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第182話 エニグマの力 前編

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは、世界中の国の国家元首や王達が集まって、話し合う大会議で…。

ちょっとした説明ありです。


 この日、ディオスはロマリアの南西、リーレシアとの堺にある都市群遺跡にいた。

 ここは数年前に、ロマリア皇帝ライドルと、アーリシアの十二国王達が会議をした場所で、今も、世界規模の大会議がある場合は、この都市群遺跡にある巨大ホールにて、ロマリアとアーリシア、アリストス、ナイトレイド、その他、多くの包括的大規模破壊魔法の運用制限条約に入っている国々が集まっている。

 

 今回の大会議に議題は、マッドハッターこと、マリファスの所有していたエニグマの資産についての報告だ。


 ホールのアーリシア側に座るディオスは、隣にソフィアとスーギィ、カメリア、バルストランの仕官達、その他、アーリシアの王達と仕官達と一緒に、資料を見ていた。


「ふ…」

と、ディオスは皮肉な笑みを零す。

 資料にあるのは、マリファスに繋がるエニグマの資金の系譜だ。

 その総額…金貨八十兆枚。

 この世界に存在する資産総額の十分の一に匹敵していた。

 マリファスと繋がる殆どの資産が、マリファスと繋がっているは知らずに、運用して資産を増やし、マリファスの指示があった所に資金を流すだけをしていた。

 冷静に考えれば、七十数年前に、世界の紙幣経済を破綻させた程の資産運用をしたのだから、当然といえば当然の規模なのだ。

 更に、マリファス自身も把握し切れていない資産があるらしい。


 ここで一つ、この世界の経済について話そう。

 言わずと知れたが…この世界は、金貨経済で回っている。

 最小単位の始まりが銅貨で、日本で言うなら一円から十円まである。小さい子銅貨が十枚集まって大銅貨、十円くらいになり、それが十枚集まって子銀貨、百円くらいになり、それが十枚集まって、大銀貨、千円くらいになり、それが十枚集まって金貨一枚、一万円の価値がある。


 では、なぜ、銅貨、銀貨、金貨の貨幣になったのか…。

 まあ、エニグマのマッドハッターが紙幣経済での、ハイパーインフレとデフレの両方を起こした大崩壊の原因もあるが、その前から、アーリシアやロマリア、ユグラシア中央、アリストス、ナイトレイドは、金貨経済だった。

 紙幣経済は、主に、ユグラシア東や南東に中央部分がメインだった。


 実は…とある事があって、銅、銀、金が通貨としての機能を果たしている。

 その最たる理由は賢者の石である。


 賢者の石は、超古代遺跡にある賢者の石生成装置や施設でしか、生産出来ない。

 なぜ、賢者の石が生成されるか…そのメカニズムは分かっていない。

 だが、賢者の石は、この魔法世界アースガイアにて大きな役割を果たしている。


 まず、賢者の石は鉱物と混ぜると、魔導回路の材料、魔導回路線を作れる。

 この魔導回路線によって、様々な魔導具、魔導アイテムが生産出来る。

 魔導演算回路、魔導アクチュエーター、魔導車、魔導耕運機、魔導伝達機、魔導通信機、飛空艇、兵器を動かす演算や魔導動力回路、その他諸々。

 果ては、肥料や、魔導合金や、耐熱合金、耐久性の高い魔導複合素材。

 

 まさに、賢者の石によって、このアースガイアの社会は支えられている。


 再度言うが、賢者の石は、超古代遺跡の生成施設でしか…生産されない。


 だが…賢者の石は増やす事が出来る。

 100グラムの賢者の石があるとして、この賢者の石に、100グラムより小さい90グラム位の金を入れると…賢者の石が190グラムに増えるのだ。

 銀の場合だと、同じ賢者の石に、金と同じように入れると、170グラムの賢者の石になる。

 銅の場合だと、同じ場合で130グラムの賢者の石になる。


 この金と銀に銅だけが、賢者の石を増やせるのだ。

 他の鉱物を入れたとしても、増えない。

 賢者の石がその金属と混ざって、別の魔導的性質を持った金属に変わってしまうのだ。


 だから、金と銀に銅が世界の通貨として使われている。

 世界を支えている賢者の石を増やせるから、物理的な価値という事で、物理通貨として使われている。


 では…世界で使われている金貨、銀貨、銅貨はどのように生産されているだろうか?


