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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
讐怨《シュウエン》
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第725話 決裂の場

次話を読んでいただきありがとうございます。


 ルビードラゴンとティリアに桜花が事件に遭遇する数時間前。

 ティリオが許嫁と共にフォルトゥナの空中魔導トンネルを機神で通過していた。

 目的は、ナイトレイド連合帝国にいるククルクに会いに行っていた。

 父ディオスが作ったケーキを届けると共にククルクと他愛ない会話をして、将来的には、勉強で通うとかの話もして、帰る途中だった。


 ティリオが操縦する機神の席の後ろの複座席三つに許嫁のジュリア、ナリル、アリルの三人が座っていて、ナリルが

「ねぇ…ティリオ、あそこに天の目があるんだけど…」


「えええ…」とティリオは困惑でナリルが指さした方を見る。


 このフォルトゥナの空中魔導トンネルの高度五十キロだ。

 天の目がある衛星軌道、高度数百キロとは遙かに下だ。


 ティリオは確かに天の目がその高度にあった。

「まさか…トラブルがあって落ちている…じゃあない…」


 天の目がトラブルを起こして降下しているなら大気摩擦熱によって燃えている筈だ。

 そんな様子もない。そして、高度が落ちている様子もない。

 ティリオが

「ちょっと気になるからイヴァンに連絡を入れるよ」




 ミリオンのイヴァンにティリオが連絡して、イヴァンがアインデウス達に伝えると、直ぐに軌道エレベーターコロニー・ミリオンから二機のゼウスリオンが発進する。


 二機の魔導兵器機神ゼウスリオンの操縦者の一人が

「おいおい、報告を受けて出てみれば…確かにあるなぁ…」


 隣に併走する仲間のゼウスリオンが

「ああ…こんな低高度で?」


 最初のゼウスリオン操縦者が

「何かの国家機密の…」


 隣のゼウスリオンの操縦者が

「そんな必要がある古い時代か?」


 最初のゼウスリオン操縦者が

「って事は…昔の…」


 隣のゼウスリオンの操縦者が

「だろうな。探査魔導波で…」

と、調べた瞬間、青ざめて

「おかしい。視覚的に捉えている情報と、探査で捉えた情報の差が大きすぎる」


「なんだって?」

と、最初のゼウスリオン操縦者も探査波を飛ばして調べると

「ああ…物質構成…機能セラミックと…ああ」

 そこにあったのは、このアースガイヤがある時空の物質ではないという反応だった。

「第三種警戒態勢!」


 緊急事態の発令される。

 第三種警戒態勢とは、昨今における許可されていない別時空からの来訪に対して、戦闘及び侵入に関するアースガイヤ全土統一の警戒態勢の発動である。



 その頃、ディオスはゼリティアと共に新たな素材に関しての法的整備をしていた。

 その繋がる別の立体画面には、ライドルとアインデウスが映り、色々と提案を出し合っていると

「失礼!」

と、秘書のカメリアが飛び込み

「ゼリティア陛下、第三種警戒態勢が…」


 ゼリティアは驚愕して、隣にいる夫ディオスを見ると…ディオスは別の通信イヴァンからの緊急でそれを見ていた。

 ディオスが

「ティリオが、フォルトゥナの空中魔導トンネルを通過中に見つけた不審な天の目を調べた結果…それが」


 ゼリティアと立体画面にいるライドルとアインデウスが頷き、アインデウスが

「王族及び、国家間の事は我らがやる。ディオス!」


 ディオスが頷き

「行ってきます」

と、セイントセイバー達を伴ってディオスは発進した。


 その頃に…ルビードラゴンへ通信が入った。


 それから数時間後の現在。

 天の目に偽装されたセレソウム時空の時空戦艦は、セイントセイバー達の巨大な防壁結界に包まれて捕縛、そして…セレソウム時空から来た部隊であるルイシャ達も捕縛…ルビードラゴンにボコボコにされて捕縛されていた。


 ルイシャ達は、軌道エレベーターコロニー・ミリオンにあるコロニーの捕縛区間内に拘留されている。

 全長十キロ近い牧歌的な捕縛区間には、ログハウス風の家々が並び、そこの場で捕まった者達が拘留されている。

 山林豊かな広い拘留所…いや、捕縛区間内で、捕まったルイシャ達がコロニーの高い空を見上げている。

 コロニーは全長千キロ、幅十キロと巨大で、見上げる空の向こうには微かに反対側のコロニー大地が見える。


 ルイシャはそんな空を見上げて頭を掻いて「クソ…」と悪態を付く。

 彼らの首には、様々な能力発動を制御する装置 兼 発信器と盗聴器のリングがハマっている。それを強制的に壊して外せば、問答無用でゼウスリオンが来て捕まり、再び装着される。

 食事は十分、医療も管理保証され、長期間に渡って生活可能な拘留生活。

 狭い施設の非人道的な扱いはない。

 いわば、巨大な牧場でノンビリと預けられている状態だ。


 だが、そんなストレスフリーな拘留でもルイシャ達は焦っていた。

 その理由は…。



 ディオスは機神型時空要塞戦艦エルディオンに乗って、黄金創世民(ファーストエクソダス)の主星に来ていた。


 ディオスが来たそこ、会議室のドームでは、中央の奥座に黄金創世民の宇宙王アヌビスと、その右にディオスとレガリア宇宙のアダムカイン、メルディオル、ディオスの時空でディオスによって誕生した新人の超越存在で惑星王国のラハル、充人。

