第181話 結局こうなった。
次話を読んでいただきありがとうございます。
ゆっくりと楽しんでいってください。
あらすじです。
純也とダラス、ウルア、メディナの結婚勘違いに、純也は…自分をゲスに変えた。
まだ、純也の説得が続いている。
純也に、ディオス、クレティア、クリシュナ、ゼリティア、レベッカ。
ライドル、ヴィルヘルム、とソフィア、ナトゥムラ、スーギィ、マフィーリア。
そして、娘達の父親達三人。
大所帯 対 純也の攻防が続いている。
純也が
「いやだって! 結婚って勢いでするもんじゃあないでしょう! ディオスさんだって、そう思うでしょう」
ディオスに振られた。
ディオスは…顔を純也から背けた。
「え…」と純也は戸惑う。
ディオスならそうだと言いそうと思っていた。
だが、違った。
ディオスの後ろにいる妻達が、クレティアが
「純也くん。アタシとクリシュナが結婚したのは、ダーリンの勢いがあったからだよ」
「え!」
純也は驚き見せる。
レベッカが眼鏡を上げ
「事実です。わたくしが来た時に奥様達の事を聞いたら、唐突に旦那様は、妻だ…と奥様達の事を言いました。その時のクリシュナ奥様、クレティア奥様の驚きは忘れられません」
純也は、ゼリティアを見る。
ゼリティアはフッと笑み
「残念じゃが…妾も勢いじゃ」
次に純也は、ライドルとヴィルヘルムを見た。
「ライドル皇帝陛下とヴィルヘルム陛下は、違いますよね」
ライドルはフッと笑み
「残念。ワシも勢いで五人と結婚した」
ヴィルヘルムも肯きながら
「私も勢いで妻を押し倒した」
純也は青ざめ、次にソフィアの隣にいる既婚者のナトゥムラとスーギィにマフィーリアを見る。
ナトゥムラは怪しく笑み
「お前の期待には応えられん」
スーギィが、んん!と咳き込み
「すまん」
マフィーリアはサングラスを上げ
「申し訳ないが…」
純也はソフィアを見ると、ソフィアは戸惑い
「あ、アタシは独身だから」
最後の頼みとして、レベッカを見る、レベッカは冷静に眼鏡を上げ
「残念ですが…。わたくしも、夫の勢いに…」
純也は頭を抱える。
全く自分の意見の補強が出来ない一同に、混乱する。
そう、ここは完全なるアウェーだ。
そんなダメ押しに、ヴィルヘルムが
「私が、真実を見抜くジンで、見ていた様々な夫婦達の事例では、お主のように条件に拘って結婚した輩は、あまり幸せになれないようだ。普通なら、恋愛を経て道理が整った結婚の方が上手く行くというのが通説のようだが…現実は違う。以外や、勢いで結婚した方が上手く行く事がある」
ライドルが
「人には、無意識に人を判別する力がある。だが…妙な理想や条件に囚われると、その機能を発揮出来なくなる。お主は、その三人がいい…と思っていて、今もその三人と一緒に暮らせている。つまり、丁度良いという事だ」
もの凄く合理的で、説得力がある口調で語るライドルとヴィルヘルムに、純也の心が揺らぐ。
「でも…いや…でも…」
純也は怯えて頭を抱える。
更に、ダラス、ウルア、メディナの父親達が
ダラスの父親が
「正直に言う。こんな事をしでかした娘だ。申し訳ないとは思う。だが…しっかりしている君がズッと一緒にいてくれるなら…安心出来る。だから…頼む」
全員の視線が純也に集中した時、外で魔導車が走って来た音がする。
そして、インターフォンも押さずに強引に玄関を突き破り、ダラス、ウルア、メディナの三人が現れた。
『どういう事だ! 純也!』
三人はもの凄い剣幕だった。
数十分前。
ディオスからの確認の連絡の後、三人が居間で寛ぎながらダラスが
「そうだ。近々、私と純也が結婚するのだ。二人とも」
ウルアが
「ちょっと待って! なんでダラスと結婚するの? 純也はアタシと結婚するのよ」
