第722話 子供達の合作
次話を読んでいただきありがとうございます。
それはフォルトゥナ計画という名称でディオスの子供達が作っていた。
最初はこんな感じだった。
リリーシャがディオスに
「ねぇ…パパ、私達、中等部が終わると色んな所へ勉強をしに行くんだよね」
ディオスの屋敷の広間で、娘リリーシャを前にディオスは頷く
「そうだな…学校の話では、リリーシャはどこへ行っても大丈夫らしいから…どこへ学びに行く?」
リリーシャが首を傾げながら
「私は、機神の力を高めたいし、色んな事に使いたいから…レギレル王国のヴィクトリア魔法大学院の魔導エネルギー研究科と、ロマリアにあるモルドス大学にある魔導素材科で色々と勉強してみたい」
ディオスが顎をさすり
「どちらも国境を越えるな…」
リリーシャが
「ねぇ…私達は機神を使えばあっという間にアースガイヤを一周できるから、両方を機神を使って通うって出来ないの?」
ディオスが頭を掻いて
「なかなか、国を跨ぐってのは厳しいんだぞ。色々とルールとかも国で違うし…何より、簡単に国境を越えてしまうと、犯罪が起こった場合の対処が大変なんだ」
リリーシャが困り顔で
「私たちが、今日ここへ行きますって連絡してから色んな国へ行っているのは…」
ディオスが頷き
「そういう守り合う区分の為なんだ」
リリーシャが
「ゼティアやティリオも色んな所で勉強したいって言っているしなぁ…」
ディオスが難しい顔で
「ゼティアは、アリストスの経済学と、ロマリアの新素材研究を学びたいって言っていたし…。ティリオは、ロマリアの素材科と曙光国の総合魔導システム学、ナイトレイドの魔導疑似エネルギー学もって言っていたなぁ」
リリーシャが
「じゃあ、さあ、その国同士が繋がった限られた道路があれば、行けるんだよね」
ディオスが「え?」と疑問を放ち
「それは…どういう意味だ?」
リリーシャが
「つまり、そこの国まで行ける操縦が自動運転になる道を作って、国同士を繋いで行き来すれば、面倒な国境を渡る手続きが必要じゃあないよね」
ディオスは娘の提案に困惑しつつ
「いや、でもそうだとしても…もし、ヤバい犯罪系の荷物とか…国によっては持ち込み禁止のモノとか」
リリーシャが
「その道を通る間にサーチする魔法で調べて、それで無理なら入らないようにして戻すってなら大丈夫だよね」
ディオスは「う、うん」と告げて
「まあ、でも、色んな国同士の話し合いが…」
リリーシャが手をポンと手を合わせて
「ちょっと、やってみるわ」
それはルビードラゴンが来る前の話だった。
それから…。
ディオスはミリオンの製造区域にいて度肝を抜かれていた。
ミリオンの製造システムと、子供達が持つデウスメーカーを使って百メートルサイズのリング状の装置が量産されていく。
リリーシャが
「こっちに回してーーー」
と、デウスメーカーで作業して、それをシュリオとゼティオが同じく受け取り、次の作業へ進む。
完成すると、完成テストをゼティアとティリアがやり、運搬を…出口の宇宙で待ち構えているフェル達アリストスの息子娘達が運んでいく。
どうやら、設置はアリストスの息子娘達がやっているようだ。
ディオスは運ばれる出口へ行くと、遙か高高度のアースガイヤからライナの機神戦艦オケアノスが運んでアースガイヤへ降りていく。
「えええ…」
と、ど偉いことになっているのに驚く父ディオス。
子供達全員が作業しているそこへアイカとルーに七海が昼食を持ってくる。
「みんなーーーー お昼だよーーー」
『はぁぁぁぁい』と作業していた子供達が乗るデウスメーカーがアイカとルーがいる場所へ来て、デウスメーカーから降りて
「手を洗って綺麗にしてからね」
と、アイカが口酸っぱく言って、全員が手を洗い綺麗にして、ルーと七海が広げるシートで、子供達が食事を始める。
その中に、なんと桜花もいた。
ディオスは困惑し、何の作業をしているんだ?と…。
ティリアが
「他の姉さんや兄さん達の分は?」
アイカが
「大丈夫よ。すぐに帰ってくるから、その分を取ってあるし、量を心配しなくて良いわよ」
ルーが
「足りないなら、直ぐに作るから…いっぱい食べても問題ないわ」
ティリオが頷き
「じゃあ、腹一杯にさせて貰うね」
ディオスの血を引く男児は、よく食べる。
黙々とティリオとシュリオ、ゼティオは頬張る。
ディオスが食事をする子供達に近づいて
「なぁ…その…」
子供達の視線がディオスに集中する。
ディオスは笑みで
「気をつけてね」
『うん』と子供達が答える。
ディオスはそのまま子供達が作業する場にいて見つめる。
そこへクレティアが来て
「ダーリン、ここにいるって聞いたから」
ディオスがクレティアに
「何が起こっているんだ?」
クレティアが「あああ…」と
「子供達が、色んな場所へ簡単に勉強に行きたいから、その為の空中魔導道路を作るって」
ディオスが顔を引きつらせて
「許可は?」
クレティアが遠くを見るように
「子供達が、ライドル陛下やアインデウス陛下といった王様達に色々と計画書を出して、直しつつ通ったみたい」
「ああ…そう」とディオスは困惑と驚きに包まれる。
子供達と作業する中に、とあるヤツを見つけた。
ルビードラゴンだ。
ルビードラゴンはディオスと視線が合うと自然と逸らした。
おそらく、入れ知恵をしたのはルビードラゴンで間違いない。
ティリアに押されて協力したのだ。
ディオスは別の部屋に行き、子供達の空中魔導道路、フォルトゥナ計画の書類を目にする。
全長百メートルサイズの魔導道路リングを特殊な時間と距離が加速する力が働いたエネルギーの筒を発生させて連結、それをアースガイヤの一周と各降下ポイントまでの出入口を設ける。
その使われる技術の中に、明らかに…アースガイヤで見つかってない時間を自在に伸び縮みする技術があった。
これはルビードラゴンの力であるのが分かった。
そして、その力の増幅と発生の元に、桜花と融合しているアムザクの遺産の力もあった。 この計画が完成すれば、よりディオスの子供達は、簡単に世界中を飛び回って好きな学問や科を勉強できる。
なぜなら、自分達がいるアースガイヤの場所から反対へ行くまでに一時間程度で済む。
つまり、二時間でアースガイヤを一周できる。
ディオスは、計画認可者の欄にライドルやアインデウス、ヴィルヘルムと錚々たる王達の名前があった。無論、ゼリティアもだ。
ディオスは、現バルストラン王である妻ゼリティアに話を聞きに行く事にした。
子供達のやった所業に驚くディオス。
そして、ゼリティアの元へ向かい概要を聞き
次回、子供達の成長