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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスの仲間達
145/1107

第144話 ルクセリア王国

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


ロマリア帝国の隣国にして、ロマリアで兄弟と言わせる程の親好国ルクセリア王国に不穏な空気が


 ルクセリア王国、ここはリーレシア王国の東の隣国で、ラハマッド共和国の北に隣接し、ロマリア帝国の南にあるだいたい…九州地方くらいの大きさの王国である。

 主な宗教は、シューティア教で、ラハマッドのとの堺は山脈、リーレシアとの堺は魔物が多い平野がある。

 そして、ロマリア帝国とは、大きな街道で結ばれロマリアとの交易が盛んだ。

 特に、ロマリアとは長年の友好国で、ロマリアが世界から孤立する七十年前の出来事があっても、ロマリアとの関係を切らず。親好厚くつき合ってくれた。

 ロマリアでは、兄弟と呼び合う王国である。

 このルクセリア王国とロマリア帝国のつき合いは、二千年に及ぶ。

 

 その切っ掛けとは…。

 

 二千年前に、ロマリアがルクセリアへ侵攻したのが原因であった。

 

 二千年前、世界、ユグラシア中央では、王政が終息し、共和国が多く樹立した。

 それを警戒して、一時、ユグラシア中央と関係が悪化。

 それにルクセリアが巻き込まれ、ロマリアがルクセリアを侵攻する。

 その当時、ロマリア帝国の女帝アルヴァスリアと、ルクセリア王国の王ドラックールの二人には性別を超えた友情があった。

 アルヴァリアスの裏切りは、ドラックールに衝撃を与え、ドラックールは、王家の血に伝わる王の秘儀、ライジンを使いとある事をする。

 王の秘儀ライジンは大地の力を使う魔神で、その力はグランスヴァイン級魔法と同等だ。

 だが、ロマリアの王家の秘儀リヴァイアサンも同じ程度の力がある。

 もし、戦争になり、秘儀同士がぶつかれば相殺され、兵としの数が圧倒するロマリアが勝利であろう。

 だが、ドラックールは自身とライジンに、ルクセリアにいる兵士二万を生け贄に、禁忌の大怨霊魔法を使った。

 大怨霊魔法により、死なずの怨霊兵団と化したルクセリアの軍隊は、ロマリアの首都へ向けて進軍した。

 

 それはまるで血の河のような進軍で、行く先の道を全て赤黒い魔力に染め上げ呪った。

 どんな攻撃も呑み込み、全く効かない大怨霊の軍団に、アルヴァリアスは、万年皇帝、当時のアインデウスに助けを求め、アインデウスは、この地域の平和をアルヴァリアスに約束させ、その万年皇帝の力で、大怨霊達をルクセリアの怨霊が始まった場所に封印した。

 

 彼ら大怨霊達が通った場所は、赤黒く汚染され二百年間、全く草木一本も生えない場所と化した。


 何とか全てが終わった後、アルヴァリアスは人が変わったかのように、ルクセリアと共存の道を進む。

 自分の子の一人と、ルクセリア王家の子を結ばせ、多くの資金をルクセリアに投入して、ルクセリアを復興させた。

 そして、大怨霊の軍団が封印してある場所に、巨大な慰霊場を作り、毎年、大慰霊祭を行った。

 ロマリアとルクセリアは、互いに交流し合い。

 ロマリアとルクセリアは、互いに切っては切れない関係になった。

 その歴史が二千年も繰り返され、何時しか、ロマリア皇家からルクセリア王家へ、ルクセリア王家からロマリア皇家へ、子孫が行き交い親族となる深い流れが今も続いている。


 