 左には、別時空の宇宙王、女性達のラズベリアと輝姫羅、男性達の統神、ジェイダス、ナカロフと、超越存在達が並んで座っている。


 その全員が凝視する手前、そこにはセレソウム時空の将軍であるリュウセイがいた。

 年齢としては六十代だが、時空を統一する文明は軽く数百年の長寿種になるので、実際の寿命は六十を越えているだろう。

 落ち着いた紳士の軍人ではある。


 セレソウム時空の将軍リュウセイが

「この度は、大変、申し訳ない事を…」


 アヌビスが額を抱えて

「なぜ、このような事が起こった?」


 その問いにリュウセイが…

「その…我らの時空は、元は皆様のような超越存在がいましたが…現在は…その居りません。このままでは、時空に関するエネルギー源が不足して…」

 

 ディオスがテーブルを叩き

「だから、桜花を…娘を再びその動力炉とする為に攫いに来たのか!」

と、怒って口調が荒い。


 輝妃羅が

「ディオス様、少し落ち着いてください」


 ディオスは怒りで鼻息を荒げて腕組みして口に力を入れて黙る。


 メルディオルが嘲笑の顔で

「お前達は、ずいぶん、恥知らずなんだなぁ…自分達がその一族を鏖殺して、その残った子供達を道具にしていたクセに…いざ、それが居なくなってピンチですから。助ける為に誘拐しようとした。凄いな、まさに人間の本質である悪意そのモノだ」


 リュウセイが頭を下げ

「面目ありません」


 ディオスが舌打ちして席を立ち上がり

「こんな話し合い…無意味だ」

と、リュウセイの隣に来て

「いいか、こんなふざけた事をするなら…私はヘオスポロスを使ってお前達を潰す」


 それを聞いたナカロフが

「ディオス殿、落ち着いてください…」


 リュウセイが苦しそうな顔で

「もう、このような事は…」


 ラハルが

「このような事はさせないと…。ディオス殿に捕まった連中は、自分達が勝手にやったとしている。それをどう防ぐんだ? 聞きたいよ」

と、告げて席を立ち

「何が話し合いの場だ。自分達の後始末も出来ないなんて…」


 ディオスと共に、この話し合いの場から去る。

 充人も立ち上がって

「悪いが、オレも…酌量の余地はない」


 メルディオルも立ち上がって

「私もだ」


 それに黙ってアダムカインも続き去り際に

「我々は我々の時空の安念を守る為に動いている。それは他の時空の安念を脅かさない為でもある。それを…自分勝手な事で。そんな連中に協力はできない」


 ディオス達、話をつけるべき者達の退出。


 アヌビスが呆れたような溜息で

「私も言えた義理ではないが…今回の件、明らかに解決は無理だ。まあ、ディオス達に実害は無かったにせよ。明らかに問題だ。ディオス達は即座に捕まえた者達をそちらへ返すだろう。今後ともこのような問題が起こるなら、我々もそちらへ配慮する事はないだろう」


 この会議は、問題解決の話し合いの場だったが…それは無理だった。



 それから数日後、セレソウム時空から時空艦隊が来て、ルイシャ達を回収した。


 その艦隊を率いていたのはルイシャの姉レイシャだった。

 ルイシャと同じ黒髪長身の麗人であるレイシャ。

 セレソウム時空は何処となく東洋風の文化圏らしく、中華的な紋様が多い。


 レイシャはミリオンでルイシャ達と対面する。

 ルイシャが姉レイシャに

「姉さんその」

 その顔にレイシャは鉄拳を叩き込み。


 ルイシャは困惑で姉レイシャを見つめる。

 ルイシャと共に来た五人はルイシャを守るように盾になって

「ルイシャ様が悪い訳では」


 怒りの顔でレイシャが

「黙れ…もう…手遅れだ。帰るぞ」


 それにルイシャが項垂れる。




 別の頃、ルイシャの艦隊と共にセレソウム時空の超重要人物が来ていた。

 セレソウム時空での宇宙王とされるアルシャナス女王だ。


 ミリオンの中でアルシャナス女王は護衛と共にセイントセイバー達と対面していた。

 本来ならディオスがいるべきなのに、ディオスは拒否していた。


 アルシャナス女王が

「今回の事は…誠に申し訳ない」

と、謝罪するのをセイントセイバー達のアーヴィングが受けて

「その…このような事は二度と無いようにお願いします」

と、建前的な言葉を紡ぐ。


 アルシャナス女王が

「シュンカにも…謝罪を…」


 セイントセイバー達の阿座が

「それは、止めた方が良いでしょう」


 アルシャナス女王はうつむき

「そうですか…では」

と、ルイシャ達を連れて帰っていった。




 別の頃、ヘオスポロスのとある部屋でアズサワが頭を押さえていた。

 その隣にはアレイナがいて

「と、まあ…そんな事があったそうよ」


 アズサワが溜息を漏らして

「情報が流れないようにしていたのに…全く、人の口には蓋が出来ないのが世の常か…」


 アレイナが

「珍しいわね。直ぐに利用価値を考えるのに…」


 アズサワが呆れ気味に

「利用価値はあるかもしれないが、今回の依頼に関しての一番の障害になる可能性を…まあいいか。彼らの意思は変わらないだろうし、もし…いや…大丈夫だと思いたい」


 アレイナが

「二人の、ゲイオルとレイシュンの意思は堅いから…」

解決は決裂。回収されて帰還する者達。

桜花の過去に何があったのか?

次回、二人の兄達

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