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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
大英雄協奏曲

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第66話 ソフィアのご乱心

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ゼリティアと結ばれたディオス。ゼリティアとの間に子供が出来て、籍に関する事や、オルディナイトに入る事など、色々として、もうすぐ、クレティアとクリシュナの出産が近い時、ソフィアが来た。それは…

 その日、ディオスは王宮に来る日だった。そして、ゼリティアもいた。


 ディオスは直ぐにゼリティアの元へ来て、ゼリティアを抱き締め

「おはよう…」

と、呼び掛けゼリティアが、その口元へ指を置いて

「ここは王宮じゃ。なぁ…後で…屋敷で…」


「分かった」

とディオスは頷いた。


 そして、ディオスが王の執務室で仲間と共に法令の案を精査していると

「これはダメだ!」

 ディオスは唸る。

 ここと、ここと、ここ!

と、ディオスは吠える。


 まあ、言う理由も分かる。何故なら、その法令は魔法の使用制限に関する事で、施設の運営上、禁止する魔法の種類が雑多すぎた。


 ディオスは的確に、ダメな魔法と、良い魔法の振り分けをする。


 ソフィアが

「でも…そんなに細かいと…後が大変よ」


「今は、大変かもしれんが…これが応用になって、後に続くんだ!」

と、ディオスは放つ。


 そこへ「お主…属性だけの制限は出来ないか?」とゼリティアが問う。

 言い争うになるなぁ…と周りは思ったが。


「ああ…んん。そうか…分かった。考えてみる」

 すんなりとディオスは下がった。


 何時もなら、言い争いになりそうなのに、ディオスは素直にゼリティアの意見を受け入れた。

 あれ?と周囲は思った。


 その後もなんと、ディオスとゼリティアはまるで相棒のように、お互いを補い合った。

 そう…それは、周囲にも分かるくらいに、ゼリティアとディオスの関係が変わったのだ。



 その夜、王宮帰りにディオスはゼリティアの城邸に来た。

 ゼリティアの自室のソファー部屋で

「なぁ、ゼリティア…」とソファーに座るディオスと、その左にはゼリティアがいた。

 ディオスはゼリティアの腰を抱き、自分に寄せていた。

「早めにチャンとしないか?」

と言うディオスの意図は、戸籍の事だ。

 早めにゼリティアとチャンと結ばれたいのだ。

 その理由は、あのヴァシロウスを倒した後、治療されていた時に見た三人の子供達の事だ。黒髪の男女は、おそらくクレティアかクリシュナの子供だろう。

 赤髪の女の子は、間違いなくゼリティアの方だ。

 つまり、早くに子供が出来るという予感がディオスにあった。


 ゼリティアは

「待ってくれ。今、証明後見人になってくれる人物を探しておる」


「じゃあ…オレもここで暮らす事に…」


 ゼリティアは首を横に振った。

「このお主が通ってくれる状態で十分じゃ」


 そう、もしディオス達と暮らす事になったら、クレティアとクリシュナも共にいる。

 自分だけディオスを独占出来ない状態になる。

 だから、このままがいい。


「分かった。でも…気が変わったら直ぐに教えてくれ…」


「うむ…」

 その後、ゼリティアの温もりを感じた後、遅めの時間に屋敷へ帰って来た。


 そして…寝室の大きなベッドで、クレティアとクリシュナの臨月近いお腹を擦りながら

「楽しみだなぁ…」

 もう、デレデレした顔をする。


 そんなディオスにクレティアとクリシュナは、ディオスが親バカにならないか心配になる。




 そして、二週間半が経った。

 ゼリティアは、どうしてディオスに、籍の事を急がせるのか…と聞いたら、子供が出来た後が心配だ…と

「まさかなぁ…」

と、ゼリティアは自分の腹部を擦る。

 実は妙な感じを三日前に受けた事がある。

 何か、ピリッと電流のような感じを体が受けたのだ。

 偶に、妊娠する女性には、妊娠したのが分かる者がいると…。

「まさか…」

と、思いつつ、翌日に城邸の専属女医に診て貰ったら

「ゼリティア様…お腹にお子が…」


「え…」

と、ゼリティアは驚いた。


 直ぐにディオスに連絡して、ディオスは飛んで来ると、ゼリティアのお腹を見つめ

「ああ…」

 涙を溢れさせ、ゼリティアの前で膝を落とし、ゼリティアを抱き締め下腹部に額を当てた。

 そう…クレティアとクリシュナが妊娠した時と同じように、シンギラリティの渦を感じた。


 その後、一日半後にヴィクトリア魔法大学院のトルキウスとサラナが検査機器を抱えて来た。


 ゼリティアの城邸にて、ゼリティアを見た同じシンギラリティのトルキウスは、額を抱えた次に

「直ぐに、検査に取りかかりましょう」

 

 それでゼリティアは分かった。

 お腹の子がディオスと同じシンギラリティであると…。


 シンギラリティの検査を城邸専属の女医も見つめる。

「へぇ…」と女医は検査装置の画面を見つめる。


 トルキウスが

「この六角形が、持ち属性を表しています。全方位に反応があるのでヘキサゴン・マテリアルで、こっちが魔力の状態を示しています。普通なら、固まりのように映りますが…シンギラリティの場合は、このように外から内に渦を描いて映ります。母親のゼリティア様と、お腹の子のシンギラリティが重なって映っていますね」


