表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
アリストス共和帝国の反乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/1120

第67話 ディオスの誘拐

新章を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは楽しく、産まれた赤ちゃん達の世話をする日々を過ごしていたが、リーレシア王国からの用事で、リーレシアに出張となった。赤ちゃん達と離され凹むディオスだが…仕事を早めに終わらせて、帰ろうと、出張の仕事のピッチを上げて済ましていた時、アリストス共和帝国の将校の青年が姿を見せて…


 ディオスはゼリティアの城邸内にある、プライベート医療施設にいた。

 その医療施設の大きなドアの前にある、長イスにディオスは座って、頭を抱えて震えていた。

 なんと、同時にクレティアとクリシュナが産気づいた。

 ディオスは、ウソだろうーーーーと驚愕したが、直ぐに出産施設として、お願いしていたゼリティアの城邸の専属である魔族の女医に連絡、数分と待たずに医療飛空艇が来て、クレティアとクリシュナを乗せて、ゼリティアの城邸の医療施設に来た。

 ここでなら、安全で確実な出産が可能で、十分な医療設備も整っている。


 ディオスは頭を抱えながら

「まさか…二人同時だなんて…」

 初めての子供の出産にビビっていた。


 怯えるディオスに、傍にいたセバスが

「ディオス様…。こんなのは、ヴァシロウスを倒す時と比べれば何の問題もありません」


 ディオスはセバスに引き攣った顔を向け

「ヴァシロウスなんて、空飛ぶ魚擬きですよ。恐怖なんてありませんでしたよ」


「ああ…」

 セバスは意外な答えが返ってきて戸惑う。


 その怯える背中を、となりに座るゼリティアが擦り

「大丈夫じゃ…問題ない。一流の施設が揃っておる。案ずるな…」


 そこへ、ドアが開き女医が現れ

「ディオス様…」


「なんでしょう!」とディオスは背筋を正す。


「その…クレティア様のお子が、ちょっと大きいので…もしかしたら、帝王切開になるかもしれません。ご了承を」


「え…」とディオスは固まる。


「ああ…大丈夫です。施設が整っていますから、そうなっても何の問題もありませんので」

と、言葉を残して女医は、二人の出産現場へ向かった。


 それを聞いたディオスは「ああ…」と気絶した。


「お、おい! お主ーーーー」

と、ゼリティアは呼び掛け


「ディオス様!」

と、セバスも呼び掛ける。



 ディオスが気絶して、長椅子に寝かされて数時間後…


 ぎゃああああああ ぎゃああああああ ぎゃああああああ


 赤ん坊の大きな鳴き声でディオスは目が覚める。

「は! 産まれたのかーーーーー」

 ディオスは立ち上がって挙動不審になる。


「待て、落ち着け!」

 ゼリティアが落ち着かせようとする。


 そして…

 おぎゃあああああああ ぎゃあああああああ ぎゃああああああ

 もう一人の赤ん坊の元気な泣き声が響く。


 二人がいる出産場のドアが開き、女医が明るい顔を見せ

「無事、二人共、産まれましたよ」

 それを聞いた瞬間、ディオスは口元を押さえて号泣した。



 二人の自分の赤ん坊達が産まれてから、ディオスはメロメロだった。

