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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
大英雄協奏曲

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第56話 三国の思惑

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスが手伝うアフーリアの資源交渉は

シャリカランのアルヴァルド達も巻き込んで

とんでもない事態へ発展した。

その時、ディオスは?

 ディオスはカルラに連れられて、とある商社の建物に来る。


「こちらです…」

と、カルラは商社のドアを開けてディオスを中に入れる。


 ディオスが商社の中に入ると、その一階のホールに、シャリカランの黒いマントを纏った一団がいた。

 そう、ここはマハーカーラ財閥のアフーリアにある商社の一つだった。


 シャリカランの一団が割れて、そこから、黒い鎧で武装したアルヴァルドが来る。

「待っていたぞディオス…」

 完全戦闘態勢のアルヴァルドにディオスは近づき、跪き

「夜分、遅くのお呼び出し、何か緊急の事でしょう。なんなりの命じください。お父様…」


 アルヴァルドは瞳を鋭くさせ

「ディオス…ちと…問題が起こった」


 アルヴァルドは、事態を説明する。


 ゴルディオル共和国の東にあるレジプト王国で、混乱の戦場が出来てしまった。

 それは、レジプトであった不法武器取引組織の討滅の為にレジプト王国軍が国内の砂漠のど真ん中にある不法組織の壊滅を行った。

 だが…その組織が潰れた後、唐突に極東の曙光国から抗議が飛んで来て、ゴルディオス共和国経由で、曙光国の部隊が入り込んだ。

 強引な行動に、レジプトは曙光国へ抗議した。

 だが…今度は、ロマリアから抗議が入った。

 なんと、壊滅させた不法組織は、ロマリアの民間の運送会社だと…。

 そして、ロマリアまでも、軍派遣を行った。


 その事態を聞いてディオスは額を抱える。

「な…何ですか? その訳の分からない事態は?」


 アルヴァルドは、眉間を寄せて

「おそらく、レジプトは嵌められたのだろう。不法組織を仕切っておったのは…」

 アルヴァルドの視線が鋭くなる。


 ディオスはそれに、何か因縁があるのか…と察した。


 アルヴァルドは、怒りを込めるように

「その組織を仕切っている者は、ロマリアとユグラシア中央部を拠点にする武器商人じゃ。ロマリアは中央に大きな力を持つ皇帝軍と、九つに区切れた領域を収める大公の大公軍の二つがある。

 その大公軍の一つにある。

 とある組織…その存在が闇に包まれた武器商人専用の組織がある。

 それが…今回の混乱を起こした張本人だ」


 ディオスは目線を鋭くさせ

「目的は?」


「おそらく…新型の武器の実験と実績作り。その組織がよく使う手だ」

 アルヴォルドの視線は鋭い。


 ディオスは天井を見上げ…

「いいえ、おそらく、それ以外もあります。それは、きっと自分が関係している。資源交渉も入っているような気がします」



 ロマリアとアフーリアとの資源の航路が確立されると、ロマリアで採掘している資源の売り上げも減る。

 さらに、曙光国は…アリストス共和帝国と同盟関係だ。

 アリストス共和帝国が表立って動けないので、曙光国がその代理で圧力を加えて来た。

 そして…その武器組織…目的は…戦争だ。

 混乱を起こして、自身の開発する兵器の運用、実績の為に、混乱した戦場を作り出した。

 事態が、混迷している程、収拾するのに時間が掛かる。


 ロマリア、アリストス、その組織の三つの国を超えた思惑が交差していた。


「チィ…」とディオスは舌打ちして「テロリストみたいな手口だなぁ…」


「ディオス…」とアルヴァルドが呼び掛ける。

「ワシは、この事態を収めて欲しいと、レジプトから要請された。レジプトはアフーリアの中でもシューティア教とレスラム教が共存する国。放って置く事はできん」


 ディオスは、アルヴァルドを見つめ

「それ以外もあるのでしょう。お父様…。その組織について…良く知っておられるという事は…」


 ディオスの勘の鋭さにアルヴァルドはフッとして

「昔な…その組織のトップのヤツに、シャルマを…。クリシュナの母親を殺された」


「ああ…」

 ディオスはそれで察した。


 アルヴァルドは、シャルマの仇討ちをする為に来たのだ。 

 そうでなければ、シャリカランのトップが動く事なんて許されない。

 

