第194話 彼女達の決断 テスト編
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あらすじです。
奈々、洋子、綾妃達は、ディオスの絨毯飽和魔法攻撃のテストを受けている。必至に耐える彼女達は…
ディオスの総攻撃、大規模破壊魔法を除いた魔法攻撃に耐えている奈々、洋子、綾妃。
彼女達は閃光の世界にいた。
全身のあらゆる方向から、暴威の魔法攻撃が襲い掛かり、それをスキルや魔法の防壁を使ってやっと耐えていた。
ディオスのテストが開始してから三十秒。
彼女達の全身全霊の魔法防壁が破壊された。
残るは、身に纏っているスキル。
八岐大蛇、スサノオ、タケミカヅチ
魔法エネルギーで構築されたスキル能力だけが頼りだった。
奈々は、ディオスの攻撃を凌ぐ為に、ディオスのいる上空へ飛ぶ。
膨大な量の魔法攻撃を張っているディオスの後ろに行けば、何とかなる…と。
だが、それは甘かった。
攻撃魔法の嵐を抜けた奈々。
その目の前には、ディオスが右腕を掲げて待っていた。
”グラビティフィールド・ワールド・アビス”
百メータ四方の空間断絶結界の空を覆い付く程の超重力のエネルギーの巨大球体をディオスは掲げていた。
それを奈々へ投げた。
空気が圧し潰され、奈々へ衝突。
超重力エネルギーの塊は、鋼鉄だった。
奈々は、下へ落とし戻された。
奈々を押し戻して、洋子と綾妃の下へディオスの超重力のエネルギーの巨大球体が落ちる。
全身が砕けそうな力に、奈々と洋子に綾妃は晒され意識を失う寸前になる。
もし、このまま気絶すれば、ディオスが彼女達の腕に付けたバイタルチェック転移腕輪で、ここから脱出できるだろう。
だが、それはテストの不合格を意味する。
『アアアアアアア!』
奈々と綾妃、洋子の三人は雄叫び、意識を取り戻した。
時間は一分半。
何とか立っている彼女達へディオスは、情け容赦なく絨毯飽和魔法攻撃を叩き込む。
テストの空間断絶結界の外にいる信長、ラハトア、ユリシーグ、カイド、アーヴィング。
信長はティリオとリリーシャを、ラハトアはゼティアを抱えて、荒れるテスト場を見つめる。
歪み暴れる空間断絶結界を見ている信長が
「なぁ…まだ、出てこないようなぁ…」
アーヴィングが
「時間的に二分半を経過したぞ」
カイドが
「もしかして…耐えるのか?」
ユリシーグが
「彼女達は、戦闘に特化したスキルを持ち、曙光国で特別なスキル部隊にいたんだろう。なら…可能性は、高いかもしれん」
ラハトアが渋い顔で
「ディオスさんは…どうするつもりなんだろう?」
信長が
「いいんじゃねぇ。兄貴、その辺りは柔軟だし。受かればそれなりに良し。落ちれば、お帰りください。それだけじゃないか…」
ユリシーグは肯き
「そういう思いっきりが良いのもディオスだ」
二分四十五秒
空間断絶結界内で、ディオスは彼女達の気配を察していた。
「ほぅ…耐えるな…」
ディオスは最終の仕上げに入る。
両手を合わせ、下にいる彼女達に向ける。
そう、魔法ではない。純粋な自分の六属性の全てを込めた魔力を彼女達に放つのだ。
ディオスの砲身とした両手から、閃光の巨大龍が噴出する。
全長三千六百メートルのヴァシロウスさえ、吹き飛ばしたあの閃光龍で彼女達を襲撃する。
更に強力なディオスの攻撃にさらされた彼女達。
立っている事が出来ない。
四つん這いになり、食いしばる。
身を守る、九つの龍のエネルギー体の奈々。巨人のエネルギー体の洋子。雷の巨人のエネルギー体の綾妃。
彼女達は必死に耐えた。
ここで終われば、自分達は何の為に努力したんだ!
自分を叱咤させ、耐える。
そして、三分が来た。
ディオスは攻撃を止めた。
そう、彼女達は耐えたのだ。
ディオスは着地して、四つん這いになっている彼女達を見る。
「三人とも、このテスト合格だ」
空間断絶結界が解除され、外の風景が顕わになる。
奈々が
「や…た…ぞ」
と、告げた瞬間、彼女達三人はその場に俯せに気絶した。
限界ギリギリだった。
その後、ディオスの屋敷に運ばれ、医者に診て貰い。
彼女達三人は、ベッドに横になって、回復液の点滴を受けていた。
ディオスは、横になっている彼女達を確認して、部屋から出ると、廊下にクレティアとクリシュナにゼリティアの妻達がいた。
クレティアが
「ねぇ…ダーリン。どういうつもり?」
ディオスは首を傾げ
「別に、テストに受かれば。受かったなりの事をするだけだ」
クリシュナが腕を組みながら
「正直、夫は露払いで、彼女達を落とすつもりだと思っていたわ」
ディオスはフッと笑み
「まあ、確かにクリシュナのように汚れ役をかって、嫌われて諦めてくれれば一番いいが。それなりの能力があるなら、それを生かさないのは罪だと思う。それに」
ゼリティアが
「それにじゃ。夫と褥を重ねても、夫の力を欲しいという連中じゃ。落ちたからと言って諦めるのは…考えられん」
ディオスは肯き
「そうだ。そういう事だ」
クリシュナは「ふ~ん」と肯き
「じゃあ、次のテストである。アタシ達の試験は、アタシ達が好きにやっていいのね」
ディオスは肯き
「そうだ。それが公正だ」
「はいよ」とクレティアはディオスの肩を軽く叩いた。
ディオスは「頼む」と告げる。
次に行われるテストは、武闘派の奥方達の実戦テストである。
ディオスが子供達とお風呂に入っている時間、妻達は居室で
「ねぇ…アタシはあの子達を落とすつもりでやるけど…」
クレティアが告げる。
クリシュナが
「まあ、夫が好きで告白した場合は、何も言えないけど…」
ゼリティアが
「あの者達は、夫殿の力だけを欲していた。そんな輩は…」
クレティア、クリシュナ、ゼリティアの三人は残酷な笑みを向け合った。
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