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第175話 ヴァンスボルト夫妻の

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスはトレードしたゼウスインゴットより、作りたかった様々なモノを製造。その中にヴァンスボルトの妻、ナタージャに関係するモノが…


 アインデウスからゼウスインゴットを貰い、アクルカンの仮面と、右腕と右足の義手を作ったディオスは、とある人物にそれを義手と義足を提供した。

 その相手はヴァンスボルトの奥さんナターシャだ。

 ナターシャに義手と義足を付けている場所は、レディアンの城邸だ。

 義足と義手を付ける技術医師が、ディオスがゼウスインゴットから作った義手と義足を接続している。


 その傍に、ナトゥムラもいた。

「へぇ…まるで大理石のように固かった義手が…まるで生きているみたいに柔らかくなった」

 

 母親ナターシャに接続されナターシャから動力の魔力が供給されると、石のようなカチカチのゼウスインゴット製義手と義足が、生きている手足のような柔らかさになった。


 ディオスがそれを見て説明する。

「ゼウスインゴットを主材として、分子単位で色んな部分を構築していますから、伸び縮みも、本物の手や足と遜色がないようにしてあります」


 ナターシャの神経節の端子に義手と義足の神経回路が接続されると、グッと思いのままに握れるようになった。


 そこには、夫のヴァンスボルトもいた。

「どうだ? ナターシャ…」


 ナターシャは、右にいる夫の頬を右の義手で触れると

「信じられない…。この義手から、アナタの温もりが感じられるわ」


 ディオスはそれを聞いて肯き

「成功ですな。使えば使う程、ナターシャさんの神経の動きを学習して、より素早く動けるようになるでしょう」


 ナターシャは、左手で、本物の手のように柔らかい白い義手の手の内を触り

「ホント、これは楽しみだわ」


 それから三日後。

 ディオスは、エルディオンにアーリシア統合軍との連携を繋げる作業員を入れて、エルディオンの通信システムへ、アーリシア統合軍と繋がる通信システムを組み込む。

 戦闘指揮所CICでの作業を見つめるディオスと、隣にはエルディオンを管理する人口精霊イヴァンの立体映像がある。

 作業員が、CICとの接続作業を終えると、イヴァンがその状態を確認する。


 イヴァンの周りに様々な幾何学模様が浮かび

「アーリシア統合軍との連結を確認しました。これで、普段はアーリシア統合軍のイチ戦艦飛空艇として機能します」


 ディオスは肯き

「よし、で…ザラシュストラの方は…」


 イヴァンが肯き

「問題ありません。元からアインデウス様と繋がっているので…。その区分の変更タイミングさえ間違えなければ…」


 ディオスが

「じゃあ、アーリシア統合軍としての演習にも参加出来るな」


「無論です」

と、イヴァンが肯定した後

「ディオス様、少し…お時間を」


「なんだ?」


「こちらへ」

と、イヴァンがとある部屋へディオスを案内する。


 その部屋は、巨大ホールで、演算用の魔導回路を集積させた回路結晶体が大量に並んでいる。

 その巨大ホールの中心には、数メータサイズの巨大なこの世界の立体映像の地球儀が浮かんでいる。


「なんだコレは?」

 ディオスは周囲を見ていると、イヴァンが先に行き

「こちらへ…」

 立体映像の地球儀の前にディオスを誘う。


 ディオスは、その立体映像の地球儀を見ると、妙な所がある。

 数百だろう。

 地球儀の数百カ所に、何かのポイントの様な点がある。


「これは…?」

 ディオスが疑問に思っていると、イヴァンが

「この世界儀にあります。ポイントは…空間転移コードの場所です」


「え!」

 ディオスは驚き暫し考え

「つまり…このポイントのある場所に、空間転移出来るって事?」


「その通りです」

 イヴァンは肯定した。

 

 そう、つまり…この地球儀にあるポイントの所へ、好きなように空間跳躍出来るのだ。

 エルディオンにそういう機能がある…とイヴァンは言っている。


 ディオスは思い返す。

 ロマリアのモルドスの危機の時も、アインデウスの巨城式飛空艇が空間跳躍して現れたし、ルクセリアの時も、アインデウスの軍団は、空間跳躍のような魔法で出現した。

 こんなモノを良く作り出したなぁ…。

 そう思っていると、妙な部分に気付く。

 国々の都市の上にあるのは…まあ、分かる。

 それ以上に、このポイントのある位置は…魔導資源がある鉱山や海底、土地の部分に多く付いているのだ。


 え…どういう事だ?


