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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
冒険者ギルド編

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第28話 冒険者ギルド 超古代遺跡の神格炉

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは超古代遺跡の冒険が始まり、訪れた超古代遺跡で、とんでもない連中と遭遇、そして…信じられないモノを見る…

冒険者ギルド 超古代遺跡の神格炉


 ディオス達はエンテイスから出発して二日目に目的の超古代遺跡がある場所まで来た。

 二回目のセーフハウスを経由して、その超古代遺跡が目の前に監視できる小屋の傍で、ディオスは超古代遺跡が埋まっている山を見つめる。その山は独特な形で、綺麗な三角錐である。


 その隣に、ナルドが来て

「ディオスさん。どうです?」


「あれが、超古代遺跡が埋まっている山ですか…」


「まあ…超古代遺跡が埋まっている山はだいたい、あんな形になりますね。遺跡を埋める堆積物の積層具合で、どうしても三角錐になり易いんですよ」


「ほう…」とディオスは唸る。



 その後、小屋でこの超古代遺跡の攻略をどうするか?を話し合う。


 小屋の真ん中にあるテーブルには地図が広げられる。

 超古代遺跡を中心としての周辺地図だ。その周りに全員が取り巻きナルドが

「まず…遺跡が埋まる山まで行くルートだが…」


「そのまま直進するの早いだろう」とディオスは、小屋から遺跡がある山まで一直線に示す。


 ナルドとリベルは複雑な顔をして、ハンマーは腕を組み沈黙、ラチェットが

「ディオスさん。そう簡単にはいかないのが、この遺跡の難点なんですよ」


「難点?」とディオスは首を傾げ

 

 ナルドが

「実は、この遺跡の周囲を小型のゴーレムが大量に徘徊して守っているんですよ」


「ゴーレム…」とディオスは眉間を寄せる。


 ハンマーが含みな感じて

「一応は、人型というか…なんというか…」


 リベルが首を傾げながら

「変則的人型のゴーレム達が遺跡を守っていて、それがここの攻略を難しくしているんです」


 ディオスは、顎に手を置き

「その…サンプルとして一匹、捕縛して来てもいいでしょうか?」


「ええ…構いませんよ」とナルドは了承した。



 ディオスは、クレティアにクリシュナとナルドにラチェットを連れて遺跡周辺の森に入ると、直ぐにそれに遭遇した。


 独特のガションガションという機械音をさせて森の中を徘徊するゴーレム。


 その姿にディオスは…

 あ…アレは? もしかして、ガン○ムのズ○ック? いや…手足はそうだが…。胴体は遮光器土偶だぞ…。

 ディオスはジーと徘徊するゴーレムを見ながら

「ズ○ックか? 遮光器土偶か?」

 そんな事を呟いていると、隣にいるクレティアが

「何をブツブツ言っているのダーリン?」


「ああ…すまん」とディオスは告げる。

 遮光器土偶風ズ○ックか? ズゴッ○風遮光器土偶か?

と、判断に迷いながらもディオスは、ゴーレムに

”グラビティフィールド・アンチ”

と、重力魔法の重力反転の魔法を発動させ、ゴーレムは空中に浮かび上がりジタバタする。

 まるで陸に上がった魚のようだ。


 ラチェットが魔導弓を展開して、魔導矢にロープを縛り付けゴーレムに向けて放つと、ゴーレムの胴体を魔導矢が周回して絡め取り捕縛すると、ナルドとラチェットは捕縛したロープを引っ張り


 ナルドが

「さあ、コイツを持って行きましょう」

 鮮やかな手際で、ゴーレムを引っ張って行った。

 

 ナルドとラチェットに運ばれる浮かぶゴーレムは、森を抜けて小屋の近くに来た瞬間、動きが止まり固まった。

 

 ディオスはそれに困惑して

「ど、どうして動きが止まったのですか?」

 

 ナルドが

「このゴーレム達は、ある程度、遺跡から離れるとこのように動きが止まるんですよ」

 

