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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
大英雄協奏曲

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第60話 大英雄狂想曲 その一

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは更なる提案を練っていた。

それにより様々な思惑が動く。

 その日、ディオスは午後の魔導石の生成を終えて、書斎でとある計画書を書いていた。

「これでいいかなぁ…」

 ディオスは完成した計画書の数を数える。

 それは、三つだ。

 その後、魔導情報端末のある部屋に来て、遠くと通信を繋げる。

 通信のコールを鳴らしていると、端末が通信先に繋がった。

「はい…こちらは、シュタイン魔法研究所です」

 端末の画面に研究所の魔導士の男性が出てくれた。


「こんにちは、ディオス・グレンテルです」


「ああ…ディオス様…。今日はどのような?」


「アインシュ様に、かねてから…相談していた研究の方の資料が完成したので、そちらに転送したいのですが…」


「はい。今、アインシュ様は出掛けていますので、お預かりします」


「じゃあ、転送するからよろしくお願いします」

 ディオスは、端末のとなりにある魔導転送装置の板を取り出し、それに完成した書類を置く。

 その転送装置には、束で置かれている。

 ディオスの書いていたのは魔導紙という特殊な魔導の紙で、書かれた情報を情報の魔法に変換して、色んな所へ送れるのだ。

 書類の束が光、そこから書かれた情報が魔法化して、繋げた端末に消えた。


 端末の向こうにいる魔導士が、その魔法情報を受け取り

「確かに確認しました。アインシュ様にお渡しします」


「頼みます」

 通信を切った後、ディオスは次の通信相手に端末を繋ぐ。

 今度は、レギレル国のケンブリッジだ。

 同じく、ケンブリッジの研究所にも同じ情報を送り。

 次はエルフの国、ノーディスのエルダー級魔導士、アルサドーラの研究所にも同じく送り、最後にレタリア共和王国のエルダー級魔導士、サンドラの研究所にも送った。

 そう、ディオスはアーリシアにいるエルダー級魔導士達と、とある研究を共同でしていた。

 共同といっても各分野のエルダー級魔導士の研究所が持っている魔法のデータを見させて貰って、出来たのをエルダー級魔導士達に見て貰うという感じだ。


「さて…」とディオスは、出来た魔法を送った後、次の書類の作成に掛かる。

 それは、ソフィア達に見せる為だ。

「上手くいくかなぁ…」

 そんな事を考えながら、書類を作成する。

 その書類とは…。



 翌日、ディオスはその書類をソフィアに提出する。

 王の執務机に座るソフィアは、その書類を見て瞳を大きく見開き、口を開けて驚いていた。その右には、ゼリティアと、左にはカメリアがいた。

 二人は、額を抱えて頭を痛くしていた。


 ソフィアは驚きで、正面にいるディオスを見つめ

「アンタ…何、これ…どういう事」


「ああ…いや、そういう書類だよ」


 ソフィアは頭を抱えた。

「冗談じゃあないわよ」


 ゼリティアがディオスを見つめて

「お主…戦争の概念を覆す気か?」


 ディオスは首を傾げ

「いいや、そんな事ではないと思うが…」


 ソフィアが恐る恐る…

「アンタ…これ、何処か他にバラしていないわよね!」


 ディオスは目を丸くして

「ええ…データに協力してくれたエルダー級魔導士達には送ったぞ。序でに、王様にも報告してとな…」


 ソフィアは静かに立ち上がって、ディオスの前に来ると、左手でディオスの肩を持ち、右手を硬く握り、ドスッとディオスの腹にパンチをした。

「おぉぅううう」

 久しぶりの強烈な腹パンにディオスは蹲った。


「お・ま・え・はーーーーー こういう事をするなら! 早めに相談せんかーーーーー」

 お怒りであるソフィアだった。


 そこへドアがノックされ、仕官が入って来て

「陛下…フランドイル王から通信です」


 別の仕官が来て

「陛下…ノーディス王より通信です」


 更に更に仕官二名が

「レギレル王より、通信が」

「レタリア王より、ご連絡が…」


 ソフィアは頭を抱えて「だから…こうなった…。もう…詰んでんじゃん。やるしかないわよ…」


 うう…と唸って蹲るディオスに、ゼリティアが来て跪き

「のぉ…ディオス…。こういう大それた事をするなら、相談してくれ」


「ええ…そんな大それた事とは思っていないけど…」


 ゼリティアはパチンとディオスの額を軽く叩き

「お前の基準は、偶に一般的というのを飛び越えているのじゃ…。だからな…分かったか。妾とお主は友じゃ。こういう事は…気軽に妾に相談してくれ。なぁ」


「ああ…う、うん」

と、ディオスは微妙な気分だった。

 そんなにオレの感覚ってズレているのか?




