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第198話 阿座の目覚め

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


エニグマのスキル能力者狩りに遭遇した阿座は、狙われている親子、娘を抱える父親を逃がそうと奔走していた。


 エニグマの襲来に焦燥する阿座と、娘を抱える父親。


 阿座が

「何が目的で追われているんだ?」


 父親が

「私の妻が…戦闘系のスキル持ちで…」


 阿座は額を抱える。スキル能力者狩りだ。

 三人の頭上にいるエニグマの人型戦車が、赤いレーザーポインターを三人に当て、更に焦らせる。


 父親が目を閉じた後、娘を阿座に託して

「この子の事を…お願いします」

 父親は待ち構えているエニグマ、シェルブリット達に向かって行った。

 自分を犠牲にして娘を助ける為に。


 阿座は、託された娘を強く抱き締め

「すまない!」


 父親は、死んでしまうのにも関わらず、優しげな笑顔を向けた。

 


 出口の広場で待つシェルブリット、両脇に三人の子供サイズで全身が鎧の部下を従え、背後に人型戦車を四台も背負っている。


 出口から父親が飛び出す。

「スキル!」

”刃葉乱舞”

 父親は妻から受け取ったスキルを発動、その周囲に無数の刃を生成して、シェルブリットに向けて放つ。


 シェルブリットの両脇にいる子供サイズの前身鎧の部下三人が反応するも、シェルブリットが手を出して止め

「やめろ。オレが始末する」

 シェルブリットは、右手を回して空間湾曲を作り、そこからグランザバザの大剣を取り出す。


 襲い掛かるスキルの刃達に、シェルブリットが、グランザバザの一閃を放つを、無数の刃達が粉々になった。


 それでも父親は攻撃を止めない。

”刃葉乱舞”

 再び、刃の嵐を生成し、自身が突撃する。


 その合間に、阿座は託された娘を抱えて出口から走る。


 それを見たシェルブリットは

「囮か…残念だったなぁ」

 シェルブリットはグランザバザを背負い、超音速で疾走した。

 衝撃波と、グランザバザの攻撃によって父親とそのスキルの刃の嵐が払われ、父親はボロキレのようにズタズタになって転がり、最後に見た光景は、阿座が必死に娘を守ろうと走っている姿だった。

 

 お願いします…。


 父親は、そう念じて事切れた。



 逃げる阿座、もう少しで別の通路に入って逃れる事が…だが、その前を突貫で来たシェルブリットが破壊して塞いだ。


 破壊の噴煙からシェルブリットが姿を見せ

「おい、その小娘を置いていくなら…逃がしてやるぞ」

 悪魔の問いかけが阿座に告げられる。


 阿座は、託された子をしっかりと抱き締める。

 腕の中にいる幼い娘が、不安な顔を向ける。

 阿座はしっかりとした視線で

「ノーだね」


 シェルブリットは冷徹な視線を向け

「そうか…分かった。死ね」


 阿座の背後に、阿座達を追っていた人型戦車が飛び降りる。


 人型戦車は阿座に機関砲の向けて、阿座はその機関砲の砲口に右手を伸ばす。

 止められる訳がない。

 砲口から、親指より太い弾丸が飛び出し、阿座を貫くだろう。

 それによって阿座は四散して死ぬ。

 だが、阿座は自分の命の危機より、体が託された女の子を守ろうと動く。


 阿座の感覚がおかしくなって世界がスローモーションになる。


 ゆっくりと、人型戦車は、阿座に狙いを定める。


 阿座の脳裏には、様々な事が過ぎる。

 小さい頃の思い出、そして…十年前の妹を殺された無力な自分が過ぎった。

 

 オレは、あの時から何も変わっていないじゃあないかーーーーーー


 後悔、慙愧、怒り、自身への失望。


 人型戦車の砲口が火を放つ。握り拳半分もの弾丸が出てくる。


 託された女の子も妹のように、首だけを飛ばされて、無残に殺される。

 こんな事が許されて良いのか!

 もし、今、こんな事を変えられるならオレは…自分を捨ててもいい。


 阿座の胸部にあるネオゼウスのチップが反応する。

 阿座の呼び掛ける。


 選ベ

 今ココデ、人トシテ死ヌカ?

 ソレトモ

 

 その選択が示される前に、阿座はそれを掴んだ!

 オレは! この子を助ける!