 ディオスは興味深そうな顔をして、全く動かないゴーレムを見つめる。


 小屋の前に来て、重力魔法を解いてゴーレムを下ろすと、早速、ディオスは調べる為に行動を開始する。

 ゴーレムにつなぎ目やネジで留めた跡はない。溶接の跡もない。


「はい、ダーリン」とクレティアが腰に携える魔導剣で、炎の魔導剣をディオスに渡す。


「ああ…」とディオスは受け取り、それでゴーレムの金属装甲を溶断して分解する。


 まずは、腕と足。幾つもの節がある、ムカデの胴体のような足や腕を分解する。

 構造としては、幾つものモーターらしきモノが組み合わさって動きをしているようだ。

 胴体に入る。

 やはり、骨組みのようなモノはなく。

 胴体の装甲が骨格も兼用しているモノコック構造だったが…。

 動力らしきモノが見当たらない。

 頭脳システムに当たる部分は、何となく分かったが…。

 胴体には、その頭脳システムと鳥の翼の形をした金属板を組み合わせた花弁のような物体しか入っていない。


 それ以外しか見つからない内部にディオスは

「ええ…何だこれは?」

 

 困惑するとそれにナルドが

「これが、ここのゴーレムの構造なんですよ。おかしいでしょう」

 

 ディオスは、大学院の時にゴーレムの構造を勉強した事がある。

 ゴーレムの基本構造は、金属の骨格と駆動系にそれを操作する頭脳、そして動力源の四つの要素からなっている。ロボットと似たようなモノだ。

 この遺跡にあるゴーレムは、金属の骨格としての装甲、駆動系、頭脳と三つしかない。そう動かす動力源がないのだ。では、どうやって動力を得ていた?


 ラチェットが

「不思議でしょう。動力がないのに動いているんだから」


 ディオスは考える。

 どうやって動いているんだ? さっきまで使って暴れるくらいの動きをしていた。

 そして、小屋に近付くと動きが止まった。

 んん? つまり…小屋に行く前まで動力があったという事だ…。

「ナルドさん、ラチェットさん。このゴーレムは遺跡から離れると動かなくなるのですよね」


「ええ…」とナルドは頷く。


「その範囲はどのような感じですか?」


「あ、はい…」とナルドは小屋を見ると、話しを聞いていたハンマーが地図を持って来て

「ここから、このような範囲ですね」

とナルドは遺跡の山を中心に菱形の範囲を描いた。それは丁度、角が東西南北の方向を向いている。


 ディオスの中でグルグルと色々回る。

 菱形…東西南北の角、範囲から出るとゴーレムが動かなくなる…。

 つまり、この範囲は動力が働いている範囲…。

 動力、範囲、伝達。

 ああ?あの翼のようなモノが重なった金属の板…もしかして、アンテナか?

 結論が来た。

 つまり、この範囲内でなんらかのゴーレムを動かす動力が、ゴーレムに伝達されているのだ。

 それは、丁度、携帯のアンテナ基地局のような関係だ。という事は…。

「ナルドさん、この遺跡の東西南北に妙なモノはありませんか?」

 ディオスの問いにナルドが

「妙なモノ…」とナルドは首を傾げる。


「あ!」とラチェットが「そういえば…丁度、東西南北に遺跡を囲んでいるオベリスクがある」

 

 ディオスは肯き「実は、ある事が分かったかも知れません」


 

 小屋の近くの広場でディオス達は遺跡の地図を囲み。

「え…動力が空間を伝わって伝達されている?」

 ナルドが驚きを放ち、ラチェットとハンマーにリベルは困惑を浮かべる。

 

 ディオスの両隣にいるクレティアとクリシュナは静かに聞いている。

 

 ディオスは地図を指さし

「おそらく、その東西南北に四つあるオベリスクが、なんらかのゴーレムの動力を伝播させ、ゴーレムは動いている。そして、その範囲外から出てしまうと動力が伝播されなくなり動かなくなる」


 ハンマーは右手を顎に当て

「道理としては、通っている」


 ラチェットが

「って事は、そうであろうオベリスクを壊せば、動力がゴーレム共に行かなくなり、そこだけが開けると…」


「ええ…」

 ディオスは、四人を見つめる。


 四人は共に肯き合い

「分かりました。やってみましょう」とナルドが告げる。


「ありがとうナルドさん。オベリスクを壊すのは自分がやりますので」

 ディオスの提案に皆が乗った。




 その後、ディオス達、六人は一番近い北側のオベリスクに向かってゴーレム達に見つからないように隠れながら進み、オベリスクに到着する。

 オベリスクは年数が経ち、苔や木々が絡まって森の中にある古代遺跡化している。

 

 ディオスはオベリスクの元に来て、オベリスクを触ると、その触り心地は金属と似ていた。

 確かに、何かを伝播させる塔に思える。


「ディオスさん」とナルドが


「下がってください」


「はい…」

 

