第526話 盲点、そして…
次話を読んでいただきありがとうございます。
よろしくお願いします。
世界が襲ってくる。それにディオスは…
それは、盲点だった。
彼女達デウスエクスの四人は、あまり、戦闘に長けていないのだ。
だからこそ、デウスエクスの戦闘とはどういうモノか理解していないのだ。
それに比べて前のキャッスルドで遭遇した彼ら男神のデウスエクス達は、デウスエクスで戦う事を十分に理解しているのだ。
まさに盲点があった。
そう、世界が一つなら、それは絶対だ。
だが…世界が複数も繋がるという事は、それによって抜け道が生まれるという事だ。
ディオスは、アシュリードの力にアクセスする。
アシュリードの力の根源は、間違いなくアヌンナキのアルダ・メルキオールだ。
アヌンナキの力は、進化…完成へと向かう力だ。
ゆえに、生命は、世界へ至った。
自分を生んだ世界自身へ。
だが、アシュリードの力は未完成だ。
なぜ、このような力を残しているのかは…分からないが…とにかく、そこが重要なのだ。
ディオスは、黄金槍を右手に持ちALLAGE…変化であるヴァーデグスト・シンを発動させる。
ディオスからあふれ出す黄金の粒子達。
それは四次元絵画世界へ広がる。
それに炎の世界のリュシュオルが
「無駄よ」
と、炎獄からフェニックス達が飛び出して行く。
それは、上位である世界から攻撃だ。
それは、世界との関連でしか存在できない個なら、効力を発揮したであろう。
ディオスは、世界と個と存在と、それを超越する存在。
超越存在とは、個であり世界でもあり内なる世界を持つ。
アシュリードの変化を触媒に、四人のデウスエクスの女神達の本体、世界へアクセスする。
そのアクセスは、膨大な数のリンクを形勢する。
デウスエクスが創り出す世界、外なる己、アウターワールドは、他の外界と繋がっている。
神は絶対だ。普遍だ。故に、個という概念はない。
繋がる存在達の連合、集合体であり、概念であり力だ。
リュシュオルの炎、ユティスの生命、イエツァの循環、マレーナの産み出す場所。
それは、数多の生命達、存在達と繋がっている。
その繋がりが、ディオスのインナー、内にある宇宙王の力を発動させる。
四次元絵画世界でも収める事が出来ない、ディオスの宇宙王の絶神鎧サルヴァードが出現する。
ユティスが
「そんなバカな! それを発動させる為には、アースガイヤの民の承認が!」
そう、ディオスが宇宙王としての力、絶神鎧サルヴァードを発動するには、アースガイヤの民達の承認が必要だ。
そう、多くの人々の繋がりが絶神鎧サルヴァードを動かす力になる。
逆を返せば…どんな方法でもいいから、繋がりの力を手に出来れば、発動可能という事だ。
ディオスが絶対であり、ディオスを中心として変化する宇宙規模の絶神鎧サルヴァードが、四次元絵画世界を破壊する。
無限に無限、世界に世界をぶつけて、対消滅させた。
この可能性があったから、男神のデウスエクス達は、一人一人で戦う事にしたのだ。
たった一つだけの絶対法に支配されれば、その世界はそれに従ってでしか動けない。
だが、今回は、絶対法が四つも重なっているのだ。
絶対が絶対に影響を与えて、変化をもたらすのは自明の理だ。
世界が世界によって対消滅した。
それによって、人型に固着された女神達が噴出して、この軌道エレベーターのような構造物の壁面に叩き付けられる。
交代したアシュリードは驚きに包まれる。
人神、デウスエクスである彼女達にディオスが勝利したのだ。
人であり、変化しかない自分には勝てないデウスエクスを圧倒したディオスに、羨望の眼差しを向けるアシュリード。
ディオス達は解放されて、軌道エレベーターのような構造物の内部に浮かんでいる。
ディオスの傍にライアーとキャロルのゼウスエフェントリスが来て、ライアーが
「やったな」
ディオスが額のサードアイを開き、数キロ先の軌道エレベーターのような構造物の壁面に突き刺さっている四人の女神デウスエクス達を見て
