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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスの仲間達
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第139話 戦闘開始

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでください。

あらすじです。


ディスティニーアークに潜入してデータを盗むディオス達だが、その膨大なデータに手間取っていると…


 北極、エニグマの巨大基地、ディスティニーアークの中央居住区では、ゴルドが目を覚まして、朝食を取っていると…メールが来ていた。

 広めのダイニングで食事をしながら、メールを開く。


「やあ、ゴルド」

 マッドハッターだった。

「君も知ってるだろうが、明日、世界規模の同時合同軍事演習がある。こんな事になった事態に焦りもあるが…。当分の間、この世界の闇に隠れた方が無難だろう。そのプランを練っている。揺さぶりを掛ける的としては…ユグラシア東、アジア東部の四つに割れた北華中国、南華王国、中央華国、ルイグル共和国。ここが狙い目だ。君の方でも何かプランを考えて置いてくれ。じゃあ…」


 メールが終わり、ゴルドは世界の報道を見るために、立体画面を多数開く。

 全体を見ながら、主に報道されているのは、やはり今回の世界同時合同軍事演習だ。

「フン…」

と、ゴルドは鼻息を荒げた。


 そして、食べていると、なんと本国からの通信が入った。

「珍しいなぁ…」

 ゴルドが通信を開くと


「やあ…」

 そこには黒髪、碧の目、どこか道化のような笑みを持つ男が映っていた。


「メルディオルか…」


 メルディオルは微笑み

「久しぶりの通信だね。丁度よく次元断層の隙間が発生してね。まあ、それでも届くのは極点にいる君くらいしかいないけど」

「何の用事だ?」


「何の用事とは酷い。数十ヶ月ぶりの通信にそれはないだろう」


「現状は特に変わっていない。十二年前からここに赴任して以来、この世界の闇に紛れて活動しているが…目標のレベルまで達してもいない。なかなか、アインデウスの連中が鋭くてやりにくい」


「国への揺さぶりは?」


「大きな事で四年前のアフーリアのレオルトス王国の一件以来、大きく国を転覆する動きは出来ていない。まあ、レオルトスの事は、アインデウスが…アリストスの内政府軍を関与させて、持っていってしまったがなぁ」


 ゴルドの言葉に、メルディオスはフッと笑みが見えた。


 ゴルドはそれに気付き

「お前、アインデウスの話をすると嬉しそうだな…何かあるのか?」


 メルディオルは戸惑いつつ

「まあ、その…優秀な敵がいると飽きないなぁ…とね」


 ゴルドはフッと嘲笑い

「お前も大概だなぁ」


「君ほどじゃあない。手段こそ生き甲斐のね」


「フン」とゴルドは鼻で笑う。


 メルディオルは笑みながら

「そんな君だから、ズッと思っていたが…。どうして、君は今回の赴任で得た膨大な給与を娘や、その…産んでくれた彼女に送っているんだい? この赴任が何らかで終わり、こっちに戻った場合…自分の分として貯蓄していないと後々の生活に困るだろう?」


 ゴルドは、朝食の高タンパク質のシリアルを一口食べ、何かも思いつつ呑み込み。

「この赴任が終わるという事は、オレが死ぬという事だ」


 メルディオスは困った顔をして

「それは良くない。生命としては、生きているこそが最重要でもっとも優先される目的、その生存を可能とする為に社会があって、その社会に必要とされたいという承認は、生命の原理から考えるに、最も最低位の部分に当たる欲望。まあ、それが最上と考える人もいるけど…でも、生きてこその人生であり、生きていれば何とかなる。それを君は…死を望むなんておかしいと思うが…」


 ゴルドは苦笑いして

「相変わらず、よく喋る」


「ああ…すまん。説教くさいのは、どうも性分で…自罰しているつもりなんだが…」


 ゴルドはシリアルの皿の隣にある色鮮やかなサラダを見つめ

「オレは愚か者なのさ。戦争の為にしか生きられない戦いの奴隷、戦奴だ。そんなオレに、彼女は…娘をくれた。人並みの愛情をもたせてくれた。感謝している。だが…結局、オレは戦奴、オレの過去は彼女の望むキャリアを潰す。娘の為にも、こんな愚かな父親なんていない方がいい。だから、オレが娘と彼女にしてあげられるのは、精々、高い金を…生活に困らない額を用意するだけ。オレが死んだ後の保険の方は?」


