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第174話 トレード

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは初恋メーターから分かった事実のトレードとして、アインデウスからゼウスインゴットを貰い…


 世界樹城のアインデウスの執務室でディオスとアインデウスは対面してソファーに座り

 アインデウスの話が始まった。

「今は、エルギアの技術がお前のお陰で劇的に向上して、別物のゼウスインゴットというモノになったが…。三十年前の当時は、そんなに使える場所がない技術だった」

 ディオスを前にアインデウスは淡々語った。


 ディオスは苛立つ顔をする。

 まさか、実験の為に危険な技術を使っていたなんて…。

 ある種の軽蔑が混じる。

 

 アインデウスは語る。

「エルギアは生体の影響を受けて進化する特殊な素材であるとは…分かっていた。故に…多くの人の意識体に触れる事によって、何か変化するかと期待していたが…」


 ディオスは頭を振り

「それで…もし暴走して…浸食を起こしたら…」


 アインデウスは、目を細めて

「無論、それは考慮していた。浸食を起こさない程度の素材で作ったが…。もしもという可能性がある。故に流通している個数を限定していた。無論、所有する者達の監視はしていた」


 ディオスは深くソファーに座り

「で、結果は?」


 アインデウスは首を横に振り

「全く成果がなかった。結局の所、エルギアの素材は、その持っている装置の一部として機能を特化させ、それ以上…変化することはなかった」


「それで、回収したと…」


「そうだ。だが…回収出来なかった六個が、お前の元に来たとは…何とも、運命を感じずにはいられない」


 ディオスは頭を掻いて

「そんな事を喋って良いんですか?」


 アインデウスはフッと笑み

「お前なら、喋った所でこの情報が利用価値がないと、直ぐに分かる筈だ」


 ディオスはチィと舌打ちした。

 確かに言う通りだ。

 安全的な事には、配慮していたし、何より…じゃあ、現物は?

 と聞かれても、自分以外、何処にもない。

 他にバレたとしても、都市伝説程度の話題として終わる。

 この世界、アースガイアでの、アインデウス皇帝の威光は恐ろしい程に強い。


 ディオスは胸を張り、手を組んで

「じゃあ、秘密にする代わりに、トレードといきましょうか?」


 アインデウスは余裕で笑み

「どんなだ?」


 ディオスは瞳を鋭くさせ

「ゼウスインゴットを貰えませんか?」


 アインデウスは笑みながら頭を振り

「お前が、聖剣ガリアラスと聖槍カシリウスから、あのデータを獲得したのは知っている」


「分かっているなら、話は早い。くださいよゼウスインゴット」


 アインデウスは、ディオスを暖かく見つめ

「その聖剣と聖槍から得たデータは、とても大きな力を持っている。下手をしたら世界が大きく揺らぐ。そんな力をどうするつもりだ?」


 ディオスは額に右手を置いて

「もちろん、研究するならアインデウス皇帝陛下の関係者も加えます。簡単な話、好奇心と、守る為にも色んな力があっても良いという事です」


「もちろん、規制は掛けるのだろう」


「はい。包括的大規模破壊魔法の運用限定条約に入れます」


「宜しい、では…どのくらい欲しい?」


「んん…三キロ弱です」


「おや? その程度でいいのか?」


「一キロ前後は、その研究用に使います。残り二キロは…」

 ディオスはアインデウスに耳打ちする。


 アインデウスはフッと笑み

「成る程…まあ…いいだろう。そのような使い方があるのなら、提供する価値はあるな」


 

 こうして、アインデウスの初恋メーターの中に仕込んだエルギアの素材実験の秘密を引き替えに、ディオスは三キロのゼウスインゴットを獲得した。


 一週間後、ディオスの屋敷にディウゴスが来た。

 その両脇には黒服の部下達を付けている。

 ディウゴスは、厳重な金属のケースを屋敷の広間でディオスに渡し

「全く、貴方という人は…恐ろしい男ですよ」


 ディオスは、金属のケース、ゼウスインゴットが入った保管庫を受け取り

「フ…魔法を研究する者の性分ですよ」


 ディウゴスは眼鏡の付け根を上げ、赤い瞳を輝かせ

「で、貴方がちゃんと…言った通りのモノを作るか、確認させて貰います」


「はいはい。分かりました」



 ディオスは、三キロのゼウスインゴットをオルディナイト財団の研究加工部門に持ち込む。


 多くの研究者が、ゼウスインゴットを見たさに、研究加工室に殺到する。


 そこの研究加工室の円筒の巨大水槽のような装置は、賢者の石を使った液体型の加工システムである。

 

 ディオスはディウゴスと共に、その加工機の前に来て、金属の保管ケースを開けると、そこに三本のゼウスインゴットがあった。一個が一キロだ。

 その一つをディオスが手にすると、ゼウスインゴットは、ディオスの魔力に感応して、電子網のような模様を浮かべて脈動する。

 まるで生きているような金属だ。


 ゼウスインゴットを、加工機の本体である賢者の石加工液層の中へ入れる開口部に置くと、ゼウスインゴットを開口部が呑み込み、賢者の石加工液層へ浮かべる。

 

 次に、骨組みとなる、聖剣と聖槍から取り出した疑似ドッラークレスの魔導データシステムが入った七つの仮面の骨組み、アクルカンの元を開口部に置いて、同じく入れた。

 額、顎、右目、左目、左半分、右半分、鼻の部分。

 七つのアクルカンの骨がゼウスインゴットと共に、賢者の石加工液層の中に浮かぶ。

 

 ディオスは、賢者の石加工機器の起動を押して、加工を開始する。


 ゼウスインゴットと、七つの仮面の骨組みとの間に、電子回路のような模様が繋がり、その電子回路、賢者の石ベースの加工システムの分解、構築によって、仮面の骨組みにゼウスインゴットが組み込まれる。

 骨だった仮面は、ゼウスインゴットで肉付けされ、仮面装置、アクルカンになった。


 時間として三十分弱で、加工が完了したアクルカンが、排出口から出て来た。

 ディオスは一つ一つ手にして、状態を確認する。


 設計通りかは…後の機能チェックだな…。


 ディウゴスが来て

「ほう…これが、随分とあの時から小さくなりましたね」


 ディオスがその言葉に

「まるで、元の事を知っているような口ぶりですね」


 ディウゴスは眼鏡の付け根を上げ、気持ちを落ち着け

「ええ…まあ…その…二千年前の先代の記録がありまして…ちょっと覗いてきたので…」


「ふ…ん…」

と、ディオスは頷いた後

「ディウゴスさん。不老不死じゃあないとしても、こういう概念なら、昔の事を知っていてもおかしくない。転生ってヤツです。昔ね…アニメとかっていう映像作品に、始まった初代からその記憶と次の代に受け継がせている転生を題材にした物語があったんですよ」


 ディウゴスは眼鏡の付け根を上げる。それは焦りを抑えるクセだ。

「ほうぅ…興味深い話ですね」


 ディオスはジーと見つめるも、

 まあいい。何れ分かる時が来るだろう…

と、視線を逸らし、次に加工するゼウスインゴットをセットした。


 次に加工するモノは…義手と義足のシステムだった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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