「いや、ダメージを受けたが…戦える」
そこへロゴスリアが来て
「お見事です。さすが…□□□□□の寵愛を受けている方…」
ディオスがロゴスリアに
「その何だ? 聞き取れない発音は…。私がその寵愛を受けているとか言っているが…その存在は、なんだ?」
ロゴスリアが怪しげな笑みで
「そうですね…。まあ、いずれは分かりますよ。お答えを聞きたいのであれば…ファースト・エクソダスの宇宙王に聞いて見ては?」
ディオスは渋い顔をした次に、未だに時空の穴を開けてこちらを見ているアルダ・メルキオールと、その前面、謎の黒い太陽を浮かばせるカログリア達を睨む。
アルダ・メルキオールは冷静な視線だ。
ディオスは、カログリア達の上に浮かぶ、謎の黒い太陽を見詰める。
アレが出現した事で、本来なら一つの世界でしか発動が許されない時空の許容が大きくなり、同時に四つの世界を許した。
何だ…アレは?とディオスがサードアイで覗くと、蠢く四つのドッラークレスが見えた。
「んん?」
と、ディオスが眉間を寄せるが、アルダ・メルキオールが指を鳴らして
「これのネタバレは、まだまだ…後の方が面白いだろう」
と告げた瞬間、カログリア達が伸ばしていた両手を下げ、謎の黒い太陽を消した。
ロゴスリアが少し訝しい顔をして
「御方、どういうつもりですか? ここで聖帝を…」
アルダ・メルキオールがフッと笑み
「戯れだ。聖帝に…我に起こった事実を知って貰い、それでどうするか…」
ロゴスリアが驚きの顔をする。
完璧なモノであるアルダ・メルキオールが戯れという言葉や、戯れをする事など、一度もなかった。
全てにおいて、合理的、理論的、理屈で動くアルダ・メルキオールに戯れという感情がある事に。
いや、感情という機能さえあるのが怪しいのに、戯れという言葉を使った事に驚きだ。
困惑するロゴスリアの前に、炎柱が降り立つ。
そこから、同じデウスエクスのレーヴァティンが姿を見せ
「退け、リザー」
と、友人であるロゴスリアの名前を告げた。
ロゴスリアは、ふ…と息を吐き
「了解しました。御方…」
と告げた後、突っ込んだ壁から出た仲間の女神のデウスエクス達に
「という事だから…」
デウスエクスの彼女達四人は顔を見合わせた後に頷き、ロゴスリアが空を片手で円に切ると、そこが空間転移して全員を連れて帰還する。
アルダ・メルキオールの見える時空の穴が閉じながら、アルダ・メルキオールは不気味な笑みをディオスに向けていた。
彼らが去った後、ディオスが黄金槍に浮かぶアシュリードを見て
「戻るぞ」
と、アシュリードに切り替えた。
実体になったアシュリード、幽体に戻ったディオス。
それにゼウスエフェントリスになっているライアーとキャロルが来る。
ライアーが
「乗れ、目的の場所にいくぞ」
戦闘機型の超神機に掴まろうとするアシュリードだが、掴めずに手を空かせる。
ライアーが
「メルカバーに行けば…休めるだろう」
と、ゼウスエフェントリスの四つある手の一つで、アシュリードを掴み、戦闘機形態の超神機の背面スラスターに火を点火させると、そこへ大いなる父アダムカインが、子であるエネシスと来て
「シンタロウ、いや…我が次元同位体よ。君の運命に祝福があらん事を…」
と、大いなる父アダムカインが告げる。
キャロルが後ろでドッキングしている夫ライアーの顔を見ると、ライアーは固い顔で
「オレは、オレの…やるべき事をやっているだけだ」
ライアーことシンタロウと、大いなる父アダムカインは、次元を超えて繋がる同位体である。
その運命は相似になる事がある。
アシュリードを掴み、ライアーとキャロルのゼウスエフェントリスは、進路をメルカバー…天の車へ向けた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いします。
ありがとうございます。




