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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
shadow is the light~シャンバラの都~
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第487話 罪喰い

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


雷御は、ゴールデンドーンの非雅羅が作った巨大兵器ナルダハーガと…

 八岐大蛇の形の機械…いや、巨大兵器が空に浮かび、その下に雷御達がいた。

「いや…これほど、役立たずとは…」

 その巨大兵器から、非雅羅の声が響く。


 それを聞いてスコルピオンが一歩踏み出す顔は、怒りに染まっていた。

 香里奈を改造したクソ野郎を殺そうと。


 それに雷御が

「スコルピオン…下がれ…」


「あああ!」

と、苛立ちを雷御に向ける。


「下がれ」と雷御が現人神の威圧で睨むと、スコルピオンの怒りが一発で消し飛び冷静になった。


 スコルピオンは周囲を見る。

 シメーレの彼女達は、意識を取り戻さない荒技を守ろうと固まっている。


 スコルピオンが頭を掻き

「オレに、コイツ等のお守りをしろって?」

と、シメーレ達を指さす。


 雷御が冷静に

「お前の力では破壊しか出来ない」


 スコルピオンが雷御を見つめ

「まさか…あのクソ野郎は…」


 雷御は頷き

「九つの頭頂部に…」

 そう、非雅羅の乗る巨大兵器には、9人のアームの者達が組み込まれている。

 最悪な事に、無辜の民を改造して組み込んでいるのだ。


 スコルピオンは頷き

「分かった。だから…約束しろ。あのクソ野郎を絶望させて殺してくれよ」


 雷御はニヤリと笑み

「言われなくても…」


 スコルピオンは、シメーレ達の元へ来ると、非雅羅が

「ああ…終わった。話し合い?」


 雷御が前に出て

「ああ…終わった。で…?」


 巨大兵器にいる非雅羅が

「こちらとしては…君と戦いんだけど…」

と、兵器の頭部の一つを雷御に向ける。


 雷御はフッと笑み

「ああ…良いだろう」


 そこへヴァルギリア達の一人が来て

「私たちは?」


 雷御が

「被害が広がるのを防いで欲しい」


 ヴァルギリア達は頷き

「では、残りの仲間と協力して行います」

と、加速し飛翔して去った。


 スコルピオンがシメーレ達のいる場に手を置くと、自分とシメーレ達を囲んで床が砕けて浮かび、自分達を乗せた床の場を作り

「じゃあな。後で合流だ」

と、告げて動く床の場と共に遠くへ避難した。


 巨大兵器に乗る非雅羅が

「ずいぶん、余裕だね…」


 雷御が指で誘い

「さっさと来い!」


 非雅羅が

「じゃあ、行かせて貰うよ」

と、九つの頭部から攻撃を放った。

 七色の光線が雷御を襲撃して、巨大な爆炎が雷御を包み込んだ。


 非雅羅の巨大兵器は、組み込んでいるアームの使い手達の力を使って巨大な防壁を張って無傷である。

「あら…一撃で終わったか…」


 だが、唐突に衝撃波が発生して、爆炎を吹き飛ばし雷御が姿を見せる。

 雷御が右足の踏み締めだけで、施設の地上部分を吹き飛ばした爆炎を払ったのだ。


 非雅羅が

「おお! 凄いね。一体全体、どんなアームなんだい?」


 雷御がフッと笑み

「別に、普通に踏みつけて風をおこして払っただけだ」


 非雅羅が巨大兵器の形状を変える。

 九つの頭が円柱に重なり、砲口になる。

「んん…考えるに…君のアームは、スコルピオンに勝ったし、あのシメーレの荒技のインターションにも勝った。つまりだ…空間制御系、ベクトルを操作するタイプの空間系アームなんだね。だから、あのふざけた防御力を誇っている」


 雷御が呆れの視線を向けて

「お前…頭悪いだろう」


 非雅羅が

「いるんだよねぇ…自分の理解できない事は存在しないっていう愚か者…。残念だけど、僕は違うんだよ。じゃあね」

と、砲身化したそこから巨大な光線を放つ。

 その光線を浴びる雷御。

 その光線が集束して加速、更に強くなり空間を歪める。


 非雅羅が

「究極の物理状態って知っているかい? ビッグバンしかり、それは究極に圧縮された状態を示す物質がある。ストレンジ・マテリアルだ。これは物理的な方法で作り出そうとすると、とんでもないエネルギーが必要となる。だが…このシャンバラに存在するアームの使い手を使う事で、容易にストレンジ・マテリアルを生成出来る」