 クリシュナの産んだ女の子はリリーシャ。

 クレティアの産んだ男の子はティリオ。

 リリーシャは標準だったが…ティリオは、同じ日に産まれたのに、リリーシャより一回り大きな赤ん坊だった。


 何とか帝王切開でなく産んだクレティアが「体が真っ二つになる所だった」とぼやいていた。


 それに、種を提供したディオスは「すまん」と謝った。



 屋敷に来てから、ディオスはもうそれはそれは、赤ん坊に首ったけだ。

 おしめを楽しそうに替えたり、広間で魔法の補足魔法を設計している横に赤ん坊のベッドを置いて、二人を離さない。

 母乳や母親を欲して泣く場合は、ママのクレティアとクリシュナにバトンタッチだが…。

 それ以外、在宅仕事なので、ずっと赤ん坊の世話に集中する。


 それにレベッカは、良い顔をしない。

 屋敷の主人であり、各地域の魔導士達や、研究機関がディオスを頼っているのだ。

 その仕事だけはキッチリさせたいと思っていた。


 赤ん坊にベロベロ状態のディオスに、クレティアは

「なんか…ダーリンの為に産んだみたい…」

と、言わしめる程だ。


 そして、赤ん坊の為に、赤ん坊の抱っこを補助する無重力魔法まで作ったディオスは、両腕にリリーシャとティリオを抱っこして、ニコニコと笑っている。

「さあ…一緒にお風呂に入ろうなぁ…」

 最近の入浴のお供は、赤ん坊達だ。




 そこへ、アルヴァルドがマハルヴァと、長男夫婦を連れて来た。


「こんにちは…」とマハルヴァは楽しげに屋敷に入る。


「ようこそ!」とディオスは歓迎して、さっそく二人は、アルヴァルド達を赤ん坊のいる部屋に案内する。


 マハルヴァと長男夫婦は、ベビーベッドに寝るリリーシャとティリオを見つめ

「かわいい」

と、頬を触ったり、触れたりして愛でている。


 その様子を遠くの部屋の入口から見つめるアルヴァルド。


 それにディオスが気付いて、呼びに行く。

「お父様…もっと近くに…」


 アルヴァルドは首を横に振って

「いい、ここからでも十分だ」


 ディオスは顔を顰める。

 アルヴァルドとクリシュナの間には、大きな溝がある。

 それは、自分の力では、埋められない。


 だが、クリシュナがリリーシャを抱き抱えアルヴァルドの下へ来る。

「お父さん…」とクリシュナがアルヴァルドを呼んだ。


 アルヴァルドは驚愕した顔を見せる。

 今まで、出会ってから一度も、父親と呼ばれた事がなかった。


 驚くアルヴァルドにクリシュナが

「ねぇ…お父さん、本当は私に、こんな普通の生活をさせたかったんでしょう。だから、私がシャリカランに入る時に、反対もした。それは、他の兄弟達もそうだった」

 クリシュナは、アルヴァルドにリリーシャを抱かせて

「ねぇ…本当は、こうして愛情を注ぎたかったんだよね。お父さん」

 アルヴァルドの腕の中にいるリリーシャを撫でながらクリシュナは

「私に注げなかった愛情を、今度はリリーシャやティリオに注いであげて…お父さん」


 それを聞いた長男夫婦の夫は、目から涙を零し口を手で押さえて気持ちが溢れる。


 アルヴァルドは、ボロボロと涙して

「ああ…そうじゃ…。ああ…かわいいのぉ…リリーシャ…」


 マハルヴァも貰い泣きをする。


 ちょっとした親子の絆の復活をディオスは見て、目から熱いモノが零れる。

 