 その説明に女医は頷いていた。

 検査端子は簡単なモノで、吸盤が両腕の手首辺りに付くだけだ。


 ゼリティアは、お腹を擦りながら

「よく、妾の所へ来てくれたなぁ…」


 隣にはディオスもいて、同じくお腹を擦り

「ああ…ゆっくり大きくなって会いに来ておくれ」



 そして、午後には、ゼリティアはディオスの屋敷に来てクレティアとクリシュナに、ディオスの子を宿したと告げた。

 広間のソファーに座るクレティアとクリシュナ。


 クレティアは額を抱えて

「ダーリン。寂しかったんだね…」


 クリシュナは呆れ

「もうちょっと…私達が相手を出来るまで、お願いしたかったけど…仕方ないわ」


 それにゼリティアは「ははは…」と楽しげに笑い。


 ディオスは「ああ…まあ…」と何とも言えない微妙な顔だった。



 翌日…午後の始めからディフィーレがニコニコと楽しげに笑みながら、ディオスの屋敷に来た。

「ディオスさーーーーん」

 楽しげな口調のディフィーレに


 ディオスは

「ああ…こんにちは」

 チョッと引き気味だった。


 そして、隣には赤髪の男性がいる。

 その男性も嬉しそうな顔をしている。


 ディフィーレがディオスが手を取って握り

「聞きましたよ。ゼリティア様と結ばれるんですね…」


「ああ…うん」とディオスは困惑気味に頷く


「しかも、もう…ゼリティア様のお腹には、ディオス様の特別な魔導体質を宿したお子がいると…」


「ああ…まあなぁ」


「と言う事はもう…ディオスさんは、オルディナイトの一門に!」


「そ、そうだな。入る事になった」


「やったーーーーー」

 ディフィーレは諸手を挙げて喜ぶ。


 隣にいる男性は、嬉しそうに涙を拭いながら

「いやーーー 良かった。本当に良かった。一時は、ディオス様が何処かへ奪われるかもと…一門が心配していたのですが…。本当にこれで枕を高くして眠れる」


 ディオスは微妙な顔をして

「その…なんだ。市井の者である自分が、貴族と…しかも超名門の所の方と一緒になるというのは…。やはり…色々とマズイのではないかと…」


「いやいやいや!」

と、ディフィーレが首を横に振って

「ディオスさんは、バルストランの魔導士なんでしょう?」


「まあなぁ…」


「そんなの当然ですよ! アーリシアの大英雄であり、バルストランの魔導士なら…ウチに来ないで何処に行くんですか!」

 ディフィーレは豪語しおった。


 それにディオスは

 うーわ… 何か言い切ったぞ…

 ちょっと、引き気味である。


 ディオスは、ディフィーレの隣にいる男性を見つめ

「あの…ディフィーレくん。この方は?」


「ああ…」とディフィーレはハッとして

「ウチのオルディナイトの部門で、魔導石の精製や分化生産している技術研究の部長のアルマル・ガム・オルディナイトさんです」


 アルマルは「どうも…よろしくお願いします」とお辞儀した。


 ディオスはハッとする。

