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第755話 人型ゴーレム後編

次話を読んでいただきありがとうございます。


 ティリオは直ぐに帰宅して、リリーシャとゼティアに手伝いをお願いして回収したレオルトスの人型ゴーレムの分解を屋敷にある研究施設で行う。


 デウスメーカーに乗って人型ゴーレムを分解する三人。その周囲には耐爆魔法結界が張られている。

 金属の人型機械、人型ゴーレムの頭部、AI部分をリリーシャとゼティアが分解して、コアの人工知能システムを解析すると

「何コレ…」

と、リリーシャが驚きを上げ

「うそ、こんな欠陥…」

と、ゼティアが困惑する。


 ティリオは、胸部の動力を生み出す魔導リアクターを取り出すが、絶えずデウスメーカーから凍結の魔法エネルギーを照射してリアクターを止めている。

 そして、リアクターを分解して

「ウソだろう…こんな…信じられない。欠陥設計じゃないか!」



 ディオスは屋敷の玄関広間で佇んでティリオ達の結果を待っている。

 その隣には、ライドルとヴィルヘルムにアインデウスからの使いであるディウゴスもいる。


 そして、人型ゴーレムを分解し終えた子供達が帰ってくると、ティリオが

「父さん、大変な事になっている」


 ディオスが厳しい顔をする。

 それにライドルとヴィルヘルムにディウゴスも厳しい顔をする。


 玄関広間のテーブルに分解された人型ゴーレムの人工知能システムと、爆発しないようにしたリアクターが置かれた。


 ティリオとリリーシャにゼティアの子供達三人の説明が始まった。

 ティリオが

「この人型ゴーレムにあったリアクター、過剰に魔導エネルギーを取り出すようになっていて安全装置が付いていない! 普通なら、リアクターが破損しないように安全装置を付けているはずなのに、それがない! 爆弾と同じだ」


 リリーシャとゼティアが、リリーシャが

「この人型ゴーレムの人工知能システム、今までの人型ゴーレムなら非戦闘時の回路と、戦闘時の回路の二つの回路があって、状況によって切り替わるようになっているはずなのに…」

 ゼティアが

「非戦闘時の運動系回路を戦闘時の回路で補っている欠陥よ。もし、なんらかのショックで戦闘時の回路にスイッチが入った瞬間、過剰にリアクターからエネルギーを供給するようになって…最悪…」


 ディオスが頭を抱えて

「爆発するのか…。どのくらいの規模が…」


 ティリオが顔を引きつらせて両手を広げ

「ウチの屋敷くらい、簡単に消し飛ぶ」


 ライドルが青ざめて

「そんな、では、もし…現在…これが何らかの非合法組織に渡っているなら…」


 ディウゴスが眼鏡を押さえて

「歩く爆弾が…その辺りにいるという事ですね」


 ヴィルヘルムが驚きで

「まさか…自爆を容易にする為に…」


 リリーシャが

「その為にこんな手抜きをする必要なんてないわ。自爆用の簡素な回路を付け加えれば簡単よ」


 ゼティアが

「考えられる可能性としては、これを製造した非合法組織が装置の費用を削ったか、何も分からない馬鹿が設計したか、そのどちらかよ。あり得ないもの、こんな欠陥設計!」


 ディオスが頭を振る。最悪な驚きに意識が飛びそうになるも耐え

「このアースガイヤに歩く爆弾が闊歩しているという事か…」


 ティリオが

「父さん! 早く対処した方がいい!」


 それを聞いた全員が驚きで沈黙していると…ディウゴスの通信の腕輪が鳴り

「あ、はい」とディウゴスが出て「はい、はい、ええ…」


 その時、別室にいるライドルの部下がその場に来てライドルに

「ライドル陛下…」

 

 ライドルがその報告を聞いて「あ…」と青ざめる。その隣にいたヴィルヘルムも聞いてしまい頭を抱える。


 ディウゴスが通信を終えて

「ディオス様、アリストスの市内で…爆発がありました。その爆発の際に…人型ゴーレムの部品らしきモノが散乱している…と」


 ライドルが頭を抱えて

「ウチの国もだ。南部のトルキア共和国との境の町で…爆発が…その際に人型ゴーレムの破片が散らばって…」


 ティリオとリリーシャにゼティアの三人は呆然として、ディオスが苦悶の顔で

「緊急事態宣言を発動しても…構いませんよね」


 ライドルとヴィルヘルムにディウゴスは、黙って頷いた。


 ディオスが子供達を見て

「ティリオ、リリーシャ、ゼティア。お前達が調べた全てを書類にして作成してくれ」


 三人の子達は頷いて急いで書斎に駆け上がって、調べた事を書類に纏める。


 ディオスは、急いで屋敷にある魔導通信端末で、バルストラン王である妻のゼリティアに連絡を入れる。

「どうした? 急ぎだと聞いて驚いたぞ」

と、ゼリティアの声が端末から


 ディオスが苦しそうな顔で

「ゼリティア…最悪な事になった。非合法組織が使う人型ゴーレムに爆弾になっているという重大な欠陥が見つかって、それがアースガイヤ全土に広がっている」


「なんじゃと」とゼリティアが驚きを漏らす。


 ディオスが

「アースガイヤ全域に欠陥の人型ゴーレムによる爆発が多発する危険事態になった」


 

人型ゴーレムの重大な欠陥。

それがアースガイヤに広がる危機にディオス達は立ち向かう。


次回 人型ゴーレム事案

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