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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
大英雄協奏曲

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62/1122

第61話 大英雄狂想曲 その二

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは自身が提案した大規模破壊魔法の

運用訓練をしていた。

だが、そんな日々に、ついに魔の手が伸びる。

その時、ディオスは?

 ディオスが提出した三つの案件から二週間後、バルストラン王宮の庭園にて、百三十名近くの魔導士や魔導騎士達を前に、様々な術式を教えていた。

「では…内部形成魔法の術式を行います」

 ディオスが両手を全員に伸ばす。


『はい』と百三十名は肯いた。


 百三十名の足下には、リングの魔導具が置かれ、その中に立っている魔導士や魔導騎士達、そう…彼は、十二国の各国から、選抜されグランスヴァイン級の魔法の単騎運用をする要員だ。

 百二十名が、各十二国での所属、残りはアーリシア統合軍の所属だ。

 そして、ディオスが行っている術式は…魔法陣を展開する事なく、体の内部でその術式と同じ効果を発動させる。

 体内式魔術技法だ。

 その術式を作った協力者、アーリシアの各地のエルダー級魔導士達とその部下達も、その場にいた。

 

 ディオスが、周囲の上下左右にその魔法陣を展開、体内で同様の効果を起こす魔法を発動させる。

”インナー・エンチャン・フロー”

 ディオスのグランスヴァインの魔法効果を体内で生じさせる魔法が、百三十人の足下にある伝達魔導具が浮かび上がって腰の部分で止まると、受けている全員の体に向かって七色の魔導流が体内に送られる。


