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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスの仲間達
151/1107

第150話 ルクセリア奪還作戦 

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


イルドラの復讐に燃えるエニグマ、アーヴィングが、イルドラのいる剣の館に侵入し、そこで…


 ディオス達がいる剣の館にエニグマのアーヴィングが侵入する。

 アーヴィングのシャドウスキルによる転移は、精密さがない。

 タダの転移ならある程度の方角を決めて、その方角にある何処かの影に転移する。

 だいたいが建物の影とかなので、困らないが…その誤差は大きく、目的とする場所には、数百メートルもズレるなんてザラだ。

 その為、正確な影転移は、影から影に繋いで進むしかない。ただしそれも、建物とか物とかいう、動きが小さい影に限られる。

 アーヴィングは、物陰を経由して、剣の館の中を進む。

 

 屋敷の警備は意外やザルだ。廊下にも、どこにも警備の人影がない。

 ロマリア上皇が来ているのに、チョロい。

 だが、魔導警報システムは生きている筈だと、確認しなが見つからないように影の転移をして進む。

 アーヴィングが順調に屋敷内を進む、その後ろを姿を隠した魔法に包むディオスと、ナトゥムラが見張って追う。

 

 アーヴィングが、来客の間に来ると、ドアに影を飛ばして音を拾う。

「ようこそ…上皇様」

 ロータスの声。


「すまないな。急な訪問に…」

 イルドラの声。


 間違いなくイルドラがいる。

 アーヴィングの殺気が膨らむ。

 ロマリアを壊して、その絶望の最中、殺してやろうと思ったが…、今ここで殺すと、気持ちを決め、両手に影で作ったナイフを握る。

 そして、ダッシュした。


 イルドラがいる部屋のドアを蹴破り

「イルドラーーーーー」

 アーヴィングが声を荒げる。


 部屋には、驚くロータスと、イルドラ、その後ろに顔をベールで隠すドレスを着た女性がいる。


 ロータスが傍にある剣を取って

「キサマ! 何者だ!」


 アーヴィングが、シャドウ・クリエイトを使ってロータスを捕縛する。

 アーヴィングが怒りを伴った顔で、近づき

「久しぶりだなぁ…イルドラ。いや、憶えてもいないか…」

 皮肉るアーヴィングだが


 イルドラは真剣な眼差しで

「いいや、憶えておるとも、ウォルトス家の長男、アーヴィングであろう」


「ほぅ…」

と、アーヴィングは憎しみの篭もった笑みを向け

「憶えているなら、やりやすい! 七十年前! キサマが黙殺した貴族の子息だ! キサマのお陰で」


「待て…」

と、イルドラは告げ

「アーヴィングよ、これは…どういう事だ?」


 アーヴィングが激高し

「しらっばくれるなぁぁぁぁぁぁ 七十年前、ロマリアが他国を侵略したのを諫言したオレの父親は、お前が! 民意私兵団の暴走を黙認した事で殺され、あまつさえ…妹と母親を…」


 イルドラはそれを聞いて肯き

「成る程…では…」

と、イルドラは後ろにいるベールの女性を見て

「その記憶が正しいなら、これはどういう事だろうなぁ…」


「はぁ?」

と、アーヴィングが苛立つ顔をする。


 ベールの女性が

「そんな…兄さん…」

と、ベールを取って顔を出す。

 年齢は九十代のイルドラより十代少し若い七十代後半、その顔は…ふっくらとして穏やか老婦人だが…人族で、アーヴィングと似た目付きをしている。


 アーヴィングが瞬きして老婦人を見つめ

「お、お前は…」


 老婦人が

「私よ、妹のアリミアよ」


 アーヴィングが度肝を抜かれた顔をして

「そ、そんな…バカな…」


 老婦人アリミアが

「ほら…」

 両手を前に出して構えると、その手に影が集まって棒状の物体を形成した。

 そう、アーヴィングと同じシャドウ・クリエイトのスキルだ。


「え…ええ? ああ、はぁはぁ」

 アーヴィングは混乱する。


 アリミアが

「憶えている兄さん。私がよく、兄さんに花冠を作ったわ…。兄さんが喜んで頭に被ってくれた」


 アーヴィングが頭を抱え

「黄色の…コスモスの…パンジーのも」


 アリミアが顔を綻ばせ

「ポピーもあったわ」


 アーヴィングがフラフラとしながら…

「母さんは花が好きだった。だから…色んな花が…」


 アリミアがアーヴィングに近付き、その手を取ると、アーヴィングの手から影で作ったナイフが落ちて影に戻る。


 アリミアが

「私、今でも憶えているよ。兄さんが私の誕生に、何時も秘密でケーキを作ってくれた事。知られるのが恥ずかしいからって母さんから聞いて、隠れて兄さんが私の為にケーキを作ってくれる姿を見ていたんだよ」


