表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
讐怨《シュウエン》
736/1109

第735話 一時の終わり

次話を読んでいただきありがとうございます。


 エピオンと対峙するガラムが、吐いた。

 それを聞いてエピオンがハァ…と呆れた溜息をして

「なるほど、その連中か…」

と、エピオンはアズサワに通信を開くと、エピオンの隣にアズサワの立体映像が投影されて

「アズサワ…そういう事らしい」


 立体映像のアズサワは微妙な顔で

「ゼキスが、テロ組織に武器を提供した…とするなら、それ相応の証拠が欲しいが…。このセレソウム時空の統治機関の一派と繋がっているなら、この男はその一派が裏で子飼いにしている組織専用の犬であるという理由にされて…」


 エピオンが腕を組み

「非合法組織への武器供与にはならない…と」


 アズサワが頷き

「ああ…道理としては通る。エピオン、君の方の戦歴は?」


 エピオンが

「人的殺傷はゼロ、物的損失は甚大だ」


 ガラムが話を聞いてウソを吐く

「そうだよ! オレは…赤王家と碧王家の連中に飼われていた犬なんだよ」


 アズサワが

「だと言っているが…」


 エピオンが

「そうか、どちらにせよ。コイツの運命を決めるのは…」


 床に腰を下ろすガラムの背後にゲイオルが来た。

 ガラムは鬼のゲイオルを見上げ

「うあああああ! 助けてくれ!」

と、エピオンの足下へ抱き付くが、その顔をエピオンが蹴りゲイオルへ戻す。


 エピオンと鬼のゲイオルが見下ろすガラム。


 エピオンが

「通信で知っているな」


 ゲイオルが無言で頷き

「全てを話せ…」

と、威圧するとガラムが喋り始める。

 それは全部、ウソだが…状況がそれを納得させてしまう。


「赤王家と碧王家も、他にも新王派の一部も! お前が、お前の前のヤツも言う通りにならないから、しびれを切らしてこうなったんだよ! 全部、お前等のせいだ! オレは何も悪くねぇ! オレは、騙されたんだ! オレは…要するにテロっていうセレソウム時空が飼っている戦争屋なんだよ! 傭兵さ…だから…全部は、赤王家と碧王家と新王派の連中の策略なんだよ」

と、ガラムがとある連絡データプレートを取り出して

「これが…オレに命令していた連中の連絡先がある」


 それをエピオンが掴み調べる。

 中身のデータをアズサワへ転送すると、即座に通信からアズサワが

「ここの時空のシステムをハッキングして得られた情報を参照すると、全ての連絡先に一致があった。赤王家と碧王家と新王派だ」


 ゲイオルが怒りで震えていた。


 エピオンは最悪な結果に呆れてしまう。


 ガラムが

「なぁ…一つ教えてくれ…。なんでオレの力が…通じなかったんだよ」


 エピオンとゲイオルがガラムを睨む。

「ひぃ」とガラムは情けない声を出す。


 エピオンが

「簡単だ。お前が新たな力としていたのは、新たな力じゃあない。蓄電池だよ。超越存在の力のなぁ…」


 ガラムが顔を引きつらせて

「ええ…蓄電池…」


 エピオンが淡々と

「アムザクの遺産は、様々なエネルギーを増幅して貯める能力を有している。つまり、コアとなった彼女が持っている元からの超越存在の力をアムザクの遺産が増幅して蓄えていたのを、お前が使っていただけだ。新たなの力なんかじゃあない。元の力を増幅、蓄えて、使っていただけさ」


 そこへ、リュウセイ将軍達が駆けつける。

 そこにレイシャもいた。


 レイシャが「ゲイオル!」と名を叫ぶが


「アイツだ! アイツらがオレにこうしろって命令したんだ!」

と、ガラムがリュウセイ達を指さす。


 リュウセイ達は困惑して、そこへ鬼の顔をしたゲイオルが向く。

 

 リュウセイ将軍は、困惑しつつも

「どういう事だ? 何が…」


 ガラムが叫ぶ。

「アイツらがオレに命令して、こうしろってさせたんだ! オレは、アイツらに命令されたんだよ!」


 リュウセイ達は全て察した。違うのに自分達が元凶にされている。

 リュウセイ将軍が

「ゲイオルくん我々の話を」


「黙れ」と告げる鬼のゲイオルを見て、全員が黙ってしまう。


 エピオンがリュウセイ将軍の下へ来て

「これを、そこの男が差し出した。連絡先の一覧だ。アンタ達の分も入っている」


 リュウセイ将軍がそれを受け取り青ざめて

「聞いてくれゲイオルくん、これは…」

 