 百三十名は、その体内での動きを憶える為に、自分の魔力と、その人工的に起こされた魔導流を重ね合わせて憶えて行く。


 ディオスの横にいる、エルダー級魔導士達と部下達は、持って来た計器を見ながら、百三十名の体内魔法発動効果状態を確認する。


 魔族のアインシュが

「うむ…大分…皆さん。憶えてきているようですね…」


 人族のケンブリッジも

「これなら、後三日程でいけるかと…」


 ディオスは肯き

「そうですか…。では、魔力の増幅を行うチャージリング魔法を…」


 エルフのアルサドーラが

「では、私は…サンドラと共に、その用意をしましょう」


 魔族のサンドラが

「ええ…」



 この技術は、ディオスを含むアーリシア全員のエルダー級魔導士達によって考案されたモノだ。

 この技術の良いところは、盗まれにくいという事だ。

 魔法は魔法陣の作用によって効果を発揮する。つまり、魔法陣さえ憶えて使えれば、同じ魔法が使える工学が面がある。

 その為に、作り出した最新の魔法陣の設計図を巡って盗難が有ったりするのだ。

 そう…つまり、この体内生成魔法の場合は、魔法陣無しで魔法が放てる。

 だから、魔法陣が盗まれて技術が登用される恐れが限りなく低い。

 この訓練プランが盗まれたなら…。

 いや…無理にだろう。

 何故なら、他人の体内で強くその効果を与えるには、相当の純度の魔力が必要であり、その効果を受ける人物の持ち属性にも対応するしかない。

 この世界では、普通は三つが持ち属性で、ごく希に四つ持ちなんてのもあるが…ディオスは、その全ての属性六つを持っているし、純度の高い魔力もある。

 そう、この訓練プランの運用自体、ディオスが行う事が前提なのだ。



 その内部生成魔法の実験兼実践が、二時間ほどで終わる。

 その後、受けた全員のメディカルチェックが行われる。

 これが長い。

 どんな影響が体に起こっているか…慎重に調べる事と、これが後々の為のデータとなる。

 王宮の会議室にてエルダー級魔導士達と部下達が集まり


「どうです?」

と、ディオスが尋ねると、アインシュが

「今の所…問題はないようだ」


 ケンブリッジが

「バイタルも、体内の魔導汚染もない、全て正常値だ」


 アルサドーラが

「もっと、圧縮してもいいのでは?」


 サンドラが

「私もそう思う」


「んん…」とディオスは唸り「分かりました。明日、全員の意思を確認して、効果を起こす作用の力を強めてみましょう」


 それで全員の意見が一致した。




 会議が終わった後、カメリアが

「ディオス様…」


「はい。なんです?」


 カメリアは鋭い目で

「ロマリアの…皇女アルミリアス様が直接、対話したいと…」


「はぁ?」

と、ディオスは首を傾げるも、カメリアの呼び掛けに続いた。



 ディオスはカメリア同伴で、特別映像通信室へ来る。

 調度品に囲まれた部屋の正面には、白い空間がある。

 ディオスは、その部屋の真ん中にあるソファーに座ると、カメリアが

「では…繋ぎます」

 正面の白い空間が歪んで、別の風景になる。そう、白い空間は遠方のロマリア皇帝城にある、同じ特別映像通信室を映している。


『こんにちは…』

 アルミリアスが、座るソファー室の映像である。


「こんにちは」

と、ディオスは挨拶する。


 アルミリアスが微笑み

「聞きましたよ。素晴らしい魔法を考案したとか…」


「はぁ…」とディオスは首を傾げる。

 思い当たる節がない。


 アルミリアスは

「グランスヴァイン級の魔法を、体内生成魔法で使えるようにする理論。素晴らしいですわ…」


「ああ…」とディオスはそれで察した。

「ありがとうございます。アルミリアス皇女様…」


 アルミリアスは試すような笑みで

「その素晴らしい魔法…是非…我が国でも実践して欲しいものですわ」


 ディオスは右の眉間が上がる。

 成る程…欲しいと…。

 

 この世界の王族達は、その身に強大で特別な力を宿す。

 アーリシアの王族は精霊神獣…ジン

 ユグラシアの王族は神獣技とか

 アリストス共和帝国の王族はドラゴニックフォースとか

 曙光国やユグラシア東は、神獣神具とか

 とにかく、王族には、地球でいうなら核兵器クラスの威力がある特殊能力を持っている。

 それはスキルのように、王族の血族に遺伝し、それから血が薄くなると消える。偶に遠縁の貴族なんかには、それが発露する事がある。

 そう…貴族の全てが王族の遠くの親戚でもある。

 そんな王しか持てない特別級の力が発露した場合は、その者が王族へ加わるのがこの世界の慣習だ。

 ソフィアも、例外ではない。

 ソフィアも王族の血を受け継いでいる故に、精霊神獣…ジンを持っている。

 だが、その発動には、大きな力を持つ精霊の精霊魔力がいる。

 故に、バルストランでは、王が貴族の選挙で選ばれ、バルストランの方位四方にいる精霊の一人と契約して、ジンを使えるようにするのだ。

 どうしても…大きな繋がりまたは、国家という組織を維持するには、そのような力が必要であり、それが象徴と権威となって纏まるのだ。


 そして、それを補強する力もまた、欲される。

 つまり、ディオスが生み出したグランスヴァイン級の魔法の体内生成魔法は、その補強になるのだ。

 

 ディオスはアルミリアスを見つめる。

 アルミリアスは、次期ロマリア皇帝である。

 その身には、強大な熱核魔法クラスの神獣技を宿している。

 無論、ロマリアの皇帝になるには、現皇帝の父が退位するか、崩御して受け継ぐのだが…。

 自分の将来の地位を盤石にする為に、ディオスの生み出した、ソレを欲しがる。

 この世界の王は、地球でいう大統領のようなモノだ。余りにも酷い内政や政策をすると、王弾劾裁判が起こって、権限が全て奪われて置物の王にされる。

 まあ…余程の事がない限りだ。

 