「ああ…自分が作った魔導石を加工する部門の方ですか…。名字がオルディナイトという事は…」


「はい」とディフィーレは肯き「オルディナイト一門の方です」


 アルマルは

「いやーーーー 本当に良かった。ディオス様がウチの傘下に入ってくれて。これで、堂々と色んな秘匿情報や機密特許を提供出来ます」


「よろしくお願いします」

と、ディオスは頭を下げた。


「こちらこそ…」

と、アルマルも頭を下げる。


 こうして、正式にオルティナイトの傘下に、ディオスの魔導石生成は取り込まれ、様々な情報交換や、使用する装置の強化がスムーズになった。

 もちろん、ディオスが抱えている研究の成果もオルディナイトに加わる。


 これが思わず良い効果をもたらした。

 ディオスは様々な、特にエルダー級の魔導士達や、ヴィクトリア魔法大学院の研究者達といった多くの者達が研究する魔法の構築の手伝いをしていた。

 研究をする魔法を補足する魔法を作る時に、どうしてもデータが必要になる。

 提供はして貰えるが、ディオス個人いう立場では、どうしてもデータの質や量に限りがあった。

 だが…巨大な組織、オルディナイト財団の一員となった事で、魔導データの機密保持規定に入るので、より良いデータが提供される事になった。


 ディオスは思った。

 大きい組織の看板は、やっぱり違うなぁ…

 それを感じた。


 


 その日、ディオスは一月のカレンダーを見る。

 もう…ヴァシロウスを倒してから、丸一年が過ぎようとしていた。

 色んな事をしたなぁ…。

 体内生成魔法で大規模破壊魔法の運用とか…。

 アフーリアの資源交渉。

 エニグマの遭遇。

 ロマリアにも行ったし、ああ…フランドイルの戦争の思惑も止めたなぁ…。

 アーリシアで優秀な魔導士に贈られるマクスウェル賞とかも貰ったなぁ…。

 本当に色々と過ぎったが…。

 でも、一番の大きな事は、子供が出来た事だ。

 それで、年中、楽しかった。

 あと、もう少しで会える。一月の終わり位が予定日だ。

 二人とも出産日が被ったけどね…。

 あ、そうだ…ゼリティアの籍の事…チャンとして置かないと…。

 ゼリティアから産まれてくる自分の子供のためにも!



 ディオスの心配は、別の所でも話になっていた。

 王都の貴族やお金持ち専用プライベートレストランがあるそこで、その話はあった。

 多くの人がいる展望レストランの場所でゼルティオナが食事をしていた。

 そこへ、フランギルが来た。

「どうも、ゼルティオナ様」

と、フランギルはお辞儀する。


「掛けなさいな…」とゼルティオナは告げる。


「はい…」と素直にフランギルは隣の席に座る。


 ゼルティオナが肉料理を器用にフォークとナイフで食べてながら

「もう…ゼリティアとディオス殿の事は知っているわよね」


「はい。存じています。いや…当然でしょう。ディオス様、我らオルディナイトの悲願を達成してくれた御方、そして、バルストランの魔導士であり、大英雄です。オルディナイトがお迎えするのは自明の理ですから」