 ゲイオルが鬼の顔をリュウセイ将軍に向ける。

 その反応を見てリュウセイ将軍は項垂れる。今、言った所で火に油だ。


 ゲイオルがリュウセイ将軍達の間を通り過ぎて

「ゲイオル…」とレイシャがその袖を掴むも

「触るなよ」とゲイオルがレイシャに怒りの顔を向ける。


 レイシャは青ざめて離した。


 ゲイオルが妹シュンカが組み込まれたシステムがあるホールへ向かおうとしたが、ガクンと浮いていた母艦が揺れる。


 ゲイオルの右耳にあるインカムからアズサワが

「急げ! 妹さんがいるアムザクの遺産で異常なエネルギー増幅を感知した。強引にシステムの組み込みをした影響で暴走が」


 ゲイオルが妹シュンカのいるホールへ走るも、アムザクの遺産の暴走によってシュンカが組み込まれたシステムから超越存在のエネルギーが噴出して、そのホール全体を包み。


「シュンカぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

と、走るゲイオルが手を伸ばすのも空しく、ホール全体が消失した。


 ゲイオルの前に巨大な円形に切り取られた場だけが残った。


 そして、シュンカの乗せたシステムは、別の時空へ、あの荒野へ出現して残っていた超越存在のエネルギーで空間を圧縮して閉じた。

 その余波で、クレータのような跡を残した。



 ゲイオルは、妹が消えたそこを見て呆然とする。


 その後ろへエピオンが来て

「アズサワ…」


 通信でアズサワが

「多分、蓄えていた超越存在のエネルギーの影響で、消失したのだと思う」


 エピオンが

「生存している確率は?」


 アズサワが

「言える確率だと思うか?」



 こうして、全てが幕引きした。

 ガラムは捕まり、自らの生存の為に叫ぶ。

「オレは命令されただけだ! アイツらが悪い」


 多くの赤王家と碧王家の者達を巻き込んだ反乱は、セレソウム時空の対外的説明として、テロリストによる事件とされたが、加わった者達の多くがセレソウム時空の中枢部であった為に、それを隠蔽する為に…。


 翌年、アルシャナス女王は即位して、セレソウム時空は何時もの平穏が続く。

 だが、ゲイオルとレイシュンは、セレソウム時空の皇帝宮から出る事が出来なくなった。

 

 このセレソウム時空で、次の超越存在の血統を生み出す血筋は、二人しかいない。


 皇帝宮からゲイオルは空を見上げる。

 その後ろでレイシャが呼びかける。

「アナタ…」


 ゲイオルとレイシャは婚姻して、この皇帝宮内で住居を与えられた。


 ゲイオルがレイシャを見る。

「ああ…どうしたんだ?」

と告げるゲイオルの眼には覇気がなかった。


 レイシャが「昼食よ」と告げる。


「分かった」とゲイオルは頷きレイシャと共に向かう。

 外から見れば、ゲイオルとレイシャは仲が良い夫婦に見える。

 だが、二人には相容れない溝が出来てしまった。

 どんなに夜を共にしても、そして二人の子を成しても…その溝は埋まらない。


 だが、それでも時間は未来へ進む。

レイシャとゲイオルが夫婦となって一ヶ月くらい過ぎた頃に…

 レイシャが体調を崩した。

 ゲイオルが心配になり

「大丈夫か?」

と、レイシャをベッドに横にさせて労る。


 レイシャが天井を見上げて

「うん。大丈夫。多分…その…」

と、言いよどむ。


 ゲイオルが心配な顔で

「何か…あったのか?」


 レイシャが

「多分、お腹にいるんだと思う」


 それを聞いてゲイオルは驚く。


 直ぐに医療の診断を受けたレイシャの結果は、懐妊だった。


 ゲイオルとレイシャの間に娘が誕生した。


 数年後…ゲイオルは娘ユエを抱えて、皇帝宮内に咲く桜を見上げる。

 それを嬉しげに近くのテーブル席から見つめるレイシャがいる。


 アルシャナス女王が部下を連れて訪れ

「最近、どうですか?」


 レイシャが立ち上がりお辞儀して

「女王陛下。おかげさまで、夫も娘も健やかに過ごしています」


 アルシャナス女王は頷き

「それは良かった」


 そして、そこに

「ああ…女王陛下」

と、レイシュンとシュンエイの二人が来た。


 一団に気付いたゲイオルが一歳前後の娘ユエを抱えて

「なんだ? 一同に介して」


 アルシャナス女王が微笑み

「お花見をしませんか?」


 レイシュンとシュンエイも同じで、お花見の支度をしていた。


 桜が満開の下で、大人数のお花見が始まる。

 皇帝宮は、全長が数キロ単位と都市レベルの広さだ。

 その内部にある桜の木が並ぶ広場で、穏やかな花見が続く。


 ゲイオルとレイシャに娘ユエの家族、数年後には結ばれるレイシュンとシュンエイの二人、そしてアルシャナス女王達。

 確かに、そこには幸せの情景が広がっていた。


 それが続くと、誰しもが思っていたが…。 


全てが愚か者のウソですれ違ったままだが、それでも時間は前に進み。

次回、兄弟の意思

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