 雷御を包む光が空間を曲げて閃光を放つ。

 それは太陽が出来たと思える程だ。


 攻撃する非雅羅が告げる。

「ストレンジ・マテリアルの恐ろしい所は、触れる物質を全て原子以下の量子、クォークの段階まで破壊して、同じストレンジ・マテリアルに変えて消滅する事だ。究極の物質の物理現象に破壊されて死ね」


 非雅羅は終わったと巨大兵器の操縦室で嘲笑っていた。


 だが…ストレンジ・マテリアルの光線から両手が伸びて、ストレンジ・マテリアルの光線を小さく纏める。

 そう、雷御が攻撃を粘土細工のように手の平の上で纏めた。


 非雅羅が驚愕して

「そ、そんな! バカなーーーーーー 全てを塗り替えて消滅させる究極の物質なんだぞ!」


 雷御は、片手に纏めたストレジン・マテリアルの光を軽々とボールのように扱い

「究極の物質ね…。それはあくまでもこの次元での事だろう」

 片手サイズのボールにようにしたストレンジ・マテリアルを雷御は握り締めて消した。

「さて…もう、出し終わったか?」

と、雷御は嘲笑いを見せる。


 非雅羅が

「ふざけるなーーー お前は…何なんだ!」


 雷御が淡々と

「お前達が作りだそうと必死になっている存在の完成形らしい」


 非雅羅が驚愕の顔をして

「まさか…神人? そんなはずはない! キサマのようなヤツがーーー」

と、巨大兵器に備わるアームを使った探査システムを使って雷御を透過する。

 そして、非雅羅の目の前に出て来た数値が


 4.499×10^100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000…測定不能


 非雅羅が絶望に青ざめる。

「そんな、バカな…」


 雷御は非雅羅の絶望を察知して

「さて、こちらのターンだな」

 雷御の背中から喰手触手達が伸びる。


「ひぃ!」と非雅羅が逃げようとするが、喰手触手達が九つの頭部を掴み押さえる。

 そして、喰手触手達は、9つの八岐大蛇の形の巨大兵器のシステムに侵入して制圧してしまった。

 前に非雅羅が使った四機の事があったので、簡単に支配下に置けた。


 そして、別の喰手触手が非雅羅の操縦室の画面から出現する。


 クハァァァァ

と、縦に割れた牙の口を見せる。


 非雅羅が怯え叫ぶ

「良いのか! このナルダハーガに組み込まれている9人を助けるには、オレの力が必要なんぞ! ここでオレを殺せば、罪もない改造されて組み込まれた9人は助からないぞ!」


 雷御が呆れと残酷な顔で

「罪人が、自分のやった事を理解できない愚かさに頭が痛くなる。心配するな。お前程度の愚か者が作った児戯なシステムなぞ。解析済みだ。まあ、お前を食い殺してその記憶を覗けば同じ事だ。安心して地獄へ来い」


 非雅羅が恐怖に顔が引き攣った。

「ひぃ、いや」

と、その先を言う前に喰手触手が非雅羅の顔面に食らい付き

「ぐぐううぐぐぐぐぐぐぐぐうぐぐぐぐ」

と非雅羅は激痛と苦痛の声を響かせて、喰手触手に喰われていった。

 苦痛を十二分に味わって…。


 雷御は非雅羅の罪の味を噛みしめ

「所詮、定番だったか…」


 非雅羅が作った八岐大蛇の形の巨大兵器ナルダハーガは、ズンとその場に落ちて止まる。


 雷御はソレを背に、通信端末を開きとある人物に連絡する。

「さて…裏切った罰を受けて貰おうか…」

と、告げて。




 アーシャル社の屋上にある上役達の会議室で社長のダランダが秘書から、とある事を聞いて席を立つ。

 会議している役員達が

「どうしたのですか? 社長…」


 ダランダが

「海上発電施設に関係している役員以外、退出してくれないか」


 役員達が戸惑い、ダランダが

「緊急案件だ」


「分かりました」と関係ない役員達は退席して、5名の関係役員が残り


「社長…まさか…」


 ダランダが渋い顔をして

「全てが露見した。このシャンバラの統治長官の皇帝アルシュ達が今…下の玄関ホールにいて、令状を持って強制捜査を行うと…。何とか時間を稼がせているが…」


 関係している役員達が

「どうしましょう…」


 ダランダが

「とにかく、今の内に…」


 そこへ

「逃げるのをお手伝いをしましょうか?」

と、一団から離れた場所に一人の男が立っていた。

 白いタキシードに白の帽子の美男。


 ダランダがその男に近づき

「キサマのせいだぞ! ゴールデンドーンの総括長! アルダヴァード!」


 ゴールデンドーンの首魁アルダヴァードは微笑み

「ええ…だからこうして、逃走のお手伝いに現れた次第です」


 ダランダが

「なら、逃げる手筈は…」

 

