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第746話 再開の場

次話を読んでいただきありがとうございます。

 アースガイヤの上にある全長五万キロの軌道エレベーターコロニー・ミリオンの宇宙港に一隻の白銀に輝く時空戦艦が到着する。

 その時空戦艦から女神ルシーリアの世界からの使いでマキナが降りて来た。


 マキナは、宇宙港を見渡して

「しかし、これがあの男の資産の全てなんてねぇ…」

と、ディオスのミリオンの規模に驚いていた。


 マキナは、同じ港に着岸している時空戦艦達を見ると、その時空戦艦から黄金創世民の一団や、他の白銀創樹の女神の使い達や、聖堂力の民、竜化創装の民といった多種多様な時空民が来ている。


 改めてアースガイヤの懐の深さに驚きつつ、ミリオンからアースガイヤへ降りる宇宙船に乗って、アースガイヤへ降りた。

 目的は、ディオスとの謁見だ。


 マキナは、アースガイヤへ降りて、バルストラン共和王国の首都ベンルダンに来ると、更に賑やかだ。

 色んな形の種族、アースガイヤ特有の人族から魔族、獣人族、オーガ族、エルフ族といるが、それに加えて様々な宇宙民の種族までいる。

 ナーガ型、竜人型、アラクネ型、スライム型、ケンタウロス型、翼人型と、体の大きさは千差万別で姿形も違う者達が一同に町中を歩いている。

 アースガイヤ星系以外の宇宙民達の拠点は、惑星アースガイヤの周囲に浮かぶ宇宙国家戦艦アーステラだ。

 アーステラには、アースガイヤに満ちる魔導力を消す力場が構築されている。

 なので、アースガイヤに満ちる魔力の影響を受けないでいられる。

 だが、その中には適応する者達もいるので、それはアースガイヤに設置された外宇宙民用の居住区に住んでいる。


 色んな種族が混在する世界にいるマキナの時空では、この風景は然したる事ではない。


 マキナは平然に

「やっぱりこっちも似たようなモンか…」

 同じ魔法を技術として使う世界同士は、似てくる。

 そう、思っている。

 

 だが、アースガイヤがこうなったのも最近であり、まだまだ、整備が整っていない場合もあるので課題は多いが、緩やかに時間を掛けていくアースガイヤ民の気質によって、受け入れは進んではいる。