メディナが
「待ってください。二人とも…。純也は私と結婚するんですよ」
三人が顔をつき合わせ
『どういう事!』
事の真相を知るために、純也のいるディオスの屋敷へ魔導車を走らせたのだ。
そして、現在。
「どういう事だ…純也」
と、鬼のような顔のダラス。
「なんでこんな事になっているの?」
と、指を鳴らすウルア。
「事の説明をお願いしますよ」
と、メディナの目は殺気に輝いている。
純也は真っ青になっていた。
本日何回目の青ざめだろうか…。
ディオスは
ああ…来ちゃったか…そうだよね。気付くよね…。
そう思いつつ純也の対応を待つ。
ディオスの屋敷の広間で、一団と共にいる純也へ、ダラス、ウルア、メディナが迫る。
純也は座っているソファーから立ち上がり
「待ってくれ…これには、事情が…」
ダラスが腰にある剣を抜いた。
「どんな事情で、三人が純也と結婚する事になっているんだ?」
マジ、刃傷沙汰寸前だ。
追い詰められた純也は、ふふ…と不気味に笑い壊れた。
「あああああ! そうだよ! オレは、お前達三人と結婚するつもりなんだよ! だから、ディオスさんに、その結婚の後見をお願いしに来たんだよ!」
「ふざけるなーーーー」
ダラスが吼える。
「何よそれーーーーー」
ウルアが声を上げる。
「ヒドいーーーーーー」
メディナが叫ぶ。
純也はへへへ…とゲスな笑みで
「お前等…オレがどれだけ、お前達にゲスな事を思っていたか! 分かっているかーーーー
ダラス! お前は、もの凄くグラマラスな肉体をして、どんだけ! オレはお預けされて苦しかったか! その胸、その尻、腹…堪んねぇぜ…」
純也がゲスな視線をダラスに向ける。
「ひぃ」とダラスは怯える。
純也は次にウルアをロックオンする。
ウルアは何時もと違い邪悪な純也に身を引かせる。
純也は、両手の指を艶やかに動かし
「ウルア…お前…何時も何時も、その清楚な感じがして、オレはそんなお前をオレの欲望で染めてやりたいと、何時も何時も妄想していたんだよ…。お前の程良い胸といい尻といい、その清楚そうな顔…。オレの汚い欲望でグチャグチャにしたいぜ」
へへへ…純也はヨダレを垂らす。
攻めていたウルアが怯える。
そして、メディナに純也はロックする。
「ひぃ!」とメディナは肉食獣のような気迫を放つ純也に怯える。
純也は
「メディナ…お前は、何かも小さくて、そこが綺麗な人形のようで堪らん。そのかわいい胸と尻、その愛くるしい顔。そんなお前をオレの欲情で染め上げてやりたいと、何時も何時も思って妄想していたんだよ!」
メディナは怯え、ダラスの後ろに隠れる。
何時の間にか、攻めていた三人が、下劣となった純也に攻められ怯えて強張っていた。
それを聞いていた一同、その中のディオスは、端から聞いていて思う。
完全なるセクハラ発言で、警察隊に捕まるのは必至だ。
純也は大絶叫する。
「そんなお前達を、オレのモノにしたいんだよーーーー 悪いかーーーーーーー」
言い切った。
ポカーンとするダラス、ウルア、メディナ。
息が荒い純也は次に、三人の前で正座して額を床に擦り付ける土下座をした。
「本当にすいません。でも…いや、本当にすいません。こんなオレだけど…ダラス、ウルア、メディナの三人と結婚したいです。お願いします」
もう、何がなんだか分からない純也。
土下座する姿には、恥も外聞もない。男のプライドも面子さえも潰れている。
完全なる情けない姿の純也。
全てをかなぐり捨ててしまった純也に、ダラスにウルアとメディアの父親達が駆け付け
「もういいんだ。純也くん。もう…いいんだ!」
純也に駆け付け、土下座を止めさせようとする。
事態が混乱し過ぎて傍観者となっているその他達。
