第72話 ココナが来た日
読んでいただきありがとうございます。
ちょっとしたお話です。
気晴らし程度なので、軽く読んでみてください。
こんにちわ。私はココナ・ブレンナ。
両親はシューティア教会の司祭と修道女で、姉がいて、下に妹と弟がいる。
四人姉妹兄弟です。
夢は、メイドさんで、特に赤ちゃんが好きです。
司祭の父親と修道女の母親は、剣術が得意で、小さい頃から剣術を教養として習いました。
お陰で剣術はとても得意です。
この特技は、成りたいメイドさんの特技としては…あまり、活用出来ないけど…。
それでも立派なメイドを目指して、メイドの学校に通っていました。
十六になると、いろんな貴族やお金持ちからメイドに登用される友達。
私の特技は、赤ちゃんのお世話と剣術で、掃除や…お洗濯、料理は…まずまずです。
でも、めげない。
きっと立派なメイドさんになれると信じて…。
次々と、友達や仲間が色んな屋敷へメイドとして、行ってしまいます。
もし、このまま…お声が掛からないと、卒業して、自分で勤め先を探さないといけません。
そうなっちゃうのかなぁ…。
そんなある日、私にお声が掛かりました。
その人が提示した条件は、赤ん坊の世話が出来て、武術を修めている者でした。
まさに、私にピッタリでした。
連れて行ってくれる人が来ました。
赤髪で精霊の眷属の、目元が鋭い眼鏡のメイド長、レベッカさんです。
レベッカさんの説明では、屋敷の主の妻達に…。
妻達? 奥さんが二人いるそうです。
じゃあ…貴族なのかなぁ…。
とにかく、主の旦那様と、奥方達の間に子供が出来て、その世話をするメイドが欲しくなったそうです。
なんでも、旦那様は、産まれた赤ちゃん達が大好き過ぎて、何時もそばに置く程で、その為に、旦那様の抱えている大事な仕事が滞るのは、いかんしても良くないと…。
それに、旦那様は魔法に関する技術魔導士なので、どうしても、物騒な事が舞い込み易いというので、赤ちゃんの護衛も出来るメイドが欲しかったようです。
まさに私に、ピッタリ!
こうして、レベッカさんと共に、屋敷に来ました。
二棟並ぶ大きな屋敷で、何でも元は、この地帯に止まる飛空艇乗りの宿だったそうです。
先輩の二人がいて、一人は金髪のレベッカさんの少し低い感じのユーリさん。
レベッカさんと同じ、ちょっと怖い顔だけど、背が低い方の私と同じ大人しめのチズさん。
二人は、私を歓迎してくれました。
そして、屋敷の庭で、武術の訓練をしている奥方様達に顔合わせしました。
あれ…なんか…何処かで…顔を見たことあるようなぁ…。
金髪のポニテールの笑顔が愛らしいクレティア奥様。
清流の如き黒髪で、ミステリアスな感じの麗しいクリシュナ奥様。
二人は武術家で、早速、私の剣の太刀筋を見てくれました。
クレティア奥様とクリシュナ奥様は、とても褒めてくれて、定期的に、一緒に武術の訓練をする事になりました。
やったーー 剣の腕が上がるぞーーー
そして、お子様とご対面しました。
二人とも黒髪で、同じ日に生まれたそうです。
同じ日に生まれたのに、男の子のティリオちゃんは、女の子のリリーシャちゃんより一回り大きいです。
食べる量も、リリーシャちゃんより多く、どんどん大きくなっているようです。
それに、ティリオちゃんは、旦那様と顔が良く似ているらしいので、産んだクリシュナ奥様は、もう一人の旦那様を産んだようなモノね…と言っています。
屋敷の主、旦那様は…仕事の為に他国へ出張中だったのですが…。
なんと、旦那様が誘拐される事件が勃発。
そして…何と、三人目の奥様がいるらしく、屋敷で三人目の奥様である赤髪の凜とした麗しいゼリティア様と一緒に、誘拐された先から連絡する旦那様の応対をしていました。
そして…さらに…なんと…バルストラン国王のソフィア陛下達も訪れました。
旦那様と、ソフィア様との関係は、師弟らしく、旦那様はソフィア様の弟子で、その臣下の魔導士だ、そうです。
え…ちょっと待って。
ソフィア陛下の弟子で臣下…。クレティア奥様とクリシュナ奥様を、どこかで見たような…。
あ! ヴァシロウス討伐の時に、放映された場景で…。
そう…私は、肝心な事を聞いていませんでした。
旦那様ってどんな人?
ユーリさんが答えてくれました。
ディオス・グレンテル
え…
その名前に心辺りがあります。
そう、それはとても有名です。ヴァシロウスを倒し、アーリシアを纏めた。
アーリシアの大英雄とされる、凄い人物です。
妹弟の教科書にも、その名前が載っている程です。
ユーリさんが、旦那様の顔写真を見せてくれました。
あーーーーー
そう、あのアーリシアの大英雄本人でした。
教会にいるアイナお姉ちゃんへ。
私はとんでもないお屋敷にメイドとして来てしまいました。
旦那様の赤ちゃん、ティリオちゃんとリリーシャちゃんは、とてもかわいいです。
ですが、旦那様は…どんな人なのでしょうか?
映像や写真で見た時は、とても厳しい顔立ちでした。
帰って来る時が不安です。緊張します。
怖い人でも、めげずにがんばって行こうと思っています。
アイナは、妹のココナからの手紙を見て顔を複雑そうにして
「まさか…ココナが…ディオスさんの所へ。世間って狭いわね」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次話もあります。よろしくお願いします。
ありがとうございました。




