表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/1107

第183話 エニグマの力 後編

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


エニグマの持っている真の力が…世界の大会議を震撼させる。


 ロマリアとリーレシアの堺にある都市群遺跡の巨大ホールにて、話し合う国家元首達とその仕官達、とある知らせがこの大会議に出席するアインデウスに伝えられる。

 それを部下のディウゴスから聞いたアインデウスは、額を抱えた次に、直ぐにとなりの席にあるロマリアのライドル皇帝達に駆け付ける。

 ライドル達がアインデウスから資料を渡され、説明を受けた瞬間


「何だとーーーーーー」

 ライドルは叫んで立ち上がった。


 そこへ、フランドイル王のヴィルヘルムも来る。


 ライドルは、ヴィルヘルムに何かを言うと、ヴィルヘルムは頭を振る程の狼狽を見せる。

 

 それを遠巻きに見ていたディオスが

「何があったんだ?」


 となりにいるゼリティアが

「ディオス、妾達も行った方が良い」


「ああ?」

 ディオスは、何がなんだか分からずにゼリティアと一緒に、驚愕している一団に近付く。

 

 ゼリティアは、ディウゴス達と共に、エニグマの隠し資産の調査をしていた。

 世界中の金貨取引をしている銀行達のデータが揃っているのだ。

 正確な数字が出るのは明白だ。

 

 現在、分かっている事は、エニグマは世界に流通している金貨の十分の一に匹敵する資産を持っていた。

 それだけでも驚きだが…。まあ、それ以上の隠し資産は…ないだろう。

 ディオスはそう思っていた。


 アインデウス、ライドル、ヴィルヘルム達がいる場へディオスはゼリティアと共に来る。

「どうかしたのですか?」


 そこには、絶望した顔のライドルとヴィルヘルムに、顔を鋭くさせるアインデウスがいる。

 並々ならぬ鬼迫の三人に、ディオスは戸惑う。


 アインデウスが

「これを見ろ」

 とあるデータが記載された魔導端末をディオスに渡す。


「はぁ?」

 ディオスは、そのデータを受け取り見る。

 ええ…流れているエニグマの資産と、それに通じているエニグマ関係の…隠し…

「ああああ! あ、はぁ、はぁ…」

 ディオスは青ざめ、呼吸が苦しくなる程に驚愕した。



 世界で流通している金貨の量は大凡、八百兆枚。日本円で八百京円。

 ディオスが勇志郎だった頃にいた地球で出回ってた世界の資産の数百倍だ。

 この世界スゲーとディオスは思っていた。


 エニグマに通じて隠れている資産、つまり、流通していない金貨…四百兆枚。

 

 この世界の全ての資産の半分にも及ぶ。


 ディオスの資料の端末を持つ手が震える。

「ちょっと待ってください。ど、どういう事ですか?」

 地球の紙幣経済では大した問題ではない。紙幣の数が増えるだけで、ちょっとしたインフレになり、問題はない。

 だが、この世界、アースガイアでは、金貨=物理的な事に変換出来る。


 もし、突如、世界資産の半分に及ぶ金貨が出回れば、大打撃になる。

 物価の乱高下と、世界的資産規模の混乱。

 金貨という経済は、それが物理に消費される事で、一定の価値を安定供給している。

 紙幣経済では、紙幣という交換が増えるだけで、紙幣が違えばその混乱は広がらない。

 金貨=物理であるこの世界では、確実に世界が震撼する。


 アインデウスが声を張り上げる。

「このデータをこの大会議の全ての者達に共有! ゴルドとマリファスを呼べ!」

 

 アインデウスのドラゴニックフォース部隊は、転移ゲートを使えるグルファクシ型戦艦にゴルドとマリファスを乗せて、この大会議場へ召喚した。

 

 大会議のこの場の全員に、エニグマの隠し資産のデータが共有され、それを見た全員が頭を抱えて怯えていた。

 だが、王である者達は、背筋を正して毅然としていた。

 ここで、民と国を守る王が、怯えてどうする!