 帰り際、アルヴァルドが

「ディオス、クリシュナ、クレティア殿。何でも言ってくれ、必要な物は何でも揃えるぞ」

と、力強く言い放つ。


「いいですよ。お父さん…そんな」

と、ディオスは遠慮するが


 クリシュナが

「おむつとミルクが足りないの。特にティリオは体が大きい分、沢山、食べるから。お願い」


「分かった! 最上の物を用意させる!」

と、アルヴァルドは右腕を掲げる。


「それで…」とクリシュナが「ちょくちょく、赤ちゃん達に顔を見せてあげてね。今度、来る時は、二・三日くらい、いてね。お父さん」


 アルヴァルドは嬉しげに顔を明るくさせ

「ああ…分かった!」

 こうして、アルヴァルド達は帰って行った。



 ディオスが赤ん坊と関係ない日は、ゼリティアと合う日だけだが…。

 ゼリティアの自室で、ディオスはゼリティアの赤ん坊がいるお腹に頬寄せて、お腹にいる赤ん坊のシンギラリティの反応を確かめる。

 ディオスが触れる度に、お腹の赤ん坊のシンギラリティの反応が答えるように、揺らぐ。

「はぁ…むちゃくちゃ、かわいい」

 ディオスは、余計に赤ん坊の感触を得た所為で、親バカまっしぐらである。


 それに、ゼリティアは心配になってきた。

「大丈夫か…お主…」

 そうぼやく程に。



 だけど、そんなディオスの赤ちゃんライフに、衝撃が走る。

 それは、王宮でだ。

 王の執務室で、執務机に座るソフィアが、ディオスを前に

「ねぇ…リーレシアに行ってくれない?」


「はぁ?」とディオスは明らかな苛立ちの疑問で返事を返した。


 ソフィアは額を小突いて呆れながら

「アンタが、赤ちゃん大好きなのは…分かっている。でも、これは仕事なの、正式なリーレシアの要請なの…」

と、ソフィアは一枚の書面をディオスに差し出す。


 ディオスはそれを受け取り読みながら

「ええ…なになに、超古代遺跡に発生したドラゴン退治をして欲しい。こんなの…グランスヴァイン級魔法運用者で、退治すればいいだろう」


「そうしたいのは、山々だけど…。運用者は、破壊力の影響が広い大規模破壊魔法しか使えないから…。何でも使えるアンタが必要なの。行った序でに、運用者達に、アンタのドラゴン退治で使う魔法を体内生成魔法できるようにしてきなさいよ」


 ジーとディオスは書面を見ながら

「断れない?」


 ソフィアはフッと皮肉に笑み

「断れると思う?」


 ガクッとディオスはその場に蹲る。

 ああ…リリーシャとティリオの世話が出来ない…。

 マジ凹みしていた。


 その様子に、ソフィアは、ディオスの親バカ進行ぶりに頭が痛くなって眉間を押さえた。




 リーレシアの出張は、二週間だ。

 一週間は、ドラゴンを退治して欲しい各超古代遺跡を回り、残りの一週間は、リーレシアのグランスヴァイン級魔法運用者達に、ドラゴン退治に向いている汎用破壊魔法の伝授だ。


 屋敷に帰って「クソ。まったくクソだ。ああ…クソだ」とディオスは散々、悪態をついている。

 リリーシャとティリオから離れる事が、嫌でしょうがないディオスに


「まあ…しかたないよダーリン。向こうのナルド達によろしくね」

とクレティアが


「これも、宮仕えの宿命。まあ…派手にやり過ぎない程度にね」

とクリシュナが


 二人から言葉を贈られた。




 出発当日、朝、屋敷の玄関で広場にある魔導タクシーを前に

「ああ…行きたくない…」

 出る寸前までに拒否のディオス。


 それをクレティアが背中を押して

「ほらほら、帰って来たら、存分にティリオとリリーシャの相手をさせてあげるから」


 クリシュナは肩を押して

「アナタは、赤ちゃんの面倒を見すぎているから、その息抜きにね…」


 そこへ、レベッカが

「旦那様、旦那様がご出張中に、一人…メイドを増やしたいと思っているので…」


 それを聞いてディオスは

「ああ…そう。まあ、確かに二人増えたから、必要か…。よろしく頼むよレベッカさん」


「はい。屋敷の事はご心配なさらずに任務に専念してください」


 ディオスは嫌そうな顔で

「早めに終わらせて、帰って来るよ」


 その言葉に、クレティアとクリシュナは苦笑する。

 絶対にそうするだろうなぁ…と。




 こうして、ディオスはリーレシアに出張した。

 そう…これが、とんでもない事件の幕開けだった。




 リーレシアに到着するとディオスは、早速、冒険者ギルドの門を潜る。

 そこには、「どうも!ディオスさん」とナルド、ラチェット、ハンマー、リベルの冒険仲間達がいた。


「みなさん。ご無沙汰しています」

 ディオスは、四人に挨拶して、直ぐにドラゴン退治へ向かう。

 それにリーレシア王から派遣された魔導騎士達と…何か、観光に来ている人達の大きな団体が同行する。


 それにディオスは

「何です? この人達は?」

と、ディオスは観光客を指さすと


 リベルが呆れ気味に

「ディオスさんが、ドラゴン退治をするって広まって、そのお手並みを拝見しようと集まった観光客ですよ」


「はぁぁぁぁぁ」とディオスは顔を驚きと呆れに染めた。



 そして、最初の超古代遺跡に到着すると、三頭のドラゴンが見えた。

「ああ…」

と、ディオスは魔法を発動させる。

”ゼウス・サンダリオン・トルネード・アックス”