 それは無論、鉱山から取り出しているが…それは生産している量の一割しかない。

 賢者の石は、卑金属を貴金属、金やプラチナに変えられる。

 賢者の石と、卑金属を混ぜれば…簡単に金や銀が誕生…する、なんて事はない。

 卑金属を貴金属、金や銀に変えるには勿論、賢者の石が必要だが…とある工程が必要なのだ。


 その工程とは…超高密度魔力状態という現象だ。

 簡単な話、もの凄い密度と圧力の魔力が掛かった状態だ。


 この超高密度魔力状態の中へ、賢者の石と卑金属を投入する事によって、賢者の石が卑金属を金や銀に変えるのだ。


 この超高密度魔力状態を作り出す装置が、べらぼうに巨大になる。

 その全長、小さく作っても700~800メートル四方になる。

 平均して施設の大きさは、キロ単位だ。


 この超高密度魔力状態を作り出す時に使われる魔力エネルギーも半端ではない。

 一週間近く掛けて、膨大な量の全属性の魔力を、これまた膨大な数の魔導コンデンサーに溜め込み。

 生成する時に使用、それによって、一回で十トン近くの金や銀を生産出来る。


 では、これで採算が取れるか?


 取れる訳がない。民間で作ろうものなら大赤字である。

 故に、金や銀を生産する魔導施設の運営は、限られた国家が行っている。


 アリストスとロマリアでは国内に五カ所づつ。

 

 アーリシアでは、バルストラン、フランドイル、ノーディウス、レギレル。

 各国に二カ所。

 

 ナイトレイドでは三カ所、

 

 ユグラシア中央部では、トルキアとインドルに一カ所づづ。

 

 アフーリアには、ヘルクタル共和国と南下にあるヴァリア共和国に一カ所づつ。

 

 ユグラシア東には、曙光国が一カ所。

 

 この二十六カ所で世界に流通する金と銀を生成生産している。


 これら専用施設を持つ二十六カ所の国が世界のバランスを司っていると言えば、それは複雑に色々と絡むので、違うが…とにかく、この二十六の国で世界の金貨経済と、物理的な経済の安定を維持し、時と場合によって世界に出回る金貨を調整している。

 紙幣のようなインフレや、デフレはない。

 金貨や銀貨、銅貨は物理的に変換出来るので、その価値は固定状態だ。

 安全なようで弊害もある。

 それは…金貨が多く出回っている国は裕福で、少ない国は金貨を獲得できる技術や力がないから貧困でもある。

 格差が出るのは、どこの世界でも同じである。


 貧困を脱するには、確かに援助も必要だが…やはり、自分の努力も必要だ。

 それを発揮出来ないチャンスがない事も問題だが…。

 やるべき事をやらないで、与えられるのを待つだけでは…流石にムリがある。

 行動する事こそ、何かを変える兆しにもなるのだ。


 これが、この世界の通貨としての仕組みだ。

 

 本題に戻ると…相当な資産をエニグマは持っていた。

 まあ、それを利用する方向で話が纏まりつつある大会議。


 だが…唐突に流れが変わる事が起こる。


 それは、ディオスから右の遠くにあるアインデウス達の席で、ディウゴスが何かを持って席にすわるアインデウスに駆け付ける。

 

 ディオスはディウゴスの様子から尋常でない何かを感じた。

「なんだ?」

と告げた次に、ゼリティアが来た。


「夫殿…」

 ゼリティアが呼び掛ける。


 ディオスがゼリティアを見ると、真っ青だった。

「どうした?」

 ディオスは心配げにゼリティアに呼び掛ける。


 ゼリティアが重苦しい口調で

「とんでもない事が判明したぞ…」



最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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