第769話 過去の思い 後編
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日の本星系区の攻撃型艦の司令室でラハトアが苛立ち
「イヤな予感がする」
それに隣にいるディオスは無言で頷き
「同感だ。早く」
と、先を告げる前にラハトアが何かを察知してディオスに飛びつく。
ディオスがラハトアに押し倒されて「え?」と呟いた瞬間、ディオスが立っていた場所、その天井から足下まで抉れて消失した。
そして、天井が八つ裂きのように切り裂かれ崩壊する。
金属の塊の天井の破片が散らばり、ディオスはシールドの魔法を展開して身を守る。
そして、破壊された天井から二つの影が降り立つ。
破片が山となった上に降りた二人。
一人は銀髪で白いスーツのような服を纏い、もう一人は黒髪で全身が黒のスーツ。
二人とも女だ。
黒髪の女が空間に線を描くとそれが扉となって巨大な剣の装甲が出現して、右腕に装着される。
銀髪の女は両手を交差させた瞬間、両手にガトリングを火炎放射器が合体した武器が装着される。
青ざめるディオス。
ラハトアは直ぐに武装を魔導収納にあるアーマーゼウスリオンを装備する。
黒髪の女が一直線にディオスへ斬りかかる。
それをアーマーゼウスリオンのラハトアが受け止めるが…
「ああああ!」
と、ラハトアを黒髪の女は押して壁を破壊して突き抜ける。
ディオスは、直ぐにデウスマギウス・アミダライオウを装備するそこへ、銀髪の乙女が五連ガトリングを火炎放射器を向ける。
轟音と爆炎が司令室を包み、嵐の如き銃弾と火炎をディオスは、デウスマギウス・アミダライオウのシールドで受け止める。
司令室が火炎とガトリングで破壊され、それに耐える重機の如きデウスマギウス・アミダライオウのディオス。
後ろには、牧山と秋田司令がいる。
その二人をデウスマギウス・アミダライオウの腕の一つに掴ませて、脱出しようとするが銀髪の女が攻撃しながら迫り蹴りを放つ。
その蹴りを放つ瞬間に銀髪の女の右足に装甲が被さる。
三メートル以上の大きな超金属体のデウスマギウス・アミダライオウが飛び石のごとく飛ばされる。
司令室の壁に衝突するデウスマギウス・アミダライオウへ、更なる追撃を銀髪の女。
両足に装甲をまとい跳び蹴りをする。
ディオスは、額のサードアイを開いて跳び蹴りを分析すると、超重力の威力を纏わせたトンでもない攻撃だった。
デウスマギウス・アミダライオウが施設の壁達を突き抜けて海上へ出てしまう。
海を飛び石のごとく跳ねるデウスマギウス・アミダライオウは、残りの腕達と深紅の赤い金属翼から勢いを殺す力のベクトルを放って海上で止まる。
「ラハトアは?」
と、ディオスが探すと遠くで黒髪の女に押されているのが見えた。
そこへ、施設から飛び出して飛翔する銀髪の女が、ガトリングと火炎が容赦なく叩き込む。
デウスマギウス・アミダライオウの操縦席である胸部にいるディオスは、右腕達の一部にいる牧山と秋田司令を見て動く事をためらう。
超加速や強大な威力の攻撃を放てば、それに守られない彼女達は…。
銀髪の女はフンと笑む。
ディオスが防戦しているのは、保護している女達が原因だ。
「都合がいい」
と、銀髪の女は容赦なく攻撃を続けつつ、出てきた施設を見る。
その施設へとある物体が降り立つ。
破壊された司令室。
そこは、退去命令が発令されて施設職員が逃げていた。
その現場に黒い装甲のマントを纏う機械の兵士が降臨する。
機械の兵士は施設全体を見渡せる位置の高さに静止して、両手と装甲のマントを広げる。
マントになっている装甲の一枚一枚には何かの発射口があり、それは両手の指先にもある。
その発射口から不可視の何かが飛び出して眼下にしている施設を攻撃する。
不可視の力に触れた部分が何かに抉られたように消える。
攻撃型艦のある施設が一機の機械兵士によって破壊されていく。
それをディオス達は止められない。
銀髪の女と黒髪の女の猛攻で動けない。
ディオスは、ルビードラゴンの力、凍結の炎を使う。
対象の時間を自在に操作する力の波動を放つ。
見えない時間操作の波動は、ディオスを攻撃する銀髪の女へ近づく。
銀髪の女がニヤリと笑む。
それにディオスの背筋が冷たくなる。
銀髪の女が両腕に装備するガトリングと火炎放射器を時間操作の波動へ叩きつける。
ガトリングと火炎放射器が波動にぶつかった瞬間に砕け散り消えると同時に時間操作の波動、フリーズ・フレアが消えた。
ディオスはそれを見て青ざめる。
そして、額のサードアイで銀髪の女の胸部に脈動する体内の光を見た。
銀髪の女の胸部、そこにコアがあり、そこから木の根のように全身に黄金の筋が広がり、そして…頭部には、この三次元世界で観測不能な事件にある光の円環を見た。
ディオスとラハトアを攻める銀髪の女と黒髪の女は、この世の存在ではない。
銀髪の女が笑む。
粉砕された装備の次を取り出す。