 現在、ルクセリア王国に直通の大型魔導列車に乗ってイルドラが向かっていた。それにライドルも乗っている。

 政府専用列車の皇族用特別室内で、ライドルがイルドラとテーブルを挟んで会話する。

「カイドのヤツ、大丈夫かなぁ…」

 イルドラが渋い顔で


「二年前に、前王夫妻の両親が事故で亡くなり、若くして王になった。まあ、良き部下達に囲まれて上手くはやっているだろうが…。まだ、十七だ。色々と辛かろう…」

 ライドルも渋い顔で


「まあ、便りが無いことは良いことだという諺がありますが。些か、カイドは自分を追い詰める気質がある。ダメだと思ったら、ワシの所へロマリアへ逃げて来てくれても」

「今回は、カイドとユリアの顔を見る親戚での事。外交ではないから、気軽に話してくれるといいがなぁ…」

と、イルドラが懐から一枚の便りを取り出す。


 その送り主は、ルクセリアで王の補佐をしている宰相のロータスからだ。

 ロータスの娘は、ルクセリア現王のカイドの母親である。


 イルドラの娘の一人はルクセリア王家に嫁ぎ、イルドラの息子、ライドルの父ライハド、そのライハドの三人いる妻の一人もルクセリア王家の出で、ライドルの五人いる妻の一人もルクセリア王家の出で、前王のカイドの父親の姉に当たる。

 要するに、超絶な程の濃い親族関係で、イルドラにとってカイドはひ孫で、ライドルには甥っ子なのだ。


 ロータスの手紙には、カイドに何処か追い詰めるような秘密を隠しているように見えます。

 更に、王宮には一年前より、出所が分からない騎士団が入るようになりました。

 一応、カイド王子の預かりという事で許していますが…どうにも…。

 自分では、聞き出せないのが現状です。

 どうか、一度、訪れて様子を見て欲しいのです。

 それは、まさに孫を思う祖父の気持ちがこもっていた。


 皇族専用列車がルクセリアの王都ブエナに到着して、迎えに来た者達が

「ようこそ、イルドラ様、ライドル皇帝陛下」

とても嬉しそうだった。


 イルドラが

「今日は、外交ではない。ひ孫の顔を見に来た曾祖父と、叔父じゃ」


 優しく迎えに来た者達が微笑み

「本当にいつも、気に掛けて頂きありがとうございます」


 イルドラは、迎えに来た者と握手して

「いいんじゃよ。七十年前にロマリアが孤立しようとしたときに、どんな事をしてもロマリアとの繋がりを持ってくれたこの国には、感謝しかない。ロマリアとルクセリアは永劫の兄弟じゃ。よろしく頼むぞ」