 その一週間後、バルストランで、十二国の王達が集まって晩餐会が行われた。

 終始なごやかな、王達の晩餐会。


 その食事の最中、ソフィアが

「では…みなさま…、王達の交流と名目で集まって頂きました。晩餐会のメインをお出しします」


 その言葉に、フランドイル王ヴィルヘルムは楽しげな笑みを浮かべた。


 王達の右に、書類が置かれた。

 それに手を付けたのは、七人の王達だけで、残り五人。

 フランドイル、バルストラン、ノーディウス、レタリア、レギレル

 この五人は手を付けない。内容を知っているからだ。


 書類を見た王達の顔が驚きに染まる。

「なんと…単騎での熱核魔法グランスヴァインの運用計画だと…」


「ソフィア殿…これは?」


 ソフィアは息を整え

「書類の通りです。ウチの魔導士のディオス・グレンテルが、各地区のエルダー級と共同で開発したグランスヴァイン級破壊魔法単騎運用計画です。他にも…」


 王達は、二つ目を見る。

「グランスヴァイン級魔法の完全防護結界魔法装置の運用…」

 驚きの余り頭が真っ白になりそうになる。


 ソフィアが

「その装置のオリジナルは、かつてヴァシロウスを倒す時に使用された装備で、ヴァシロウスの強大な攻撃さえ、軽々と防いだ実績があります。それを軍備として運用するのです」

 そう、あのヴィアンドを更に改良したのを国の防衛として運用するのだ。


 ポルスペルの王がフラフラとしながら

「かつて、魔王ディオスが作り出したグランスヴァインとバルド・フレアは…その魔法陣の構築が難しく、膨大な魔力を必要とするので、魔王ディオス以外、使えない代物だった。それが…今や…この運用計画に則って運用すれば、誰にでも使える時代になったのか…。恐ろしい」


 ガリシャマイト連合の王が

「だが…こんな脅威を、ロマリアやアリストスが放って置くとは思えんぞ」


 フランドイル王、ヴィルヘルムが

「そのご指摘の通りだ。だから…最後の三番目の資料を見て欲しい」

 資料を見る王達が、最後の資料を見る。


「包括的大規模破壊魔法による使用限定条約…」

と、王達が口にした。


 ヴィルヘルムが

「そうだ。この我らが運用する大規模破壊魔法は、国防の為にしか使わない。領土侵略をする存在、国家、組織、勢力、または武装組織だけにしか使用しないのだ。更にだ、もしこれを侵略に使用した場合は、他の保有する国が押さえに掛かっても致し方ないという約束…。つまりだ…初めから侵略に使わないという条約によって、我らが咎められる事は無い」


 ノーディウスのノヴァリアスが

「更にだ。グランスヴァイン級の魔法を完全に防ぐ防護壁のお陰で、領土を侵略しようとする者達だけを倒せる。つまり…我らの領土に侵犯しない限り…その攻撃はしないという絶対的な約束になる」


 ヴィルヘルムが

「我らは、国を守る最強の矛と盾を手にして、それを正当化させる十戒も手にしているのだ…。皆の者よ。不満があるかね?」


 王達は顔を見合わせた次に

「統合軍にもこれが配備されるのか?」


 ソフィアが

「それは勿論です」


 十二国全てが、この大規模破壊魔法の単騎運用と、防護の盾を装備して、条約という枷でそれを持つ事を正当化する。


「ただし…」とソフィアが

「我々が持つと、ロマリアやアリストスの牽制には、不十分なので、アフーリアのレオルトス王国と、ユグラシア中央のトルキア共和国にも、同様の運用と条約を結ばせたいと思いますが…」


