中山 雅人様より、牧山 明菜様に…これをお渡しするように…と」

と、告げた青年の頭上に、ゼウスリオンと同じ十五メートルサイズの人型の機体が降り立ち、青年の隣に着地する。

 そして、その胸部を開き操縦席を顕わにして、しゃがむ。


 牧山は、困惑する。

 どうして…こんな…

 そう考えていると、青年が

「これを届けるように…と、言われましたが。もしかして…アナタに止めて欲しいのではないでしょうか?」


 その問いかけに牧山は、意を決して降りた機体に乗り込む。


 青年がその前に立ち

「操作は、攻撃型艦と同じ…と中山様が言っていました」


 牧山は、端末の周囲を見ると確かに自分達が良く乗る攻撃型艦と同じ設計だった。

 起動も同じ、操作感じも同じ、よし!と牧山が

「あの、届けてくれてありがとう」


 青年は首を横に振り

「構いません。これが私の仕事ですから」


 牧山を乗せて人型の機体は空へ飛び立つ。

 それを見送る青年は怪しく笑み

「いやはや、簡単に乗ってくれて助かった」

と、サングラスを外すと瞬間移動して消えた。

 戻った先は、日の本星系区の宇宙域でステルスにしている時空戦艦内だ。

 サングラスを外すと、その姿は一莵になった。

 そして、一莵は端末に連絡を入れる。

 フィナーレの準備が出来た…と。


牧山は、一莵が用意した人型機体で空を飛ぶ。

 その速度は、軽く音速を突破して亜光速へ到達する。


 牧山は操縦桿を握り締めて

「ごめん、やっぱり私は…アナタを…雅人」

 牧山は自分の気持ちに正直に生きる事にした。

 大罪人であろう彼を連れて逃げよう…と。

 そして、センサーに中山 雅人がいる場所が示された。

 それは、ヘイムダムガッツオーの中枢である。



 ディオス達がヘイムダムガッツオーから放出されるアームメタル達と戦闘している現場では、エルディオンの周囲とその装甲の上でディジレーターとセイントセイバー達の戦いが続いていた。


 ディジレーターと対峙するラハトア、ユリシーグ、阿座、ルビードラゴンの四人。

 その四人とぶつかる、先輩の少女、奈瑞菜、ジャンヌ、巴の彼女達。


 お互いに何処となく、決め手がない状況であり、拮抗させ合っているという感じを互いに理解している。


 そんな戦いの合間にヘイムダムガッツオーから放出されるアームメタル達の数が少しづつ減っていく。

 それは、ヘイムダムガッツオーが壊されたアームメタル達を転移回収して修理する速度の低下を表している。

 対してそれ等と戦うゼウスリオン部隊、レガリア時空の部隊、セイントセイバーのネオデウス組の彼女達、ゴールドジェネシスの時空艦隊の大部隊の損耗は軽微。

 加えて、ディオスが解析したアームメタルの残骸によって弱点と攻撃を防ぐ力は完成している。

 最初から勝算は分かっているような状況だ。

 だが、そんな算段をひっくり返す力をディジレーターの彼女達は持っているはずだ。

 それをディオス達は分かっている。

 だからこそ、ディジレーター達の遊ぶような戦いに疑問がよぎる。


 ユリシーグが

「おい、何時まで遊んでいるつもりだ?」


 それに先輩の少女が

「本気で戦っているんだよ。君達、やるね!」

 その答えにジャンヌが肘打ちを先輩の少女に当てる。

 余計な事を喋るな!という事だ。


 それにラハトア、ユリシーグ、阿座、ルビードラゴンはアイコンタクトをする。

 やっぱり、何かを狙っている…と。


 それは、エルディオンの艦橋にいるディオスにも伝わっている。

 ディオスの隣にいるナトゥムラが

「何を連中は狙っているんだ?」

 

