第199話 阿座のネオゼウス その一
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あらすじです。
エニグマのシェルブリット達と、ディオス達、阿座、混迷する戦場がそこにあった。
エニグマ、ディオス達の混戦が行われている現場。
ディオスは、ネオゼウスアームズの奈々と洋子に綾妃を連れている。
エニグマのシェルブリットは部下の全身鎧の子供達三人を従え、事態の引っかき回しをする為に、千メータの戦艦巨人ダイダロスの艦隊を降臨させた。
現場は曙光国の街中だ。
曙光国は大混乱に陥っている。
ディオス達がいる街の上空では、降臨した戦艦巨人ダイダロスの艦隊が、戦艦形態から、巨人形態へ移行、眼下の街を粉砕しようとしていた。
その街で戦い合う、ディオス達に阿座、シェルブリット達。
両者の睨み合いが続く中、ディオス達を運んだエルディオンから、二つの光が飛ぶ。
それは、信長とユリシーグだった。
魔力を放出して飛翔する信長が
「ユリシーグ、行くぞ!」
と、併走してくれているユリシーグに呼び掛ける。
「ああ!」
と、ユリシーグは肯き、信長は右側面のユリシーグは左側面のアクルカンの仮面を装備する。
二人は、自分のシンギラリティとアクルカンを接続すると、巨大な青き彗星に変わる。
全長七千メータの巨大彗星である信長とユリシーグが街の上を飛び、その彗星から七千メータの黒と白の巨大な翼を持つドッラークレスが出現する。
信長とユリシーグのドッラークレスは、背中に背負う巨大な翼から青い彗星の時と同じブルーライトの粒子を放出して、自身のドッラークレスを中心とした青き台風を形成した。
その青き台風が、街に降りようとする戦艦巨人ダイダロス達を捕らえて、夜空へ放り投げる。
そして、青き台風から、膨大な光線を発射して、打ち上げた戦艦巨人ダイダロス達を破壊する。
その光景をシェルブリットは見上げ「チィ」と舌打ちする。
その正面、神格鎧マハーカーラのディオスが拳を構え
「どうする。降参するか?」
シェルブリットが、グランザバザをディオスに向けて
「すると思うか…」
ディオスはフッと笑み
「しないだろうなぁ…」
告げた次に、エルディオンから三つの流星がシェルブリットを囲むように墜ちた。
その流星は、カイド、アーヴィング、ラハトアだった。
状況、シェルブリットの連れていた全身鎧の子供達三人は、ネオゼウスアームズの奈々に洋子と綾妃が。
シェルブリットは、正面にディオス、左右背面にカイド、ラハトア、アーヴィングが囲む包囲されている状態だ。
阿座は、ディオスの後ろで託された女の子を抱き締め、警戒の視線である。
上空の戦艦巨人ダイダロス達と、信長にユリシーグのドッラークレスの対決が終わりを迎えそうになる。圧倒的、信長とユリシーグのドッラークレスの勝ちが目前。
シェルブリットを押さえるディオス達は、ジワリジワリとシェルブリットに迫る。
シェルブリットが左右前後を見た次に、空から事態を混乱させる攻撃が降り注ぐ。
それは紅蓮のフレアの連打だった。
かき乱す爆発が連続するその場。
攻撃を放った全員の上に現れたのは、下がピラミッドのような円盤に乗る全身鎧の子供だった。
その下部ピラミッドの円盤から、無数のフレアの攻撃が降り注ぐ。
乱れた場を、シェルブリットの全身鎧の子供達三人が、各々の前にいる奈々と綾妃に洋子へ襲い掛かる。
全身鎧の子供達三人は、肩部分から何かの砲身を伸ばし、各々の相手を攻撃、両手に白光と輝く高エネルギーソードを展開して、斬り掛かる。
奈々、綾妃、洋子は、その子供達に対処する。
シェルブリットを包囲していたディオス達は、爆炎を突き破ってシェルブリットへ疾走する。
シェルブリットは飛んで上に逃れると、一陣の光がシェルブリットに落ちる。
その光の中にあったのは、装甲の体を覆う新たな黄金の装甲鎧だった。
シェルブリットは六つの腕を持つ阿修羅像の如き、黄金の装甲外殻鎧を纏い、ディオス達に襲い掛かる。
その顔は狂気に笑っていた。