 王達は誰も文句を言わない。


 ソフィアは王達を見回して

「では…了承していただけたという事で…」


 王達は深く肯いた。




 その後、運用する術者の数は各国十名として、防護装置製造はオルディナイト、ヴァルハラ、ウルシアルの三つの財団で行う事なった。


 ソフィアは、「はぁ…」と王の執務室でイスに深く座る。


 晩餐会が終わり、王達が席を離れている時、ヴィルヘルムがソフィアの元へ来て

「ワシは、お主が嫌いだった」


「どうして…」


「お主は理想論ばかりを唱える。愚か者だと思っていた。だが…その考えを訂正しなければならない。この計画を了承するとは…。お主もなかなか、王になって来たではないか」


「フ…」とソフィアは微笑み


「そうですね。凄すぎる部下を持つと、それに見合おうとしてがんばりますから」


「けっこうけっこう。まあ、体は大事にしろ。何かあったら、相談には乗るぞ」

と、楽しげにヴィルヘルムは去っていた。


「はぁ…」とソフィアは、壁にある自分と部下達が写る壁掛け写真を見て

「本当に…凄すぎる部下ばかりですよ」

 ソフィアの視線の先には、写真の自分の右にいるディオスに向いていた。

 そのディオスの顔は仏頂面である。

「もっと笑えばいいのに…」



 ディオスは、屋敷でソフィアから、計画が通ったと聞いて、次に通信をしたのは…

「もしもし、ケンジロウさんですか?」

 実はケンジロウと連絡先を交換していた。


 午後半ばのアリストス中央部、情報局がある町の中で小型魔導通信機を持って葉巻を咥えるケンジロウ。

『ああ…お前か…』


「どうだ? お前等に売った…あの情報は?」


 ケンジロウはフッと笑み

「お嬢…もの凄く喜んで、アリストスの情報局へ売りにいったぜ」


 ディオスもフッと笑み

「上々。アリストスの連中が吠え面をかくのが目に浮かぶ」


「ははは…」

と、笑うケンジロウにヴァアナが来て

「けんじろーーーー やったーーー 最高額の金貨五万枚で売れたよーーー」

 嬉しげにケンジロウへ抱き付くヴァアナ


「だ、そうだ…」とケンジロウはディオスに告げた。


「そう…それは良かった」

 ディオスは微笑んだ。



 ケンジロウとの会話を終えて、書斎のイスに座るディオスは、ニヤニヤと笑む。

 これで、アリストスはレオルトスとの関係を見直さざる得ない。いや…アフーリアとの関係もだ。

 何せ、条約には…同盟国の国防を行うなら、その遠方にある同盟国の要請で、使用しても構わないとあるからだ。

 そして、何れ産まれる自分の子供の為にもある。

 ディオスと同じ体質の子供達は、必ず将来、ディオスの超絶な魔法技を憶えないといけない。その魔力をコントロールする為に…。

 そう、これは、その将来の為のデモンストレーションであり、守る規制でもある。

 

 そこへ「ダーリン」とクレティアが書斎に入ってきた。

「もう、寝ない?」とクレティアが呼ぶそのお腹は七ヶ月の大きさだ。


「ああ…分かった」とディオスはイスから立ち上がり、クレティアのそばに来ると、そのお腹を触る。

 ディオスが触ると、お腹の子が反応するらしく、ディオスの置いた部分が僅かに動くように感じる。

 なんだ? この激烈にかわいい存在は!

 産まれる前のお腹にいる段階で、ディオスを求めているので、ディオスはメロメロだった。

 ディオスの行動原理は、この産まれてくる子供達と、その将来に出会って友になってくれる子供達の為に…そう、動いていた。

 

 そんな幸せの絶頂である時…とんでもない事態が迫っていた。




 アリストス共和帝国情報局では、ヴァアナからもたらされた情報に、情報局の一同が驚愕して、ドンっと一人がテーブルを叩いた。

「ふざけるな…こんな事が…許されるのか!」


 そう、もたらされた情報とは…あの、グランスヴァイン級の魔法の単騎運用と、それ同等の攻撃魔法を完全防護する障壁魔法、そのセットの条約、それがレオルトスに提供されるという四つの事だ。


 参謀と将軍達が、情報官を見つめ

「それは…本当なのか?」


「はい…かなりの筋です」と情報官は肯く。


 参謀が

「将軍、このままでは、我ら内政軍は大きく力を失います」


 将軍は

「では、どうするのかね? ディオス・グレンテルにケンカを売るのか? あのヴァシロウスを倒した英雄と、我ら内政府軍が戦争をして、痛手無しで勝利出来ると思うのか?」


 誰しもが無理だとして黙る。そこへ情報官が

「将軍…ディオス・グレンテルは、情愛が深い人物だと、判明しています」


「それがなんだ!」


「我々の側へ引き込むのです…」


 参謀が情報官をジロリと見つめ

「つまり…色香で引き込むと…。可能なのかね? 甚だ愚問に思えるが…」


「ですが、やるしかありません…。魔法や戦いでは圧倒的に、向こうが上ですから」


 将軍が

「皇帝陛下は、アインデウス様はなんと!」


 参謀が

「我らは国の領土を守るのみ…その一点張りですよ」


 将軍が情報官を見つめ

「ダメもとでもやるしかない。頼んだぞ…」


「は!」と情報官は敬礼した。


 これにより、ディオスをハニートラップで引き込む作戦が始まった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次話もあります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。


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