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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスの仲間達
144/1107

第143話 疑似シンギラリティ

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


ディオスは、信長にとある技法を施す。それは世界を震撼させる事だった。


 信長はとある装置のイスに座っていた。

 装置がある場所はディオスの屋敷だ。

 屋敷の玄関広間で、信長が座るイスの周囲には、六つの柱が並んで囲んでいる。

 その外周囲には、沢山の機器が接続され、それのコントロールとバイタルを調べる機器のモニターを見ている、アインシュとドリトルがいる。

 そして、その全体の前にディオスが立っている。


 アインシュとドリトルは機器を操作して

「準備が出来ましたぞ」

と、ドリトルが告げる。


 ディオスは肯き、装置の中心に座る信長に

「本当に良いのか?」


 信長は力強く肯き

「やってくれーーーー」

 その瞳の輝きに迷いが一切無い。


「分かった」

 ディオスは、両手から魔導石を生成する時と同じく魔力を放出する。

 その魔力が信長の周囲にある六つの柱に呑み込まれる。

 そして、その六つの柱に取り込まれた力が一気に様々な検査装置であるイスに座る信長に注ぎ込まれる。

「ぐあぅぅぅぅぅぅぅぅぅう」

 信長の顔が苦痛に染まる。


 ディオスが

「ムリだったら、そこから離れろ!」


「まだ、だぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 信長はイスにしがみつき、その激痛に耐える。


 ディオスがやろうとしている事。

 三日目、屋敷の庭先で

「信長くん、実は…妻達も無限に魔力が沸き上がるシンギラリティを持っている」

 信長を前に、ディオスと妻達クリシュナ、クレティア、ゼリティアがいる。


 信長を目を瞬きさせ

「どういう事ですか」


「論より証拠だ」

と、ディオスは妻達を見ると、クレティアが出て

「じゃあ、行くよ…」

 一団から離れて、広い牧草平原に立つ。


 クレティアは両手を交差させ、深呼吸した次、ガキンっと何かのスイッチを押した。

 クレティアの周囲の空気が渦巻き、クレティアを中心として軽い渦となり、それに混ざってクレティアから膨大な魔力が放出される。


 周囲を暴風の如く荒らす魔力の奔流に戸惑う信長、その合間にクレティアは自身から放出される魔力をコントロールして、宙に浮かびながら光を放つ。

 クレティアは魔法で浮いていない。膨大な魔力の放出で浮かんでいるのだ。


「な、なんで…」

 信長が呆然としていると、ディオスが

「信長くんは承知の通りだが、オレの息子や娘達は、オレのシンギラリティとしての体質を受け継いでいる。そして、オレは妻達から妻の持っているスキルを伝染されている。こういう事だ。オレの体質はスキルに近いモノだ。まあ、なんだ…愛し合っている者同士なら、お互いのスキルが伝染し合う。つまり、オレに妻達のスキルが伝染したように、妻達にオレのシンギラリティが伝染した」


「はぁ…」

 信長はその辺りが分かった。


「でだ」とディオスは続ける。

「とある事例が…息子ティリオの魔力を受けて、ティリオの暴走を押さえてくれる許嫁のジュリアちゃんとの間で起こった」


 信長は訝しい顔で

「とある事例って?」


 ディオスは真剣な顔で

「なんと、ジュリアちゃんにシンギラリティのような反応が出た」


「は? へ? はぁ?」

 信長は手を口に当て考えた後、真っ青になって

「まさか…ティリオくんと、ジュリアちゃんが…」


 ディオスは手を前に出して

「まあまあ、冷静になれ。二歳の子供同士でそんな事は、ムリだ」

 

「ああ…う、うん。そうですね…」

と、信長は頷いた。


 ディオスは淡々と

「でだ。その事例から推測出来るに、とある事が成り立つ、ティリオとジュリアちゃんは、同じ魔力波動を持っている。つまり、相性がいいという事だ。加えて、ティリオからジュリアちゃんへ、ティリオのシンギラリティとしての魔力が供給されている。そしてだ。オレは、魔導石が作れて、他人の体内に魔導回路を生成出来る程の、高密度の魔力を持っている。つまりだ。ティリオの魔力がジュリアちゃんの中でシンギラリティの回路を形成したんだ」