 メルディオルは悲しそうな顔で

「ああ…とんでもない額を死亡保険に用意してある。娘と彼女に入った場合、死ぬまでお金に困らないだろう」


 ゴルドは笑み

「そうか…なら、死に甲斐がある」


 メルディオルは

「自分としては、是非とも君に生きて欲しい。泥水を啜って屈辱に塗れても、生きて欲しい。それを君も、マッドハッターであるマリファスにも思っているよ」


「くだらん情けだ。オレもマッドハッターも、そんな事を望んでいない。この一瞬、この時、この時間を何時、死んでも後悔がないようにと…思って過ごしているのだからなぁ」


 メルディオルは、真剣な眼差しで

「もう、次元断層が強まってきた。また、会える事を…待っているよ」


「次があるならなぁ」

と、ゴルドは嘲笑う。


 メルディオルとの通信が終わった後、ゴルドは再び世界の報道を見る。

 そう、この大規模な軍事演習を画策した男、ディオスが…確実に自分を殺すだろうと…そんな予感がしていた。


 これはディオス達が潜入する前の時間だった。



 ディスティニーアークの中をカーゴに載せられて進むディオス達。

 胸くそ悪い場景が終わり、ディオスが手摺りを握って項垂れていると、その肩にスーギィが

「ディオス…」

 ディオスは黙って肯き、一同に続いた。


 大きな魔導操車が二台も並んで進める通路を進む。


 全員にディオスの透明になる魔法がエンチャンされて、更にスーギィのスキルから呼び寄せた神格の力、認識阻害の力も加護され信じられない程、順調に全く警備システムに見つかる事なく、ディスティニーアークの中心に来た。