 アーヴィングがガクッと膝を崩してその場にへたり座る。

「はぁ、はぁ、はぁ…はぁ、はぁ」

 呼吸がおかしい。


 その後ろで隠れていたディオス達も姿を隠す魔法を解除して、アーヴィングの後ろに立つ。

 まあ、この状態なら警戒しなくてもいいが、念の為だ。

 後ろでディオスとナトゥムラに挟まれるアーヴィング


 イルドラが

「アーヴィングよ。お前は間に合った。間に合ったんだ。七十年前、お前は…小さな洞窟に母親と妹を隠し、追って来た連中の囮になった。そして、お前が囮になり、胸部に魔導弾丸を受けて上半身の胸部が吹き飛び、妹のアリミアと母親は、お前が死んだ姿を見た。その後、ワシと共に駆け付けた部隊と共に、お前を殺した連中を押さえ、そして…妹と母親を保護したのだ。アーヴィングよ、お前は家族を守ったのだぞ」


 アリミアがアーヴィングの手を握り閉め

「ああ…兄さんの暖かい魔力が…兄さん。お母さん…病気がちだけど…まだ、生きているわ。お母さんは、ズッと兄さんの足手まといだった事を悔やんでいるの…。兄さん、母さんに会ってあげて…」


 アーヴィングは、痙攣のように全身が震え

「ああああああああーーーーーー」

と、悲鳴を放って意識を失った。


 その背中をディオスが支えた。

「マジか…やれやれ」

 意識的な事がキャパオーバーして気絶してしまった。

 予定より大分違うも…まあ…いいか…とアーヴィングの見えない背中に小さくとある呪印を描いて、小さな装置を張り付けた。


 よし!とディオスは

「一応…制限を設けるリミッターの腕輪を…」

と、アーヴィングの両手に魔法やスキルの使用を制限するリミッターの手錠を掛けた。


 アーヴィングが意識を失った事で拘束が解けたロータスが

「どうしましょうか…」


 ディオスが額を押さえ

「一応…多分、作戦通りにはなると…思うので…」

 多分、こうなって…驚くべき事実を知った場合は、そう…動くと…思うけどなぁ…。

 その辺りは天に運を任せよう。


 ディオスはイルドラに

「イルドラ様…確認の方は?」


 イルドラは肯き

「十分じゃ」


「はい、では…」

 ディオスは、ナトゥムラと共に気絶したアーヴィングをソファーに寝かせた。

 そして、ディオスは懐にある特別な魔導通信機で、ザラシュストラの総統であるアインデウスに連絡を入れる。

「ああ…アインデウス皇帝陛下。ザラシュストラの時間でございます」


『分かった。作戦は、ライドル皇帝より受けている。掛け声をせよ!』


「はい!」

 ディオスは敬礼して、回線をとある所へ繋げる。

「ああ…テスト、テスト…」

と、呟くと部屋の傍にあった魔導通信機からディオスの声が放たれる。


 現在、ディオスの魔導通信機は、ロマリア、アリストス、アーリシアの各国々の機関、このルクセリアの魔導通信機にある、緊急用共通回線に繋げている。


 スーとディオスは息を整え

「時、来たれり、時、来たれり。立ち上がるべし。繰り返す」

 


 ディオスの言葉が、ルクセリア全体と、ロマリア、アーリシアの軍隊機関に響く。

『繰り返す! 立ち上がるべし』


 それを聞いた、ルクセリア王宮にいる騎士達が一斉に剣を抜いた。

 そして、王宮の真上に、とある信号魔法が放たれた。



 ロマリアでは、ディオスの放送を聞いた瞬間、南にある南方軍の施設が一斉に沸き立った。

 ロマリア南方方面軍の総司令。金髪の魔族で鋭い視線を持つ男装の麗人たるデグレチャフ南方将軍が、多くの部下を伴って旗艦の戦艦飛空艇へ乗り込む。


 発令所に来たデグレチャフ将軍は、南方方面軍、全部隊への通信回線を開く。

「諸君、待ちに待った審判のラッパだ。

 今日は、汝達全員に鬼神となる許可が下りている。

 理由は一つ! あのにっくきエニグマが、我らの兄弟たるルクセリアを奴隷にした。

 奴らは卑怯な手で、ルクセリア王家の、ライドル皇帝陛下が大事にする姪っ子姫を犯し人質にして、兄である王子を奴隷という屈辱に貶めた」


 それを聞いていた兵士達の殺気が数倍に膨れあがる。


 デグレチャフ将軍の演説は続く

「諸君、このような外道…許せるか! 否! 断じて 否である! 我が素晴らしき敬愛するライドル皇帝陛下は、素晴らしい勅命をくださった。

 エニグマを我らが兄弟ルクセリアから絶滅せよと、申しくださってくれた。

 私はそれに激しく同意する。

 諸君! 我らの兄弟を陵辱したエニグマを! 一人残らず! 絶滅せよ!」

 

 おおおおおおおおおおおお!

 

 南方方面軍から雄叫びが木霊する。

 

 その雄叫びに包まれて、戦艦飛空艇の艦隊が出撃する。

 正面には、巨大な転送魔法陣レド・ルーダの転送陣がある。

 ルクセリア王宮に上がった信号魔法は、この転送魔法の道標である。

 五十艦近い艦隊が、レド・ルーダに運ばれてルクセリア王宮の真上へ行った。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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