「はい…」


 イルドラとライドルはルクセリア王宮へ行くと、確かに全身を漆黒の鎧で包んでいる見慣れない者達がいた。

 その数は尋常ではない。

 元から、王宮を世話する者達がいるが、その数以上にあちらこちらにいる。


 イルドラとライドルは渋い顔をする。


 王座の間に来たイルドラとライドル。

「おや…居ないのか…」

とイルドラが呟くと、後ろにある扉が開きそこから、黒髪で黒い瞳のルクセリアブラックという艶やかな光沢のある髪を持つ人族の十七の少年が顔を出す。


 その身を魔導鎧に包んでいる少年、現ルクセリア王にて

 カイド・スートーンウェイ・ルクセリア

 真っ直ぐな少年王カイドは、イルドラとライドルの前に跪こうとするが…それをライドルが止めた。

 若い王として、先を行く王への敬意を示そうとしたが…

「おっと、今日は、そういう事じゃない。親戚の叔父さんとひいおじいさんとして来ただけだ」

と、ライドルは微笑む。


 カイドはフッと笑み

「ようこそ、ひいお爺様。伯父様」


 ライドルはカイドを寄せてその肩を抱き

「どうだ? 息災か? 何か困った事はないか?」


 カイドはフッと笑み

「何とかやっております」


 イルドラが微笑みながら来て

「もし、何か困った事があったら、何時でもワシ等に相談しろ。大事なひ孫を助けたい爺がおるからのぉ」


 ライドルが

「お爺様、ここにも甥っ子を助けたい伯父がおりますぞ」


 ははははははは!とイルドラとライドルは笑い合い、カイドはフッと柔らかい笑みを零す。


 イルドラが

「妹のユリアは?」


 カイドが複雑な顔をして

「その…少し体調が良くないので…」


 ライドルが心配な顔を見せ

「どうした? 何があったのだ?」


 ガイドが戸惑い気味に

「いいえ、本当にちょっと風邪を…」


 イルドラが

「見舞いをしてもいいか?」


 カイドが僅かに戸惑いを見せた次に

「はい、大丈夫です」


 その戸惑いにイルドラとライドルは、違和感を憶えた。


 カイドが妹のユリアのいる部屋へ通す。

 大きなベッドに清流の如き黒髪を持つ麗しい十五の妹のユリアが横になっていた。

「ああ…イルドラお爺様、ライドル小父様」

 ユリアは上半身を起こす。


 イルドラが心配そうにユリアを見つめ

「大丈夫か? 体調が悪いと聞いたぞ」


 ユリアは微笑み

「ええ…大分、良くなりました」


 ライドルが不意に、部屋にいる漆黒の鎧騎士を凝視する。

 何故、騎士兵が? 普通なら、同姓の女中がついているのが…。

 妙な胸騒ぎがライドルに襲来する。


 イルドラがユリアの寝間着の隙間から、金属の球体が見えた。

「ユリア…その胸に付いているのは…」


 ユリアが隠すように胸部の寝間着を直し

「その…検査…そう、体調を調べる検査機の端子です。一応でつけさせられています」


「左様か…」

と、イルドラは答えるも、そんな検査端子、見た事がないぞ。


 そばにいるカイドが

「ひいお爺様、小父様。ユリアはまだ、体調が戻ったばかりなので」


 イルドラが

「ああ…そうじゃな。長居して戻してはいかん。ユリア、何か欲しいモノがあったら遠慮無く言いなさい」


 ユリアが微笑み

「ありがとう、ひいお爺様」


 ユリアの部屋を後にした後、ライドルが

「カイド。大慰霊祭の事だが…」


 カイドがあ…と告げ

「その…今年は、魔物が多くて…」


 ライドルが腕を組み

「そうか、なら…我が軍隊を貸そう。それでなら…」


 カイドは戸惑いつつ

「だ、大丈夫です。彼らが…魔物専門の…魔導騎士隊なので、それで間に合いそうです」

 彼ら、王宮に出入りしている漆黒の騎士達の事を指さした。


 イルドラとライドルは顔を見合わせ

「そうか…」とライドルは告げた。


 帰りの魔導車には、初老の魔族ロータスが同行した。

 向かい合うVIPの魔導車の中でロータスが

「どうでした?」


 前にいるイルドラとライドルが渋い顔をして、イルドラが

「どうも…何かを隠しているような気がする」


 ライドルも肯き

「ワシもお爺様と同じ意見だ」


 ロータスが困った顔をして

「そうですか…。でも、強引に聞き出すのは…」


 んん…と三人が考えていると、ライドルが

「お、そうだ。こういうずる賢い事に頭が回るヤツの知恵を借りよう」


 ロータスはキョトンして、イルドラがニヤリと笑み

「ああ…アイツの知恵をか…」


 ライドルも怪しく笑み

「ええ…アーリシアの大英雄のね」




 そして、ディオスはヴォルドル家の城邸で実験をしていた。

 ヴォルドルの城邸の上空では、神格巨神達が、模擬戦をしていた。

 その数、十名。

 その十名はレディアン達、ヴォルドル家が選んだ優秀な訓練生五名とオルディナイト財団守護部門より五名の十名に、ディオスがとある魔法技を提供して研究していた。

 その魔法技とは、神式の量産である。

 神式を使うにはスキルを持っていないといけない。

 スキルから、それに通じる神格へアクセスして、神格巨神を纏うのだが…。

 アニマの器システムと、ユリシーグの神操りの舞のスキルを使う事によって、スキルを持っていない者でも、スキル持ちよりは出力は低いが、神式を使えるようにする技術を開発した。

 十名が、右腕に神格を閉じ込めた装置の手甲を填め、体内生成魔法にて、魔力を増幅する魔導回路を形成され、その魔力で右手甲の装置より神式の力を発動させる。

 