 クレティアがシンギラリティの力を解除して、信長に近付き

「アタシ達が、この力を使う時は、ダーリンの魔力をトリガーにしているのよ。当然って言えば当然よ。ダーリンの魔力でその回路が作られたんだから」


 信長には話が見えない。

「え…どういう事ですか?」


 ディオスは冷静に

「つまりだ。オレの魔力を高密度高圧縮して、信長くんの中へ送り込み。君の体に妻達と同じようなシンギラリティの回路が形成出来るかもしれないという事だ」


 信長はそれを聞いて直ぐに分かった。

 自分が無限の魔力体質、シンギラリティに成れるという事だ。

 グッと拳を握り

「やりましょう! ディオスさん!」


 ディオスは鋭い顔で

「危険性はある。高濃度の魔力により魔導汚染の心配が」


「やってください!」

 信長は遮ってお願いした。


 ディオスは頭を抱えた。

 そうだった。この子は覚悟完了しているんだった。



 そして、今、六つの柱、魔力を圧縮して更に高密度にして、信長に注ぎ込む装置が、信長に襲い掛かる。

「ごあああああああああああ」

 信長は耐える。


 だが、ドリトルが

「ストップ、ストップ!」

 装置を止めた。

 急いでアインシュとドリトルが両手に魔導汚染を調べる装置を持って来て、信長の状態を調べる。

 この研究はその秘匿性故に、アインシュとドリトルしか手が貸せなかった。


 信長は

「まだ…続けてくれ…」


 アインシュとドリトルは渋い顔をして、そこへディオスが来る。

 二人は首を横に振る。

 今日はムリだ…と


 ディオスは項垂れ

「また、明日にしよう」


 信長は顔を上げ、必死に

「まだ、大丈夫です!」


 アインシュが

「何処が大丈夫なんだ。許容値ギリギリだぞ」


 信長は別室に運ばれ、そこにはユリシーグがいた。

 信長はイスに座らされ、ユリシーグが信長の手を取って、自身の魔力を信長に注ぐ。

 ディオスから受けた高濃度の魔力を、同じシンギラリティで魔力の密度が普通程度のユリシーグの魔力を送って、残留魔力を取り除く事をしていた。


 ユリシーグが

「なあ、どうしてここまで必死になる? もう、魔物で最強のドラゴンよりは強さが飛び越えているのだろう」


「その程度じゃあ足りない」


「復讐か?」


「違う! オレは、オレと同じような人達を出さない守護神になりたいんだ。オレの…そう」

 彼女のように奪われる人を出さない為に

 信長の決意の固さにユリシーグは説得する言葉がない。

「ムリはするなよ」

 それしか言えない。


 次の日、同じく信長にディオスの高密度のシンギラリティ化する魔力を注ぎ込む。

「ごおおおお! あああああああ!」

 信長は耐える。イスにしがみつき、送られる魔力を必死に呑み込む。


 魔力を送るディオスが苦しそうな顔をして

 アインシュが

「今日は、終わりましょう!」


「止めるなーーーーーー」

 信長が叫ぶ。

 信長は殺気に似た視線をディオスに向ける。

 止めるな、止めるな、オレは絶対になれる!


 ディオスの傍にユリシーグと、妻達、クレティア、クリシュナがいた。


 ユリシーグが

「ディオス!」

 止めろと視線を送る。


 ディオスは止めようとしたが…

「ディオスさんーーー オレを信じろーーーー」

 信長は吼え、ディオスは続行を決意する。

 そして、信長の意識が途絶した。


 それをバイタルで知ったドリトルが

「いかん!」


 信長の意識は、別の空間にいた。

 その空間に浮かぶ信長が、巨大な存在を前にしている。

「なんだ、アレ?」

 信長は戦慄すると、その巨大な存在が語りかける。

”汝ノ意思…接触、観測、合一、適合、値スル”

「はぁ?」

と、信長の意識が現実に戻った。


「いかん!」

 ドリトルが装置を緊急停止させようとした瞬間、信長をシンギラリティにする装置が爆発した。


”オル・シールド・ポイント”

 ディオスは防護魔法を、周囲にいる者達に掛けて、防護シールドで爆発から守る。

 信長のいた場所が煙に包まれていると、煙を一蹴する膨大な魔力が放出される。

 その元は信長である。

 信長は膨大な魔力を放出させ、そして、それをコントロールして魔力だけで浮かび輝く。

 周囲が唖然とする。成功したのだ。

 信長は、擬似的にシンギラリティとなった第一号だ。



 その力を信長は体感する。

 ディオスの魔力をトリガーに疑似シンギラリティを起動、無限の魔力から自身の持っている神格召喚スキルに接続。

 信長から具現化した神格が七つ同時に出現。

 膨大な魔力をもって具現化した確かな形がある神格達は、その強大な力を示す。

 大地を震わし、天候を変える力を持ち、そして強力なグランスヴァイン級魔法と同等の力を放つ。

 バルストランの、大規模軍事演習に使われる場所で、信長の七体神格の力を見るディオス達。

 ディオスに、ソフィア、ナトゥムラ、スーギィ、マフィーリア、カメリア、ゼリティア、レディアン、ヴァンスボルト、その他多数。

 桁違いのバケモノになった信長を見て、ディオス以外全員が固まっている。


 ディオスだけが冷静に

「まあ、良い感じかなぁ。やっぱり、信長くんにはそれなりの才能があったんだなぁ。よく、人を育てるのが下手なオレに付いて来てくれた」


 ソフィアはそれを聞いて

「はぁ? お前、何言ってんの?」


 ナトゥムラは苦笑で

「人を育てるのが下手って、ウソだろうが…人外にしてどうするんだよ…」


 他の全員がその言葉に頷いた。




 その後、研究結果をフランドイルの王宮で、お相伴し合う、ライドルとヴィルヘルムにディオスは説明すると、テーブルを挟んで座るライドルとヴィルヘルムは、ウィスキーの瓶を挟んで額を抱えた。


