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天元突破の超越達〜幽玄の王〜  作者: 赤地鎌
ディオスの仲間達
137/1108

第136話 崎島 信長

次話を読んでいただきありがとうございます。

ゆっくりと楽しんでいってください。

あらすじです。


曙光国のとある漁村にいる、黒髪の十六の少年、崎島 信長。

彼の身に起こった事…

 その日は何時もの穏やかな日である。

 崎島 信長。十六の少年がいるここは、漁村だ。

 この世界の船といえば、飛空艇しか思い浮かばない。

 空を飛んで当たり前がこの世界の常識だ。

 だが、唯一飛ばない船がある。

 それは、漁船だ。

 魚を捕る漁船や、養殖を行う漁船。

 

 魚を捕る漁船には、小型、中型、大型の三つがある。

 基本構造的には、飛空艇に近いが、水属性の魔導石のコーティングによって、海に浮かび、魔法の力を使った網、アトラックナチャで魚を捕まえる。

 

 養殖を行う漁船には、その構造的に区画が幾つも重なった貨物運搬の飛空艇に近い。

 海上に浮かび、海水を循環させて、魚や貝類、エビ、タコ、沢山の種類の養殖を行う。


 彼、崎島 信長のいる漁村は、養殖で成り立っている。

 養殖の漁船には、釣りを楽しむイカダという釣り堀がある。

 そこで、信長は釣りを楽しんでいると、その背を押す者がいた。

「まーた、ここで釣りなんてして…」

 信長の幼なじみの、美空 玲奈だ。


「いいだろう。別に…趣味なんだから」

と、信長は同じ黒髪の幼なじみに苛立ちを見せる。


 玲奈は信長の隣に座って

「いい加減に、真面目にスキルの練習すれば? 折角の特別な力なんでしょう」


 信長は、再び釣り竿を振って

「気が向けばな」


 玲奈は、信長の脇腹を小突き

「その気になれば、曙光国の特別スキル士官学校の推薦を貰えるんでしょう? 持って生まれた才能を生かさないなんて勿体ないよ。だって、レアスキルの神格召喚を持っているんでしょう」


 信長は嫌な顔をする。

 信長は、自分のこのスキル、神格召喚にトラウマがある。

 幼い頃に、この神格召喚を暴走させて、事件を起こしてしまった。

 まあ、こういうレアスキル持ちには良くある事らしいので、お咎めはなかったが…。


 玲奈は続ける。

「せっかく、この世にいない親から受け継いだ大事な力なんだから、世の中の為に役立てた方がいいと思うよ」


 信長は、渋い顔をして

「いいんだ! オレは、これで…」

 それに、ここを離れたくない理由がある。

 信長は、その理由たる玲奈を見つめる。


 お前がいるから、ここから離れたくないんだよ。


 その視線に玲奈は気付いて

「なに?」


「何でもない」

 信長は釣りを続行する。


 玲奈が呆れて帰って、夕方になるまで信長は、釣りを楽しむ。

 

 山の斜面沿いに作られたこの漁村。

 とても穏やかで暖かい村。


 崎島 信長の両親が事故で他界して、この村の人達に沢山、世話になった。

 高等学級を終えたら、将来は漁業専門の学科へ進み漁師になろうと…

 そう、思っていた。

 

 だが、それは無残にも引き裂かれてしまう。


 家への道を進む信長は、不意に妙な感じを受ける。

 

 あれ? 何時もなら夕食の支度をする匂いが漂い、おじいさんやおじさん達が、外で夕涼みをしている筈だ。

 全く、それが見えない。

「え…」と信長は違和感を感じていると…


 ドンと前の家の玄関が破られ、そして、その家のおじさんが全身を黒い布の装備で覆う不気味な人物に襲撃されていた。

「おじさん!」

と、信長は叫んでおじさんの元へ走るが


「来るなーーーー」

 おじさんは叫ぶと、黒い装備の人物に胸部を足で押さえられ、そして両手に持っているアサルトライフルから銃弾が飛び出す。

 

