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第169話 バルストランでの政治 後編

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


ディオスは、自由国民党に入り、近々ある王都議会選挙の手伝いをするが…


 ディオスは、近々ある王都議会選挙の応援として、自由国民党より出馬する都議会候補者達の演説に加わる。

 みんな、ディオス見たさに、集まる集まる。

 そして、生まれて間も無い赤ちゃんに聖帝の祝福を…とディオスに集中する。

 

 ディオスは、それを拒否する事無く、受け入れて祝福、あの黄金の結晶をプレゼントする。

 

 それは、フィーバーだった。

 聖帝、それは、五千年前に世界から魔物の厄災を終わらせた伝説であり、現在のディオスも伝説級の逸話ばかりだ。

 ヴァシロウス討伐、アーリシアを纏め、ロマリアとアリストスにアーリシアを繋げ、ロマリア、アリストス、ナイトレイドの危機も救い、世界に魔導技術の黎明期をもたらし、正にやっている事が聖帝に相応しい伝説級だ。

 さらに、自分を犠牲にしても二百年前に世界を救っていたディオス・ディヴァイアスの再臨。

 その熱気に止まる事がないが…。


 やはり、それを警戒する人達がいた。


 とある候補者の街頭応援。それは王都議会選挙、選挙最後の日。

 それは、ダルファンの選挙運動中だった。

 王都の町の中央広間に、ダルファン達の演説用街頭魔導車が止まり、その上の壇上でダルファンが訴えていると、ギレンにディオスが応援に来た。

 多くの人達が、ディオスを見に来ていたが…別もあった。


「反対ーーーーー」

「自由国民党の権力の横暴を許すなぁーーーーーー」

「独裁政治の始まりだーーーーー」

「ギレンと自由国民党の権力の集中を許すなぁーーー」

 百人近い人々が、プラカードを持って反対運動を向けていた。

 

 反対! 反対! 反対! 反対!


 それに選挙に対する反対運動だ。

 普通なら、こういう事は…許されない。

 選挙妨害として、警察隊が出そうだが…。

 それに多くのマスコミがいた。


 もし、これに押さえる力が入ると、間違いなく大きなダメージになる。


 反対の大声に、ダルファンは厳しい顔をする。

 ギレンも同じだ。


 だが、ディオスは…

「ギレン様、ええ…候補者の…ダルファン様。ここは、自分に任せて貰えませんか?」


 ギレンとダルファンは戸惑いを向ける。

「良いが…」とギレンが告げ


 ディオスが

「時間が掛かります。もし、何か先にあるのなら…移動を…」


 ダルファンとギレンは首を横に振り

「大丈夫だ」とギレンは答え、ダルファンは頷く。


「では…」とディオスは、ワザと反対する者達が見える高い場所に立ち、右手を胸に当て、声を荒げ反対者達を見据える。


 ダルファンは首を傾げ、ギレンは静かにディオスを見つめる。


 ディオスに、反対の罵詈雑言が浴びせられる。

 それに、毅然とするディオス。

 反対者達は、声を大きく荒げ、それが四十分も続いた。

 

 やがて、反対者達は疲れ、声が擦れて、叫びが小さくなる。

 そして、誰も声を出さなくなって数十秒後。


 ディオスは、声を拡声させる魔法で語る。

「声を上げて反対を叫んでくる者達よ。ありがとう!」

 

 ええええ? 全体が響めく。


 それでもディオスは続ける。

「そして、この声があっても居続けてくれる賛同者達よ。ありがとう!」

 ディオスは左手を挙げて

「まさに、今、ここに素晴らしいバルストランの力を、オレは見た! 

 反対者諸君、君たちは正しい! この様な権力が大きくなるのは不安になるのは当然だ!

 賛同者諸君、君たちは親友だ! この様な荒々しい事があっても耐えて付いて来てくれた!」


 その場にいる全員がディオスに呑み込まれた。


 ディオスは続ける。

「今まさに! これがこの国の国民が素晴らしいという証明がなされた! 

 権力の暴走を危惧する者達、それは教師である。

 我らに力を貸してくれる賛同者達。それは、親友である。

 これこそ! 政治である! 国を守る要である! 

 だが! だがだ! これ程、素晴らしい者達がいて、その力を我らは生かし切れない!

 その理由は! なんだ!

 それは一つ! 私達にここにいる全ての者達の力を貸して欲しい!