 マキナの右手には、アタッシュケースが握られている。

 これをディオスに渡す為に…と、あとは外交文書の受け渡しという二つの任務を受けている。

 外交文書は、定番の挨拶だけで問題は、こっちのアタッシュケースの中身だ。

 封印処置はされているので、発動する問題はないが…こっちが重要だ。


 マキナは、さっさとバルストラン王宮へ向かう途中に

「あれ、もしかして…」

と、町中で歩いている乙女に近づく

「やあ…確か…ルティーナ…だったか?」


 ディオスの娘ルーがマキナに気付き

「ああ…どうも、お久しぶりです」


 ルーとマキナは、共に歩きマキナが

「もう…四年近くになるのか…」


 ルーが頷き

「ええ…何の用事でここに」


 マキナがアタッシュケースを掲げ

「これをアンタのお父さんに渡そうと思ってね。それと…この外交文書を渡すのをね」

と、マキナは背にしている書類ケースのリュックを示す。


 ルーが

「なら、父さん達は、多分、オルディナイトの屋敷にいますから。案内します」


 マキナが微笑み

「ありがとうね」


 二人は歩きながらマキナが

「そういやぁ…聞いているよ。年に数回、アタシの世界の方に墓参りに来ているって」


 ルーは頷き

「ええ…父さんが、積極的に時間を作っては…そっちへ墓参りに行きますから…」


 マキナが遠くを見ながら

「律儀だねぇ…」


 ルーは微笑みながら

「父さんは、私を生んでくれた父さんや母さんも大事だって言ってくれるのです。だから…嬉しいです」


 マキナは、肩をすくめて

「律儀で義理堅いか…格好よすぎ」


 ルーは笑みで

「確かに格好いい所もありますけど、父さんも中々に情けない所もありますよ。それは普通ですね」


 マキナが笑み

「それは見てみたいわ。あの剛力そうな顔が情けなく」

と、言葉をする前にオルディナイト邸宅の門の前に来ると、門の向こうにあるゼウスリオンの機体達に驚く。

 全長が十五メートル前後の機神達が並ぶ屋敷の庭園に、マキナは困惑して驚きの顔をしていると、ルーが

「ああ…弟妹達の作ったゼウスリオンですよ」


 ゼウスリオンという機神達が並ぶ光景にマキナは顔を引きつらせて

「これは、アタシ等の世界に無いわ…」


 ルーが門の前に来て魔導認識すると、セバス達が来て

「お帰りなさいませルー様、後ろの方は…」


 ルーがマキナを見て

「父さんの客人です。別時空のユグドラシルの民の代表の方で」


 マキナがセバスに近づき

「初めまして、マキナ・シェブニグラスです。ご連絡の方は…」


 セバスが頷き

「存じております。その右手に持つケースが…」


 マキナが右手を掲げて

「ええ…例の…」


 セバスが「では、こちらへ」と案内へ。


 その途中、邸宅前の庭園にあるゼウスリオンの足下にいる人物にマキナ

「あ、ディオス様!」

と、近づく。


 マキナは、ディオスそっくりの彼に

「いやぁ…久しぶり。元気だった?」


 彼はマキナを見つめていると、マキナが

「アタシを忘れるなんてヒドいじゃん。メリンダスで一緒に戦った仲でしょう。ディオス様」


 彼は、頷き

「ああ…今日は、どのようなご用件で?」


 マキナが笑みながら

「なにそれ? 他人行儀みたいで、助けが欲しいなら何時でも呼べって言ってくれた仲じゃん。今日はコレよコレ!」

と、右手に持つアタッシュケースを掲げて示すが

「んん?」

と、マキナは、彼の顔を凝視する。

「あれ? なんか…若いような…」


 ルーが来て

「ティリオごめんなさいね。彼女は、アナタに会うのは初めてだから」


 ティリオは微笑み

「いいよ。ルー姉さん。父さんの客人なんだろう」


 マキナは驚き

「ええ…もしかして、ディオス様の息子様?」


 ティリオは頷きお辞儀して

「初めまして、ティリオと申します」

 そこへ、ゼウスリオンのコクピットからシュリオとゼティオも降りて来て

「どうしたの? ティリオ兄さん」

と、シュリオとゼティオがティリオと並ぶ。


 マキナは、三人の顔をマジマジと見つめる。

 身長は、ティリオが高いが…顔立ちや雰囲気は、同じだ。


 そこへディオスが来て

「おやおや、久しぶりの顔だな。マキナ」

 

 マキナは、ディオスと息子達の顔を交互に見つめる。


 ディオスは、その意味が分かっている。

 息子達と自分がそっくりなのだろう…分かっているさ!

と、内心で少しだけ苛立つ。


 マキナがディオスの息子達に

「どうだい? アタシの一族から誰か許婚を貰わないかい?」


 ティリオ、シュリオ、ゼティオの三人は、フッと笑む。

 ディオスが

「息子達には、先約があるんだ。ムリだ」


 マキナが

「良いだろう。男なら女がたくさんいても問題ないって」


 ディオスは苛立ち気味に腕を組み

「そんな為に来たのか?」

 ルーとセバスは、苦笑いだ。


 マキナは

「ディオス様の息子達を口説くの後にして、これさ」

と、ディオスの前に持って来て、それをディオスは受け取る。


 ディオスは、そのケースを開けると厳重の封印の魔力と魔方陣に特殊な魔方陣のシートが貼られた四つの金属の球体があった。

 それを見てディオスが厳しい顔で

「これを四つもか…」


 ティリオがディオスの開けたケースを覗いて

「もしかして…これ、ロアデウスのコア?」


「当たりだ」とディオスは告げて、再びケースを閉じた。


 マキナが

「逃走したデットルが作っていたわ。ま、正確には…逃げたデットルを追い詰めて見つけたデットルの秘匿研究施設で製造されていたヤツね」


 ディオスが厳しい顔で

「デットルは? 捕まえたのか?」


 マキナが肩をすくめて

「逃げられた…いや、誰かに逃走を手伝って貰って、行方不明よ」



別世界のマキナからもたらされたモノに新たな火種がくすぶるが

それでも日々は過ぎる。


次回、再開の場 その一

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