「フランギル…さらに、情報よ。ゼリティアのお腹にはお子がいるわ…。しかも、ディオス殿の魔導特異体質を受け継いだやや子がね」


「おおおお…。それは…オルディナイトの繁栄も約束されたも同然ですね」


「でもね…」

と、ゼルティオナは口を拭きながら

「これを快く思わない連中がいるかもしれないわ…」


 フランギルの顔が鋭くなる。

「と、いう事は…」


「フランギル、女性で最上のガードを付けるのは、わたくしは当然だと思っている。万が一、お子に何かあったら…」


「お任せください。このオルディナイト守護担当、フランギル…身命にとしても、ゼリティア様とその大英雄の血を受け継いだお子をお守りします」


「頼んだわよ…」



 そして、ディオスがゼリティアの城邸に来ていた時に…

「こんにゃちわーーー」

 バルストラン、火の精霊アグニアが来た。


 セバスは丁寧にお辞儀して迎える。

「ようこそ、アグニア様」


 そこへ、ゼリティアとディオスが現れる。

「ようこそ、アグニア様」

と、ゼリティアが微笑んだ次に、アグニアはゼリティアに全力ダッシュで駆け付け、その両手を取って

「でかしたにゃーーーー」

 もの凄く喜んでいる。

 そして、ゼリティアに抱き付き、ゼリティアの赤ん坊がいるお腹を擦りながら、隣のディオスに

「この子を返せって言っても。もう、返品できないにゃんよ!」


 ディオスは右眉をつり上げ

「誰がそんな事をするか! この節操無し精霊が!」


 暫し、ディオスとアグニアは火花を飛ばして

「ねぇ…ゼリティア…さっそくだけど、この子の許嫁を決めないにゃんか?」


 ゼリティアは困り顔で

「まだ、性別も分かれていないのですよアグニア様…。それにディオスと共に考えたのですが…。この子には、相手を自由に選ばせてあげたいと…」


「にゃ!」とアグニアはショックを受けたが…。

「じゃあ、次の子は、いいかにゃ?」


 ゼリティアとディオスは互いに見つめ合う。


 ディオスは照れ隠しをして頬を掻きながら

「まあ…この子一人では寂しいでしょうから…。二人目も…」


 ゼリティアは微笑みながら

「出来た時に考えましょうぞ。アグニア様」


「はぁ…」とアグニアは溜息をして「分かったにゃん」

 まあ、何とか、子供の自由の一つを守る事が出来た。




 そして、王宮では、ソフィアが休憩をしに食堂へ行くと…廊下の隅で噂話を聞いた。

「聞いた? オルディナイトの大公、ゼリティアとグレンテル様が婚姻するそうよ」


「へぇ…。三人目は、バルストランに縁がある人物か…」


「しかも、もう…ゼリティア様のお腹にはグレンテル様の子がいるそうよ」


「早いわね…。そういえば、前に噂でゼリティアとグレンテルは出来ていたって聞いた事があるわね」


 その噂話をしている所に、ソフィアが来て

「ねぇ…その話、詳しく聞かせて?」

 噂をする仕官の女性達を見つめる瞳は冷たいモノがあった。



 その日、ディオスは、オルディナイトの大工場にある研究所から帰ってきた所だった。

 午後の四時くらいに屋敷に到着して「ただいま」と玄関を潜ると

「おかえりなさいませ」

と、ユーリが迎えてくれた。


「ああ…ただいま」


「旦那様…ゼリティア様達が来ております。二階の居室で、クレティア様とクリシュナ様と一緒にお話しています」


「ああ…そうか…分かった」


 最近、ゼリティアの傍にセバス以外に女性の護衛が付いた。

 なんでも、用心の為らしい。

 確かに、お腹に子供がいるし、用心は必要だよねぇ…とディオスは思っていた。

 