ディオスは、純也の言葉を聞いたダラス、ウルア、メディナの三人を見ると…。
「ぷ…ははははははは」
ダラスが笑い出し
「なんだそれは! ええ…純也。どれだけ自分が情けない事になっているか…分かっているのか?」
ウルアが溜息を漏らし
「本当に…何なのよ」
メディナが頭を振り
「信じられない」
ダラスが
「どうするウルア、メディナ」
ウルアが
「もう…こんなに情けないんじゃあ、しょうがないじゃん」
メディナが
「本当にどうしようもありませんね」
ダラスが
「決まりでいいな」
ウルアが
「アンタの言う通りにしてやるわよ」
メディナが
「三人も妻にするんですから、浮気をしたら殺しますよ。いいですね」
純也は三人の父親達に顔を上げると、ボロボロに泣いていた。
「はい、絶対に浮気はしません」
そう純也は告げた。
ディオスはガクッと項垂れる。
本当は、三バカ娘達の勘違いで始まったのに…。
純也が不憫でしかたなかった。
その後、純也とダラス、ウルア、メディナの結婚は、ディオス、ライドル、ヴィルヘルム、ソフィアが後見となってくれたので、とくに外からの突きもなくスームズに進んだ。
そして、結婚式は、ディオスの屋敷で行われる。
ディオスの屋敷は元は、飛空艇乗り達の旅館だ。二階建てで二棟並び、チョットした宿場でもあったので、問題なく結婚式は出来た。
ダラスとウルアにメディナの三人が花嫁衣装を着ている所に、クレティアとクリシュナにゼリティアが来た。
「どう? 花嫁さん」
クレティアが呼び掛ける。
ダラスが
「まんざらでもないさ」
ウルアとメディナは嬉しそうにハニカム。
新米花嫁達にディオスの妻達は教訓を送る。
クリシュナが
「まあ…結婚すると、夫の情けない部分も一杯見るから、幻滅するかもしれないけど…でも、もう…一人じゃあないから。不安だったら誰かに相談する事」
ゼリティアが
「一人では幸せにはなれぬ。家族となら幸せになれる。そういう事じゃ」
クレティアが
「旦那にはアメとムチね。ピシッとさせる時には叩いてやって、愛情が欲しそうな時は、一杯愛情を注いであげる。そういう事」
純也がタキシードを着ている部屋にディオスが来る。
「どうだ?」
「ああ…ディオスさん」
と、純也は頭を下げる。
ディオスがそこに来て
「緊張するかい?」
純也が
「その…本当に良かったのかなぁ…って」
ディオスがフッと笑み
「良いも悪も、君はもう…一人じゃあない。それでいいじゃないか」
「責任があるって事ですか?」
「違う。人は一人では生きていけない。オレが生まれた地球って世界、日本では、結婚はマイナスを考える人が多くいた。オレもその一人だったが…今は違う。クリシュナやクレティアにゼリティアと結婚出来て良かった。本当にそう思っている」
「幸せになるって事ですか?」
「幸せとか不幸とか、そんな事に意味は無い。幸か不幸なんて、その個人の思い方次第だ。それをどうして日本にいた時はコストとして考えていたのか…不思議で仕方ない。まあ、結局、お金でしか物事を見れないクソ共の戯言だったんだろう。そのコスト的な考えの所為で、オレの生まれた日本って国は、大変な事になっていたがな」
「はぁ…」
「すまん。難しい話をするつもりはなかった。なんか、年を取ったんだろう。説教じみてきた。すまん」
「いいえ…」
「早い話が、もう、一人じゃあない。助け合って生きればいいのさ。一人扶持より二人扶持。生きて行くのは一人より、二人の方が生きやすいって事さ」
「はい…」
と、純也は微笑む。
こうして、純也達四人の結婚式が始まったのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話があります。よろしくお願いします。
ありがとうございました。