 そんな気迫を王達は放っていた。


 大会議の正面中央登壇に経つ、ゴルドとマリファス。

 その両脇にはドラゴニックフォースで若く最強とされる曙光部隊、リュートと部下達が抑える為に囲んでいる。

 元エニグマの前の席にアインデウス、ディオス、ライドル、ヴィルヘルム、ソフィアとその仕官達が並んで座っている。


 五人は毅然とした態度でアインデウスが

「お前達に尋ねる。これは…事実か?」

 大会議の巨大スクリーンに、エニグマの隠し資産、世界の半分に匹敵する金額を提示する。


 ゴルドはフンと鼻で笑い

「オレは知らん」


 全員の視線がマリファスに向けられる。


 マリファスは目を閉じて

「これは…我らの前身、二百年前の先達達の資産も合わせてある」


 ライドルが

「では、どうして世界に、これ程の資産が流通していない」


 マリファスは目を開け

「私は、自分が管理出来る範囲だけしか把握していた。それ以外に他に通じる資産は、私以外の別の者が管理していた。それだけだ」


 ディオスが

「つまり、これ程の資産を管理しているのは…アズナブルか?」


 マリファスは微動だにしない。


 ディオスはヴィルヘルムを横見する。ヴィルヘルムは首を横に振る。

 違う。

 ヴィルヘルムは真実を見抜くジンを持っている。ウソはつけない。


 ディオスは顔を渋める。

 誰だ? 他と言えば…キャロルとか…あ、もしかして…

「もしかして、あの十代後半くらいのヤツか?」


 それを言った瞬間、マリファスはニヤリとまるで、地獄の底で笑う悪魔のような顔を見せた。


 マリファスは悪魔のような笑みを向けながら

「我々は一人が、一個人が軍団に匹敵するレギオンだ。私とゴルドは、精々…一国家程度のレギオンだ。だが…アイツは…シェルブリットは違う。我らの計画は、ゴルドと私、アズナブルが、国々を弱体させる尖兵で、最後の仕上げが、シェルブリットが持っている圧倒的物量にて、この世界を破壊する。そういう作戦だった」 


 ゴルドがふふふ…と嘲笑う。


 ヴィルヘルムが

「何がおかしい!」


 ゴルドは

「マッドハッター言ってやれ」


 マッドハッターことマリファスは、口元だけの不気味な笑みで独白する。

「シェルブリットのもっている物量は、アリストス共和帝国、ロマリア帝国、アーリシア十二国連合、超大国とする三つが合わさって戦いを挑んでも、余裕で三百年も戦える程の圧倒的物量を誇っている」

 

 ふざけるな!

 なんだとーーーー

 そんな事が…ありえるかーーーーー

 信じられない!


 驚愕する叫びが大会議に広がる。


 ソフィアが毅然と

「ハッタリよ」


 マリファスは、ふふ…と嘲笑う。


 ヴィルへムルが、過呼吸になり、机へ俯せになる。


 となりにいるライドルが

「大丈夫か?」

 気遣う。


 真実が分かるヴィルヘルムの反応で判明した。

 ハッタリなんかじゃない。本当の事だ。


 ゴルドが嘲笑いを向けて告げる。

「オレとマッドハッターを人質にして、抑えるなんて無駄だ。レギオンでなくなったオレ達には、何の価値もない。シェルブリットは、冷徹にオレ達を切り捨てて、この世界を蹂躙するだろうよ」


 マリファスも嘲笑いながら

「この世界の崩壊は、これからが序章だ」


 そう、エニグマの本丸は、この世界をいとも簡単に潰せる程、強大なのだ。


 ディオスは、それを聞いて分かった。

 何故、エニグマの連中が、この世界を取り戻すなんて言っていた理由が。

 そう、コイツ等は…一万年前に…。


 ディオスは席から立ち上がり

「それがどうした!」


 絶望に包まれている大会議にディオスの毅然とした声が響く。


 ディオスは席から出て、ゴルドとマリファスの前に立ち

「確かに、数年前のような世界だったら、恐怖だろうよ。だが!」


 ディオスは、マリファスとゴルドを毅然と指さし

「今は…違う! 見ろ! ここに全員を! この世界を何とかしようと集まった雄志達だ! キサマ等、エニグマのように一個が軍勢である小さい連中とは、違う!」

 ディオスが両手を広げ、大多数の者達を背に

「孤独なキサマ等とは違う、真に強い者達が集まった。世界という一団だ。どんな困難が訪れようと! この一団がある限り! 絶対に負ける事はない!」


 ソフィアも立ち上がり

「よく言った! アンタの言う通りよ!」

 ディオスの隣に来る。


 アインデウスも立ち上がり隣に来て

「我は、皆が万年皇帝と呼ぶ。代々アインデウスを継承する者。その歴史が語っている。この世界にいる者達の全ての力と意思を集結させれば、不可能な事はない! このような大災厄、絶対に払う事が出来ると、歴史が証明している!」


 ライドルも来て

「確かに、キサマ等が望む状況であったなら…ムリだったであろう。だが…今は違う! 我らはこうして集結している!」


 ヴィルヘルムも来る。

「そうだ! ここには皆の英知と勇気、力が集まっている! 不可能な事なぞ、ない!」


 ゴルドとマリファスは、苛立った顔をする。

 本当なら、世迷い言を…と言いたいが、それが言えないようにしている男がいる。

 ディオスだ。

 

 そう、散々、ディオスによって、自分達が有利だった状況を引っ繰り返されて来た。


 ゴルドとマリファスは、ディオス達を見て忌々しい顔をする。

 その全員には光輝く背負い風が見えるのだ。

 それをもたらしているのは…ディオスだ。


 聖帝ディオス。

 五千年前に世界を救った聖帝の再来の力が見えるのだ。


 ディオスは力強く宣言する。

「オレ達は、絶対に負けない。必ず、この世界を守る。出来る事を出来ると言って何が悪い!」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