 パスパスパスーーーー


 発砲音がしてウルサい筈の銃口からは、サイレンサーを装備したように消音された音が鳴った。

 おじさんの体が何度か暴れ、絶命する。


「テメェェェェェ」

 信長は、トラウマであったスキルを使って応戦しようとしたが、信長の背後に現れた同じ黒い布装備の人物に、帯電する警棒を浴びせられ、気絶した。


 信長が意識を取り戻す。

 そこは…漁村の傍にある海岸の広場である。

 そこに漁村の人達が黒い布装備の人物達によって包囲確保されている。

 その外れに信長はいた。

 体を起こそうと腕に力を入れるも、何かに腕を拘束されて動かない。

 ちょっとした攻撃魔法で、拘束を破壊しようとしたが、首に嵌められた魔力を押さえる装置に魔法が使えない。

 漁村の人達が怯えて、事態を見ていると、その海岸に着地している飛空艇から男が降りる。

 ゴルドだ。

 ゴルドは、両脇に黒い布装備の者達、Tネーターのような人型ゴーレム兵士を連れて、信長の元へ来る。

 ゴルドは信長の顔を掴み持ち上げて凝視する。

 その視線は冷たい。


 信長は

「ああ…なんだテメェ…」


 ゴルドは信長を捨て

「後、何体のサンプルがある?」


 エニグマの人型ゴーレム兵士達は三人を連れてくる。

 中年の男と、玲奈だ。


 人型ゴーレムに捕まる二人内、一人、中年の男が飛び出し、ゴルドに襲い掛かる。


 ゴルドは、冷静に右手を襲い掛かる男へ向け、その右手の周囲の空間が歪んで銀色の鎧が現れ、その右手に填まると、鎧の右手の指先から紫電が発生し収束、その収束した光が男へ発射されると、男の体が真っ二つに吹き飛んだ。