 ライドルが

「え…つまり、偶発的にしか発生しないシンギラリティを、人工的に作り出せると?」


 ディオスが肯き

「はい、まだ…色々と問題はありますが…」


 ヴィルヘルムが

「ライドル殿…一度、アリストスのアインデウス皇帝にお目通りした方がいいだろう」


「ああ…だな、ヴィルヘルム殿」

と、ライドルは頷いた。


 三日後、ディオスはライドル、ヴィルへムルと共にアインデウスのいる世界樹城へ来た。

 客間の、セキュリティーがしっかりしている部屋で、アインデウスはディオスから疑似シンギラリティの技術の書類を見て、額を抱えた。


 そばにいるライドルが

「如何しよう…アインデウス皇帝…」


 アインデウスが額を抱えたまま

「如何とは…こやつがやった事がデカすぎて、頭が回らない」


 三人の前にいるディオスが

「ええ…そんなに大きい事ですか?」


『当たり前だーーーーー』

と、アインデウス、ライドル、ヴィルヘルムはディオスに吼える。


 ヴィルヘルムが

「アインデウス皇帝。ここは下手に隠匿するより、こういう事が出来たという事だけを公開して、技術だけは秘匿の規制対象とした方が穏便に済むと思います」


 ライドルも

「我もそう思う。隠せば隠す程、それを知ろうと躍起になる連中がいる。むしろ、これは適用すると危険な命を奪う技術という事に…」


 ディオスが

「ええ…その通りです。偶々、その成功した少年が、自分の魔力の波動と適応する部分があったので…」


 アインデウスが暫し考えた後

「分かった。汝達の言う通りにしよう」


 その夜、アインデウス、ディオス、ライドル、ヴィルヘルムの四人でテーブルを囲んでのお酒を飲む。

 美味しいウィスキーを自分の好きな感じで割りながらアインデウスが

「しかし、お前には何時も驚かせられる」

 ディオスを指さす。


「はあ…」

と、ディオスはウィスキーを飲みながら恐縮する。


 ヴィルヘルムが

「実の所、グレンテル協定を結ばせて、ディオス…お前を上手く利用しようと…私は動いていたが…。今や、ディオスのやる事に振り回され、待ったを掛ける役ばかりしている」


 ライドルが

「ああ…全くだ」

『はははははははは』とライドルにヴィルヘルムは笑い会う。

 アインデウスも微笑み。


 ディオスはキョトンとしていた。


 その様子を白姫アルディニアは、見て微笑む。

 二人の超大国の皇帝、強国の王、大英雄の楽しげな晩餐は、朗らかに過ぎていく。

 こんなに世界が穏やかになるなんて…久しぶりだ…とアルディニアは思った。

 色々と話したり、冗談を言い合いながらディオス達の極上の酒盛りの夜は、更けていった。


 後日、ディオスがバルストランに帰国した後、アリストス、ロマリア、フランドイル、バルストランの同時発表により、疑似シンギラリティという技術が世界に示される。

 そして、この技術はまだ、人の命を奪う危険が高いという事、その強大な力の危険性の所に、詳しい技術は秘匿と規制扱いとなり、包括的大規模破壊魔法による使用限定条約の中でもゼウスリオン級の最上位として管理される事となった。


 信長は、ヴォルドルの修練場で、ヴァンスボルトの指導を受けていた。

 ヴァンスボルトは、神式を発動させ神格の巨神を纏い。

 信長も、同じく神式で神格巨神を纏い。

 激しい実戦訓練をしていた。

 ヴォルドルの大きな修練場上空での訓練を、修練に来ていた貴族の子弟や、士官候補生達は驚きで見上げ、そこへレディアンが

「皆の者よ。汝達も、心身を鍛えれば、あのような超術が授けられるやもしれんのだ! 鍛錬を怠るな!」


『はい!』

と、全員が気合いの入った声を放った。

 訓練生達が活気づいている。

 それをレディアンは見て、良い事だ…と喜ぶ。


 ディオスもそこにいた。

「オレ…やり過ぎたかなぁ…」

と、ポツリ告げると隣にいるクレティアが

「今更!」

と、ツッコんだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございました。

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