 アルダヴァードはお辞儀して

「もちろん、では…こちらに」

と、案内しようとしたが。


「ごあああああ」

と、ダランダの背中に喰手触手が現れて、ダランダを掴み空中に上げた。


「あああああああ」と他の役員達が驚いていると、ダランダと同じく喰手触手が現れて掴み空中に上げた。


 ダランダがアルダヴァードに

「助けろ…」


 アルダヴァードは肩をすくめて

「これは、これは…申し訳ありません。私にはムリですから」

と、告げてそこから去って行った。

 

 アルダヴァードがドアを開けて去った直ぐに、アルシュ達が入って来た。

 アルシュ達は、喰手触手達に掲げ上げられるダランダ達を見て

「なんだこれは?」

と、アルシュは額に手を置いた。


 ダランダが

「シャンバラ皇帝、アルシュ・メギドス・メルカバー・ルー・ヴィクタリア! 我々は汝達、ヴィクタリア帝国の出資を受けている! もし、我々が行った事がバレれば! ヴィクタリア帝国にとって、とんでもない痛手になるぞ!」


 アルシュがダランダがいる喰手触手の下に来て

「ほう…で、だから? どうしろと?」


 ダランダが

「我々は、一蓮托生だ! 助けろ!」


 アルシュはフッと嘲笑った次に、懐の端末が振動する。

 耳にかける立体映像端末のコール相手は、ヴィクティア母上だった。

 アルシュは端末を耳にかけて、ヴィクティア母上に応答する。

「はい、母上…なんでしょう?」

 ………

「はあ…なるほど」

 ………

「はい…で、最終的には…」

 ………

「ああ…そういう事に、分かりました」

 ………

「お気になさらずに、ですが…気にして頂けるなら、また…お茶会をしましょう」

 ………

「はい、では…後ほど…」

 アルシュは閉じて懐にしまう。

「さて…雷御、聞いているんだろう?」


 喰手触手から

『ああ…聞いている。どうする? それなりの企業だから、処分をどう…』


 アルシュが冷徹に

「コイツ等のやった事は、極刑に値する。ここで始末しても変わらない」


 ダランダが

「ふざけるな! バレればお前の終わりなんだぞ!」


 アルシュが残酷な笑みを向け

「もう、シナリオは決まっているんだよ。お前らに協力していた出資者達は、全員…その当主の座から降りて責任を果たすそうだ。謝罪会見が流され、全てが公になる。そして…ゴールデンドーンに乗せられたお前等は、行方不明…そういう筋書きだ」


 ダランダが絶望した顔をする。


 アルシュが背を向ける。

「ここには誰もいなかった。逃亡した後だった」

 アルシュ以外に、両脇にはノアドとユースの二人だけ、二人もアルシュに続いて部屋から出て行く。


 ダランダが

「待ってくれーーーーーー」

と叫ぶも虚しく響いたが、ダランダが喰手触手に繋がる雷御に

「頼む。金なら幾らでも払う。だから…助けてくれ…」


 喰手触手の元である雷御が

『私が金で動く程度の存在と思ったのか?』


 ダランダが

「じゃあ、何でも欲しいモノを用意する! だから」


 喰手触手の雷御が

『じゃあ、お前…娘達と妻がいたなぁ…』


 ダランダが

「分かった。お前に渡す。だから!」

 即答だった。考える事もしなかった。自分の為に家族を売る外道だった。


 喰手触手から雷御の

『ははははは、あはははははははははははは』

と、嘲笑いが木霊する。

『そうか…お前は、私が思った通りの、私が一番嫌いなクソだぁぁぁぁぁぁ』


 ダランダが

「ぐぎぎぎゃあああがやががひわいいちがうぃあが」

と、喰手触手が激痛を与えてダランダをゆっくりと喰らい続ける。

 

 ダランダの苦しむ悲鳴が響いた後、次に残りの罪人達も同じように喰らい殺した。

 この場には、証人は誰もいないのだ。


 雷御は…アーシャル社の前にあるビルの屋上から、その社長室を見下ろしていた。

 喰らった罪人の味を確かめ

「定番の味だなぁ…」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございました。

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