 アルヴァルドは、右手を顔前に置いて

「任務中の死だった。それは仕方ない…。だが…アヤツは…シャルマの死を嘲笑いおった。非道な人でなしだと…感じた。それが赦せない」

と、右手を握り硬くした。


 ディオスは、その話を聞いて、自分とクリシュナを重ね合わせた。

 もし…自分が同じ立場だったら…。


 アルヴァルドはディオスを見つめ

「お前も、やはり、復讐はダメだと…言うのか?」


 ディオスは鋭い視線を向け

「いいえ、お父様…是非、協力させてください」

 そう、自分が同じだったら、絶対にアルヴァルドと同じ事をしただろう。

 その自信だけはある。

「ですが、お父様…。最後の最後でトドメを刺す時は、お父様の手で…」


「うむ…」とアルヴァルドは肯いた。




 ディオスは、カルラと共にホテルに戻って準備を始めていると、ホテルのドアがノックされ

「ディオスさん! 開けてください。フィリティです」

 フィリティが部下を連れてディオスの元へ来た。ドアが開き

「ディオスさん。大変です。レジプト王国で…」


 それでディオスは、察した。アルヴァルドと同じ案件で来たのだ。


 ディオスは、フィリティ達を部屋に入れて、事情を説明する。


 フィリティは驚きの顔を向ける。

 そう、まさに頼もうとした事をディオスがシャリカランと共に行おうとしていたのだ。

「分かりました。ディオスさん、気をつけて」


「ええ…フィリティ陛下も…交渉の方をよろしくお願いします」


「はい…まあ…この事態で当分の間、延期ですがね…」

 



 ディオスはホテルを後にして、カルラの導きにてシャリカランの飛空艇へ乗り込む。

 夜から出て、翌朝にはレジプトの問題の砂丘地方へ到着した。

 シャリカランの飛空艇は、山間を陣営としてレジプト軍と合流後に。

 ディオスはカルラとアルヴァルドに数名のシャリカランの者達と共に斥候に出る。

 シャリカラン特製の姿が消える魔法に包まれている地面より僅かに浮かぶ魔導車に乗って、一番近い所にある曙光国の陣営に向かう。


 運河沿いにある曙光国の陣営を遠くの高い丘から見つめる。

 ディオス達は、遠見で曙光国の軍隊を見つめる。

「おお…」とディオスは唸る。


 曙光国の軍隊の構成は、ゴーレムの大部隊だ。

 ゼリティアの工場見学で見た時のように、西洋甲冑のような様相ではなく、戦車を思わせる。陸戦兵器のような感じだ。


 どこぞのSFかよ…。魔法の世界なんだぞ…。

 もう…腕に付いているのなんて機関砲じゃあないか…。

 この世界独特の、何処か魔導石が出ている突起なんて一切ないじゃないか…。

 なんかもう…場違いのような光景に、ディオスは呆れに顔を引き攣らせていると…。

 曙光国のゴーレム部隊が並ぶ後ろにある、陣営のテント群から一人の男が姿を見せる。


 黒髪のオールバック、鋭い眼光と細身の顎と体格。刀のような印象を受けるスーツの男…。


 それにアルヴァルドが気付き

「なんという事だ。曙光国を主とするワゴウ財閥の一人で軍需部門総括の社長…。カズキヨ・ワゴウではないか…」


「え…」

 ディオスは驚く。

 曙光国の財閥の関係者がいるのだ。

 つまり…自分の日本でいた例なら、ミ○ビシ重工の社長がいるようなモノだ。

 ええ…そんな大社長が…戦場のど真ん中に来るの?