 妙な疑問を感じているディオスに、イヴァンが

「ここまでが…ディオス様に許されている権限です」


 その言葉でディオスは思考の海から出て

「ああ…その、つまり…好きに世界中何処でも移動出来るって事だな」


「はい。どの場所でもどの距離でも、三十秒あれば、空間跳躍して移動可能です」


「ふ…三十秒で世界一周ね…」


「お望みとあれば…」


「分かった。とにかく…色々と使わせて貰う」


「どうぞ、お役に立ててください」


 ディオスはイヴァンを見つめ

「イヴァン…。エルディオンと同じタイプの超弩級要塞戦艦は、他にもあるのか?」


 イヴァンは肯き

「自分を含めて七艦ほど、一艦はアインデウス様が使う巨城式飛空艇エルヴァルが…二艦はアインデウス様直下のドラゴニックフォース部隊が左翼部隊に一艦、右翼部隊に一艦、残り三艦は…まあ、一艦は特別な長期任務中と申しましょうか…。二艦は、バックアップの待機組としてアリストスに…」


 ディオスは肯き

「そうか…。その七艦だけが、このポイントを使った空間跳躍するのだな」


 イヴァンは首を傾げ

「このように空間跳躍出来る戦艦をグルファクシ型と呼んでいますので、グルファクシ型を指すのであれば…まあ、大きさに関係なく十数艦程はあります」


「成る程ね」

 ディオスは納得しつつ、アインデウスが空間跳躍の戦艦を多数持っている事実を知り、ますます、アインデウスが抱える秘知に興味が出て来た。


 その後、ディオスはエルディオンのアーリシア統合軍との連携テストを終えた後、レディアンの城邸へ向かった。

 今日は、信長や子供達が武術の訓練でお世話になっているのだ。


 ディオスはレディアンの城邸の修練場地帯に入ると、訓練する者達の掛け声が響く。

 それを見ながら、信長と子供達を探すと、とある人だかりに、信長と子供達を見つけた。


「なんだ?」

と、ディオスはそこへ行くと、その一団が囲んでいるのは、ヴァンスボルトと、動けるズボン洋装のナタージャがいた。

「何を…?」

と、ディオスが疑問に思っていると、ヴァンスボルトとナタージャは剣を抜いて、同じタイミングで近付き、剣舞を始めた。

 凄まじい速度でお互いの間合いギリギリで剣を交わす夫婦。


 ディオスはその凄まじい速度に、目が点になる。


 残像を残すのは、当たり前、無数の火花が飛び交い、何回、剣を交差さえているのか全く分からない斬撃の速度だった。

 それが一分も続いた後、大きな火花が散って終わる。


「はぁ…一回ダメだった」

と、ナタージャは告げる。


 ヴァンスボルトはフッと笑み

「五回だ」


 ナタージャは楽しげに笑み

「待っていなさい。直ぐに昔のように追いつくから」


 ヴァンスボルトは、フッと余裕に笑み

「そうだな。楽しみにしているぞ」


 ナタージャは、自信ありげに笑み

「私から、アナタへ渡した剣聖の称号も返上される日が近いわよ」


 ヴァンスボルトは胸を張り

「ワシも負けんぞ」


 そんなやり取りを見ていたディオスが「あの…」と二人の前に来て

「ナタージャさん。義手の方は…」


 ナタージャは嬉しそうに

「ディオスさん。ありがとう。これ凄いわ! まるで元からあった手や足のように動くのよ。また、剣を握れるなんて思わなかったから。嬉しいわ」


「ああ…そうですか。良かったですね…ははは…」

 ディオスの顔が引き攣り笑いをする。

 一刀に与えたゼウスインゴットの大剣ヴァルハトリアも、一刀と相性が良く、順調に、一刀と共存する方向へ進化している。

 もしかして、ゼウスインゴットって武闘派気質の人と相性が良いのか?


 その後もナタージャは、訓練を続け、多くの訓練生がナタージャに相手をお願いする。

 ナタージャは元剣聖である。妻の剣聖としての称号をヴァンスボルトが継承したのだ。

 それは、ヴァシロウスに戦いを挑む前の十数年前に、妻ナタージャと勝負して勝って譲渡されたが…。

 

 ナタージャが色んな人と訓練するその場景からヴァンスボルトが外れ、何処かへ行く。

 それをディオスが見つけ、後を追ってみると…。


 ヴァンスボルトは水飲み場で、顔を洗いつつ涙を隠していた。

 そこへディオスが

「ヴァンスボルトさん」


 ヴァンスボルトはハッとして

「これは…情けない所を…」


「どうしたんですか?」


 ヴァンスボルトは、自然と溢れる涙を拭いながら

「嬉しいのです。再び妻と…剣を交える事が出来て…」

 

 ヴァンスボルトは、小さい頃からナタージャと共に剣を鍛え合って、お互いに高め合った仲だ。

 

 ディオスは後頭部を掻いて

「そうですか…」


 ヴァンスボルトがディオスの前に来て、ディオスの手を取って握り

「ディオス殿…本当にありがとうございます」


「そんな…」

 ディオスは照れくさかったが、ヴァンスボルト夫妻の絆が戻って来た事に嬉しさを噛み締めた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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