 空が曇天と化して、ドラゴン三頭を竜巻で一カ所の上空に集め、そこに膨大な雷撃が集中してドラゴンをあっという間に滅殺した。


 その光景を、観光客が魔導カメラでフラッシュを連写させる。


 その状態に、ディオスは「なんか…ハズいなぁ…」と、ぼやく。


 その後、バジリスクドラゴンがいないか、魔導騎士達や、ナルド達を超古代遺跡を探って安全を確認すると午前が終わり、昼食後、午後も別の超古代遺跡へ行き、ドラゴンを退治して安全確認をして一日が終わる。


 その夜には、観光客達がディオスを取り囲んで夕食をして、ディオスから色々な話を聞いた。


 そして、観光客が入れ替わり立ち替わりして、ディオスのドラゴン退治を観光する。


 ディオスは、そんな観光客達に

 何が、そんなに珍しいんだ?

 そう思っていて、時間があった時にナルドにその事を打ち明けると

「ああ…仕方ないですよ。ディオスさんは、ヴァシロウスを圧倒した超魔導士ですからねぇ…。ディオスさんは大した事をしてないと思っていても、ディオスさんが放つ魔法は相当ですよ。見たことがない攻撃魔法で、規模も派手ですから」


「はぁ…そう…」

 イマイチ理解していないディオス。

 ディオスにとって、自分の攻撃魔法は、そんなに大したモノではないという、一般のズレがここでも出ていた。

 十分、この魔法世界の一般的からズレているのは間違いないのに…。

 


 ドラゴン退治の日程を五日で終えたディオスは、次なるグランスヴァイン級魔法運用者達に、ドラゴン退治で使った汎用破壊魔法の伝授に向かおうと、魔導タクシーを拾おうとしたそこへ


「こんにちは…」

 後ろから呼び掛ける人物。


「んん?」とディオスは振り向くと…青を基調とした白のラインが入る制服を着た金髪の青年がいた。


「どなたでしょうか…」

と、ディオスは首を傾げると、青年の制服の胸に青と白の黒のラインに、一頭の竜の紋様が入った紋章が見えた。

 それで、青年の所在が分かった。アリストス共和帝国の軍人、しかも内政軍だ。

 アインデウス皇帝の直属は、二頭の竜が紋様にある。

「アリストス共和帝国の方が何の用でしょうか?」


 アリストス共和帝国の内政軍の青年が

「私も、貴方様の魔法のお手並みを拝見したのですよ」


「はぁ…で…」


「確信しました。やはり…貴方が、必要だと…」


「んん?」

 ディオスは、まさか…アリストスの引き抜きか…と思った次に、唐突にガシャンと右腕に音がした。

「え…」とディオスは、右腕を見ると、右手の手首に黒い大きな手錠のような装置が付けられていた。

「はぁ?」

 困惑してディオスは右腕を挙げる。


 青年は怪しい笑みを浮かべ

「手荒な真似はしたくない。大人しく私について来て欲しい」


 ディオスは青年を睨み

「ふざけるな!」

 魔法を展開して、手錠の装置を破壊しようとしたが、魔力を放出した瞬間、ガクンと意識が揺らいだ。

 ええ…と困惑したディオス、そこへ首筋に黒い警棒が当たる。

 その警棒に刻まれていた魔導回路は電撃を放つ効果を持っていて、その警棒を持っている人物の下半身が消えている。

 まさか、姿を消す魔法で…

 ディオスの読み通り、青年に注目している間に、姿を消していた部下が、ディオスの右腕に手錠の装置を填め、電撃の警棒をディオスに首に当てて、電気ショックを与えてディオスを気絶させた。