 ネオゼウスのチップは阿座を浸食した。


 炎を上げる弾丸が、阿座の右手に接触した瞬間、ネオゼウスの浸食が弾丸を呑み込んだ。

 阿座は弾丸を握り潰した。


 それを見たシェルブリットが驚きに顔を染めた。


 阿座が吼える。

「オアアアアアアアアアア!」

 阿座の全細胞が、覚悟を決めた。


 阿座は人型戦車に向かって飛翔、阿座は左腕に女の子を抱えたまま、人型戦車に接触した瞬間、人型戦車が歪に潰れて阿座の右手に吸収された。


 人型戦車は、下半身だけを残して上半身が阿座の右手に喰われた。


 阿座の体が、背中が歪に粟立つ。

 阿座の着ている服までも呑み込むネオゼウスの浸食。

 右腕が巨大な龍の顎門に変わる。

 全身が漆黒の装甲に変貌する。


 シェルブリットが驚愕に顔を染めている間に、阿座の竜化した右腕が、縦横無尽に伸びて、従えていた四台の人型戦車を喰らい尽くす。


 右腕が龍の顎門と化した漆黒のバケモノの阿座が、その視線をシェルブリットに向ける。


 シェルブリットは下がる。目的の女の子を守るバケモノに明確な殺気を感じたからだ。


 だが、そこへ従えていた三人の全身鎧の子供達が攻撃を開始する。


「バカ野郎! 離れろーーーーー」

 シェルブリットが、三人に下がる命令を放つ。


 阿座の龍の顎門の右腕が、三人に襲い掛かり弾き飛ばす。


 シェルブリットは超音速に加速して、とばされた三人を回収、着地する。


「すいません」と一人が謝る。


 だが、シェルブリットの視線は、変異したバケモノの阿座に向けられている。


 一人が

「何かの変化を起こして、自我を失っていると…」


 シェルブリットが

「そうだな、確かに形状変化したヤツは、その形状の意識に呑み込まれ自我を失う。定番だが…どうやら、ヤツは違うみたいだぜ」


 一人が

「どういう事ですか?」


 シェルブリットがグランザバザを構え

「アイツの目を見ろ、しっかりと…オレ達を見据えているぜ。どうやら、ヤツは定番の、感情が爆発暴走するバーサーカーになる有り触れたヤツじゃあなくて、感情が高ぶると身体能力が高まるブースタータイプらしい」

 

 阿座は、右腕の龍の顎門を泳がせ、機会を窺う。

 人とかけ離れても阿座は、その自我を維持していた。

 どんなに形状が変わって対処出来ても、四対一であるのは変わりない。

 こっちには、守るべき女の子を抱えている。

 どうする?

 そう考えていると、空から流星が降臨する。


 阿座の前、シェルブリットの両脇に落ちた流星。


 その正体は、ネオゼウスアームズとなった奈々と綾妃に洋子だった。

 そして、その全体の上空にエルディオンが到着する。


 阿座の前には奈々が刀を構え、周囲に飛翔体の刀達を周回させる。

 奈々の構えている先は、シェルブリット達だ。


 奈々が、後ろにいる阿座に

「聞こえるか?」


 阿座は武装している奈々を見て

「もしかして…聖帝ディオスの下へ行った、和豪 奈々…少尉だったか?」


 的確に自分の事を答えた阿座に、奈々は肯き

「そうだ。少尉と呼ぶという事は…」


「自分は、曙光国補給軍所属、黒木 阿座 伍長だ」

 阿座は的確に答える。


 奈々は、視線をシェルブリットに向けたまま

「状況の説明を頼む黒木 伍長」


 阿座は告げる。

「エニグマのスキル能力者狩りに遭遇、逃げている親子を保護するも、父親が死亡、自分がその父親から娘を託された。なお、なぜ、自分がこのように変異したかは…不明」


 奈々はカチンと刀を握り閉め

「状況説明、御苦労。後は…我々が対処する。その娘の保護を最優先に」


「了解」

と、阿座は答えた。



 シェルブリットは囲まれた状況を見回す。

 この状況…逃げるのは容易い。だが…。

 変異した阿座を見つめるシェルブリット。

 アイツ、なんで、あんな形状に変異したんだ?

 シェルブリットは、目に仕込んであるニュートリノ探査レーダーで阿座を探査すると、阿座の胸部、ネオデウスのチップがある部分から、阿座の全身にネオゼウスの浸食ネットワークが広がっているのが透視出来た。

 成る程…とシェルブリットは、特別スキルの子ジャリより、阿座の方がよっぽど捕らえるに値すると判断。

「お前達、撹乱と陽動目的で、現れた三人の小娘の相手をしろ。オレは…あの黒いヤツを捕まえる」


 全身鎧の子供達の三人は頷いた。


 シェルブリットは、脳内にある自分達の基地と繋がっているネットワークにアクセスして、とあるモノの降臨を行う。

 シェルブリットがグランザバザを構える。


 奈々と洋子に綾妃も同じく構えるが三人の通信機に

『おい。空かとんでもないお客がくるぞ!』

 エルディオンにいるディオスから通信が来た数秒後、轟音を放ってエルディオンがいる上空より上から、千メータ級の戦艦巨人ダイダロスの艦隊が降臨する。

 シェルブリットが呼び寄せたのだ。


 シェルブリット達が動く。

 全身鎧の子供達が奈々と綾妃に洋子へ向かう。

 シェルブリットは超音速の飛翔で阿座に迫り、ワザと阿座が左腕に抱える女の子を狙う。


 グランザバザの一閃、それから女の子を守ろうと阿座は、龍の顎門の右腕と自分の体を盾にする。

 それが狙いだった。

 グランザバザの一閃が阿座の黒い鋼の体にぶつかり火花が出たと同時に、シェルブリットは阿座の首を右手鷲掴みして

「金属の体。電流には耐えられんだろう」

 電流で阿座を制圧しようとしたが、その上から降下する攻撃の気配を察してシェルブリットは下がる。

 紙一重で、上空のエルディオンから落ちた攻撃を躱す。


 蹴りの降臨の攻撃を放ったのは、ディオスだった。

「やれやれ、惜しかった」

 ディオスが、立ち上がると、神式のマハーカーラの神格鎧を纏っていた。

 

 更に事態は混迷する。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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