 ディオス以外全員がオベリスクから離れると、ディオスはこれを壊す魔法を考える。

 炎系の魔法では、周りに飛び火して被害が広がる。

 水系でも同じだ。地や風属性で、壊れるとは思えない。

 よって光を収束させレーザーカッターにする魔法で切り倒す。

”レイ・オール・ソード”

 膨大な光属性の魔力を放ち右手に収束させ、一刀の刃と化すと、ディオスはその収束した光の刃でオベリスクを斜めに切りつける。

 オベリスクに光の刃が触れると、火花を散らせてオベリスクが切断され、オベリスクは切った面を滑って倒れた。

 オベリスクが倒れた震動が周囲を響かせ、それにゴーレム達が反応して向かってくる。


 動いているゴーレム達に、やはりこれは違うか…と考えるも、ゴーレム達が数歩動いた次に、同時に停止した。

 ディオスは、それを見て自分の建てた推論の正しさを確認した。



 動力を伝達させていたオベリスクを倒した事により、北側は完全に解放され、悠々とディオス達は安全に遺跡のある山へ向かう。

「いや…ディオスさんの読み通りだったなぁ」

とラチェットは喜ぶ。


 ナルドが

「ディオスさん。どうしてそんな発想があったんですか?」


 ディオスはフッと笑み

「その…チョット工学をかじった事があるので」

 まさか、自分のいた世界で電波通信機器という概念があったなんて説明出来ない。


 リベルが

「いや…ディオスさんがいると、色々と楽が出来そうですよね」


「うむ」とハンマーが頷く。


 ディオスの後ろにいるクレティアとクリシュナが

「だってダーリン」

「ねぇ、アナタ…」

「ああ…」とディオスは複雑な顔をする。


 遺跡が埋まる山に来ると、ナルドが

「じゃあ、皆、何時も通りに…」


「あいよ」とラチェットが、「うむ」とハンマーが肯き、三人は四方へ散らばる。その間隔は十メータ前後だ。


 リベルが手を地面に向ける。


 そこへディオスが

「何をするのですか?」


 リベルは

「風属性の震動の魔法を使って山の中を音波で透過させて調べるんです」


「おお…」

 地面を調べる時に使う、音波探査を魔法でやるのだ。


「準備はいいぞ!」とナルドが「こっちもOKだ!」とラチェット「こっちも大丈夫だ」とハンマーが告げた。


 リベルが

「三人はとある魔法アイテムを持たせています。自分が音波の魔法を放つと同時に、同じ魔法を放つアイテムです」

と、言ってリベルは魔法陣を展開させ

”アース・エクスプローラ”

 音波が地面を伝わる。その音波が何かに反射して帰ってくると、その情報をリベルが受け取る。リベルの手には情報化した魔法の固まりがあった。それをリベルは、魔導プレートに移すと、情報が見えるようになった。

 散らばった三人はリベルの元に戻り、周辺の情報を記した魔導プレートを覗く。

「どうやら、ここが入口みたいだね」

と、リベルは情報プレートをなぞる。


 ナルドが

「そんなに土砂が埋まっていない。簡単に魔法で掘り出せそうだ」


「よっしゃ、行こうぜ」とラチェットが先を行く。



 到着した場所、そこは少し小高い崖だ。確かに入口があるっぽいとディオスは思う。

 リベルが、その崖に右手を差し向け

”アース・インパクト”

 地属性の地面を隆起させる魔法を発動させると、崖が一気に削れて巨大な金属のゲートが出現した。


「おおお…」とディオスは声にする。なんかSFっぽい遺跡だ。これが超古代遺跡か…。


 ナルドとラチェットが近付き、掘り出されたゲートを調べていると

「お、みっけーー」とラチェットがゲートの端に何かを見つけた。


 ディオスはそれを覗き込むと、ラチェットが見つけたのは、黒い電子機器の基板の裏のような模様だ。

「それは何ですか?」とディオスが


「まあまあ、見ててください」

と、ラチェットは腰にある袋から小型のタイピング装置のような物を取り出し、それをゲートにある基板の裏の模様に設置させる。

 設置させた装置から立体の画面が出て、ラチェットはタイピングの部分を操作して

「ちょちょいのちょっいと」

 ラチェットは何かを打ち込み終えると、ゲートがパズルのピースのように欠けて行き、奥へ通じる入口が現れた。


「ほぉぉぉ」とディオスは驚愕しっぱなしだ。


「行きましょう」とナルドが先陣を切って入る。

 