 ディオスは三人のいる二階に行こうとすると、玄関がノックされ

「あたしよ。遊びに来たわよ」

 ソフィアの声がした。


「待ってくれ」とディオスは玄関を開けると、そこにはソフィアしかいない。

「あれ? 護衛のスーギィさんや、ナトゥムラさんに、マフィーリアさんは?」


 その問いにソフィアは

「あたしだけ、先に来たの…後でくるから」


 ディオスは首を傾げ

「ソフィア…君は、王なんだから不用心過ぎるぞ」


 ソフィアはディオスを見つめ

「ねぇ…チョッと聞きたい事があるんだけど…」


「な、なんだ?」


「ゼリティアの事…」


 ディオスはハッとした。そう、ソフィアの元にまでも、ゼリティアと自分の事が知れ渡っているのか…と。

「ああ…ソフィア…、実は」


 ソフィアの視線が鋭く冷たくなって

「そう言うって事は、本当なんだ…」


「その…すまない。もっと早く言えば良かった」

と、ディオスが告げた次に、ソフィアはディオスの襟首を掴み

「この浮気者ーーーーーー」

 ディオスに殴り掛かった。


 ディオスは左頬を殴られ、その場に倒れた。


 そのまま、ディオスに馬乗りになって殴るソフィア。

「ふざけるなーーーー 二人を大事にするって約束したろうがーーーーー」

 ソフィアは容赦なく殴り、ディオスは腕を交差させてガードして

「ま、待ってくれ。話を聞いてくれ…」


「問答無用!」


 それを見てユーリが

「きゃあああああ 旦那様がーーーーー」


 その叫びを聞いて、居室にいたゼリティアとクリシュナにクレティア、セバスにゼリティアのガードの女性達が駆け付ける。


 いの一番に動いたのがゼリティアで、ソフィアの首根っこを掴みディオスから引き剥がすと、一発キツい叩きをソフィアにお見舞いして

「お主…どういうつもりだぁぁぁぁぁぁ」

 ソフィアに殺気の篭もった睨みを向けた。


 ソフィアは再度、ディオスに飛び掛かろうとするが、そこをゼリティアのガードの女性達が止める。

「そいつが! そいつが全部悪いのよーーーー」


 倒れているディオスをクレティアとクリシュナにセバスが起こしながら。

「ねぇ…ソフィア様…アタシ達の話を聞いてくれる?」

 クレティアが呼び掛ける。


 その後、広間で、暴れないようにガードの女性達に挟まれながら、クレティアやクリシュナから話を聞いたソフィアは俯き

「そうか…アタシばっか、蚊帳の外だったんだ…」


 クレティアが

「だからさぁ…ダーリンになんの罪もないの…」


 ソフィアは、心配するディオスと、怒っているゼリティアを見つめ

「もう…籍の方は?」


 セバスが

「それが…難航していまして…。オルディナイト大公とアーリシアの大英雄との証明後見は、かなりの重さがあるので…」


「そう…」とソフィアは告げた次に両脇にいるガードの女性に

「小型の魔導通信機、持ってない?」


 ガードの女性は懐から取り出してソフィアに渡す。

 ソフィアはスーギィに繋げ

「スーギィ…お願い、急いで証明後見人婚姻の書類、持って来て…」

 


 数十分後、スーギィはナトゥムラと共に、証明後見人婚姻の書類を持って来た。

 ソフィアは、直ぐに証明後見人の部分に自分の名前を書き、その婚姻する部分にディオスとゼリティアの名前を書かせ、直ぐに提出させた。

 スーギィが書類を役所に持って行ってくれた。

 バルストランの王が、ディオスとゼリティアの証明後見人になった。

 それはクレティアとクリシュナの時と同じように…。


 その夜、居室のソファーに座って、ソフィアを前にクレティアとクリシュナにゼリティアの三人がいた。

「全く、ディオスに飛びかかるなんぞ…」とゼリティアは怒っている。


「まあまあ…こう人だって分かっているよね」とクレティアが宥める。


「ソフィア様…夫とゼリティアとの事、ありがとうございますね」とクリシュナが微笑む。


 ソフィアはグスッと涙して

「ねぇ…確か、クレティアは男の子だよねぇ…」


「ああ…うん、検査ではね」とクレティアは頷く。


 ソフィアはクレティアに近付き

「お腹、触ってもいい?」


「うん、いいよ」

と、クレティアの許可を取ってソフィアはその赤子がいるお腹に頬を寄せ

「アンタのお父さん。とんでもない浮気者だったけど…。アンタだけは、真っ当な男の子にアタシが、育ててあげるからね」


 それを聞いて、クレティアとクリシュナは苦笑いをして。


「フン!」とゼリティアは鼻息を荒げた。


 それをドアの向こうで耳を当てて聞いていたディオスは

「ちょっと、違うんだけどなぁ…」

と、小言を漏らしていた。


 そして、クレティアとクリシュナの出産の日が来た。

 それも二人同時だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話がありますのでよろしくお願いします。

ありがとうございました。

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