 ディオスが「んん…」と渋い唸りをする。


 そこへ、イヴァンの立体映像が

「ディオス様、亜光速で近づく物体があります」

と、牧山が乗る人型機体の立体映像が投影される。

「内部に生体反応があります」

と、機体内部の生体者を捉えて映像化する。


 ディオスが困惑で

「え? 牧山さん?」


 ナトゥムラが

「どういう事だ?」


 困惑している間に牧山を乗せたヘイムダムガッツオーへ突貫した。


 それを見たルビードラゴンが

「ディオス…追跡するか?」

と、連絡を入れたが…。


 奈瑞菜が

「おっと、行かせないわよ」

と、立ち塞がる。


それと同時にヘイムダムガッツオーから放出されるアームメタル達の攻防が激しくなる。


 状況の急変にディオス達全員が気づき、ルビードラゴンが奈瑞菜に

「どういうつもりだ? と言っても…答えてはくれないか…」


 奈瑞菜が

「ええ…だから、この戦いに集中しましょう」



 ディオスが艦橋で牧山を乗せた人型機体が戦場を疾走して飛んでいくのを巨大画面で見る。

 そして、それを妨げないようにアームメタル達が避けているのも見る。

「まさか…」

と、ディオスが告げて

「ナトゥムラさん!」


 隣に立つナトゥムラが「あいよ。追跡するんだな」と答える。


 ディオスが頷き

「イヴァン、アーヴィング、洋子、この場のコントロールを頼む」

 ディオスの前に、後方で指揮しているアーヴィングと洋子の顔の立体画面が出て、アーヴィングが

「大丈夫です。行ってください」


 ディオスが頷き、ナトゥムラを連れて出撃した。



 牧山を乗せた人型機体がヘイムダムガッツオーの壁に特攻する。

 人型機体の持つ強力なシールドによってヘイムダムガッツオーの装甲に穴が空き内部へ入れた。

「どこ?」

と、牧山がセンサーを働かせると、中心部に生体反応があった。

「そこね。待っていて」

と、人型機体を走らせる。

 

 幾重にも入り組んだ装甲と柱が並ぶ内部を飛ぶ牧山の人型機体。


 そして、ディオスはナトゥムラを乗せて二人乗りのデウスマギウス・アミダライオウ複座でヘイムダムガッツオーへ来た。


 無数のアームメタル達が邪魔をするもナトゥムラが操作するデウスマギウス・アミダライオウの装甲腕達によってなぎ払われ、修復されつつある牧山が開けた穴へ飛び込む。


 牧山は、中心部へ到達する。

 そこは、幾重にもリングが重なった中核で、おそらく周囲の装置への動力伝達を行っているのだろう。


 牧山は、センサーが反応する部分、中核のブリッジのような場所へ来た。

 ブリッジの上部を牧山は人型機体で剥がし取り

「雅人」

と、内部にいる中山へ呼びかける。


 だが、そこには…。


 牧山は急いで機体から降りて

「雅人!」

と、ブリッジ中央で倒れる中山に駆けつける。

 牧山が到着した頃に生体反応が途絶した。


 死んだ中山の上に牧山が覆い被さり

「なんで、どうして?」

と、呟く傍に何かの銃のような物体が落ちていた。

 それを牧山が拾って

「自殺…なんて…」


 そして、その場にディオス達も到着する。


 ディオスのデウスマギウス・アミダライオウの複座からナトゥムラが飛び降りて、急いで中山の脈と生体反応を魔力で調べる。


 ナトゥムラが厳しい顔で

「もう…ここにはいない」

と、中山の死亡が確認された。


 ディオスはデウスマギウス・アミダライオウを仕舞って、その場に近づき

「これは…どういう事だ…」

 疑問は残るも、このブリッジのような場所から、外で戦っているアームメタル達を停止できると分かり、戦闘を停止させて帰還させた。


 その後、直ぐに色々と調べられて、中山 雅人は自殺した…と結論づけられた。


 一連に事案は、首謀者の自殺、そして…武器を提供した組織は不明。

 セイントセイバー達と戦っていた彼女達四人は、ディオス達が中山の元へたどり着いた瞬間、姿をくらませた。

 彼女達が何らかの関係があるのは明らかだが…。

 

 全ては、闇の中。


 ヘイムダムガッツオーから回収される中山 雅人の遺体をルビードラゴンが見つめる。

 回収していく者達を凝視するルビードラゴンに、都市部の防衛に出ていたマジックギガンティス達の充人が

「どうしたんだ?」


 ルビードラゴンが

「あの首謀者の遺体…時間がずれている」


 充人が

「どういう意味だ?」


 ルビードラゴンが

「言葉の通りだ」


全てが終わる。だが…それは新たな疑惑の始まりでもあった。

次回、ルビードラゴンの調査

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