 人が三人も並べられる高さの通路を進む一行、ディオスは興味深そうに通路をキョロキョロする。


 その後ろにいるクリシュナが

「アナタ…超古代遺跡が珍しいの?」


「ああ…見たこともないしな…」

 自分の生まれた世界には、存在さえしていない。

 ディオスは前にいるクレティアやクリシュナを見る。二人は平然としている。

「クレティアとクリシュナは、珍しくないのか?」


「ああ…アタシは、故郷のレオルトス王国にも同じ遺跡があって見学した事があるから」

「右に同じよ」

と、クレティアとクリシュナは答える。


 ディオス達の先頭を行く、四人、ナルドを先頭にラチェット、ハンマー、リベルが並びリベルが

「あれ? ディオスさんの故郷では、こういう遺跡がなかったのですか?」


 ディオスは戸惑いながらも

「ええ…まあ…」


 ハンマーが「珍しいですな。大体、何処の国にも数カ所はこういう遺跡があるのですが…」


 ディオスは「……」と黙ってしまう。

 こことは違う異世界から来たなんて言えない。

「そういえば、四人はどうして冒険者に?」

 話題を変える。


 ラチェットが

「オレと、ナルドにハンマーは幼なじみなんですよ。共に、このリーレシア王国の西部にある村落の出で、とあるモノを探しているんですよ」


「とあるモノとは…?」


 ナルドが

「二百年前に、魔王ディオスを倒した英雄アルベルドは、あらゆる魔法を呑み込み力と変える光の剣を、このリーレシアの超古代遺跡で手に入れたそうです」


ハンマーが

「我らはその光の聖剣エクスデウスを探して、超古代遺跡が闊歩するこの地を旅しているのですよ」


「ほう…夢がありますね」

 ディオスはそれを聞いて心がほっこりとする。


 リベルが

「僕は、三人が組んだ一年後に、出会って加わったんですよ」


 ラチェットが

「男所帯四人による。冒険譚の始まりですよ」


「へぇ…男所帯ねぇ…」と含みがあるような感じでクレティアは呟く。

「そう…」とクリシュナは一瞬、リベルを見るも視線を外した。


 何か変な二人にディオスは「どうした?」と


 クレティアが「別に…まあ、確かに女性がパーティーにいるともめるってのは聞いた事がある話しよね」と…。


「まあ…面倒クサい、男女関係が出来てしまうしね」とクリシュナは呟く。


「はぁ…」とディオスは意味が分からず首を振る。



 六人は通路を抜けると、巨大な吹き抜けに到着した。

 そこには、あの外で活動してゴーレムを製造する工場があった。

 その工場は動いていない。

 組み立てる途中のゴーレムが宙吊り状態で上から下まで螺旋状に並んでいる。


「ここは、ゴーレムの製造プラントのようですね」

 ナルドが告げる。


「こっちに昇る道があるぜ」とラチェットは傍にある階段を指さす。


 ディオスは天井を見上げる。

 大体、五十メートルくらい、その階段はその天井先まで続いている。


 ハンマーは腕を組み

「これ程の数のゴーレムだ。このゴーレムの頭脳を作る為に大きな賢者の石があるかもしれん」


 賢者の石…非金属を貴金属に変えたり、賢者の石を装備した武器は、強力な魔力増幅効果があったり、ゴーレムの頭脳に使われるように、演算装置にもなる、凄い金属だ。

 賢者の石は、このような超古代遺跡から採取される。

 他にも色々とあるが…。


 ナルドが天井を見上げ

「あそこに、賢者の石があるのかなぁ…」


「もしくは…製造装置があるかも」

と、ラチェットは告げる。



 一行は階段を上り始めて、中段付近で唐突にディオスは背後から視線を感じた。

 それは普通の視線ではない、殺気混じりの警戒のような感じだ。

 ディオスは後ろを見て立ち止まる。

 そこにはクリシュナしかいない。

「どうしたの?」とクリシュナは尋ねる。

「…スゥ…」とディオスは息を吸った次に「いや、何でも無い」と階段を上る。

 まあ…他の冒険者が来ていてもおかしくはないか…。




 天井まで行き、その中へ入ると、そこは円柱のホールで壁から天井、足下まで光の回路網が広がり、部屋の中心に向かっている。

 部屋の中心には、六つの円柱ケースがあり、そのケース内に浮かぶ紫色の水晶。

 それにナルドとハンマーは近づき


 ナルドが

「賢者の石のようですね…」

 