 ディオスは、全くもって納得が出来ない。

 何処かの少将か大佐がいるなら分かるが…。

 民間人で、製造を主とする会社の社長が来て良いはずがない。

 そんな疑問の中で、ディオスはカズキヨを遠見で見つめていると、カズキヨがこちらを見た。

「え…」とディオスが戸惑った次に、ディオスの中にあるシンギラリティが、カズキヨを同じシンギラリティだと知らせた。


 それは隣にいたアルヴァルドも同じだった。

「ディオス…」とアルヴァルドはディオスを見る。


「ええ…」とディオス肯いた。

 そう、二人のシンギラリティは、カズキヨが同じだと確信させた。


 ディオス達は、曙光国の陣営を見つめていると、カズキヨだけが、こっちを正確に見つめている。


 それにディオスは

「お父様…一旦引きましょう…」


 アルヴァルドは「そうじゃな…」と同意して、ここから去る。


 カズキヨは、同じシンギラリティであるディオスとアルヴァルドの気配に気付いていた。

 その距離、二キロ先だ。


 曙光国の陣営、同じ方向を見続けるカズキヨに、陣営の兵士が近付き

「カズキヨ様…どうかしましたか?」


 カズキヨは視線を外して

「何でも無い…」

と、告げて陣営のテントの中に帰った。




 ディオス達は、次にロマリアの陣営に向かう。

 同じく高い砂丘からロマリアの陣営を見つめる。

 ディオスはロマリアの配備した飛空艇群を見て、目が鋭くなる。

 そう…その形状は、ディオスのいた地球であった空母と酷似していた。

 巨大な飛行機が走る甲板。

 そして、そこから飛び立つ飛行機…いや、戦闘機だった。

 轟音と高熱を放って飛ぶエイのようなそれは、地球であった無人戦闘機の意匠そのモノだった。

 グッとディオスは拳を握りしめる。それ程までに地球の存在感を感じた。

 それは隣にいたアルヴァルドも同じだった。

 かつて、シャルマと共に戦った戦場で見た戦闘機の姿に、あの男、アズナブルの存在を感じる。

 そして、さらに決定的な事があった。

 無人戦闘機が飛ぶ甲板に、アズナブルの付き人であるレイドとララーナの二人の姿が現れた。

 ギリッとアルヴァルドは歯を噛み締める。

 殺気が入るディオスとアルヴァルドの様子に付いてきたカルラとシャリカランの者達は、戦々恐々としていると…。


「どうかね…? 私の作る兵器達は?」

 全員が声のした後ろを振り向く。

 一同の少し上にある岩の上に一人の男が立っていた。。

 金髪、目元を仮面に覆う赤いロマリアの軍隊の様相の男…。


 アルヴァルドの殺気が倍加する。

 怒れる獅子の顔となるアルヴァルド。

 ディオスの殺気も同じく高まる


「久しぶりじゃあのぉ…アズナブル…」

 アルヴァルドの呼び掛けに金髪仮面の男アズナブルは、口元だけに笑みを浮かべ

「ああ…すまない。アナタには用はないのだよ。私がここに来たのは、君に会いたいからなんだよ。ディオス・グレンテルくん」

と、アズナブルはディオスを指さす。


「ああ…」とディオスは不快な顔をする。


 アズナブルは嘲笑いのような口元の笑みで、懐を探って何かを取り出して掲げる。

 そして、それを触って光らせた。


 ディオスはそれを見て「ああああ!」と呼吸が困難になる程に驚く。

 そう…アズナブルが取り出したのは、スマホだった。


 完全にスマホの画面に驚愕するディオス。


 その反応にアズナブルは確信した。

「初めまして…同胞よ…」

 そう…アズナブルは、ディオスと同じ地球から来た者だった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次話もあります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。


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