 必ずや、皆の力がこの国を、世界を守る!

 お願いだ! 皆の力を! 私達に貸して欲しい!」


 ウオオオオオオオオオオオオ!


 反対者も賛成者も、全員が雄叫びを上げる。

 それに答えるように、ディオスは両手を挙げて答える。

 とんでもない熱気が、街中で誕生した。


 聖帝ディオス! ばんざーーーーい

 聖帝ディオス! ばんざーーーーい

 聖帝ディオス! ばんざーーーーい


 その場にいる全員が、聖帝をディオスを讃える声を放つ。

 その場景が世界に向けて放映された。


 隣にいたダルファンは驚愕する。ディオスは反対も賛成も、全てを呑み込んでしまった。


 ギレンは嬉しそうに笑む。

 これぞ、聖帝の力。

 そう、痛感した。


 ダルファンは震えた。

 反対も賛成も全て従えて呑み込んだディオスに、畏敬の念を感じてしまった。


 その後、王都議会選挙は、98%という驚異的な投票率を叩き出し、自由国民党より出た候補は八十名は、全員が当選という大勝利で幕を閉じた。


 そして、ディオスは、その夜、王都のとある場所を奔走していた。

 それにダルファンもいた。

 向かった先は、落選者が大量に出た政党の投票本部だ。


 ディオスはお辞儀して現れ、そして…そこにいる政党の皆にお願いした。

「今、正に、皆様の力が必要です。行きすぎた力は暴走を起こす可能性があります。それの手綱を握って欲しい」

 そう、野党の人達にお願い安行を続けた。


 ディオスの願いに、訪れた皆が肯き、協力を申し出た。


 翌日、ダルファンは自由国民党の事務所で同期のスディーラに

「あの方は…なんなんだ? 敵も味方もないのか?」


 スディーラがフッと笑み

「だろうな。聖帝の前にすれば、我々が思っている敵味方の区別なんて小さいのだろう」

 

 そして、数日後、ダルファンはフランドイル王国へ行く議会連合団にいて、フランドイル王ヴィルヘルムと会話が出来た。

「陛下…ディオス・グレンテルとは…どんな男ですか?」


 ヴィルヘルムが、ダルファンから都議会選挙の事を聞くと「フッ」と吹いて

「気をつけろ、あの男は天性の人たらしだ。おいしい思いをしようとアヤツに近付き、思った以上の美味しい思いをして、再びアヤツの元に来てしまう。

 それが最後だ。もう…アヤツ、ディオスから離れられなくなり、ディオスの思いのままにされる。それ程までに恐ろしい男だ。だが、素晴らしい男でもある。正に美酒と同じよ。美味しいが飲み過ぎるとその毒に犯される。そういう男だ」


 ダルファンはそれを聞いて、項垂れた。

 人としてのレベルが違う…と。

 海千山千を知る王さえも魅了するディオス。

 デカすぎる存在に、ただ敬意を持つしかない。


 とまあ…外ではもの凄く評価されまくりのディオスだが…。


 ディオスは、エルディオンにいた。

 ディオスは周囲を警戒して、ヒッソリとエルディオン艦内を進み、とある所に来る。

 そこは、主動力炉、神格炉がある部屋だ。

 部屋のロックを、ダイアマイトの端末で解除。

 中に入って、全長十メータの神格炉の傍に来て、神格炉の端末にアクセスしようとした。

 そう、神格炉のデータをパクろうとしていたが…。


「なに、してんだテメェ」

 背後にイヴァンの立体映像が出た。


 ディオスはハッとして

「いや、これは…整備をだなぁ…」


 イヴァンは苛立ち怒った顔を向け

「はぁ? 盗もうとしたろうが! 神格炉は、アインデウス様しか触れてはいけないと! 言ったろうがーーーーー」


 う…と項垂れるディオス、更にイヴァンが

「テメェ…今度、こんな事をしたら、嫁さん達や子供達にバラすからなぁ」


 ディオスは真っ青になって

「だって! 神格炉のデータが欲しかったから!」


「はぁ?」

 イヴァンは威圧を込める。


「ごめんなさい」

 ディオスは情けなく謝った。


 こうして、外では偉く評価され、内ではそんなに評価されていなかった。


「ちょっとだけ、ちょっとだけなぁ…イヴァン」


「はぁ? ふざけんな!」



最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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