 ラチェットとリベルは部屋を調べながら

「おそらくだが…賢者の石製造施設かもしれないなぁ」

とラチェットが告げる。


 リベルが壁にゲートの時と同じ回路網を見つけ、腰のバックからゲートを開ける装置を取り出し接続、操作してその隣がゲートと同じくパズルが欠けるように開いた。

「こっちにまだ、道がありますよ」


 ナルドが

「自分とハンマーにラチェットはこの部屋を調べているから、リベル…頼む」


「では…」とディオスはクレティアとクリシュナと共に扉を開けたリベルの近くに来て


「では行きましょうか」とリベルは先を進み、その後にディオス達は続く。


 丁度、さっきの部屋を昇って少しすると、また開けた場所に出る。


「ここは…」とリベルは周囲を見渡す。

 そこは大きなドームで、中心にとある装置がある。

 

 ディオスはその装置に近付く。

 形は、二メータくらいの金属の球体で全体に回路模様が刻まれている。

 その球体を三つの円環が取り囲み、まるで惑星マークのようだ。

 その惑星マークのような物体を天井や足下から伸びている彫刻刀のような円柱が支えている。


 ディオスはジーとその物体を見つめる。

 なんだ? この感じ…まるで…そう、この物体から精霊アグニアの時と同じように圧倒的な質量を圧縮して閉じ込めているような感じを受ける。


 リベルが来て

「ディオスさん。あまり、近付かない方がいいかもしれません。危険な装置の可能性があるので…」


「何か分からないのですか?」


「ええ…こんな装置、初めて見ます」

とリベルは警戒である。


「はぁ…そうですか…」

とディオスはリベルと共に離れる。


「ねぇ…」とクレティアが声を掛ける。

 装置から二メータ離れたそこに、何かの腰までの高さの金属柱がある。

 その傍にクレティアとクリシュナがいて、その柱の断面を見つめ

「何て書いてあるか分かる?」

と、クリシュナが指さす。


 リベルとディオスは来て、指さす面を見つめる。

「ええ…」とリベルが面に掘られた古代文字の解読を始める。

 

 ディオスは不意に、その最初の文字、図形のような文字が不意に英語のスペルに見えた。

 最初の文字はGODと見える。その途中は分からないが、最後に8と読める。

 ディオスの顔が鋭くなる横でリベルが

「神…動力炉…いや、神の格、炉、8号?」


 クリシュナが

「神格炉8号…」


 リベルが「ああ…確かに…」と。


 ディオスは、中央にある装置、球体に三つの円環が囲む物体を凝視して

「神格炉…8号…」

 とてつもなく、嫌な予感がする…ディオスは背筋が冷たくなった。


 クリシュナがディオスの袖を引いて…

「ねぇ…アナタ…ちょっとこれ…」

と、耳打ちする。

 クリシュナは神格召喚というスキルを使える。それ故に、ディオスと同じ嫌な予感を抱いたのだ。

「ああ…分かっている」とディオスは告げる。


 そこへラチェットが顔を見せ

「おーい 他の入口も見つけたぞ」



 賢者の石がある部屋の別の入口を進む一行は、別の広い場所に出る。そこは半円型のホールで、沢山の机状の装置が置かれている様は、どこかの情報センターのようだ。


 ナルド、ラチェット、ハンマー、リベルは散会して、机の装置を操作する。


 ナルドが

「ここは、この遺跡の中央司令室みたいですね」


 ラチェットが

「しかし、珍しいよなぁ…。こんなに人が活動出来るスペースが少ない遺跡なんて」


 ハンマーは

「普段なら、様々な通路があって、内部も警備ゴーレムが働いているが…」


 リベルが

「こういう遺跡もあるんでしょう。さっき変なモノもありましたし」


「変なモノ?」とラチェットが


「神格炉」とディオスは呟く。

 その両脇にはクレティアとクリシュナがいる。


「ええ…」とリベルが


 ディオスは「おそらく…自分の予測ではその神格炉というのは」


「おっとその先をいうな」

 ディオスの首に大鎌の刃が密着する。

 ディオスの背後に大鎌を構えて、ディオスを押さえるアルディルがいた。


 クレティアとクリシュナが素早く武器を取った後ろに、黒い装甲装備の二名が、その背に魔導銃の銃口を密着させた。

「く…」と唸るディオスにアルディルは

「久しぶりね。レオルトス王国以来かしら…」

ここまで読んで頂きありがとうございます。

次話もあります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。


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