 巨大な鋼鉄の扉を開き、中央コントロールルームに入る。

 そこは円形の巨大ドームで、中央に大量のコンソール基板が並んでいる。

 もう、雰囲気的にも正に中核だ。


 ディオスは、コンソールにある液晶基板をタッチする。

 反応無し。

 どこか、接続する部分を探すと、電子基板のような端子部分が見えた。

 そこへ、未知の端子を浸食して使える端子に変える魔導粘土を張り付けて、使える端子にする。

 それにディオスの特注魔導端末を接続、システムに侵入する。


 それを、他のコンソールで、ユリシーグのサルダレスの者達五人が同じようにしてシステムに侵入する。


 パスワード解除、システム介入。

 この施設の巨大データバンクにアクセスする。


 ディオスは自身の魔導端末を操作しながら

「う…これは…」

 唸ってしまった。


「どうしたんだ?」

 ナトゥムラが来て、ディオスは渋い顔をして

「もの凄い膨大なデータだ。殆どが何を作っていたとかだ」


 ナトゥムラが腕を組んで

「そりゃあ、あんな外道なモンが一杯だったからなぁ」


 ディオスは、データを外の仲間達へ送っていた。


 同じく転送するサルダレスの者達に、ユリシーグが来て

「どうですか?」


 仲間は渋い顔をして

「一日で終わる量ではありませんね」


 ディオスは転送される項目を見ながら嫌な予感がして

「バレないでいてくれるといいがなぁ…」


 スーギィが

「そういうフラグは止めろ」




 アズナブルがいる場所では、アズナブルがゴルドに連絡を入れようと、端末を操作していたが、全く繋がらない。

 レイドもララーナも何とかしようするも、全くダメだ。


 アズナブルは、視線を鋭くさせる。

 もう、ディスティニーアークに潜入され、システムを掌握されたのだろう。

 アズナブルは親指の爪を噛んで…

「どう知らせれば…」

 そして、出た結論が

「レイド…人工衛星をディスティニーアークへ落とせ」


「え!」

 驚くレイド。


 アズナブルが苛立ちを浮かべて

「それしかない」




 ディスティニーアークを手中にしたディオス達、ヴィスヴォッチは中央コントロールルームの入口に立ち、警戒をしている。

 ユリシーグの仲間、サルダレス達は

「全体の七%しか…」

 ディスティニーアークのデータが巨大過ぎるのだ。


 ナトゥムラが

「エニグマが何処と繋がっているかの情報だけ抜いてくれ」


「分かりました」

 その部分だけを検索に掛けてデータを取ろうとする。


 ディオスは黙々とデータを転送しながら、とある事を探す。

 改造された人達を元に戻す方法だ。

 だが、出た答えは…細胞サイズまで改造、同化させられて元に戻すのが不可能という事だけだった。

 ドンとディオスは苛立ち、コンソールを叩いた。


 それにスーギィが来て

「ディオス、落ち着け」

と、肩に手を置いて慰める。


 ディオスは頭を振り、まだ…助け出せる者達を探す。

 そして、ヒットしたのが…崎島 信長、ガイバード化(強蝕生体骨格改造)して生体として生存している。現在は、ガイバードのコアシステムにて、洗脳され兵士となっている。

 彼だけでも…とディオスが思った次に、ドンと響きが天井から伝わる。


 ユリシーグが

「ディオス、大変だ。所属不明の天の目が数機、ここへ墜落しているらしい」


 ディオスはフッと溜息を吐き

「気付かれたか…」

 そう、エニグマの仲間の誰かが、この事を気付き、連絡を入れようとしたが、施設を掌握しているのはディオス達だ。

 通信は遮断してある。

 故に、知らせる為に、天の目を落とすという事態をしたのだ。



 ゴルドは、居住区でシャワーを浴びている。

 筋トレと、訓練を終えて汗を流していると、ドーンと天井から重い音が響いた。

「なんだ?」

 ゴルドはシステムにアクセスするが無反応だ。

「ああ?」

 ゴルドは、シャワーから出て着替えをしながら、何度もシステムにアクセスするも反応無し。

 そこでシステムとは独立している別の警報システムにアクセスして、外を見た瞬間、ゾッとする。

 膨大な数の軍団が、このディスティニーアークを囲んでいる。

 コイツ等が、攻撃して来たのか!

 ゴルドは、ディスティニーアークの攻撃システムにアクセスするが、全く反応がない。

 そして、理解した。

 誰かが侵入して、システムを止めている。

 急いで、白銀の鬼の全身鎧、ガイバードを纏い、居住区を壊して中央へ向かう。


 中央では、ディオスが

「引くぞ」


 それにユリシーグとサルダレス達は頷く。


「タイムアップか…」

と、ナトゥムラはぼやく。


 ディオス達が通路へ出た次に、頭上の大きく開いた空間から何かが飛んで来るのが見えた。

 ゴルドである。


 白銀の鬼鎧のガイバードのゴルドが、中央の傍に着地した瞬間、ディオスはワザと透明になる魔法を解除した。


 ゴルドは、ディオス達の姿にギョッと驚く。


 ディオスは、ゴルドへフッと嘲笑いを向け

”グランギル・カディンギル”

と、極太の光線魔法を開かれた天井、数百メータ上へ放ち邪魔なブロック区画を破壊して頭上に逃げる通路を作った。


 ディオス達は頭上へ飛翔して逃走する。


 その間際、ディオスが

”覚悟しろ!”

と、ゴルドに口にした。


 ディオス達は、開いた天井のトンネルを進むと、最終の装甲であろうそれが破壊されていない。

「おや、以外と強いな」

と、ディオスが呟くもナトゥムラが

「任せろ」

とスキル

”ソード オブ ザバザ”

の力を剣に付加させ、最終装甲を円に切り裂いた。


 円に切断された二メータの極厚の装甲がディオス達に落ちて、それを回避して開いた場所を見ると、氷の壁だった。


 そこへディオスは

”グランギル・カディンギル”