 倒れるディオスを青年が抱えほくそ笑み

「さあ…これで、駒が揃った…」


 その隣に、金髪の少女が近付く。その少女は、ディオスがレジプトで見たエニグマの一人だった。




 ディオスが目を覚ますと、そこは何処かの豪華な寝室だった。

 ベッドに寝かされていたディオスは、体を起こして頭を振ると、隣に青年のアリストスの兵士がいた。

「ご機嫌はどうでしょう?」

と聞いてくる青年の兵士に、ディオスは睨みを向け

「良い訳ないだろうが…」


 兵士は肩を竦め

「少将をお呼びします」

と、部屋から出て行く。


 ディオスはベッドから起き上がり、部屋の中を散策する。

「どこだ…ここは?」

 寝室を物色していると、そこがどこだか分かるアメニティが出てくる。

 綺麗な包み入った飛空艇の酔い止めだ。

 飛空艇の中か…。

と、ディオスは考えを巡らせる背に


「何を物色しているのかね…」

 ディオスが気絶する前に対峙した金髪の青年が来た。


「ふ…」とディオスは唸って、青年に向いて

「こんな豪華な部屋で寝た事がないからなぁ…。貧乏性で色々と見ていたのさ」


 青年は怪しく笑みながら

「そんな事をしなくても、ここがどこだか…教えるつもりだ」


 ディオスは青年を凝視する。


 青年は微笑むも何処か、その目元は笑ってない。

 まるで獲物を見定めている獣のようだ。


「こっちだ…」と青年はディオスを隣の居室へ案内する。


 そこの居室には、二名の青年の兵士達と、大きな窓があり外の風景が見えた。

 外の風景は、何処かの海上の上空だ。


 青年が、ディオスに「ここに座りたまえ」と柔らかそうなソファーを示す。


「はぁ…」と溜息を漏らしてディオスは、為すがまま、様子をしながらソファーに座る。


 青年はその右にあるソファーに座り、対面を避ける。


 どうやら…対面ではないという事は、何とか説得させる算段があるという事だ。

 ディオスは警戒して青年を見つめる。


 青年はディオスにお辞儀して

「初めまして…マリウス・マギリアスだ。アリストス共和帝国、南方アンメリカ大陸担当の軍将校だ」


 ディオスがマリウスを見つめ

「さっき、兵士が少将って言っていたって事は…貴族か…」


 マリウスは笑み

「そうだ…それなりの軍門の貴族だ。どうして、分かったのかね?」


 ディオスは背もたれに深く背を乗せて

「そんな若造で、少将を任されるなんて、大きな貴族でしか考えられないからなぁ…」


 マリウスは、右肘をソファーの肘掛けに置き、右手を顎に当て

「そうだ…。南アンメリカ大陸の三分の一を手中にするマギリアス大公の当主だ」

「はぁ…」


 ゼリティアと同じ大貴族か、とディオスは思い。

「で、軍にも通じるアリストスの大貴族様が、このような一介の魔導士に、何の用ですかなぁ」


 マリウスは頭を振り

「君が一介の魔導士なんて、なんの冗談だい…。君は、いえ…貴方は、アーリシアの大英雄。ディオス・グレンテルだろう」


 そこへ、居室のドアが開き、あのエニグマの少女が姿を見せる。


 ディオスは少女に殺気の視線を向ける。


 少女はそれに気付いてフッと笑み

「レディーに、そんな野蛮な視線を向けるなんて、どういう男だ?」

 余裕のエニグマの少女。


 マリウスが、エニグマの少女に手を向け

「紹介する。貴方の事を色々と教えてくれたキャロルという女性だ」


 エニグマの少女、キャロルはにやりと笑うが、目が笑ってない、獲物を狙うハンターのようだ。

 キャロルは、マリウスの空いている左に座って、ディオスを見つめ

「さっそくだが…キサマには、協力をして貰うぞ」


「はぁ?」と、ディオスは、何を言っているんだという不快極まりない顔だ。


 マリウスが

「こらこら、キャロル。助力を願うだろう…」



ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