 ディオスは腕を組み

「それは…ご自身の将来の為に?」


 アルミリアスの口角が上がる。

「いいえ、素晴らしい魔法を知りたいからです」


 ディオスはジーと見つめる。

 ウソだ。絶対にウソだ。まあ…こうなる事は予測済みだ。

「分かりました。そちらへ提供しても構いません」


 アルミリアスは嬉しそうな顔をして

「本当ですか!」


「正し、条件があります。まず、包括的大規模破壊魔法による使用限定条約に入って頂く事と、アーリシア十二国の王達の全員の了承が必要です」


 アルミリアスは右手を顎に置き

「条約に入るのは問題ありませんが…。十二国の王達の了承ですか…」


 ディオスが平然と

「そんな難しい問題ではありません。十二国の王達と定期的に会談していただければ、きっと十二国の王達は快諾をしてくれるでしょう」


 アルミリアスは難しそうな顔をして

「という事は…我らがアーリシアへ行くという事に…」

 マズそうな顔をする。

 そう、ロマリアの皇帝は国から一歩も出た事がない。不動の皇帝だ。

 それを揺るがす訳にはいかない。


 だからディオスが

「これは提案ですが…。リーレシア王国とロマリア帝国の堺にあるロマリア側の都市遺跡地帯で十二国王達を呼んでの会談はどうでしょう?」


 アルミリアスの顔が明るくなる。

「悪くないかも…」


「ええ…」とディオスは肯き

「十二国の王達もアーリシアからは離れたくはないでしょう。ロマリア皇帝もロマリアから離れたくない。お互いの立場が通る場所に、そこが最適ではないかと…。更に超古代遺跡の都市です。学術的な価値がある場所ですから、色々と平和的とか、対外的にも良いかと…」


 アルミリアスは嬉しそうな顔で

「貴重なご所見、感謝しますわ」


「いいえ…。タダの、戯言ですから」


「その二つが揃った暁には…」


「ええ…確約しますよ」


「それと…」とアルミリアスはディオスを見つめて

「ディオス殿が、近々、我が帝国に来て頂き、その学術を我が帝国にご享受して頂くのはどうでしょう?」


「ああ…ロマリア帝国にですか?」


「ええ…我が帝国の魔法研究者達が、ディオス殿の手腕を是非、見てみたいと…」


 ディオスは右手を顎に当て。

 そうだな…まあ、内情を知るには悪くないし、そのロマリアの魔法技術も学べる。

「期限付きでしょうが…可能かもしれません。ソフィア陛下に相談してみます」


「お願いします」



 こうして、ロマリアの皇女アルミリアスとの会談を終えた後、隣で聞いていたカメリアにディオスは

「だってさ、カメリアさん」


 カメリアは「はぁ…」と深い溜息を吐き

「全く、ロマリアと十二国の王達の会談を勝手に提案するなど…後で、ソフィア様のお叱りが飛んで来るでしょう」


「うわ…その前に逃げるかなぁ…。それと、ロマリアの派遣についても」


 カメリアは呆れつつも

「ソフィア陛下には私から言っておきます」


「ありがとう。カメリアさん」



 ディオスは王宮を後にして、自分の魔導車がある駐車場へ向かい街中を歩いていると…。

 ふと…色々と思い返す。

 一週間前から始まった、体内生成魔法の訓練。

 これによってアーリシアの国々を防衛するシステムの一つが完成する。

 気付けば、国という大きな組織を運営する側になっている。

 前の地球では、会社の裏切りによって、死にそうになって組織自体に懐疑的なトラウマを植え付けられた。

 地球での会社は、労働組合とかあって、社員を大事にすると言って、革新的とか革命的とか、左巻きのような風潮があったが…。

 結局、会社という組織を守る為に、たった一人の犠牲なんて問題ではなかったのだ。

 それは、きっと逆の右巻きの風潮がある会社でも同じだろう。

 人間の本質なんて、どう…主義主張を持とうとも、変わらない。

 根本がそうなのだから…、どっちに右にも左にもいっても変わらないだろう。

 一番、真ん中…中庸が良いのだろう。

 でも、なかなか難しいよねぇ…。

 どっちにも転がり易い。

 善悪の彼岸なんて…聞いた事がある。

 善悪なんてその立っている場所で如何様にでも決まるのだ。


「はぁ…」とディオスは考えただけで、気分が重くなって

「もう…帰って、クレティアやクリシュナの大きなお腹を擦って癒やされよう…」


 そんな時だ。

「あ!」と後ろで女の人の声がした。

 女の人が、持っていた飲み物をディオスに零しかけるが

”グラビティフィールド・アンチ”

