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第757話 人型ゴーレム事案 出会い

次話を読んでいただきありがとうございます。


 子供達、ティリオとリリーシャにゼティアの三人は、ルビードラゴンに連れられて王都にあるオルディナイト邸宅へ向かっていた。

 子供達は、無意識にルビードラゴンが護衛を担っていると気付いていた。


 ルビードラゴンの視線が鋭く殺気立っている。

 この人型ゴーレム災厄事案の発動は、今やアースガイヤ全土に広まっている。

 もし、これが…意図されて行われたなら…。

 それを発見した子供達は、絶対に狙われる。


 ルビードラゴンの両手が下がり、ティリオとリリーシャにゼティアの三人の前を進む。

 ルビードラゴンは、袖から何時でも武装を取り出せる態勢で、神経を尖らせて警戒している。


 ティリオが

「ルビーおじさん。ぼく達だって戦える。だから」


 ルビードラゴンが

「三人は、分析に集中して欲しい。その為に余分な事をさせたくない。今、ヘオスポロスの格納庫に収納してある、オレの無人兵器達を派遣させた。一時間後には到着する。無論、アインデウスやディオス達には通達してある。この事案が終わるまで…オレは、お前達の護衛や、ディオスの家族達の護衛を続ける」


 リリーシャが

「それなら、ルビーおじさんも力を貸した方が…」


 前を行くルビードラゴンが後ろにいるティリオ達に振り向き

「いいか、それ程に三人が重要視されているという事だ。自覚してくれ」


 ルビードラゴンの静かな鬼迫に、三人は「う…ん」と頷いて息を呑む。

 子供達三人にとっては、説明して終わりと思っていた。

 だが、違っていた。

 公の場で、ティリオ達が発表をしたという事は、本事案の解決をする役を担わされたという事だ。


 今後、見つかった人型ゴーレムは全部、ティリオ達三人の元へ来るだろう。

 より解決を促す為に…。


 十三歳の子供ながらもの凄い重圧を感じてしまった。


 それをルビードラゴンが見て、少し悲しくなる。

 まだ、十代後半にもならない少年少女に世界を救う責務の役を担わせる。

 仕方が無いとはいえ…納得はしていない。

 聖帝ディオスの血族、その持つ能力のポテンシャルは桁違いという事だ。


 ルビードラゴンが三人へ振り向いている最中に

「あの…道を…聞きたいのですが…」

と、道を尋ねる人が来る。


 ルビードラゴンがその人物に振り向く

「なんでしょう?」


 ティリオがその人物を見た瞬間、青ざめて 

「ルビーおじさん! 逃げて!」


 それで瞬時にルビードラゴンは察知した瞬間、道を尋ねた人物が激しく痙攣して爆発した。

 ルビードラゴンは逃げない。腕を前に出して防御を全開にして後ろにいるティリオとゼティアにリリーシャの三人を守る。


 爆風がルビードラゴンという盾に防がれてティリオ達三人は無事だった。

 そう、人型ゴーレムが爆発した。

 ティリオだけがそれを見抜いていた。


 ティリオが

「ルビーおじさん! 大丈夫!」


 ルビードラゴンにダメージはない。この程度、損害にならないが…。

「ティリオ、周囲にいるか?」


 ティリオは、自分がいる町の片隅を見渡す。

 その周囲にいる人々が驚き立ち止まっている。

 動きがないのだ。


 ティリオが焦り

「まずい、みんな…立ち止まっている。少し動けば、動きの違和感と、その動く事で空間の魔導波動が独特に歪むから分かるけど…」


 ルビードラゴンが厳しい顔で

「下手をしたら…いるぞ」


 ティリオ、ゼティア、リリーシャの三人に緊張が走る。

 もし、ここに数体も…それが連鎖爆発したら…。

 この場にいる人々を守れない。


 そこへ

「神具、ラビットフット」

と、叫んで走ってくる人物がいた。

 佐々木 一莵だ。

 一莵は、曙光国の出身故に、その血筋に神具という装備を展開できる。

 大抵は、槍や弓、剣、鋼の獣、それにスキルを付属させられる場合もある。

 セイントセイバー達のネオデウス組の彼女達も神具を持っているが…普段は使う事がない。なので曙光国の者には一生、使わない者もいる。

 佐々木 一莵

 一莵の神具は他と違う。

 それは砲身だ。ただの砲身ではない盾と合体したメカニカルな砲身で、それが左腕に接続されている。

 一莵は、群衆にいるとある人達に砲身を向けて、神具の弾丸を放つ。


 その弾丸に打ち抜かれた瞬間、胸部が瞬間凍結して倒れる。

 