 量産型神式で訓練する者達のデータを、エルダー級魔導士とドクトル、アリストスの魔導研究者達と共に取るディオス。

「順調だな」

と、ディオスは呟く。


 隣にいるレディアンが

「お前は…全く、なんというモノを作るんだ」


 同じく隣にいるユリシーグも

「ああ…その通りだ」

 同意した。


 実は手甲に収納されている神格は、アーリシア各地に封印されていた邪神達なのだ。

 そう、実は、ディオスはユリシーグのサルダレス達と共に、各地に封印される邪神を掘り出し、ユリシーグの神操り舞のスキルで動きを止め、更に、ユリシーグのスキルを元に作ったアニマの器、成らぬ、ゲーティアの鍵という装置に邪神を封印、それを神式として使う技術の開発に成功した。

 お陰で、アーリシアに封印されて困らせていた邪神達を全て資源化させ、二十体近くの装備となった邪神、ゲーティアの鍵二十本の内、半分は協力してくれたサルダレスに提供、残った半分の十本は、こうしてヴォルドルのここにて、実験材料となっている。


 因みに、この技術は提供予定先は、アリストス共和帝国、レスラム教のシャリカランである。

 きっとこの技術で、邪神をゲーティアの鍵として活用してくれるだろう。

 

 ディオスの傍にいるナトゥムラ親子達、ナトゥムラとヴァンスボルトが

「なぁ…親父、神格って、しかも邪神って厄介だったよなぁ…」


 ヴァンスボルトが

「言うな息子よ」


 その隣にいるクレティアとクリシュナ、クレティアが

「この程度で驚いているならダーリンとは、付き合えないわよ。お二人さん」

 クリシュナが

「ええ…まあ、夫なら出来て当たり前だから」


 ナトゥムラとヴァンスボルトが、二人を見て

「マジで?」とナトゥムラが


「マジで…」とクレティアが頷く。


 ヴァンスボルトが

「もしかして、他にも相当な事があるのですか?」


 クリシュナが渋い顔をして

「だって、ゼリティアから夫が提案する技術の話を聞くと、頭が真っ白になるような事を聞かされるのよ」

 つまり、これ程の超魔導技術は、序の口らしい。


 ナトゥムラとヴァンスボルトは、訳が分からず呆然とした。



 データを仲間と共にディオスの右には信長がいる。

 ディオスが信長に

「信長くん、みんな、暖まったみたいだから、いって!」


「うーーーす」

と、信長はシンギラリティを発動、空へ昇り、七体の神格巨神達を発動。


 その強力に具現化した七体の武神巨神と、量産神式巨神達が模擬戦を繰り広げる。


 模擬戦のデータを見ているディオスにユリシーグが

「もし、装置が壊れて邪神達が解放されたらどうする?」


「はぁ?」

と、ディオスは何を言ってんだという顔で

「そんなの、また…ゲーティアの鍵に封印すれば良いだろう」


「ああ…うん…」

 ユリシーグは微妙な顔をする。

 あの…邪神なんだけどなぁ…。

 邪神のランクが下がった状態に戸惑うユリシーグであった。


 その夜、ゲーティアの鍵の技術開発成功を祝っての、ヴォルドルの城邸にて大きなパーティーとなっていた。

 そこにはゼリティアと、オルディナイト守護部門総括のフランギルもいた。


 ディオスがフランギルに

「いや…助かった。優秀な人物達を提供してくれたお陰で成功だった。ありがとう。フランギルさん」


 フランギルは笑み

「いや良いですよ。こんな凄い魔導技術を提供してくれたのですから…」


 ディオスがフランギルとグラスを交わして

「これで、ゲーティアの鍵が量産体制に入ったら。もっと、広まって有益に使われるだろう」


「ははははは」

 フランギルは笑うしかない。

 とんでもない、邪神さえ道具にする技術が量産可能な状態にビビるしかない。


 そこへドクトルが来て

「いやーーー ディオス様。今回の実験の成功、お疲れ様でした」


「お疲れ様です」

と、ディオスはドクトルとグラスを交わす。


 ドクトルが「ちょっとディオス様」と呼んで

「ライドル皇帝陛下が…内密な相談があると…」


「ああ…はい。連絡を…」


「その…直接、会って相談したいと…」

 ドクトルの口調に事の重要さを感じて


「分かりました。建前は今回の技術の説明としてロマリアに入って」


「申し訳ありません」


「良いですよ」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございます。

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