第527話 天の車
次話を読んでいただきありがとうございます。
よろしくお願いします。
ディオス達は、流れ流れて
ディオスは通路を歩いて、色々とここのシステムを見る。
電源は、一応は生きているが…最小限で、明かりが無いのでライト・フィールドという魔法で、自分を中心に周囲を数メートルを照らす。
ディオスの頭上にある魔方陣から、光が照らされ、周囲が明るく照らされるが、それ以外の通路の奥は、非常灯が永遠と続いている。
ディオスがいる場所、それは全長100キロにも及ぶ超巨大な施設…いや惑星を開発できる規模のプラントといった方が正しい。
独楽型の100キロのプラント、メルカバーの内部を歩く。
永遠と続く迷宮のようなここは、ある意味、科学や技術を重んじる者にとっては、好奇心の塊だろう。
だが、そうでない者にとっては、闇が続く不安の塊だろう。
ディオスは、端末に触れて情報を得る。
「ええ…ここは、ファースト・アダム製造区域か…」
と、ディオスは端末の前にある巨大な人の腕を見上げた。
その巨人の腕は優に数十メートルだろう。
そんな巨人の腕が幾つも並んでいた。
ディオスは端末のデータをついつい見てしまう。
このメルカバーは、別宇宙で人類から新たな人類を作り、そこから神、神格を生み出す研究をしていたらしい。
まずは、知性を極限まで進化させる為に、その器をそれに応じて巨大化させ、巨人の新人類を創り出したが…失敗した。
原因は、器に応じて増やした神経組織が、巨大化した器だけに特化して、それ以上の変化がなくなった。
巨大化した器と、膨大な神経組織は、空間のエネルギーを取り出せて操作する程度にはなったらしい。
だが、その操作する空間エネルギーのレベルは、精々、10メガトン級が限度。
メガトン…自分達、地球の兵器でいうなら、アメリカの核兵器B53と同等なのだか…驚愕だが…。
ディオスは、巨大化人類、ファースト・アダムの巨腕達を見上げて
「様々な…問題ある実験をしていたんだなぁ…」
エニグマの事を思い出した。
何時の世も、どこの平行世界の時空にある地球に通じる人類は、同じ愚かな事を繰り返しているんだなぁ…。
ディオスは、とにかく目的の施設を探す。
通路にある途中の端末に触れながら、目的の施設を探し出した。
食料生産施設だ。
ディオスは施設内に入り、端末を操作
「お、まだ…沢山あるな」
と、施設内に残っている非常食、レーションの箱が積まれた保管庫を見詰めて、その内のいくつかの箱を運搬魔法で運び、戻る。
ディオスが戻ってきた場所、そこは、外の光が差す、大きな天窓がある移住区だ。
その移住区のとある部屋に来て
「調子はどうだい?」
とディオスは、ベッドに眠っているアシュリードを見る。
アシュリードは体を起こして
「ええ…だいぶ…」
ディオスは近づき
「あんまり、ムリはするなよ」
と、運んできたレーションの箱から、三食分が入ったレーションのケースを出して渡す。
「食料は、たくさんあるから、心配するな」
アシュリードは頷き
「すいません」
ディオスは微笑み
「とにかく、調子を戻す事だけを考えてな」
「はい」とアシュリードは頷き、レーションのケースを開けると、プルタブ式の缶や、カロリーメイトのような総合栄養食が入った袋を開けて、食べる。
ディオスは、アシュリードの黄金槍から解放されている。
というか、アシュリードが黄金槍にディオスを入れている間、相当な負担が掛かっていたらしい。
ディオスの内在する力が強すぎて、アシュリードには負荷となっていた。
そこへライアーがキャロルと共に来て、ライアーは
「ディオス、そっちは?」
ディオスが、レーションのケースを上げて
「食料生産システムが生きている施設を発見した。当分の間…というより、もしかしたら…100年も食料に困らないかもしれない」
キャロルがライアーを連れてディオスの隣に来て
「動力は?」
ディオスが
「その食料生産システムには、満タン…まあ、その食料施設だけを動かすなら、数百年…千年は動く蓄積された動力はあったが…。そこまで行く間にあった施設は、情報だけが取り出せる程度の動力しかない」
ライアーが
「情報だけ取り出せれば十分だ」
ディオスが
「帰還する為の船を作るには…相応の動力が…まあ、無いなら魔法で擬似的に作り出し…」
ライアーが
「帰還する方法については、心配するな。当てはある」
ディオスが右の眉間を訝しくさせ
「そうか…で」
ライアーが
「このプラント、メルカバーの中枢へ行きたいが…」
ディオスが
「もう少し、アシュリード君の様子を見たい」
ライアーが渋い顔で
「何時、敵襲が…」
ディオスが
「いや、それは大丈夫だろう。あの御方、アルダ・メルキオールが自分に起こった事実を知って…と言っていたから、襲撃はないかもしれないが…」
キャロルは腕を組み
「監視はされていると…」
ディオスは肩をすくめて
「そうだ。どんな方法かは、知らないけどね」
と、アシュリードを見る。
食事をしているアシュリードが手を止めて申し訳なさそうな顔で
「すいません。自分にも…」
ディオスは微笑み
「いいさ。とにかく、休むといい」
アシュリードは疲労した体力の回復に努める。
夜になり、大きな頭上にある大きな天窓、ドームが夕暮れのようになり、暗くなっていく。
それを下に、ライアーが明かりと熱を発してくれる疑似暖炉のような装置を置いて、ライアーがそこの前に座ると、隣にキャロルも座った。
ライアーの左にもたれ掛かるキャロルを、ライアーは左腕で優しく抱える。
キャロルの身長は150センチくらい。
自在に年齢や体格を変えられるのに、キャロルは14歳の少女の体格でいる。
かたや、ライアーは190近い大柄だ。
凸凹に見えるので、親子のように思えるのだが…関係としては対等な感じだ。
長年、連れ添ったカップル感が滲んでいる。
ディオスも暖まろうと、二人の対面側に来て
「ライアー。私はここで何を知ればいい?」
ライアーが
「もう少し待て。アシュリードから喋る方がいい」
ディオスが
「この周囲を回って大凡は、ここがどんな場所か…分かっている。アースガイヤでいうエニグマのような連中の…」
ライアーが
「今は、そこまでにしてやってくれ…」
ディオスが額を掻きつつ
「分かった」
そして、翌朝、ディオスが天窓ドームから日が差したので目覚めると、微細振動を感じた。
「この振動、パターン」
と、ディオスは飛び起きて、天窓ドームの天井へ昇ると、そこには
「ああ…みんな…」
遠くから機神型時空要塞戦艦になったエルディオンが向かって来る。
ディオスは、頭上に魔方陣を展開、信号の光を飛ばすと、エルディオンから三つの流星が飛び出し
「兄貴ーーーー」
「ディオス!」
「ディオスさん!」
と、信長、ユリシーグ、カイドの三人が飛んでいた。
そう、大切で頼りになる仲間との合流だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いします。
ありがとうございます。