 事態は更に悪化する。


 殺された漁村の仲間に、村人は怒り、男達が包囲していた人型ゴーレム兵士を魔法で倒し、ゴルドへ疾走する。


 大勢の戦う意思を見せる男達に、ゴルドは冷静に

「オレが始末する」


 ゴルドの周囲の空間が歪み、そこから残りの銀色の鎧が出現、ゴルドに装着される。

 鋭角な角を持つ白銀の鬼のような鎧に包まれたゴルドは、襲来する男達へ走った。


 男達は、攻撃魔法を放ち、白銀の鬼鎧化したゴルドに当てるも、ゴルドにダメージはない。


 ゴルドは、男達に接近すると、指先を鉤爪にして、男達を引き裂いた。

 ぼろ切れのように男達を引き千切り、血の雨が降り注ぐ。

 その引き裂く男達の中に、玲奈の父親がいた。

 玲奈の父親は、呆気なくゴルドに真っ二つにされ、肉片をバラ撒いた。

「おとうさーーーーーーん」

 玲奈の悲しげな声が響く。


 攻めてきた男達は、その八割を殺され、残り二割はゴルドの残虐な攻撃に戦意を殺された。

 赤い血がベトベトと伝い落ちるゴルドは

「お前達の行動次第では、後ろにいる女子供達も、このように犠牲になるぞ」

 残った二割の男達は、その場に伏して両手を挙げた。

 これ以上、犠牲は出せない。


 ゴルドは白銀の鬼鎧を解除して

「さて、行くぞ…」

 信長と玲奈を連れて行く。


 連れて行かれる玲奈に、妹の玲愛が

「お姉ちゃーーーん。信長くーーん」


 二人の名前を叫び出ようとするのを、玲奈と玲愛の母親が必死に押さえた。

 その目には、大粒の涙が零れていた。


 捕まり運ばれる信長が

「玲奈は、離せーーーーーー」

 暴れて訴える。

 ゴルドは、信長の後頭部を掴むと、バチンと電撃を浴びせて気絶させた。



 次に信長が目覚めた場所は、手術室のような場所だった。

 強いライトの天井、周囲にはマジックハンドの群体。

 自分は両手足と首に枷を嵌められ、手術台に固定されていた。

「なんだよコレ…」


「信長…」

と、呼び掛ける右に玲奈も同じ状態だった。


「玲奈!」

 信長は必死に足掻いて抜けようとするも、無駄な抵抗だ。


 そして、玲奈の周囲にあるマジックハンドが動く。

 マジックハンドは、玲奈の胸部、鎖骨との間、丁度、心臓の上の部分の布を切り肌を顕わにする。

 そして、白銀の片手サイズの球体が運ばれる。

 その球体の周囲には、電子回路のような細い配線が露出している。


 それが、玲奈の胸部、露出した肌の部分に接触した瞬間、露出している配線達が玲奈の皮膚に潜り込み、玲奈を浸食する。

「アアアアアーーーーーーーーー」

 玲奈は激痛で、悲鳴を上げる。


「止めてくれーーーーーーーーー」

 信長は叫ぶ。

 目の前で、苦しんでいる好きな女の子の光景に耐えられない。


「ああ、があ、ああ、はぁあああ」

 玲奈は痛みで意識が遠のく。


「止めてくれ、頼む。止めてくれ…」

 信長が涙していると、信長の周囲にあるマジックハンド達が、玲奈と同じように胸部の服を切り肌を露出させ、そこに玲奈と同じあの浸食の半球体を接触させる。

「がぁああああ!」

 信長は浸食される激痛によって意識が飛びそうになる。

 そんな中、玲奈の方を見て

「ご、ごめん…オレ…助けられ…な…く…」

 意識が途絶した。


 その様子を別室のモニターで見守るゴルド、マッドハッター


 マッドハッターが

「この小僧の方は…。君と同じガイバード装着が可能なタイプだ。実に興味深い…ガイバードと神格召喚スキルの融合、どのような面白い効果を発揮するかねぇ」


 ゴルドはフンと鼻息を荒げ

「小娘の方は?」


「んん…。小僧より、力は弱いから…大型兵器のシステムに組み込んで使うのが常套かなぁ…」


「そうか…」

 淡々としたゴルドにマッドハッターが

「気が引けるかい? 君は…娘が…」


 ゴルドは皮肉な笑みを浮かべ

「こんな事をしているんだ。正義も何もへったくれもない。この世界を取り戻す。確かに大きな大義だ。だが…」


 マッドハッターはクスッと怪しく笑み

「そう、その大義の為にやっているのは、人体実験で、それから生まれたパテントによって成り立っている企業がある。所詮、何をやっても利潤でしか動いていない。その辺りはメルディオル先生も分かっている筈だよ」


 ゴルドは鋭い視線で

「アズナブルや、シェルブリットには、大義は必要だろう。まあ…キャロルや、アーヴィングは…現地採用だから、必要ではないが…」


 マッドハッターは肩を竦め

「いいじゃないか…私達には、どうでもいい事だ。手段こそ、生き甲斐。そういう人種なのだから」


 ゴルドは額を抱え

「我ながら演技が上手くなったモノだ…」


「でも、その場で言っている言葉は本物だろう。この世界を我らの手に…。これを言っている時は事実なんだから」

 マッドハッターは楽しそうだ。



 この事件があったのは、ディオスがアフーリアに行き、キャロルが管理しているアクワ・ウェーターと作る死刑執行施設の調査をしている時だった。



 エニグマに襲撃された漁村では、現地国の曙光国の部隊と警察隊、そして、カズキヨ…一清もいた。

 漁村の人達が破壊した人型ゴーレム兵士の残骸を見て、一清は怒りがこみ上げる。

 またしても…エニグマの犠牲者が…。

 自分の息子を奪った連中の悪行を止められなかった事を悔やむ。

 そして、その情報を直ぐに、ディオスから繋がったシャリカランやサルダレス達に伝えて情報を共有する。

 何時か、エニグマの先手を取るために…。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話があります。よろしくお願いします。

ありがとうございます。

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