と、無重力の魔法を発動させて、周囲を無重力化した。

 ディオスに被る筈の、飲み物がアメーバーのように浮かぶ。

「大丈夫ですか?」

と、ディオスは後ろを振り向く。


 女性は戸惑った顔をしている。


 まあ、ビックリしているよね。それは普通の反応ですよ。

 ディオスはそう思いながら「すいません。ちょっと」と女性の右手にある、飲み物が入ったであろうコップを取って、アメーバーのように浮いている飲み物を拾って入れる。

 魔法を解除すると、飲み物は重力に従いコップに収まった。

「気をつけてくださいね」

と、ディオスは肯き


「ああ…ありがとうございます」

と、女性は会釈する。


 ディオスは、駐車場に向かう。その最中、なんと同様の飲み物、掛かりそうな事件が三件も連発する。

 その対応に、ディオスは焦る事なく、反重力魔法を発動させて無難に対応した。

 ディオスは、魔導車に乗りながら

 珍しいなぁ…。こんな飲み物が掛けられそうになる事件が連発するなんて…。



 次の日、ディオスは何時ものように、体内生成魔法の訓練を行っていると…。

「ディオス殿…」

 アインシュが

「最近、何か…変な事はありましたか?」


 ディオスは首を傾げ

「変な事? んん…ロマリアの皇女が自分と会談した事ですか?」


「いいや…そういう事では…。何か? 女性関係とか…」


「女性関係?」

 ディオスは訝して首を傾げながら

「特に…別に…ですね」


「そ、そうか…ならいいです」

 アインシュは話題を切った。


 なんだ?とディオスは思うも、訓練の作業に集中した。




 その夕方、ディオスは何時ものように帰りの街中を進んでいると、妙に視線を感じてパッと後ろを振り向く。

 後ろにいた女性がビックとして、持っていたケチャップのソースがタップリ掛かったフランクフルトを頬張る。

「これ、おいしいなぁ…」

 なんか、その動作がワザとっぽい。


 ディオスは、その女性が前を通り過ぎるまで見つめた。

「……何だ?」

 そう思いつつ、進むと、また視線を後ろから感じて振り向く。


 今度は別の女性が、マスタードタップリのハンバーグを両手に持っている。

 そして、先程の女性と同じく「これ、おいしいなぁ…」と呟いて前に出た。


 ディオスは頭を傾げ「なんだ?」と呟いた。

 

 ディオスは魔導車が置いてある駐車場に来て、魔導車に触れてロックを解除、乗り込もうとした瞬間、隣の魔導車のドアがいきなり開いて、そこから、アイスクリームを持った女性が出て、アイスクリームがディオスに被ろうとした。


 それを見た女性の顔が良しという感じだ。だが…。

”グラビティフィールド・アンチ”

 反重力魔法が発動して、アイスクリームは空中に浮かんで止まった。

 ディオスはそれを取って

「はい、気をつけてくださいね」

と、女性に渡して魔導車に乗り込む。


 受け取った女性は呆然としていた。



 ディオスは魔導車を運転しながら、不意に…そう言えば…昨日も同じような事故に遭遇したなぁ…。

 脳裏に、アインシュの言葉が過ぎる。

 何か変な事はありましたか? 女性関係で…。

 そうだ…今、さっきの事。当てはまるぞ。



 さらに翌日、ディオスはアインシュに

「アインシュ様…昨日…。何か、自分に尋ねて来ましたが…。何か理由が?」


 アインシュは気まずい顔をして

「いいや…その…。噂でねぇ…。ディオス殿を引き入れる為に、色香術を…ハニートラップをしかけているというのを聞いたのだが…」


「はぁぁぁぁぁ」

 ディオスは眉間に沢山のシワが寄る程に呆れた。


「何か…心当たりが?」とアインシュが尋ねる。


 ディオスは、眉間に右手を押さえて考える。

 え…もしかして…一昨日まで起こった事って、オレに飲み物か、食べ物を引っかけて、ハニートラップに嵌める為に動いたって事かーーーーーーー

 ふざけんなよ。オレの女はクレティアとクリシュナ以外、いないんだ!

 しかも、二人は身重なんだぞ…。本当にふざけた事をしやがって…。

「アインシュ様…それは、何処から?」


 アインシュは顔を微妙にしながら

「その…ヴィルヘルム陛下から、聞いたんじゃ。どうも…色んな国の貴族や組織が…そのように動いている節があるとなぁ…」


 ディオスは額を抱える。

 ウソだろう…。なんで、オレなの? どうして、オレなの?