と、極太の光線を放って溶解、穴を開けて外へのトンネルと作る頃、自動で開いた箇所を塞ごうと、予備の装甲が閉じようとしている。

 その前にディオス達は、脱出した。


 ゴルドは、ディオス達が消えた中央コントロールルームに入り、周囲を点検する。

 端子部分には、改造ツールの魔導粘土が見え、ディオス達が何かをしたのが明白だ。

 急いでコンソールを触り、自身の認証をさせて起動さようとするも拒否される。

「く」とゴルドは唸る。

 システムを使えないようにしている。

 最後の手段は、システムをセーブモードにして起動させて、復旧するしかない。

 だが、その間、無防備になる。

 ゴルドは、このままでは無残にやられるだけだ、と判断して、部屋の隅にあるセーブモードの緊急スイッチのパネルを破壊して押した。


 ディオス達は急いで外に出ると、仲間が落とした天の目のお陰で雲が晴れて来る。


 その、空をディオス達は飛びながら、ディオスが

「こちらは、子猫、こちらは、子猫。虎穴に入るも虎児を得られなかったが…虎狩りを開始してくれ。繰り返す、虎狩りを開始せよ」

 連絡を周囲を囲む軍勢に送った。


 周囲を囲む三十艦近い戦艦飛空艇が、着地していた場所から浮かび上がり、魔導砲をディスティニーアークへ向ける。

 そして、それに付随していた雪原用大型トラック戦車達から、多数の重装備の魔導操車が出撃し、あっという間に百万の軍勢が現れた。


 発進した戦艦飛空艇達、膨大な魔導操車達がディスティニーアークへ狙いを定め、一斉に魔導砲撃を開始した。

 豪雨の如き魔導砲撃がディスティニーアークを襲撃する。


 その、魔導砲撃が通過する下を潜り、飛んでいるディオス達は、出発した雪原用大型トラック戦車に戻って来た瞬間、豪雨の如き魔導砲撃が目標に到達、氷のそこが、一瞬で真っ白の滝壺に変わった。


 大質量の魔導砲撃を受けるディスティニーアーク。

 立っていられない震動の中をゴルドは踏ん張り、着々と復旧の作業をこなす。

 そして、ディスティニーアークのシステムが正常に戻った瞬間、大瀑布のような雪原から地上へ姿を現す。

 全長五キロ、その下部はベーゴマのように平たい山だ。その幅、六百メートルだろう。

 ちょっとした大地のようなディスティニーアークは、雪原に圧倒的な存在を見せつける。


 ナトゥムラが「デケぇ…」と呟く。


 ディオスはフッと笑み余裕で

「次の対応だ。ロマリア、グランスヴァイン級魔法運用者。構え!」


 ディスティニーアークの周囲を囲む戦艦飛空艇達には、グランスヴァイン級魔法運用者が十名も乗っていた。

 その十名が、四方の戦艦飛空艇から姿を見せ、ディオスの通信で

『大規模、グランドクロス・ホロウ・アクター 発射!』

 十名は、体内生成魔法にて、巨大拘束結界魔法をディスティニーアークへ放ち、巨大な十個の十字架がディスティニーアークを包み込み閉じ込めた。


 上昇していたディスティニーアークの動きが止まり、グランドクロス・ホロウ・アクター達によって逃走不可能となると、ゴルドは兵装システムを使い、周囲の軍勢へ攻撃する。


 ディスティニーアークの側面から無数の砲口が出現し、列車砲ドーラの如き、光線が伸びるも、軍勢に当たる前に、軍勢の持っている強力な防壁によって弾かれた。

 そして、軍勢は防壁を展開したまま魔導砲撃を開始する。

 豪雨の如き膨大な魔導砲撃に、ディスティニーアークの砲撃が応戦するも相殺出来ず、達して揺さぶる。


 これでは埒があかないと、ゴルドは内部にある起動兵器達、あの人が基板化して埋め込まれていた巨人達を起動して、応戦に向かわせる。

 自身はガイバード・ギガンティス(巨人化骨格)に乗り込みつつ、ガイバードと一体化させた信長も同じガイバードのギガンティスに載せ、更に玲奈を組み込んだ特殊起動戦艦も連れて発進する。

 狙うは、この事態を作り出したディオスだ。

「全く、あの男は…やってくれる」

と、いう口調には何処か楽しげな感じがある。

 そう、今日、ここが自分の死に場所なのだと、自覚していた。


 白銀のゴルドの、ガイバードギガンティスを先頭に、右に信長のガイバードギガンティス、左に葉巻型の玲奈が組み込まれた機動戦艦アジダーハガが併走する。



 ディオスは、魔導砲撃を繰り出す戦艦飛空艇の旗艦の少し上に浮かび、ボコボコに魔導砲撃を喰らうディスティニーアークを見つめ

「以外と頑丈だな…」

と、呟いたが、何かが近付くのが見えた。

「なんだ?」

 遠見の魔法を使うと、それが接近するゴルド達と分かり

「ほぅ…わざわざ」

 一キロ先であるゴルドのガイバードギガンティスが超音速で加速、一瞬でディオスとの間合いを詰め、ディオスの身長と同じ巨大な拳をディオスに向ける。

 ディオスは余裕で笑むと、下にある旗艦から何かが飛び出し、その巨拳を掴んだ。


「何!」と操縦者のゴルドは驚き、掴んだそれは硬い部分しかない手の甲冑である。


 ディオスは嘲笑っていた。そして…

 マハーカーラ(大黒天)神式

 ディオスの全身から深紅の光が噴出、硬い部分だけの甲冑に深紅の光という肉付けをして、赤く輝く鎧の人型神格を構築した。

 ディオスは、ふふ…と楽しげに笑み

「そうでなくては、面白くない!」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございます。

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