表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスの仲間達
150/1108

第149話 ルクセリア王宮の調査 その二

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


ロマリアにディオス達が調査した内容が届いた。ライドル皇帝は、兄弟国の現状に…


 翌日、通信ではなく、教会の荷物運搬に紛れて、ルクセリア王国が、カイドとユリアが、エニグマの手に落ちて奴隷とされいる知らせをライドルが、王座で受け取った。

 王座のある皇帝の間では、五人の妻達もその報告を受けた。


 そのデータが載る魔導端末が砕ける音がした。

 南方のユリシアが魔導端末を握り潰してしまった。その顔は鬼神の如く激高していた。


 記載されいた情報。

 ルクセリア王家にエニグマの魔の手が入った。

 エニグマのマッドハッターの作った魔獣によって前王夫婦は殺され、新たな魔獣開発の為に、王女のユリアが改造拘束され生死を握られ、それに兄カイド王子が従わされていると…。


 怒りで震える南方の肩に手を置く北方。

 周囲にいる仕官達の中には、両親がルクセリア出身の者までいた。その者も同じく怒りで震え、ライドルはカランっと端末を落とした。


「お義父様」

と、同じくいたヴェルオルムが呼び掛けると、ライドルは静かに王座を両手にして一気に持ち上げた。

「あのクソ共がーーーーーーー」

 四十キロもある王の席がぶん投げられた。


 これぞ、ロマリア皇帝名物、王座ぶん投げだ。

 皇帝の間の真ん中で王座が転がって壊れた。

 過去、ロマリア皇帝が激怒する事はあった。その理由は、自分の国の民、親族が、無残に扱われた時だ。

 そう、エニグマはライドルの、ロマリアの逆鱗に触れた。

 兄弟である国を犯し辱め、奴隷にしている。


「おあああああああああああ!」

 ライドルは赫怒で、全身からロマリア皇家の秘儀リヴァイアサンの力が溢れ出していた。


 その怒りに共鳴する仕官がライドルの前に来て跪き

「皇帝陛下…ご勅命を…」

 この仕官の母親もルクセリア出身だ。ライドルと同じく怒りを持っていた。


 ライドルが息を荒く

「殺せ、エニグマの血の一滴までも殲滅しろ!」


「はぁ? 殲滅程度でよろしいのですか?」

 仕官は煽る。


 ライドルの瞳から涙が溢れ、鬼神の如き怒り顔で

「エニグマをルクセリアから絶滅させろ。奴らがしたことの血の対価を支払わせろ!」


 仕官は深々と頭を下げ

「偉大なるご勅命、感謝致します」


 そこへイルドラが来る。イルドラの手には同じ報告書の端末があった。

「ライドル。暫し、待ってくれないか?」


「ああ?」とライドルが怒る顔を向ける。

 今すぐにでも、ルクセリアでの事を起こしたいのだ。


 イルドラが渋い顔をして

「ライドル、お前の怒りは十分、分かる。だが、暫し見極めたい事がある。その後で…」


 ライドルは額を抱え

「どの程度…」


「二日程度で十分じゃ」

 イルドラの言葉に、ライドルは怒りを収めようとしていると、仕官が

「皇帝陛下…別回線でディオス様が…」

 ライドルがそれを取る。

 通信にはディオスがいた。

『ライドル皇帝陛下。別回線での通信、失礼をします。エニグマがルクセリアの主要回線を押さえている可能性があるので、このようなサルダレスの回線を使っています。報告は?』


「見た。今すぐにでもエニグマをルクセリアから根絶したい」


『ライドル皇帝陛下、対エニグマ機関、ザラシュストラの総統括長官としてのご提案です。ルクセリアに置けるエニグマ根絶の協力をお願いしたい』


「うれしい協力だ。ロマリアの全てを持って協力しよう」


『ありがとうございます。つきましては、ルクセリアはリーレシアの隣国なので、スポイトがあり、戦艦飛空艇の使用が限定されます。しかし、グランスヴァイン級魔法運用者を使えば…戦艦飛空艇の大艦隊を問題なくルクセリアの中央に派遣出来ます』

 その方法をディオスがライドルに説明すると、ライドルは笑み

「ああ…素晴らしい方法だ」


『もう、こちらでの準備は終えております。後はこの回線を通じてその情報を、そちらへ…』


 つまり、こういう事だ。

 もう、直ぐにでも出撃してくれと…いう事だ。


 ライドルが

「すまん。ちと…その、派遣には暫し時間が欲しい…」


『え? どうして…?』

 ディオスの戸惑う声がする。


 ライドルがイルドラの元へ行き、ディオスとの通信を渡す。

「ディオス、ワシじゃ、イルドラじゃ」


『ああ…イルドラ様…。え? 何が…?』


「ディオス、お主の報告にあった人物でアーヴィングという者の事についてじゃ」

 