シェルブリットの阿修羅像の如き黄金の装甲外殻鎧の一撃をディオス、アーヴィング、ラハトア、カイドは貰うも、ディオス達はガードしたが、強烈な衝撃によって吹き飛ばされた。
ディオスは顔を顰める。
高次元の存在である神格の力を纏う神格鎧のパワーが、シェルブリットの装備に負けたのだ。
ディオスは、スキル
”アクセラレーション”
を発動、力で負けるなら連打を叩き込んで壊す。
超音速と化したディオスが先行、黄金の装甲外殻鎧を纏うシェルブリットをぶつかる。
次に、ラハトア、アーヴィング、カイドも加わり、四対一での激しい戦いを始める。
シェルブリットの新たな黄金外殻鎧の六つの腕は、見事に攻める四人に対応して、またしても四人を吹き飛ばした。
ディオスは地面を引き摺り、阿座の傍に戻る。
正面には余裕のシェルブリットがいる。
「オレだけに構ってていいのか?」
ディオス達の上にいるシェルブリットの新たな仲間が攻撃をする。
ディオス達はそれを避ける。
阿座も逃れようとした肩を
「こっちだ!」
と掴んで誘導する人物がいた。ナトゥムラだ。
ナトゥムラは、遅れてエルディンから降りて女の子を抱える阿座を保護する。
ナトゥムラは、阿座とその抱える女の子を戦いの場から離し
「ここなら安全だ」
ナトゥムラの他に数名の兵士がいた。
阿座は、ナトゥムラ達に
「この子をお願いします」
託された女の子をナトゥムラに託した。
ナトゥムラが、女の子を抱え
「お前も逃げるべきだろう」
阿座は背を向け
「借りを返したいヤツがいますから」
ナトゥムラに抱えられた女の子が
「いや! 行かないで…」
阿座は女の子の頭を人の手の形が残っている左手でなで
「大丈夫だ。直ぐに帰って来るから…」
そう言い残して、再び戦場へ戻る。
ディオス達は、面倒な戦いだと痛感していた。
性能が飛躍的にアップしたシェルブリット、その上にサポートの下部ピラミッドの円盤に乗る全身鎧の子供の組み合わせ、ディオス達が数では上だが、実質は互角、又は…シェルブリット達の方が有利だ。
あと一人…助っ人が…
ディオスがそう思った次に、漆黒の鋼の阿座が、龍の顎門を持つ右腕を振るって、シェルブリットを支援する円盤乗りの全身鎧の子供を襲う。
シェルブリットが
「ヤロウーーー」
と、阿座に向かって行こうとした隙をディオス達は逃さない。
一斉にディオス達は攻める。
シェルブリットは、ディオス達の攻撃を六つの腕で止めた。四方向からの四竦み、シェルブリットは押さえられ、それにディオス達は魔力を爆発的に高めて押す。
均衡が僅かに揺らぐ。
このままでは、シェルブリットが押さえられてディオス達に捕まる。
シェルブリットの四人の全身鎧の子供達は、動きを止める。
阿座の攻撃をシールドで受け止めた円盤の子供。
奈々の攻撃を交差したエネルギーソードで受け止め、綾妃と洋子の攻撃をシールドで受け止めた子供達。
阿座が向かう円盤の子供が告げる。
「お兄ちゃん…わたしだよ。憶えている」
「はぁ?」
阿座は意味が分からない。
奈々の攻撃を止めた子供が
「奈々…大きくなったね」
「んん?」
奈々は顔を渋める。
洋子の突貫攻撃を止める子供が
「お姉ちゃん…わたしだよ」
「え?」
洋子は混乱する。
綾妃の両手ガトリングをシールドで止める子供
「綾妃お姉ちゃん。僕だよ」
「はぁ?」
綾妃は顔を訝しくする。
四人の全身鎧の子供達が、顔を覆う装甲を展開させて、その顔を見せた。
「ああああ!」
阿座は息を飲んだ。
「わたしだよ。澪だよ」
阿座の死んだ妹がいた。
奈々の前に兄、聖司の顔が現れた。
「そ、そんな…」
狼狽する奈々。
洋子の前には死んだ筈の妹の亜耶の顔が、綾妃の前に殺された弟の貴也が。
阿座、洋子、綾妃、奈々はどうしていいか分からず、その攻撃の手を止めてしまった。
動きが止まった四人に
「どうしたーーーーー」
ディオスが叫ぶ。
阿座の妹の澪が
「ごめんね」
そう告げた次に、空から無数のミサイルが降り注ぎ、その場の全てを破壊した。
爆炎と土煙だけに変わった。
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