 悲鳴を上げる人々だが、ティリオだけは打ち抜かれた者の正体を知っていた。

「まさか、人型ゴーレムが…」


 凍結して倒れた瞬間、金属音を響かせる。

 凍結して倒れるではない。金属の物体が石畳の道路に落ちての音だ。


 そして、群衆に紛れていた人型ゴーレムが飛び出して一斉に、ティリオと一莵を襲撃するが、ティリオは凍結の魔導剣を握り、一莵は具現化した神具の砲身ラビットフットから弾丸を放って襲ってくる人型ゴーレムを凍結して倒した。


 ティリオが一莵に近づき

「あの…」


 一莵は、具現化した神具を消して

「大丈夫ですか?」


 ティリオが一莵に

「分かるのですか?」


 一莵が頬を掻いて

「その…確証はなかったのですが…。これで…確信に変わりました」


 ティリオは十三歳だが長身の一八〇なので、それより少し背が低い十代後半の一莵と同年配に見える。


 ティリオの隣にルビードラゴンとリリーシャにゼティアが来て、リリーシャが

「この人…分かる人なんだよね?」


 ティリオは頷き

「ああ…少しお話を聞かせて貰っても?」


 一莵は困惑気味に

「その…連れがいまして…」


「いっとーーーー」

と、声を掛けて駆けつける一莵と同年配の少女がいた。

 一莵の隣に来た少女が

「いっとの知り合い?」


 一莵が

「志甫ちゃん。この人達は…」

 それに続いて多数の者達が来る。

 四人、男女半々で一莵と年齢が近い。


 ティリオがそのグループに近づき

「あの…彼と…話をさせて貰えませんか?」


 グループを取り仕切る二階堂 有樹が

「ええ…でも、ぼく達は旅行中で…」


 ティリオが頭を下げ

「お願いです。大事な話なんです」


 一莵達のグループは困惑していると、グループ内にいる銀髪の乙女が

「良いじゃないか。少しくらい予定が変わっても、それに…」

と、銀髪の乙女がティリオ、リリーシャ、ゼティアの三人を見て

「まさか、聖帝の血族とお知り合いになれるなんて、またとない機会だぞ」


 銀髪の乙女、伊集院 睦美に金髪の男、工藤 尾津が

「マジで?」


 グループの黒髪眼鏡の乙女、西園寺 亮子が頷き

「ええ…睦美の言う通りよ」


 一莵達のグループは、この王都ベンルダンへ旅行に来ていた。

 学生の長期休暇の最中に設けられた旅。

 一莵達グループは、映画研究会というクラブ活動をしていて、王都ベンルダンが使われた映画達を見て、撮影に使われた場所を巡っていたのだ。

 

 一莵達は、ティリオ達に連れられてオルディナイト邸宅に来る。

 巨大な邸宅を前に、一莵達は興奮に包まれていた。一莵を除いて…。

 ルビードラゴンがその変化に気付いていた。

 一莵だけ妙に落ち着いている。

 志甫と有樹に尾津の三人は驚きで、睦美と亮子の二人は溜息だ。

 睦美と亮子の身なりや持ち物から、おそらく二人は良家の出だろう。

 ティリオについても詳しく知っていた。

 志甫と有樹に尾津は、違う。曙光国で一般的とされている部類だろう。

 それは一莵も同じな筈だが…。

 

 ルビードラゴンが渋い顔で考えながら

 ただ、単に胆力があるだけか? 

と、疑問をよぎらせるも、額のサードアイで全員を見ても怪しい装置や諸々がない事は分かっている。

 先程の人型ゴーレムも対処した事を考えるに、何かの事で経験値がある…のか

と、ルビードラゴンは気に止めている。


 一莵達をオルディナイト邸宅へ招き歓迎した後、ティリオは一莵をディオスの屋敷へ連れて行き、とあるテストをした。


 それは、一莵のとある話からだ。


 一莵の言葉。

「自分の魔力波動と妙に干渉する人達がいるので…気にはしていて、まさか…それが人型ゴーレムだったなんて…」


 ティリオは、一莵を研究塔へ連れて行き、サンプルとしているリアクターと一莵の魔力波動の反応を調べると…

「ああ…これは…」

 リアクターのコアに使われている魔導素材が持つ魔力波動と、一莵が放つ魔力波動が干渉して、反応しているのを発見した。


 偶然にも、一莵の魔力波動とリアクターの持つ素材波動が干渉する波長域にあるのだ。


 これは、事案解決に対して大きな一歩だった。

 事件に巻き込まれた佐々木 一莵の一行達だが。

 それがこの事案を解決する手段を


 次回、人型ゴーレム事案、対処方法

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