 それを聞いてディオスは

『えええ?』

と困惑した。





 翌日、ルクセリア王宮で廊下を黒騎士ゴーレムと歩き、同じ姿で隠すマッドハッターが妙な感覚を受ける。

 どことなく向けられる視線に殺気を感じた。

「んん?」

と、マッドハッターはカイドの元へ行き

「何か、自分達に対して殺気を感じるが…」


 カイドは複雑な顔をして

「急遽、夜にライドル皇帝より合同軍事演習をしたいと、申し出があった。まあ、よそ者のお前達が、何か迷惑をしないか…気にしているのだろう」


 マッドハッターはジーとカイドを見る。

「なんだ?」とカイドは訝しむ。


「ウソでは…」


「ウソを言ってどうする?」


 マッドハッターはカイドを見て考える。

 まあ、ウソを言っているようには思えない。こちらには妹という人質もいる。

「まあ、逆らったら妹の命は…」


「分かっている!」

と、カイドは声を上げた。

 

 マッドハッターは廊下に出て、黒騎士の格好で歩く。

 本当にそれだけか?

 疑い、ディオス達を関しているアーヴィングに通信を入れる。


 その背にいるルクセリアの騎士は怒りに震えている。

 そう、一夜にしてエニグマの暴挙が、口づてに広まったのだ。それはカイド王子が知らぬ間に…。

 その場にいる騎士達は、今すぐにでも、マッドハッター達を切り捨てたい衝動を抑えていた。


 そんな事を知らず、マッドハッターはアーヴィングに通信をする。

「どうだ?」


 ディオス達がいる剣の館を見下ろせる建物上にいるアーヴィングが

「変化なし、剣の館に篭もっている。もしかして、オレ達の警戒に…」


 マッドハッターは渋い顔して

「些細な変化でもいい。何かあったら…」


 アーヴィングは肯き

「ああ…分かった」




 昼、カイドは妹ユリアの部屋に来る。ユリアが人質となってからは、一緒に昼食を取るようにしている。

 妹の何時いかなる変化も見逃さない事と、人質となっている妹を気遣っての事だ。

「おいしいかユリア」

「うん」

 二人してユリアの部屋のテーブルで食事する。


 ユリアが

「ねぇ…お兄様…」

 ユリアが兄カイドに耳打ちする。

 カイドが驚きの顔をする。

 その言葉とは…。


 正義の味方さんて人が、ライドル小父様と直通で繋がる通信機を持って来てくれて、ライドル小父様が、謝っていたわ。

 お前達の異変に気付けなくて、すまなかった。

 だが、もう心配するな、必ず助けだしてやる。絶対だ!

 

 カイドが驚きの顔で、その手をユリアが握り

「お兄様…後…もう少しだから…」

「ああ…」

 カイドは溢れそうになる涙を堪えて頷いた。

 ありがとう、ライドル小父様…。


 夕暮れ、ディオス達のいる剣の館に一台のVIPを乗せる専用の戦車のような魔導車が到着する。

 アーヴィングは、それから降りる人物を注視すると

「イルドラぁぁぁぁ!」

 そう、憎き仇が姿を見せた。

 だが、復讐の時は、今ではない。それは…ロマリアが崩壊した時だ。


 そして、イルドラの後ろにはベールを掛けたドレスを纏った女性の姿があった。

 顔はベールで包まれて分からない。

「誰だ?」

 アーヴィングは顎に手を置き考える。

 調べるべきか…否か…。

 少しでも情報が欲しい。行くべきだな…。

 アーヴィングは、自身の影を伸ばし、影伝いに転移の道を作って剣の館へ侵入した。


 それを、更に後方にある建物の頂上より確認するユリシーグが笑み

「ディオス、アーヴィングが動いたぞ」

と、ディオスに連絡を入れた。


 それを剣の館で受け取るディオス。もう変装なんてしていない。

 ディオスは目の前にいるイルドラと、ベールの女性に

「アーヴィングが動いたそうです」


 イルドラが渋い顔をして

「そうか…」


 ディオスは

「手間が省けました」

 そう、自ら罠に飛び込んでくれた。

 きっと、この女性に呼ばれたのだろう…

と、ベールの女性を見るディオスだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