 どうでもいいーーーーじゃん。


 その様子にアインシュが

「何か、心当たりでも?」


「いえ、何でもありません」

と、ディオスは告げた。



 そして、その帰り道の街中、無数の視線がディオスに向けられていた。

 その視線の全てが鋭い、何かを狙っているようだ。

 ディオスは顔を動かないで、視線だけ周囲を伺う。

 そうすると、幾人もの女性と目があった。

 目があった女性の挙動が不審になる。

 ディオスは、眉間を押さえた次に、ベクトの瞬間移動で消えた。

 来た場所は、その場所の傍にある建物の屋根だ。

 ディオスは、高い所から見下ろすと、ディオスがいなくなった場所に数人の女性が集まってヒソヒソと話をしている。

 うわぁぁぁ。オレの自意識過剰じゃあなかったのね…。

「はぁ…」とディオスは溜息を漏らし

 当分の間、街中を歩けないなぁ…。


 ディオスはベクト使って、駐車場まで行くと、直ぐに魔導車に乗り込んで出発しようとしたら、ガクンと魔導車が揺れる。

「え…」とディオスは魔導車から降りると、なんと魔導車のタイヤが全てパンクしていた。

「うそ…」

 ディオスはタイヤを調べると…何と、何か大きなモノで穴が空いた跡があった。


 そこへ、「どうかしましたか…」と女性が来る。

 ディオスは振り向くと、女性が笑っている。


 ディオスは真っ青になる。

 何かの切っ掛けを作るために、魔導車をパンクさせたのだ。

「いいえ、大丈夫です」

と、ディオスが断るも


 女性が

「あら…パンクしているじゃあないですか…。お手伝いしましょうか?」


「いいい、いえ…大丈夫です」

 ディオスは反重力魔法を発動させ、魔導車を駐車スペースに戻して

「大丈夫なんで、じゃあ!」

 急いでベクトを使ってその場から瞬間移動した。



 直ぐに王宮に戻ると、食堂に行って知り合いを探す。

 そこにナトゥムラとスーギィがいた。

「ナトゥムラさんーーー スーギィさんーーー」

 ディオスは二人に駆け付ける。


「はぁ? どうした?」とナトゥムラ


「何だ? ディオス?」とスーギィ


 ディオスは二人に「助けてください」と懇願した。


『はぁ?』と二人は唸った。



 ディオスから事情を聞いて、ナトゥムラとスーギィは、数名の部下を伴ってディオスのパンクした車に行く。

 ディオスは、王宮で一人、食堂で待機している。


 ナトゥムラとスーギィは、ディオスの魔導車を回収して、王宮に帰ってくると、食堂にいるディオスいる席の前に座り。


 ナトゥムラが

「今、行ってきて回収したが…。マズいわ…」


 スーギィが

「魔導車の中に、数個の探知装置と、盗聴器、更に…妙な術式までエンチャンされている形跡があった。恐らく、廃車にしないといけない」


「ああ…」とディオスは頭を抱えた。


 ナトゥムラが「おい…何時からだ?」


「二日程前から…」とディオスはぼやく。


 ナトゥムラとスーギィが顔を見合わせ

 スーギィが

「ディオス。おそらく、仕掛けられた痕跡から推測するに、一週間前くらいから、ディオスの生活パターンを採取していたかもしれん」


 ナトゥムラは腕を組み難しい顔をして

「今日は、王宮に泊まれ…。それと…嫁さん達への連絡は、ダメだぞ。屋敷の方にも何かしかけられている可能性がある。オレ達が直接、嫁さん達に伝えると…。明日、屋敷の調査をする。何か仕掛けられていないか調べるぞ」


 ディオスは項垂れながら

「すいません。ご迷惑をお掛けします」


 スーギィが「ふ…ん」と息を吐き

「こんな事をする規模だ。もしかしたら…国がらみかもしれん。全く…お前は色々とやり過ぎたのかもしれんぞ」


「ああ…」と項垂れるディオスの脳裏にあるのは、クレティアとクリシュナの心配だった。

 二人は子供を身篭もっているのだ。これが大きいストレスとなって…。

 それだけが心配なディオスだが…。

 まだまだ、事態は収まらない。

 いや…とんでもない方向へ向かってしまうのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次話もあります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。


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