それは槍だった。装甲が幾重にも重なったクリスマスツリーのような槍を取り出して握りディオスへ向かって放つ。
空気を切り裂いて迫る先端。
それにディオスは、アミダライオウの腕を重ねて守る。
四対あるデウスマギウス・アミダライオウの腕の二つは牧山と秋田司令を持ち、残りの六つの装甲腕で作る防壁だが、それを銀髪の女の槍は貫き最後の腕に達した瞬間。
ディオスの頭上から一閃が降りて、銀髪の女の槍を破壊した。
海面に降りた一閃が海面に反射して、銀髪の女へ向かうと無数の斬撃となって襲いかかる。
ラハトアの相手をした黒髪の女がそれを見て、ラハトアを蹴り飛ばし瞬間移動で銀髪の女の前に現れる低く構えて、無数の斬撃と切り結ぶ。
ディオスは助かった…と。
そして、助けた一閃の人物の名を叫ぶ
「ナトゥムラさん!」
ディオスを助けたのは遙か宇宙圏から降下したナトゥムラだった。
ナトゥムラは青と白のトリコロールカラーのゼウスリオン・アーマーを装備して、銀髪の女と黒髪の女に斬撃を放つ。
その速度は光速に達していて、無限のような斬撃が黒髪の女と銀髪の女へ放たれる。
その斬撃の全てを黒髪の女は切り結ぶ。
そして、ラハトアの元へ
「大丈夫か?」
と、アーヴィングと阿座が駆けつけてくれた。
ラハトアは力が抜けて
「助かった…」
銀髪の女と黒髪の女は、町の岸辺に着陸するが、そこへネオデウス組の彼女達三人、洋子と悠希、朱里が攻撃をする。
そして、その上に機神型時空要塞戦艦エルディオンが降臨する。
ディオスの仲間達が到着した。
デウスマギウス・アミダライオウが損傷したそこへ、奈々と綾妃、愛が来て
「彼女達を保護しますね」
と、愛がクレスケンスの大きな翼の手に牧山と秋田司令を入れる。
ディオスが「助かる」と告げて損傷したでデウスマギウス・アミダライオウの腕をパージすると、エルディオンから代替の腕達が飛んできて合体する。
「アイツを何とかするぞ」
と、施設を攻撃する機械兵士を指さす。
そして、ディオスは超加速して、それに翼と綾妃が続く。愛は保護した牧山と秋田司令をエルディオンへ収容する。
音速、亜光速、光速で機械兵士へ突貫するディオス。
それに機械兵士は反応できなかった。
吹き飛ばされる機械兵士へ、奈々が斬撃と綾妃が精密射撃をする。
ディオスは、これ幸いと思う。
どうやら、銀髪の女と黒髪の女以外、大した戦力ではない。
機械兵士が何かで攻撃しようとするが、その発射口を翼の斬撃が切り裂く。
綾妃が「奈々! どけ!」と告げるとネオデウスから巨大な砲身を作り、強烈な弾頭を発射した。
それに機械兵士が貫かれてバラバラになった。
破壊された機械兵士を遠くから見つめる銀髪の女と黒髪の女。
その四方向をナトゥムラ、ネオデウス組の洋子と悠希に朱里が押さえている。
悠希が
「投降するなら、身の安全を保障します」
銀髪の女と黒髪の女は沈黙で答える。
ナトゥムラが
「じゃあ、制圧させて貰うぜ」
だが、突然に現れたミサイルが黒髪の女と銀髪の女の頭上で爆発する。
普通の物理的爆発なら、ナトゥムラのゼウスリオン・アーマーや、彼女達三人のネオデウスに傷さえ付かない。
だが、それは普通の爆発ではない。
斥力の重力波を伴った爆発だった。
斥力にて吹き飛ばされるナトゥムラとネオデウスの三人。
そして、銀髪の女と黒髪の女の上に空間からしみ出すように時空戦艦が出現して、下部が開く。
そこへ銀髪の女と黒髪の女が飛翔して乗り、そこに奈瑞菜と先輩の少女と、サングラスをした中山がいた。
中山 雅人が
「時間をかけ過ぎた。ジャンヌ、巴」
ジャンヌである銀髪の女は笑み
「いいじゃない。少しくらい遊んでも…」
二人を回収した後、時空戦艦は瞬時に消えた。
何処かへ瞬間移動したのだ。
瞬間移動する前にナトゥムラが追跡のナノマシンのカプセルを時空戦艦へ投げるも、時空戦艦から放たれる見えない力でカプセルが弾かれて付着できなかった。
ナトゥムラが通信で
「すまん。追跡の枝を付けられなかった」
と、ディオスに送る。
ディオスはデウスマギウス・アミダライオウの通信から
「いいさ。それよりもこんなにも早く来てくれて助かったよ。ありがとう」
通信でナトゥムラが
「この後、どうする?」
ディオスがナトゥムラと通信しながら、破壊した機械兵士の破片を見て
「調べたい事がある。ちょっとつき合って欲しい」
ディオスは、破壊した機械兵士の動力炉らしきコアをデウスマギウス・アミダライオウの装甲腕の手を伸ばして特殊なエネルギーを放って回収する。
ディオスは、回収して浮かぶ機械兵士のコアを見つめて
「おいおい、マジかよ」
隣に奈々が来て
「ディオスさん。それは相手の…」
ディオスは鋭い視線で機械兵士のコアを見つめて
「ロアデウスの技術の流用がある」
救援が来たディオス。
彼女達が残した兵器の正体は…
次回、迷宮への誘い
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