第773話 派遣される者達
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日が落ちた街中を進む車両にアーヴィング達に保護される牧山がいた。
対面席で静かな牧山にアーヴィングが
「その…彼の事は、こちらで止めます。ですから…」
牧山が頷き
「お願いします」
牧山の隣にいる奈々が何か言おうとした次に、通信が入る。
「はい」
と、腕輪の通信機に出る奈々。
そこにはディオスがいて
「出ていた三人と牧山さんもそこにいるな」
奈々の通信画面を見つめるアーヴィングと綾妃。
奈々が
「はい。牧山様を保護してエルディオンに帰還します」
ディオスが溜息を吐き
「そうか…では、今後の事を伝える」
それを聞いてアーヴィングと奈々に綾妃の三人は驚きの顔をして、綾妃が
「それ、本当なんですか? ディオスさん」
ディオスが厳しい顔で頷き
「アースガイヤの世界王族会議でも、メルディオルさんの統合軍でも承認された」
アーヴィングが
「そんな事をして大丈夫なんですか?」
ディオスが苦しそうな顔で
「良いも悪いもない。そうなるしかない」
奈々が
「到着は何時ですか?」
ディオスが鋭い視線で
「五時間後だ」
それを聞いた牧山が苦しい顔をして俯いた。
それは嵐がくる前触れだ。
別の頃、中山に偽装した一莵が姿を隠す時空戦艦で
「ふぅ…バレなかったか…」
と、中山の偽装を解除する。
それに奈瑞菜が飲み物を持って現れ
「お疲れ。見事な演技だったわ」
一莵が右手を見つめると、金属の円盤形装置が右手の甲にあり
「受け答えは、全部エミュレートさせた中山 雅人の人格データが返答したが。バレないモノだな」
奈瑞菜が
「視覚情報が優勢の人類にとっては、見かけさえ合っていれば騙せるものよ」
そこへ先輩の少女が来て
「いや…見事な大根役者だった!」
と、イタズラに笑んでいる。
その両脇には巴とジャンヌがいて、ジャンヌが
「このバカ女が、我らの事を喋ろうとしていたぞ」
先輩の少女が
「メンゴメンゴ。今度、何か美味しいモノを食べさせるから許してよ」
ジャンヌが
「我ら廃棄されし女神には飲食なぞ不要だ」
先輩の少女が
「それでも人生を楽しむには必要だろう。あ、アタシ達、人生じゃあなくて、神生かな?」
一莵が呆れつつ
「遊んでいるのは、構わないが…目的を忘れるな」
「はいはい」と先輩の少女は軽く答える。
ジャンヌは沈黙する。
巴が「計画は?」と尋ねる。
奈瑞菜が
「ゼキスのヤツから連絡があったわ。アースガイヤで動きがあったわ」
先輩の少女が
「じゃあ、ラストダンジョンの準備をしないと…シメは大事だよ」
奈瑞菜が
「滞りないわ。ヘイムダムガッツオーは、この惑星の上空に隠してあるもの…」
先輩の少女が
「シメの主役は?」
一莵が
「彼女に決めている。中山の…大切な女だった牧山 明菜だ」
ジャンヌが
「武器はどうする?」
一莵が
「時期を見て渡す。それで良いか?」
ジャンヌが
「聖帝の一団は、私達が対応する。後のアースガイヤの雑魚は、アームメタル達が対応する」
一莵が
「ぼくは、仕掛けの為に奔走するよ」
先輩の少女が
「じゃあ、各々、エンディングまで頑張りましょう」
一莵が
「ああ…これで我々に必要な実験は、全て揃うという事だ。後は…」
巴が
「ええ…あの日に向かって動くのみ」
日の本星系区、都市部の海上に着水して止まる機神型移動要塞戦艦エルディオンの甲板からディオスが夜空を見上げている。
その隣にナトゥムラが来て
「すんなり決まったな」
ディオスが
「本当は、こんな事になって欲しくなかった」
ナトゥムラが
「そうだな。だが、来てしまった。なら…やるしかない。出来る限りな」
ディオスが見上げる夜空、その遙か上、宇宙から目映く輝く魔導戦艦達が降臨して来た。
一斉に日の本星系区の通信やメディア端末に緊急事態の放送が展開される。
「これをご視聴の皆様、なるべく、多くの人達に呼びかけて、この放送をご視聴ください。
現在、日の本星系区における大量破壊の事案に関しまして、内閣及び、首相官邸による話し合いの結果、本事案は、日の本星系区の力では解決不可能であると判断しました。
よって、本事案に関して、アースガイヤ星系の力を借りる事で解決する事を判断しました」
日の本星系区の空からアースガイヤの魔導戦艦の艦隊が降臨する。
その中にメルディオルの統合軍と、別時空の、レガリア宇宙の時空艦隊、アヌビスのゴールドジェネシスの時空艦隊もいた。
日の本星系区は、他国の戦力を受け入れる事となった。
これは、日の本星系区の特別自治が始まって以降、初の事だった。
それを日の本星系区の人々が驚愕と恐れで見上げいた。
アースガイヤの魔導戦艦達と、別時空の時空戦艦の艦隊が日の本星系区の頭上に降り立つと、アースガイヤの魔導戦艦達からゼウスリオンが発進する。
その中に、一回り大きなネオデウスギアスの姿もあった。
ディオスがいるエルディオンの上に、魔導戦艦が静止する。
そこから充人と、六名のアースガイヤの機神使い、マジックギガンティス達が来た。
充人が右手に持つカバンをディオスに渡して
「これが諸々の書類が入ったモノだ」
それをディオスが受け取り
「ありがとう充人」
充人が渋い顔で
「大きな銀河間の問題なら、外へ派遣された事はあったが…」
マリオン時空の案件の時だ。
充人が深い溜息で
「イチ惑星の案件で派遣されるとは…難しい問題だ」
ディオスが
「すまん。何とか…小規模で終わらせたかったが…できなかった」
充人がデータ端末を取り出して
「この惑星に来る時に衛星軌道上から、捉えた異変だ」
ディオスがそのデータ端末を睨み
「これは…」
充人が
「この惑星の赤道域にある大海の上空で、未知のエネルギーに包まれて姿を隠して移動している十キロの物体を探知した」
ディオスが「はぁ…」と溜息を漏らし
「何時から仕込んであったんだ?」
充人が
「直ぐに部隊を展開して、明日にでもそこへ向かうぞ」
「ああ…」
と、ディオスは答えつつ大きく事態が荒れるのが目に見えていた。
遂に始まったアースガイヤ達の部隊派遣。そして、全ては終わりに向かって
次回、エンディングの役者